愛と呪いは小説より奇なり【改】   作:ランハナカマキリ

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Ep.5☆祓いと演技

 

Qドラマ撮影に向けての役作りへの意気込みは?

 

「そうですね•••本人も役作りに加わってたから、かなり本人に近づいてると思います」

 

Q演じるキャラへの印象は?

 

「最初会った時は、冷徹な印象でした。けど話してみると印象が変わりました。自分では善人じゃないって言ってるんですけど、根は優しい人で、安全主義者に見えて危険を顧みない人で、実は動物好きな人なんですよーーー」

 

「ーー伏黒恵さんは」

 

■□

 

「では、ドライ始めます」

 

ドライとは、セットの中でカメラを使わずに俳優がセリフや動きを演じ、演出や技術、美術などを担当するスタッフらが何かおかしいところはないかなどをチェックする立ち稽古のようなリハーサルのことを言う。

 

今回は『許可を取らなくても大丈夫』『あまり壊さないなら大丈夫』という理由で、かつて虎杖らが訪れた少年院に来ていた。

 

虎杖は俳優でもないど素人。だが、不安を吹き飛ばすほどに演技の才能があった。

 

「おぉ!夜になってく!!」

 

「"帳"だ。今回は住宅地が近いからな。外から俺たちを見えなくする結界だ」

 

「すっげ〜!!」

 

「無知めーー」

 

「ちょっとカット、あかねさんもう少し馬鹿にするような感じで」

 

「は、はい」

 

明星とマリアの2人はドラマ撮影の護衛・・・もとい見学をしに来ていた。

 

「あのサングラスの子、呪術師?イケメンね〜」

「色白、手足長、顔よし。モデルやってても違和感なさそう」

 

「隣の子、顔は見えないのに何だろう・・・惹かれるというか」

「うん、写真でもいいから素顔みたいなぁ・・・」

 

 

「・・・マリアさん?」

 

「私は置き物私は置き物私は置き物私は置き物・・・・」

 

マリアは顔面を完全に隠してぶつぶつ呟いていた。東京で行われる撮影は、テーマが呪術に関している為何が起こるのか分からない。呪詛師、呪いに襲われる危険性があるので、高専生が1日交代で護衛していた。昨日は真崙と隼人、その前は2年生、そしてその前は卒業生。2018年以降人手は足りてないが護衛に回せる人員は増えている。

 

「•••帰ったら何か食べます?」

 

「じゃあ、鰻丼」

 

「貴女思ってたより数倍面の皮が厚いですね?」

 

「だって昨日のことまだ怒ってるし•••」

 

「あーーーその節は大変申し訳ありません」

 

□■□■□■□

 

昨日

 

「あ〜マリアさん?そっち行きましたよ?」

 

しぃんさつで、でぇぇす!!

 

「いぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

最初の出会いから1ヶ月、平年より早めの梅雨に入ったこの時期は呪術師の繁忙期となる。山奥の町の廃医局、元は郵便局だったものを併設したりしたものとの事。32年前にこの医局の人間が診療ミスによってマスコミから叩かれ、この医局を運営していた医師の一家が一家心中をしたことによって気味悪がって誰も寄り付かず廃墟となった。

 

マリアは泣きながら口に出したくないほどに醜悪な大男から逃げ、黎人は宙を舞う蛇の群れを1匹1匹射殺していた。

 

べろぉ、だしぇえええ?

 

金とは、この地球上で多くの人々を魅了してきた存在だ。

 

古代シュメール人が、高度な加工の技術を用いて金の装飾品を作り出し、利用していたというのが金に関する最古の歴史であり、エジプトの黄金のマスクや西洋の錬金術をはじめ、黄金を用いた聖なる存在を夢見てきた。

 

日本にも、黄金を使ったものがある。中尊寺の金色堂、東大寺の大仏、金閣寺など。仏閣などに納められる仏像の多くには眩い黄金が散りばめられている。

 

その黄金を、呪力で生み出し操る。

 

"黄金百煌(こがねひゃっこう)"

 

それが彼の術式の名だ。

 

煌金乃鏑・金蓮花(こうごんのかぶら きんれんか)

 

黄金で作り出されるのはキンレンカの花を矢尻にした黄金の矢、8つの軌道を描きながら呪霊の核を狙い撃つ。射られた呪霊は、次第に黄金に包まれた呪霊は呻き声を上げながら身体中から黄金のキンレンカの花が咲き始める。

 

準一級の実力を持つ明星にかかればこのくらい朝飯前だ。

 

一方、虎杖マリアは・・・

 

ドカッ、バキッ、ゴンッ、ベキッ!!!

 

「おらぁぁぁあ!!!死ねっ!!クソ田舎にぶっ飛べェェェ!!!」

 

大男をタコ殴りにしていた。人というものは恐怖の度がすぎると開き直るらしい。虎杖悠仁から学んだマーシャルアーツ、釘崎野薔薇仕込みの護身術、自称虎杖悠仁のブラザーことどっかのパイナップルゴリラから呪力の巡らせ方を学んだ*1

 

ゴスッ、ベゴッ、ゴキッ、メキョッ!!!

 

「この頭バーコード!!脂ギットギト!!人面豚!!」

 

バギョ!!グチャ!!

 

「てか私こんな悪口言えるほど強い人間じゃないよぉぉ!!あぁ!!!恥ずい、恥ずい!恥ずいィィ!!」

 

「マリアさんもう祓えてますよ」

 

後半は自分の言動に対しての羞恥心からかフードを深く被り、ひしゃげた頭部を殴り続けていた。

 

「・・・・・」

 

「報告にあった呪霊は全部祓いました。補助監督さんに連絡しましょう・・・歩けます?」

 

「・・・・コクッ」

 

地面にうずくまった未確認生物ことヌノノカタマリは芋虫みたいに這いながら出口に向かいーー服の裾を膝で踏んづけ、顎から床にぶつけてひっくり返って奥の階段から転がり落ちた。

 

「ぎぃにゃぁぁぁぁぁあーーーー」

 

ばきゃっ!!!

 

「ーー大じょっ!!?」

 

 

 

 

 

話は変わるが、金田●耕助シリーズを知っているだろうか。●田一少年の事件簿の主人公のじっちゃんであり、この人もなかなかエグい殺人事件の解決に協力しているのだ。

その事件簿の中に、『犬神家の人々』という話がある。その中である男性が冬の湖の真ん中で下半身だけ突き出して死んでいるというかなりえげつない死に方だった。

 

どうやら階下は床が腐っていたらしい。下半身だけ突き出してジタバタしてるマリアがいた。明星は固まった。何故ならマリアのスカートの中のものが丸見えだったからだ。2秒間固まって、明星は赤面してそっぽを向いた。

 

(やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい!!!!)

 

家族の着替えは洗濯する時に見たことがある。家入硝子()のものと家入美夜()のもの。だが他人で、異性のものを見るのは初めてだった。

 

取り敢えず虎杖悠仁に殺される未来は見えた。

 

「・・・見ましたか、見てるんですか、はっきり言ってください死にたい」

 

「・・・すぐ助けます」

 

一つ目のネコが真ん中に書かれた可愛らしいものだった。

 

■□■□■□■□

 

ドラマの撮影は、順調に進んでいた。

 

「いや〜これで少年院の撮影終わりか〜」

 

特に頑張ったのは主役の虎杖だ。呪霊によって圧倒的な力を見せつけられ泣きながら恐怖に挫け心中を曝け出したかと思えば、覚悟を決め敵わない敵に立ち向かう百折不撓の魂を見せた。両面宿儺の役に至ってはまるで別人だった。伏黒恵役の姫川大輝に引けを取らない演技を見せた*2。何より、1人でアクションのシーンもセリフのシーンもこなす。とても素人には見えなかった。

 

黒川あかねは焦っていた。

 

(虎杖さん素でもあんなすごい演技できるなんて、私にはとてもできない•••才能かな、羨ましいなぁ)

 

昔憧れていた天才子役と同じ部類の人間。

 

しかしその天才子役も落ちぶれた。その落ちぶれてく姿を見るのが嫌だったから、自分はああいう風にはなりたくないから演技の勉強をし続けた。けど、自分がどれだけ演技の練習をしても、"天才"と呼ばれるほど演技のレベルを高くしても、越えられない壁というのは期せずしてやってくる。今回は、演技の練習もしていないような素人だった。

 

『えっと、虎杖さんって演技できるんですか?』

 

『?知らん。でも、俺を演じるのは俺でいい』

 

最初は大丈夫なのか不安だった。かなちゃんの出演した『今日は甘口で』の実写ドラマ見たいになってしまうんじゃないかと不安だった。

 

不安が消えたのは夜の学校、の景色を映した結界での撮影だった。

 

『ーーーケヒッ』

 

共演者もカメラマンも監督も、みんなが固まった。

 

『アハハハハハッッ!!!ギャハハハハハハハハハハッッッ!!!やはり光は生で感じるに限るなぁ!!!!』

 

恐怖と、絶望。史上最恐、天上天下唯我独尊、まごう事なき呪いの王。

 

『良い時代になったのだなぁ•••女も子供も蛆のように湧いている!!素晴らしい!!!!鏖殺だ!!!!』

 

それを見事に演じてみせた。

彼に勝ちたいとか、彼になりたいとかは思わない。

けど、その才能が羨ましいと思った。

 

 

この日、黒川あかねは自分の演じる釘崎野薔薇のいる楽屋に向かっていた。

顔合わせの時には来なかった。呪術師という仕事は忙しいらしい。けど、虎杖さんや姫川さんが演じる伏黒さんとお子さんたち、家入黎人さんと与さんは忙しい合間に来てくれたのに、釘崎さんだけ来れなかったのは残念だった。

 

虎杖さんのスマホに入っている写真で、当時の釘崎さんを見せてもらった。

茶髪に染めたボブカット、活気と自信に満ち溢れた目、男っ気のある強気な笑顔。

 

私とは真逆の、日向に咲く薔薇の花だと感じた。比べて私は日陰に咲く茜の花だ。

 

自信がない。

 

本当に、この先彼女を演じられるのだろうか?

 

ダメ出しされたらどうする?急に入った仕事だ。

今やってる恋愛リアリティーショーと並行できるのだろうか?

無理なのではないか?どうしよう••••

 

(弱気になっちゃダメ。大丈夫、絶対に吸収してみせる)

 

 

 

 

 

 

 

 

「正直、私貴女のこと嫌いなのよね」

 

「ーーえ」

 

拝見、お母さん。私自信無くしそう。

 

 

*1
尚、叔父の脹相は教え方が壊滅的だったので教わらなかった

*2
この際姫川に軽い怪我をさせて『ごめ〜ん•••』と言いながら治した





じゅじゅさんぽ

高羽「”あなたの彼氏、ひょっとして呪術師!?”どんな彼氏!?」

明星「牛乳拭いた雑巾を特級呪物って言う」

真崙「ゲームでクリティカルエフェクトが出たら黒閃って言う」

隼人「野球でホームランの時黒閃って言う」

ミサゴ「約束事したらはい縛りって言う」



マリア「えっと、電気消す時帳を下ろすねって言う、とか?」

みんな「「「「「」」」」」



東堂「なぜ笑わない!!マイニースの大喜利はブラザーや高田ちゃんとタメをはるぞ!!」

高羽、マリア「「誰だお前!?」
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