ルイズが教室を爆破してしまったせいで後の授業は、中止となった。罰として魔法を使わず(どうせ失敗して余計に被害が増えるから)に片付けるように言われめちゃくちゃになった教室を片付けていた。と、言っても教室を片付けているのはサイト1人でルイズは、教室のすみっこで膝を抱えて落ち込んでいた。割れた窓ガラスを張り替え椅子や机の残骸を片付けていると。
「なぁ」
サイトはルイズに話しかけた。
「・・・・・」
「返事くらいしろよ」
一旦、作業をやめると。
「魔法のこととか全然分かんねーしお前の気持ちとかもオレには分かんねーけど・・・・・まぁ、そんなに落ち込むなよ。失敗は、誰にだってあるし生きてさえいれば何度だってやり直せるんだから元気出せよ」
サイトなりに言葉を選んでルイズを慰めた。
「・・・・・さい」
「ん?」
「うるさいって言ってるのよ!!」
ルイズは、大声を出しながら立ち上がった。拳を握り締めながら声を震わし涙目になっていた。
「貴族でもメイジでもないアンタに・・・・平民のアンタに何が分かるのよ!!」
「いや、だから分かんねーって言っただろ」
「どうせ、アンタもでしょ!!魔法を使えないゼロの私を見てバカにしてるんでしょ!!アンタなんかお昼抜きよ!!私のことバカにした回数ご飯抜きなんだから!!」
ルイズは、教室から飛び出した。
「・・・・・ったく面倒くせーガキだな」
サイトは頭をかきながらそう呟いた。
教室の片付けを終え学校の中を探索しているとちょうどいい長椅子を見つけた。サイトはそこに座りポケットからタバコとライターを取り出しタバコを咥え火をつけた。
「フー」
ゆっくりと煙を吐き空を見上げた。
「・・・・・・初めてだな。こんなゆっくりするの」
ゆっくりと動く雲を目で追いながら呟いた。戦場で生まれ戦場で育ちスカイネットによる核攻撃で荒廃した世界が常識だったサイトにとってこの世界はユートピアだった。
「コミックのような平和な世界をこの目で見れるなんて考えたこともなかったな」
サイトは、呆然としながらタバコを吸っていると。
「あ、ミス・ヴァリエールの」
洗濯場で洗濯を教えてくれたメイドと出会った。
「あ、あの時の。洗濯教えてくれてありがとな」
「いえいえ、そんなお礼を言われることなんてしてませんよ。えっと」
「そういえば名前、知らなかったな」
お互い、自己紹介してないことに気づき2人はクスクスと笑った。
「すいません。私、シエスタと言います」
「オレは平賀才人だ」
「変わったお名前ですね」
2人が話しているとサイトの腹がグーッと鳴った。
「お昼はまだなのですか?」
「ルイズからメシ抜きにされちまって朝からなんも食ってねーんだよ」
「そうなんですか!?」
「そう驚くなって。慣れてるし。しばらく食わなくても大丈夫だから」
サイトは、手をヒラヒラと振りながら答えた。
「・・・・・あの、よろしかったら厨房に来ませんか?」
シエスタと一緒に厨房に来るとサイトにシチューとパンを出した。
「・・・・・・マジか?」
出されたシチューとパンを見てサイトは目を輝かせていた。
「おい、いいのか!?こんなご馳走を貰って!?」
「ご、ご馳走って・・・・・これ全部残り物なのですが」
「残り物!?これが!?」
抵抗軍では、ネズミ肉のシチューや缶詰が主な食事だった。スカイネットの攻撃で食料は常に不足していたのでサイトにとってはかなりのご馳走だった。
「うまっ!!」
今まで食べた中で1番美味しかった。サイトはシチューとパンをガツガツと食べた。
「いい食べっぷりだな」
厨房の料理長もサイトの食欲を見て嬉しそうにしていた。
「美味かった。これが満腹ってやつか?」
サイトは生まれて初めて満腹感を味わっていた。シエスタは、空になった食器を回収した。
「メシ食わせてくれてありがとな」
「いえいえ、困った時はお互い様ですよ」
シエスタは、貴族達に出すデザートを持って厨房を出て行った。
「どうぞ、デザートのケーキです」
シエスタは、食事を終えた貴族達の為にデザートのケーキを配膳していた。
「おいギーシュ、結局誰と付き合ってんだよ。モンモランシーか?それとも一年の子か?」
「付き合う? 僕にそのような特定の女性はいないよ。薔薇は多くの人を楽しませているために咲くのだからね」
次は男子グループのところに行きいつものようにデザートを出していた時、事件が起きた。男子グループの中心にいる少年のポケットから小瓶のようなものが落ちたのだ。
「あの、落ちましたよ?」
シエスタが小瓶を拾い上げ声をかけると。
「なんだいそれは、知らないな」
「え?今確かにポケットから」
「あぁ!」
シエスタが意味が分からずにいると男子グループの一人が声を出した。
「それはモンモランシーのオリジナル香水!つまりギーシュ、お前はモンモランシーと付き合っていたんだな!」
「ま、待ちたまえよ。この香水があったからってそうだとは」
ギーシュと呼ばれた少年は何か言い訳のようなこと言っているとギーシュの下に1人の女の子がやって来た。
「ギーシュさま、やはりミス・モンモランシーと」
「ご、誤解だケティ。いいかい、僕の心の中に住んでいるのは君だけ」
ギーシュの言い訳を聞かずテーブルに置いてあるワインを持ち上げそれをぶっかけた。女の子は、その場から去るともう1人の女の子が来た。
「も、モンモランシー!」
「・・・・・」
ギーシュは、必死に言い訳を考えていたが先にビンタをされた。
「さようなら」
そう言ってその場を去り嫌な空気が漂った。シエスタは、イヤな予感を感じその場を去ろうとしたが遅かった。
「そこの平民、この責任をどうとるつもりだい?」
予感は、的中した。ギーシュはシエスタを八つ当たりの対象に選んだのだ。
「僕はあのとき知らないと言った。なら君はそれの意味を感じ取ってすぐにその瓶をもって去るべきだったんじゃないのかね?」
「も、申し訳ありません!!」
100%、ギーシュが悪いのだがシエスタは頭を下げて謝った。平民は、魔法を使えないが貴族は魔法を使うことができる。もし、この場でシエスタに向けて魔法をかけられたら100%・・・・いや、200%、死ぬ。だから、どれだけ貴族が悪かったとしても納得できなかったとしても平民である自分が悪いと受け入れなくてはならなかった。
シエスタは、恐怖で震えこの天災が過ぎ去るのを待った。ギーシュは鬱憤さえ晴らせればよかったので言いたい放題シエスタに向かって言っていたその時だった。
バキッ!!
突然、ギーシュの顔面が蹴られた。突然のことで何が起きたのかわからず全員が呆然とした。床に倒れたギーシュも何が起きたの分からず呆然としていると。
ドゴッ!!
ギーシュの腹を蹴り上げられた。
「ウゲッ!!」
突然の痛みにギーシュは、腹を抑え見上げるとそこにはサイトがいた。サイトはギーシュの髪をわしづかみそのまま顔面に膝蹴りをした。
「うぐっ!」
ギーシュは、鼻血を流していると。やっと、今起きてるのが現実だと気づき。
『へ、平民がギーシュを殴ったぁぁぁぁ!!』
大騒ぎになった。現場を見たシエスタも顔を青くした。だが、サイトには関係なくテーブルの上に置いてあるナイフを拾うとそれを逆手に持ち
「ま、待ちなさい!!」
ルイズが止めた。
「み、見てたわよ!!アンタ何してんのよ!!」
「?何って・・・・・・・・・殺そうとしただけだけど?」
サイトは、首を傾げてそう言った。それを聞いてルイズはゾッとした。やっぱりこいつは、頭がおかしいと。
「き、貴様!!この僕に何をした!!貴族である僕に平民の貴様が!!」
鼻を抑えながらギーシュは吠えた。ギーシュは、ルイズを見ると目の前の平民が何者なのか分かった。
「そうか!!貴様、ゼロのルイズが呼び出した乞食だな!!乞食風情がこの僕を殴るなんて許されないことだぞ!!」
「殴ったんじゃなくて蹴ったんだけどな」
ギーシュは、サイトを睨みつけると。
「決闘だ!!」
と、言った。
ルイズは慌てて止めようとしたがギーシュは、聞く耳をもたず。
「貴様に貴族の礼儀を叩き込んでやる!!ヴェストリの広場で待っているからケーキを配り終わったら来たまえ!!」
そう言って、その場を去った。
「殺されちゃう・・・・貴族を本気で怒らせたら・・・」
シエスタはその場から逃げた。
「アホくさ」
サイトは、そう呟いた。
「アンタ、一体どうするつもりなのよ!ギーシュに喧嘩を売ってどうするのよ!?平民は貴族に勝てないのよ!?ギーシュと決闘なんて、怪我だけじゃ済まないわ、いや、怪我で済んだら運の良いほうよ!」
ルイズは、サイトにそう言うが。
「お前、オレがあんなガキに負けると思ってんのか?」
自信満々に言った。それを聞いたルイズは、ポカンと口を開けた。
「何よその自信。アンタ本当に勝てると思ってんの?」
「向こうから戦争ふっかけて来たんだ。殺せばいいだけの話だ」
サイトはそう言うとその場を去った。
(・・・・・・もう知らない。あんな奴少し痛い目にあえばいいんだわ。でも、なんでかしら?なんで、アイツが負ける未来が見えないのかしら?)