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でんごう→らいごう
「ごめん・・・」
「いや、勘違いして当然ですけど・・・まさか術式使うとは思ってませんでした。どうしてくれるんですか」
「いや、マジでごめん・・・」
「ほら明星に謝れ。ゴメンで済めば警察いらねぇんだよ?」
「はい•••」
東京校医務室にて、包帯ぐるぐる巻きになった明星と正座する虎杖、ピコピコハンマーの呪具を持つ釘崎、後ろでビクビクしているマリアがいた。
特別一級術師、虎杖悠仁。
珊瑚色と黒色の混じった髪、眉間と口元の傷跡、同心円状の赤い瞳、赤色の首巻きに黒いパーカー。赤血操術と御厨子を持ち、人間離れした肉体を持つ鬼神。2018年の両面宿儺討伐の功労者とも言われている。だが、今の姿はそうは見えず、目の前に立つ
「••••まぁ、私があんたと同じ状況で泣いてるマリアを見たら共鳴りしてるかもね」
「あれ?」
一級術師、釘崎野薔薇。
腰まで伸ばした茶色い髪、左眼の薔薇柄の眼帯、ノースリーブの制服にモデルのようなスカートとハイヒール。学生時代から愛用している金槌と、新調したネイルガンを腰に差している。2018年の羂索討伐にて心臓に呪術の使用を困難にする極の番"
「あの、野薔薇さん?今回は私の勘違いで•••起きちゃった事件なんです。だから、家入くんはわ、悪くないんです!!」
「もぉ〜冗談に決まってるわよ!!「え、今のマジな顔じゃーー」•••黙ってな青二歳、もしマリアを襲ったらテメェの睾丸に簪するぞ?」
「すみませんでした•••」
■■□■■
「で、話の続きなんだけど••••「なんで僕の部屋にいるんですか?」
放課後の寮、1人新入生歓迎会の料理を味わえなかった元ミイラマンこと明星。残った料理をタッパーに入れて冷蔵庫に入れ、部屋に戻ると元凶こと虎杖がいた。
「••••僕、てか俺結構キレてるんですけど?貴方と刺し違えても殺してやりますよ?」
「おーけー落ち着こう今度虎杖家秘伝の肉団子のレシピを教えてやるから•••マリアの話だよ」
「•••そういや、新歓の時アイツだけいませんでしたね。体調でも崩したんですか?」
虎杖は顔を曇らせ、頭をかきながら答える。
「そんな単純だったら良いんだけどな•••心の疾患なんだよ」
「••••ひょっとして、彼女の容姿に関係してます?」
「あぁ、アイツは•••名前を伏せるが有名なアイドルと瓜二つでな。母親がそのアイドルが現れるまでの人気アイドルだった。でも、そいつが出てみんなそいつに夢中になって、マリアの親は仕事を手に入れるために水商売に近いことをしていたらしい•••で、マリアを妊娠しアイドルをクビ。そして生まれた我が子は人気絶頂の憎きアイドルと瓜二つ•••もう分かるだろ?」
「•••••虐待ですか」
「あぁ、だがそのアイドルが殺されると、母親はマリアをそいつの生まれ変わりだと思い込んだ。そしてこいつが大成したら自分も恩恵を手に入れられるって、何をどう考えたのかわからないけどさ•••今度はアイドルにしようと過剰なレッスンをさせるようになった•••もうここからは言う必要ないよな?」
「えぇ•••で、僕にどうしろと」
「こんなこと頼める立場に居ないのは分かってる。だけど、一年の中でお前が一番信用できるから、お前にしか頼めない」
そう言うと、彼は、虎杖悠仁は、床に額をつけた。
「ーーちょ!?「あの娘を、マリアの側で見守ってくれ!!今のままだったら、呪術高専はもちろんこの世界でアイツは生きていけない。俺たちが見守るにも限りがあるし、マリアの成長にもならない。だから、頼む•••」
「••••もし、断ったら?」
「 領域て「やります、やりますからぁ!?」
「次、た、結界術の授業ですよね?ど、どこに•••」
「•••一緒に行きます?」
「えぇ!?あ、えっと、はい」
こうして家入明星の新生活がスタートした。
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記録206、家入黎人による星野孤白猟についてのコメント
「俺が星野コハクと出会ったのは、あの厄災の年だった」
銀色の仮面をつけ、腰まで伸ばした長い髪の青年が紅茶片手に椅子に座る。
渋谷事変。羂索によって放たれた1000万を超える呪霊の殆どを家入黎人が鏖殺したものの東京の渋谷区、新宿区、千代田区、豊島区などが人外魔境と化し、宿儺と入れ替わり呪詛師と改造人間以外人死には出なかったものの、渋谷の半径200メートルが更地と化したことによる死刑の判決が下された虎杖と兄弟を自称する九相図を伏黒と乙骨共に2日かけて探し出し、そのまま秤先輩を含む3年生に協力を仰ぎ、6人で高専に到着したときだった。
『ん?・・・・誰だよ』
顔面をボコボコにされた金髪の和服の男を尻に敷いたコハクがいた。
『お前呪術を学んでどれくらいになる?』
『7〜8年前から。3ヶ月前に反転術式と簡易領域は会得した。結界術をアンタに習いたい』
『・・・・・・お前今いくつ?』
『10だ。なんか悪い?』
『天才、そう思った。俺も小1で反転術式、中学1年で領域展開を会得したが、それどころじゃない』
『まるでスポンジみたいに呪術の知識を吸い込んで、俺でさえ習得に1週間かかった領域展開を5時間で習得していやがった』
『オレンジ色の目と白く輝く星の瞳を見て、コイツには絶対に何かある。そう直感した』
そして今現在・・・・
「改めて呪術高専にようこそ。俺は一年担当家入黎人だ。よろしく。自己紹介を右から順番に」
銀色のヘッドホンを首にかけ、高専のボタンが付いた黒地に青みがかかったジャージの前を開けた少年。
「・・・・星野コハク」
裏編みの三つ編みと青黒い爬虫類のような瞳を持つ有名な芸能学校の制服をイメージした女子制服を着た少女。
「不知火コレオです」
そして黒と白のツートンカラーの髪型、鳳凰の紋様が目立つ赤い羽織のメカクレの少年。
「五条汀です‼︎好きな食べ物はカツ丼です‼︎4年間よろしくお願いします‼︎‼︎」
テンションの高低差が大きい連中だな、と黎人は思った。3年2年のように明るいか暗いかハッキリしてるような連中は扱い易い。だが、クラスに個性がありすぎるとかえって問題を起こしやすくなる。
それこそパンドラの箱と呼ばれた彼の母校、静岡分校のように。
(ま、何とかなるか)
黎人は考えるのを諦めた。
□□□
コハクは正直言って、人と関わるのは得意じゃない。中学生の頃、町中の不良を半殺しにしたのは『喧嘩したら友達になれるんだろ?』という理由だった。それゆえに周りから孤立した。なんなら師匠からの悪影響があった。
九十九からは『ナイスファイト!!!』
東堂からは『ふ、さすがは俺とマイブラザーの舎弟』
鹿紫雲からは『あ?ボコボコになるくらいに弱い雑魚が悪い』
とはいえ義母であるミヤコからきっちり叱られたコハクは、それからは大人しくしていたものの一度ついた印象を変えることを変えることは難しく、結局三年間必要最低限の会話はしなかった。
「星野くん。君いい顔してるね」
「・・・・」
「得点計算したら80点後半ってとこかな?『今日アマ』に出てたのは君?それとも君の兄弟?兄弟かな?」
「・・・・俺の、兄だ」
(まぁ認めたくはないが•••)
「へぇー?そうなんだ。君はなんか活動してないの?ひょっとして演技の才能全部お兄ちゃんに吸われちゃった?」
ちょくちょく鼻につく言葉を言ってくる、目の前の藍色の爬虫類のような目をした少女にコハクはむかっとした。
「・・・・正直今の時点でお前のことが嫌いだ」
「酷いなぁ、星野くん。そんな性格だと友達出来ないよ?あ、気にしてたらごめんね〜?」
「お前よく喋るな。遺言のつもりならボイスレコーダーに喋っとけ」
「・・・・うっわー!?ぶん殴りたい。こーいう性格の人ほど弱いって漫画で言ってたなー、君があの漫画のモデルだった?」
ブチっ!!!
ーーと音が鳴った。
2人は席を立ち、拳を放つ。
「「・・・・殺す」」
拳同士がぶつかって青い呪力の火花が散り、教室から2人は飛び出した。
「・・・・ケンカに術式使うなよ〜」
「ねぇ先生!!僕も混ざっていい?」
「駄目だ中坊」
「ちぇ〜つまんね」
〜一方その頃〜
陽東高校の中庭
何処ぞの重曹を舐める天才元子役と星野アクアがいた。
「あ、そういえばアンタ弟いたじゃない。星野コハク?だっけ?アイツも一般科なの?」
「・・・・・・・・・いや、あいつは京都の高専に行った」
今までの描写で気付いた読者もいたはずだが、コハクはアクアのことを毛嫌いしている。目を合わせただけで不機嫌になるし、同じ食卓についただけで舌打ちするレベルにコハクは彼を嫌っている。理由はいくつもあるが、一番の理由はコハクを子供扱いしてくることだ。彼らは同い年であるのにもかかわらず、コハクがまだ布団の上で動いていた時にはアクアは2本足で歩き流暢な日本語を喋りオタ芸までしていた。成長後も何をやってもアクアはコハクよりも博識で、コハクを小さい歳の子のように扱っていた。中学生になって喧嘩沙汰を起こすようになってもまるで教師か親のように叱る始末。よってコハクはアクアを毛嫌いしていた。
(正直・・・・俺としてはアイツを危険に巻き込みたくない。このまま、疎遠でいた方が良いに決まってる。けど最後に一度くらい会っておかないとな)
〜一方その頃〜
「くしっ!!くそ、誰かに噂されたか?」
コハクはコレオと戦っていた。校舎の屋根の上で。
「チッ、術式使えないって厄介ね。箸なしでラーメン食べてるみたい」
「ーーっ!微妙に分かる例えだな!!」
コハクは回し蹴りを見切って両足を水平にまで広げて躱し、攻撃をくぐり下から両足で蹴ったが防御される。ニヤリと笑ったコレオの踵落としを顔面に受けてしまう。
(っーーーコイツ、体術もイケる口か?)
コハクは口から血を吐き捨てながら、電気のように帯電した拳をコレオの鳩尾に叩き込む。それも何発も。
(速っーーーっ早いだけじゃない!!"辰"みたいな電気の呪力‼︎まさかこれってーー)
バチチッッッッ!!!!
コハクは自らの電気と同質の性質の呪力を電荷分離させることができる。1秒間に打ち込んだ3発の打撃と共に対象にプラスの電荷を移動させることで、自身の身体の中に蓄え蓄積させたマイナスの電荷を地面方向への放射をキャンセルしつつ、対象に向かわせる。次の瞬間、コレオの体に電流が疾った。
「『幻獣琥珀』!?」
「半分正解半分不正解。まあ、似てるちゃ似てるかもな。けど師匠と鹿紫雲さん曰く、俺の術式は全く違うらしい。つーかなんで知ってんだ?」
「釘崎さんにっ、教えてもらったの、よっ!!」
コハクはアイが死亡するまでの5年間、自身の膨大な電気と同質の呪力に浸けられた呪物のような状態になり、その過程で体内で神経や体内循環に不調が発生。各部位の発達が遅れ、病気がちになってしまい他の兄姉より発達が遅れてしまった。だがこれによってコハクの体は術式を継承したあの日以降、電気への完全適応が可能になり、術式に目覚め、九十九による呪術指導と鹿紫雲との戦闘訓練により、2020年時点で一級術師の称号を得た。
(呪力特性になかなかの格闘術、くそっ・・・・このままだとジリ貧!!)
(このまま優位でいれるかってなると、まぁ負けも勝ちもどちらもありうるな。だが、俺には鹿紫雲さん程の格闘術はない。すぐに攻撃も見切られる)
『術式解放・
『術式解放・
両者の術式解放、それに待ったをかけたのは彼らの担任。
『事象操術・
「「っーー!!?」」
《宇宙の支配者》家入黎人
地震、無重力、超新星爆発からビックバンに至るまであらゆる現象を操る。
まさに特級術師の名を語るに相応しい。五条悟と乙骨憂太に次ぐ現代の異能。
液体窒素冷凍という現象がある。
冷凍食品を急速冷凍させる際の方法の一つで、超低温の液体窒素を使った凍結法。 液体窒素の沸点はマイナス196℃と非常に低いため、超低温で気体となり、 気体となった液体窒素を食品に吹き付けると、食品を急速に冷凍させることができる。その際に細胞を破壊しないことが、黎人が鎮圧用に愛用する現象の一つだ。
(氷!!?くそっ!!無闇に体に力入れたら割れる!!)
(寒っっ!!?肌乾燥しそう・・・・)
「お前ら、術式使うなって言っただろ?指導だ!!」
その日、2人の頭の上で黒い火花が散った。
「「いったっ!!?」」
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「・・・・正気なんですか?これを考えた人」
「五反田さん、2018年のハロウィン以前に俺たちを見たらしい。それから呪術について調べるようになって、今回のプロジェクトに参加したそうだ」
『一応会いに行ったガ、プロジェクトを放棄するつもりはなさそうダ。この計画は上手くいけば現代社会での呪術界の立ち位置を一般化できるガ、しくじれば余計に負の感情を増幅しかねン。どうすル?』
『にしても、このプロジェクトに参加してんのは五反田さんだけじゃないよな。かなり名のある劇団の責任者も参加してる。止めるにしても何を晒されるか分からない』
「・・・・べつにいいんじゃない?いつかはやるもんだと思ってたし」
呪術師の2018年の活動をドラマ化する、その情報は各呪術界を震撼させた。
次回からは、サブタイトルに明星メインの話は☆コハクメインの話は★とつけます。