始源の精霊の誕生から約20年後……すなわち物語が始まる10年前。世界に現れた何体もの精霊、勢力を拡大し続けるDEM社に対抗するべく、ある組織は極秘の計画を進めていた。
それは、人造の精霊を生み出す計画。
彼らは自分達で精霊を作り出し使役することで世界にその名を轟かせようとしていたのである。各地で現れる精霊の僅かなデータや情報をかき集め、研究は徐々に進んで行った。
そして3年の年月をかけ、彼らはついに1体の精霊を生み出すことに成功した。
いや、生み出してしまった。
誕生した人造精霊は、彼らの予想よりも遥かに凶暴だったのだ。
彼らはすぐに自らの愚かさを後悔した。自分達は取り返しのつかないことをしてしまった。本気で世界を殺しかねない化け物を生み出してしまった。
それが命を刈り取られる寸前に彼らが思ったことだった。
「………」
燃え盛る研究所にそれは佇んでいた。周りには自らを生み出した組織の構成員だったものが転がっており、身体を引き裂かれたり顔を砕かれたりとどれも無惨なものだった。
「………腹が減った」
それは一言呟くと周りを見渡し近くに転がっている死体に目を向ける。
「………」
そして無言でその死体に手を伸ばした。
数十分後、それは燃え盛る研究所から姿を消していた。燃え続ける研究所には死体が無くなっていた代わりに、多くの血溜まりだけが残っていた。
この日以降、世界各地で新たな精霊が確認されることになった。現れたのは7年の間にそう多くないが、いずれも甚大な被害と犠牲者を出し、最重要警戒対象に認定され識別名も付けられた。
識別名は、グラトニー。日本語で暴食を意味するものである。
精霊情報
《グラトニー》
総合危険度 SSS
空間震規模 E
霊装 SS
天使 不明
力 999(測定できるのはここまで)
耐久力 575
霊力 780
竣敏性 690
知力 350
7年前に突如現れた謎の精霊。全身真っ黒で顔も上半分を不気味な仮面で隠しているため判別できない。空間震の規模はこれまでの精霊の中で最も小さく、空間震自体起こらないこともある。しかしグラトニーの恐ろしさは奴が出す甚大な被害とその高過ぎる残虐性にあり、現れるたびに何千人もの人間が食い殺され、奴が去った後には血溜まりしか残らない。
事実奴を殲滅すべく駆けつけたASTや捕らえようとしたDEMの魔術師達を返り討ちにしそのほとんどを骨すら残さず食い尽くしている。
その人間を物理的に捕食する残虐性の高さからそれまで最悪の精霊と呼ばれていたナイトメアを越える最凶の精霊と呼ばれるようになった。