「ミス・ロングビルが「土くれ」のフーケだったとは。美人だったもので、何の疑いもなく秘書に採用してしまったわい」
フーケを捕縛し破壊の杖に奪還したルイズ達は学校に戻りオスマン校長に事を報告していた。
オスマンはフーケをどこで採用したのか訊かれると酒場で給仕をしていた時に彼女の尻を撫でても怒らなかったのでその場のノリで秘書として雇ってしまったようだ。一応、魔法も使えるからという弁明もしていたが。今回の1番の原因はお前じゃねーかとその場の全員が思った。
色々と言い訳をしていたがなぜかコルベールという教師が全力でオスマンをフォローしルイズ達は呆れた表情で二人を眺めていた。
「さて、君達はよくぞ、フーケを捕らえ破壊の杖を取り戻してくれた。フーケは城の衛士に引き渡し、破壊の杖は無事宝物庫に戻された。一件落着じゃ」
オスマンは、咳払いをし威厳を取り戻すような声音でルイズ達に礼を言った。
「フーケの引き渡しのついでに君達のシュヴァリエの爵位申請を、宮廷に出しておいたから詳しいことは追って連絡が来るじゃろう。ミス・タバサは既にシュヴァリエの爵位を持っておるから、別の勲章の授与を申請しておいたわい」
オスマンからの朗報を聞いてルイズとキュルケは目を輝かせた。タバサは特に興味がないのかあまり気にしていなかった。
しかし、ルイズは気になることがあった。それは、サイトにはなんの褒美もないことだった。今回、フーケの捕縛はサイトがいたから成功した。1番活躍したサイトには何の褒美もないことにルイズはもちろんキュルケも不満を感じていた。
「あの、オールド・オスマン。サイトには、何もないんですか?」
「残念ながら、彼は貴族ではないからのう。用意できるのはワシからの報酬くらいじゃ」
ルイズはチラッとサイトを見ると興味がないのかサイトは壁にもたれライターでタバコに火をつけようとしていた。
「さぁ、今夜は、フリッグの舞踏会じゃ。今日の舞踏会の主役は間違いなく君達じゃ。せいぜい着飾り、華やかな会にしておくれ」
オスマンがそう言うと3人は挨拶をしてそのまま部屋を出ようとした。
「?どうしたのサイト?早く行くわよ」
「ミス・ヴァリエールは、先に行きなさい。どうやらミス・ヴァリエールの使い魔はワシに用があるようじゃ」
オスマンがそう言うとルイズ達は先に部屋を出て行った。オスマンは立ち上がりサイトの下へ行くとマッチを取り出しサイトのタバコに火をつけた。
「・・・・・どうも」
サイトが礼を言うと。
「それで、何を聞きたいのじゃ?ワシの答えられる範囲で答えよう」
オスマンは教師達にも出ていくよう命じた。コルベールは何やら不満そうな顔で出て行ったが気にしなくていいだろう。
「まぁ、予想はついているがのう。君が聞きたいのは、破壊の杖・・・・いや、【M72ロケットランチャー】のことじゃろ?」
オスマンがそう言うとサイトはいつでもハンドガンを抜けるようにしオスマンを睨みつけた。
「・・・・・あんた、一体何者だ?」
「ワシのことを説明するにはまず、これを見せてからじゃ」
そう言ってオスマンは魔法で頑丈にロックし更に二重底になってる机の引き出しからリボルバーを出した。
「!?S&W M29」
「昔、ワシが愛用していたリボルバーじゃ。ワシも歳をとった。ワシじゃもう使いこなせんじゃろう」
「この世界にはリボルバーはあるのか?」
「残念じゃがこの世界の科学レベルじゃコピーすらも作れんわい」
オスマンがそう答えるとサイトはオスマンの言葉に疑問を感じた。まるでサイトの世界を知っているような発言だった。
「君は【抵抗軍の戦士】なのか?」
「!?」
「なぜ、知ってるっていう顔じゃのう。・・・・・・・・いたのじゃよ。ワシの友人に異世界から来た戦士が。彼もまた、抵抗軍の戦士じゃった」
「!?オレ以外にもいたのか!?その友人は一体どこに!?」
まさか、こんな近くで重大な情報を手に入るとは思っていなかった。サイトは真剣な顔でオスマンから情報を聞き出そうとした。
「死んでしまった。もう、三十年前の話じゃ」
「死んだ?」
「若い頃のワシは、冒険家じゃった。ある森を探索していたワシは野生のワイバーンに襲われたんじゃ。そこを救ってくれたのがわしの恩人であり友人となった彼じゃった。彼から君の世界のことをたくさん聞いた。【スカイネット】や【ターミネーター】のことも。最初はワシも信じていなかったがM72ロケットランチャーや何やら見せられれば信じるしかなかった。彼は元の世界に帰る為に冒険者となりワシの相棒となった。このリボルバーも彼から貰ったものじゃ。今でもきのうのように思い出せるわい。宝探しや珍獣探し、時々、ケンカをして仲直りをし歳をとりこの世界で寿命を迎えてたのじゃ」
「・・・・・・」
「彼の最後は「元の世界に帰れないのは残念だったけど戦争しか知らなかったオレに平和を、生きる楽しさを教えてくれた。ありがとう、オスマン」じゃった。まったく、少しくらいワシに恨み言を言ってくれればよかった。そうすれば、こんな悲しい思いをせずにすんだのに」
オスマンは俯き窓を叩いた。
「・・・・・あんたの気持ち、オレも分かる。オレもたくさんの戦友を失ったから」
「そうじゃったか」
「彼もオレと同じように【召喚】されたのか?」
「それはわからん。どんな方法で彼がこっちに来たのか、最後までわからんかった」
「そうか」
サイトは左手の指なし手袋を脱ぎルーンを見せると。
「これは一体なんなんだ?武器を持つとこの文字が光って身体が軽くなった。気のせいかもしれねーけど武器の性能も上がってるような気がするし使った事もない武器まで使えた」
「・・・・・うむ、それは知っておる。じゃが、今答えることはできない。フリッグの舞踏会が終わったら1人で宝物庫に来るんじゃ。そこでワシがそのルーンのことを教えよう」
「分かった」
サイトは軽く頭を下げその場から立ち去るのだった。