「ハッ!!」
目を覚ますとベッドから飛び起きた。自分が生きてるのかどうか確認する為に胸に手を当てた。ドクン、ドクンと、心臓が高鳴っていた。自分はちゃんと生きてる。あれは夢だったことに気づくとルイズはホッとした。
「なんなのよあの夢」
そう言ってサイトが寝ているワラベッドの方を見ると。
「・・・・・必要だから部屋の中に置くことは許したけど部屋の一部を占領しないでよね」
部屋の隅には弾が入った鉄箱が並べられており壁にはいくつもの銃がかけられていた。フリッグの舞踏会が終わった後、サイトはオスマン校長から大量の銃と銃弾を譲り受けたのはいいものの置く場所がどこにもなかった。ルイズはサイトの必要な武器として認識し部屋に置くことを許したがまさかこんなにあるなんて思ってもいなかった。
まだ夜も明けてないしルイズはもう一度眠ることにした。
翌日、ルイズは目を赤くしクマを作って教室に向かった。結局、なかなか寝付けず寝不足の状態で教室に入ると。
「あら、ルイズ・・・・・どうしたのよその顔?」
キュルケがいつものようにルイズをからかおうとしたがルイズの寝不足の顔を見て目を丸くした。
「なんでもないわよ。ちょっと、寝不足なだけだから」
そう言ってルイズは席に座った。
「あら、ダーリンはどこ?もしかして逃げられちゃった?」
「サイトならオールドオスマンから教科書を貰いに行ってるわ」
「「「ハァ?」」」
ルイズの発言を聞いて全員が呆然としていた。
「ちょっと待て!平民がボク達と同じ席で授業を受けるのか!?」
男子生徒がルイズな詰め寄った。
「オールドオスマンの報酬の一つらしいわ。校長権限でサイトも授業を受けれるように取り計らったみたい」
ルイズがそう説明すると同時に教材を持ってサイトが教室に入ってきた。
「待たせたなルイズ。オスマンがルイズの隣に席を用意してるって言ってたけどここでいいのか?」
「席が一つ多いなーって思ってたけどその席は、ダーリンのだったのね」
そして、今日の授業が始まった。今日、授業中を担当する教師の名はギトー。常に上から目線な口調で生徒から嫌われている教師でありフーケ事件の時、サイトに男根を蹴り上げられた男だ。
そんな彼が教壇に立ちサイトを睨みつけると。
「おはよう諸君。何やら奇妙なゴミ虫が混ざっているが本日はこの【疾風】のギトーが諸君達のために授業を行う。ありがたく思いながら授業を受けろ」
「なんだアイツ?ムカつく奴だな」
「ミスター・ギトーよ。魔法の腕はあるんだけどあんな風に上から目線で言ってくるから生徒全員から嫌われてるのよ」
ルイズが小声でそう教えた。
「さて、早速だが、君たちは最強の系統はなんだと思う?そうだな・・・・・・そこの平民!!答えてみろ!!」
「知るか!なんも知らねーのに答えられるわけねーだろ!」
サイトがそうツッコミをいれるとギトーは鼻で笑い。
「そんな事も分からないのか?ハッ!オスマン校長が特例で授業を受けれるようにしてくれたからよっぽど優秀な平民だと思ったがこんな簡単なことも答えられないようだな!」
と、言った。
「ガキか?」
ギトーの幼稚な行いにサイトが呆れていると。
「ツェルプストー!答えてみろ!」
今度はキュルケに狙いを定めた。
「虚無じゃありませんの?」
(虚無?なんだよそれ?魔法の属性は火と水と風と土の四つじゃないのか?)
「そんなおとぎ話の話しはしていない。私は現実的な答えを求めている」
「でしたら火ですわ。全てを燃やし尽くせるのは火だけ、違いますか?」
キュルケがそう答えると。
「オレもその意見に賛成だな。最強かどうかはともかく、少なくとも火は、色々と汎用性があるからな」
「分かってるじゃない。さすがは私のダーリンね!」
キュルケの意見を支持したサイトを見てキュルケが喜んでいると。
「ならばミス・ツェルプストー」
ギトーは杖を引き抜くと。
「君のお得意の火を私に向けなさい」
と、言った。
ギトーの発言に教室はざわめきキュルケも動揺していた。
「どうした?君のその赤毛は飾りか?」
ギトーは挑発した。
「後悔しても遅いですわよ。ミスタ・ギトー」
挑発に乗ったキュルケは杖を抜き、ギトーに向け杖の先に巨大な火の玉を造った。周りにいた生徒は慌てて机の下に隠れた。ギトーは余裕の表情で杖を構えた。
「アイツ、何するつもりだ?」
「諸君に教えよう。最強の系統、それは【風】だ」
そう言ったギトーは杖を振るとキュルケの炎を吹き飛ばした。そして更にキュルケを吹き飛ばし壁に叩きつけようとしたがサイトがいち早く動きキュルケを抱きしめて躱した。
「大丈夫かキュルケ!?」
「え、えぇ、ありがとうダーリン」
「このように風は全てを凪ぎ払う。炎だろうが水だろうが土だろうがそして虚無だろうと吹き飛ばせるだろう。風は最強の盾であり矛なのだ。それを破るのは至難だろうな。さらに最強と呼ばれる所以がもう1つ」
ギトーがそう演説していると。
「テメー、バカか!?キュルケの魔法を吹き飛ばすだけなら分かるけどキュルケに反撃する必要があったのかよ!!」
そう言ってサイトがギトーにM1911(ハンドガン)を向けた。
「平民風情が私の授業を妨害するつもりか?いいだろう。なら、次は君が私に攻撃してきなさい」
ギトーの発言に全員驚愕した。
「待ってください、ミスター・ギトー!そんなことをしたら」
「黙ってなさいヴァリエール!そもそも、私の授業に平民が混ざってること自体が不愉快なのだ!ミスター・グラモンに勝ちフーケを捕まえて調子にのっているようだが教えてやろう!平民は貴族に勝てないという常識を!!」
サイトはチラッとルイズを見るとルイズはため息を吐いて首を縦に振った。
「どうなっても知らねーぞ」
そう言ってサイトは構えた。
「・・・・・・・・・っ!!」
バン!
サイトは引き金を引き発砲した。ギトーはさっきのような魔法で防ごうとした。だが。
「ぐあっ!!!」
魔法が発動する前に弾丸はギトーの肩に命中した。撃たれたギトーは痛みから杖を持つことができず教壇に落としてしまい肩を抑えながら黒板にもたれた。
「ば、バカな!!な、なぜ、風の魔法で防げなかった!!」
「だから、言おうとしたんですよ。撃たれますよって」
あの時、ルイズが心配したのはサイトじゃなかった。むしろ、サイトなら銃を持ってる限り負けることは絶対にないと考えていた。故に、ルイズは100パー、いや200パー撃たれるギトーの方を心配したのだ。
「さすが、ダーリン!ミスター・ギトー!さっきの発言を訂正しますわ!最強は、風でも火でもありません!ダーリンが持っている武器が最強ですわ!」
ギトーを撃ったサイトをキュルケは称賛しそう言った。
「いや、別に最強の武器じゃねーぞ」
すると。
「ミスタ・ギトー。少し失礼いたし何があったのですか!?」
突然、コルベールが入ってきた。なぜか、華やかな服装とカツラを被り正装していた。ルイズとキュルケから訳を聞くとすぐさま納得しギトーが悪いと判断すると
「皆さん!今日の授業は終わりです!」
と、言った。
突然のことだったが授業が無くなり休みになったことで生徒達は喜んだ。
「しかしただの休みではございません。なんと先の陛下の忘れ形見!トリステインに咲く美しき花、アンリエッタ姫殿下が本日の午後にこの学園に来られるのです!」
(?アンリエッタ?誰だそいつ?)
「と言うわけなので皆さん!上品にしておくのですぞ!」
コルベールが教室から出て行くと。
「ルイズ、アンリエッタって誰だ?」
と、訊いた。
しかし、何故かルイズは上の空だった。
「ルイズ?」
「姫様が来る?」
ルイズの様子がおかしくなりサイトは首を傾げるのだった。