ようこそノゴロー(偽)と行く教室へ   作:ネオニューンゴ

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という事で今回は野球要素が出てきます、あらすじで書いた通りふわっとしてますけど。感想、評価、お気に入り登録、そして読んでくださっている皆様本当にありがとうございます。


第3話

 さて、部活説明会の後日のSHR、茶柱先生から早速入部届が配られたため俺は早速野球部と記してその日の昼休みに職員室へと向かっていた。

 

「失礼します、茶柱先生はいるっすか?」

 

「何だ荻野」

 

 俺が職員室の扉を開けて茶柱先生を呼び出すと茶柱はどうやらこれから昼飯だったようで弁当の包みを開けようとしていた。

 

「いやいやすいませんね、昼飯にありつこうって時に、入部届を持ってきたんで受け取ってくだせぇ」

 

 茶柱先生は俺から入部届を受け取ると僅かだがいつもキツく尖っている目を開いた。なんだよそんなに俺が野球部に入部すんのが可笑しいか?

 

「……マネージャー希望か?」

 

「なんすか?そんな訳ないでしょ、目標は甲子園、夢はプロ野球選手ですよ俺は」

 

「確かお前は中学一年の時に肩を壊していたと記憶しているが」

 

「何言ってんすか先生、人間の腕は2つあるでしょうよ」

 

 てかそんな昔の事まで学校側にバレてんのかよ、Sシステムといい本当にどうなってんだこの学校は。俺の目をじっ……と見た茶柱先生は俺が本気だということを察したようで短く「分かった受理しよう」と言って入部届を受け取った。

 

「いつから部活に参加していいんすかね」

 

「3年Aクラスに厳島という生徒がいる、彼が野球部の部長を務めているから直接聞いた方がいいだろう」

 

「厳島先輩っすね、あざした!失礼します」

 

 俺は先生に礼を言うと職員室を後にしてその足で3年生のクラスがある教室へと向かう。

 

 

 

「Aクラス、Aクラスっとあった、ここか」

 

 しかし上級生の教室に入るってのは職員室に入るよりも緊張するもんだな、まぁだからなんだって話だ、さっさも目的を果たしちまおう。

 

「失礼します、野球部部長厳島先輩はいるっすかね」

 

 突然の来訪者、それも下級生なのだから一気に教室内の視線は俺へと集まる。しばらく教室内は静まり返ったがやがて教室の窓側の席から黒髪短髪の見覚えのある生徒が立ち上がり声を上げた。

 

「厳島は俺だが、入部希望者か?」

 

「ッス!いつから部活の参加をしていいか確認しにきました!」

 

 厳島先輩から手招きされたため俺は先輩の元へと向かうと先輩の周りには野球部のメンバーと思われる先輩が三人いた。

 

「ほぉ……ちゃんと春休みの間も体を鍛えてたようだな、自己紹介をしてもらってもいいか?」

 

「ッス!荻野吾郎!左投げ右打ち!希望ポジションはピッチャーです!」

 

「そうか投手か、うちは層が薄いからな、期待しているぞ、俺は主将を務めている厳島銀(いつくしま ぎん)だ、ポジションはサードだ、打順は3番を打っている」

 

 厳島先輩に続くように三人の上級生も各々自己紹介を始める。

 

「ほんじゃ俺らも自己紹介させてもらおか、三年ショート、乙坂瑛太(おとさか えいた)や、関西出身だからなまりは勘弁してや、2番を打ってるで」

 

乙坂先輩は銀に近い白髪を後ろでまとめており特徴的なのは関西弁と蛇を思わせるような細い目だ。

 

「三年ライト、このチームの四番の世良大地だ、歓迎するぞ一年!といっても付き合いは短いがな!ハハハハ!」

 

 豪快な笑いかたが印象に残るパッと見高校生には見えないアゴヒゲが特徴的な世良先輩、成る程制服の上からでも分かる程鍛え抜かれた筋肉が主張をいている。パワーヒッターって訳だ。

 

「はいさい一年!自分は3年でセンターを守ってる具志堅太陽(ぐしけん たいよう)だ!1番を打ってるぞ!部内一番の俊足だ、よろしくな!」

 

 日に焼けたであろう浅黒い肌と陽気な雰囲気を漂わせるのは具志堅先輩というらしい、名字と喋り方的にまず沖縄出身とみて間違いないだろう。

 

「他にもいるんだが、まぁ部活の時間で紹介しよう、それと部活には早速今日から参加してくれ、やる気のある奴は大歓迎だ、グラウンドに来てくれれば細かい事はそこで説明しよう、無論練習着は持ってきてるな?」

 

「アザッス!勿論です、それでは放課後にグラウンドに向かわせて貰います!失礼します」

 

 まさか入部届を出したその日から練習に参加させて貰えるとは予想外だが、こちらとしては望むところってやつだ。俺は笑みを抑えきれず自分のクラスへと戻る、すれ違う生徒から変な目で見られたが、まぁ些細な事ってやつだ。午後の授業は眠りはしなかったものの頭の中は部活の事でいっぱいだった俺が集中しきれなかったってのは言わずもがなってやつだ。

 さて待ってました放課後、これからは部活の時間だ。終業のSHRが終わると俺は鞄をひっつかみ急いでグラウンドへと向かう。結構早く着たつもりだったが既に先輩達は到着しており練習用のユニフォームに着替えてアップを始めていた。俺の姿に気付いた厳島先輩がこちらの方に向かってきたため俺は挨拶をする。

 

「お疲れ様です!厳島先輩!」

 

「元気が良いな荻野、部活が待ちきれなかったと顔に書いてあるぞ」

 

「えっマジすか!?」

 

「冗談だ、今日はあと2人一年生が来るはずだから先にそこにある部室で着替えを済ませておいてくれ、空いてるロッカーを適当に使ってもらって構わない」

 

「うす!」

 

 早速俺は部室の中でアンダーシャツに着替え下はジャージに着替えているとどうやら他の2人も来たようで部室の扉が開かれる。中に入ってきたのは1人は平田に雰囲気の似たイケメンと時代錯誤かと思うようなリーゼント頭の厳つい野郎だった。着替え終えた俺は手を上げて二人に挨拶する。

 

「よっ、先にお邪魔してるぜ、俺は1-D荻野吾郎、よろしくな」

 

「ご丁寧にどうも、僕は1-Aの入江慎吾(いりえ しんご)、よろしくね荻野君」

 

「……1-C郷田猛(ごうだ たける)だ」

 

 またえらく対照的な二人が来たなーと思いつつ俺は先に行くぜと一言残しグラウンドへと向かいストレッチを行い体を解す。程なくして二人も練習着に着替えてグラウンドに姿を現すと厳島先輩から集合の合図が掛けられる。先輩達は既に並んでおり俺達は先頭にいる厳島先輩の横に並ぶよう指示される。

 

「よーし、初日に三人とは幸先が良いな、それでは一年!自己紹介をしてもらうぞ、クラスとポジション、目標とアピールポイントもだ!まずは入江から!」

 

「ハイ!1-A所属入江慎吾です!ポジションはセカンド!目標は甲子園出場!出塁率と守備力が売りです!」

 

「よし、次!荻野!」

 

「ッス!1-D所属、荻野吾郎!ポジションはピッチャー!目標は甲子園出場及び全国制覇!アピールポイントは球の速さです!」

 

 俺が全国制覇が目標と言った途端厳しい視線が先輩方から送られるがどうせ持つならでっけぇ目標をだ。負けじと声を張り上げてやったぜ。

 

「よぉし、最後!郷田!」

 

「……っす、1-C所属郷田猛、ポジションは外野、目標は四番を打つこと、アピールポイントは引っ張り方向に強い打球が打てる事と肩の強さっす!」

 

「よし!ご苦労!それではアップの後新入生歓迎レクリエーションを行う!一年生とレギュラーメンバーはアップに入れ!ベンチメンバーはグラウンドを慣らした後守備位置につけ!以上!始め!」

 

 厳島先輩の号令の元部員は各々指示通りに動き始める。俺達一年生はまずレギュラーメンバーに続いて軽くランニングを行った後キャッチボールを始めるのだが、一年生は三人のため1人余っちまう。

 

「荻野!お前は俺と組め!」

 

「部長とすか!?あざす!」

 

 まさかの部長直々にキャッチポールに付き合ってくれるらしい。厳島先輩と軽く10分ほどキャッチボールをした後再度レギュラー+一年生が集められ先ほどの新入生歓迎レクリエーションなるものについて説明を受ける。

 

「よし、一年にはこれから新入生歓迎レクリエーションを行ってもらう!なに、ちょっとした実践形式のゲームだ」

 

 厳島先輩の説明はこうだ。

 

 投手はレギュラーメンバーから一名指名し1打席勝負を行い結果によりポイントの付与及び支払いが発生する。

 

 三振の場合5万ポイント付与

 

 ゴロ、もしくはフライに打ち取ると3万ポイント付与

 

 ヒットの場合は5000ポイントの支払い

 

 ツーベースヒットの場合は1万ポイントの支払い

 

 スリーベースヒット及び四球の場合三万ポイントの支払い

 

 ホームラン及び死球の場合5万ポイントの支払い

 

 なお指名した打者によりポイントの付与の倍率が変わる。

 

 1 ×3

 

 2 ×5

 

 3 ×7+抑えた場合特別ボーナス

 

 4 ×10+抑えた場合特別ボーナス

 

 5 ×7

 

 6 ×6

 

 7~9 ×1

 

 打者の場合(対戦投手はエースの日和固定)

 

 ホームラン 50万ポイントの付与+特別ボーナス

 

 スリーベース 25万ポイントの付与+特別ボーナス

 

 ツーベースヒット 10万円ポイントの付与

 

 ヒット及び四球 5万ポイントの付与

 

 ゴロ及びフライ 1万ポイントの支払い

 

 三振      5万ポイントの支払い

 

 

 成る程、さすが実力主義を謳う学校ってだけの事はあるぜ、随分と手荒い歓迎レクリエーションを開いてくれるようだ、しかしこれじゃあレクリエーションってよりは試験じゃねぇか。どうやらこのレクリエーションとやらは俺達に部員としての価値があるか、そして度胸なんかも試してるんだろうな。順番はバッターから行うようで最初に挑戦するのは入江のようだ。公平を期すためかご丁寧に出番が後の郷田は目隠しまでされてる程の徹底ぶりだ。さてマウンドに上がるのはこのチームのエースナンバーを背負う高い身長が特徴的な先輩だ。入江の奴はバットを短く持ってクサイとこはカットしてヒットか四球を狙う作戦のようだ……が流石はエースといった所かストレートの球威だけで入江を圧倒し入江は何とかバットに当てるものの力の無い打球はサード方向へ転がりゴロに打ち取られてしまう。

 続く郷田に対してだが球を徹底的に低めに集められ苦戦を強いられているようだ。最後はアウトローにきっちりと決められ三振に倒れ、打席ではガックリと項垂れる郷田の姿があった。つかあの先輩ストレートだけで……しかも3球で二人を仕留めやがった。

 

「次は荻野の番だが……誰を指名する?」

 

 厳島先輩は試すように視線を投げ掛けてくるが俺の指名する相手は最初から決まっている。やるなら当然強い相手だ。

 

「世良先輩でお願いします!」

 

「ほぉ?世良……ご指名だぞ」

 

「ガハハハ!なんとなーくお前さんは俺を指名すると思ってたぜ、マウンドに上がりな荻野、その鼻っ柱をへし折ってやる」

 

 豪快に笑ってやがるが目はマジだ、おもしれぇ、この人とならバチバチの熱い勝負が出来そうだぜ。俺はマウンドに上がり手に軽くロージンを付けるとキッと世良先輩を睨み付ける。キャッチャーがミットを構え開始の合図を待つ。

 

「……始めろ!」

 

 待ってました!それじゃあ初公開、サウスポーとして生まれ変わった俺のピッチングを見せてやるぜ。ゆったりとしたワインドアップから一気に地を踏みしめ腕を振るう。

 

「うおおおお!」

 

 左手から放たれた白球は風を切り裂いてインハイに構えたキャッチャーのミットへと収まる。スピードガンを持っていた厳島は表示されたスピードに目を見開く。そこに記されていたのは145km、とてもじゃないが一年生の投げる球じゃあない。受けた捕手も驚きのあまり投手への返球が遅れていた。

 

「へへ、ワンストライク」

 

 俺が挑戦的に笑って見せるとそれまで笑顔だった世良先輩の顔から笑顔が消え変わりに打席からは凄まじいプレッシャーを感じる。どうやら侮りの感情は消え真剣に俺の球を打ちに来てくれるようだ。いいねぇ、やっぱ投手と打者の真剣勝負はそうじゃなきゃつまらねぇ。二球目、さっきより甘いコースに球が行きバットに捉えられるが打球は切れてファール、これでノーボール2ストライク、カウントは圧倒的に有利だがそれでも追い詰めてる気がしねぇ。その後二球投じたがいずれも外れ気付けば平行カウントになってしまった。そして5球目渾身のストレートを改心のアウトローに投げ込むがこれもバットに当てられファールボール。さてどうしたもんかね、さっきのエースの先輩みたいにストレート一本じゃ流石に抑えさせてはくれないらしい。仕方ねぇ、それじゃあ俺のウイニングショットで決めさせて貰いますよ!

 

「ッラァッ!」

 

 打席の世良は長年のバッターの経験でこの球はストレートじゃないと確信する。しかし球速は体感ではあるがストレートと大きな差はない、バットを出すが視界から白球は消える。受けた捕手すらもミットからボールを弾き唖然とするがその姿を見て三振を確信した俺は手にガッツポーズを作り吠える。

 

「しゃあああ!」

 

「ガハハハ!やられたぜ、フォーク……いや、スプリットか」

 

 世良先輩笑っちゃいるが俺の球筋頭で反芻しているようでその場で素振りを始める。スタメンの先輩達は俺が世良先輩を三振に切ってとったのがそんなに意外だったのか、バックネットの方はざわついていた。そんな中厳島先輩が拍手をしながら俺の方へと歩いてくる。

 

「素晴らしいな荻野、お前の実力を見させて貰った、ポイントの振り込みと特別ボーナスは今日の部活終了後部室で行う、よしこれで本日の新入生歓迎レクリエーションは終了とする、それではお前達に高度育成高等学校野球部のスタメンと我が野球部の理念を紹介しよう、レギュラー整列!自己紹介と一言ずつ言っていけ!」

 

 厳島先輩の号令でレギュラーメンバーである9人が整列する。その中には当然だが昼休みでは見なかった顔ぶれも多く存在する。

 

「へへ、それじゃあ1番の俺から、3-c具志堅太陽!ポジションはセンター!今年こそは甲子園にいくさ!」

 

「2番、3-B乙坂瑛太や……今年は活きの良さそうな一年が入ってきてくれて嬉しいで、ショートを守らして貰ってるわ」

 

「3番、部長を務める3-A厳島銀だ、ポジションはサード、今年こそは我が野球部の悲願を達成したい、そのために全力で野球に取り組む所存だ」

 

「ガハハハ!3-B所属4番世良大地だ!さっきは荻野にやられちまって形無しだがな!バットでチームに貢献するぜ!ライトを守ってるぜ!」

 

「5番セカンド、2-B所属桐山東司(きりやま とうじ)です、さて夏まで1年生が部に残ってるか見物ですねぇ……ククク」

 

「6番扇の要のキャッチャー、2-A所属獅童蓮(しどう れん)だ!荻野とは特に長い付き合いはになりそうだな、よろしく頼むぜ」

 

「7番ファースト3-D所属志島毅(しじま つよし)下位打線だからって舐めんじゃねえぞ」

 

「8番レフトト2-D所属望月圭(もちづき けい)だ、送球の正確さには自信がある、1年も緊張するだろうがよろしくな」

 

「9番ピッチャー、俺がこのチームのエースの荒谷透(あらや とおる)だ、この背番号に掛け俺がチームを甲子園へ連れていく」

 

 しかしこうしてみると貫禄があるっつーかクセがありそうっつーか、エースの荒谷先輩なんて俺の事滅茶苦茶睨んでるしよ、おー怖い怖い。

 

「以上が高度育成ナインだ!次に我が野球部の理念を紹介する!我が野球部は完全実力主義を謳っている、分かるか?学年等関係ない、使える選手は使うので1年もその事を肝に命じておけ!それと我が校は外部からの監督がいないためシンキングベースボール、選手が自分で考え動くといつ事をモットーにしている、困ったら誰かがサインを出してくれる等甘ったれた考えは捨てろ、よしそれでは早いが今日の部活はこれにて終了とする!自主練習は19時まで、20時には完全退校だからそのように!以上解散!……1年生は部室に集まってくれ」

 

 っと厳島先輩からお呼びが掛かったため俺達1年3人は部室へと向かう。支払いがある入江と郷田が先に部室の中へと入っていく。これ払えなかったらどうなんのかね……と下らない事を考えていると青い顔をした二人が部室から出てくる。手にはバットを持っているため残って練習をしていくようだ。感心感心。

 

「荻野、入ってこい」

 

「ウッス!失礼します」

 

「さて、それでは約束通り荻野には40万ポイントを支給しよう」

 

「言っちゃ何なんですけどホントにいいんすか?」

 

「構わん、言っただろう実力主義だと、実力のある者にはそれ相応の恩恵があるものだ、端末を出せ」

 

 厳島先輩の指示通り端末を操作すると確かに40万ポイント入金されている事を確認する。てかこの端末そんな機能まであったのかよ、他にも何か出来そうだな、後で一之瀬に聞いとこ。

 

「そして特別ボーナスだが……これだ」

 

 そう言って厳島先輩が鞄から取り出したのは数枚の紙束だった。俺はそれを見ると……げっ、テスト用紙じゃねぇか。一体これのどこがボーナスだってんだ。

 

「決まりで詳しくは話せんが必ず役に立つから持っておけ、それとその用紙の事は5月になるまで口外は禁止だ勿論誰かに見せるのもな、口外した時はそれ相応の処罰が下されると思っておけ」

 

「穏やかじゃないっすね」

 

「貴様もじきにこの学校というものが分かってくる、さて話は変わるがうちは今投手不足に悩まされていてな、2年の控え投手が春先に怪我をしていて投手の数が足りんのだ、必ずお前にも登板機会が巡ってくるだろうからそのつもりでいろ」

 

 って事はそこでしくじったらヤベェって事じゃないすか、と思いはしたが口には出さず静かに頷くと厳島先輩は満足そうにしていた。

 

「ところで俺も自主練で残りたいんすけどどうすればいいすか?」

 

「フム、確か荒谷は今日医者に行くと言っていたな、獅童が受けてくれる筈だ着いてこい」

 

 そう言われたため厳島先輩の後を着いていくとそこには立派なブルペンがあり二人程投手の先輩が投げ込みをしていた。マスクを被っていた獅童先輩はいち早くこちらに気付き投げていた投手に待ったをかけマスクを上げる。

 

「おっ来ましたね黄金ルーキー、待ってましたよ」

 

「すまん○○、荻野と変わって貰ってもいいか」

 

 そう言われた先輩は帽子を脱いで一礼しブルペンを後にする、ちょっと悪い事した気分になるな。

 

「さて黄金ルーキー、それじゃ受けてやるから投げな、球種はストレートとスプリット以外になんかあんのか?」

 

「やめて下さいよ、その黄金ルーキーってのは一応チェンジアップもいけます」

 

「おーけーおーけー、今度はこぼさねぇからよ、頼むぜ荻野」

 

「期待を裏切らせはしねぇよう、頑張らせてもらいますよっと」

 

 その後軽く10球程投げた後厳島先輩に球種とコースを指定されて投げ込みを行った。ただ淡々と投げるのはあんまり好きじゃねぇが仕方ねぇ。てか獅童先輩キャッチングがうめぇな、捕球の時に良い音鳴らしてくれるから投げやすい。

 

「よし、一旦止めていいぞ」

 

 厳島先輩の合図で投球をやめて汗を拭う。さてさて俺の投球はお眼鏡にかないましたかね。

 

「フム、どうだ獅童」

 

「いいんじゃないすか?コントロールは多少ばらつきますけど4分割くらいならまぁ投げられるみたいですし、何よりストレートが良いっすね、伸びもあるし威力もある、捕ってて手が少し痛い位でしたよ」

 

「お前にそこまで言わせるなら決まりだな、荻野!お前は4月は体を作るトレーニングをこなしつつ、投球の練習もしてもらうぞ、2週間後の練習試合では登板もしてもらうからそのつもりでいろ!」

 

「うぇ!?マジすか!」

 

「それだけのポテンシャルを秘めているという事だ、荒谷が投球練習をしている時以外はなるべく獅童に受けて貰え」

 

 いきなりの予告登板に俺は驚かされるが投手の枚数も足りないって言ってたし、何よりこんなに早く自分の力が実践で試せるとは思ってもみなかったぜ。思わずブルッと武者震いし挑戦的に笑うと「こりゃ大物が入ってきたな」と獅童先輩はミットで口元を隠しながら笑っていた。ここで結果を出せば俺は夏の戦力構想に食い込む事が出きる筈だ、やる気の漲った俺はこの後も獅童先輩に受けて貰い帰る頃には獅童先輩が音を上げる位投げ込むのだった。

 

 

 

 

 

  

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