暴食の精霊 《グラトニー》   作:赫夜叉

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いよいよ明日が最終回……寂しい……

さて、第9話、どうぞ。


挿絵を投稿できるようになったので、グラトニーのイメージ画像追加しました!


9話(挿絵追加)

 

フラクシナスに回収された士道達は現在ラタトスクが天宮市内に所有している地下施設の一室にいた。

あの後フラクシナスで治療を受けた七罪は安静のため、艦内からこの地下施設に運ばれたのである。

 

「七罪……七罪……」

 

「シドー……」

 

「士道さん……」

 

士道は落ち着かない様子で部屋の中を動き回っており、精霊達もそんな士道を心配そうな表情で見ている。

 

「ふあぁ〜〜……」

 

そんな中1人だけ変わらない者がいた。先程士道達と共に回収されたグラトニーだ。

彼女は部屋に寝転がりながら大あくびをしている。

 

「五河、お前いつまでそうしてるつもりだ」

 

「じっとしてられないんだ、七罪がまだ目を覚まさないから……」

 

「あいつなら死なねぇよ。体を斬られたぐらいで死ぬ程精霊は脆くねぇんだよ」

 

「けど、それでも心配なんだよ……」

 

「……分からねぇなぁ。死なねぇってのに奴をそこまで気にすることが」

 

「ぐ、グラトニー……」

 

命に別状は無いのに七罪のことを気にかける士道にグラトニーはそう言い放つ。彼女からして見れば別に死ぬ訳でもないのに七罪の心配をすること自体が理解できないのだ。

 

「ねえ!そんな言い方ないんじゃないの!?」

 

「不快。あなたに心配というものはないんですか?」

 

そんなグラトニーのあんまりな態度に八舞姉妹の耶倶矢と夕弦は思わず口を出す。ちなみに精霊達は七罪の力が解けた為皆子供から元の姿に戻っている。

 

「心配?なんでそんな必要があるんだ?むしろ命に問題はないことに喜ぶところじゃないのか?」

 

グラトニーは八舞姉妹の言葉に特に態度を変えることもなくそう返す。

 

「それにオレにとっちゃあいつがどうなろうが知ったことじゃねぇ。生きるならそれで良い。死ぬならその程度だったってことだ」

 

意識が戻ってない者に対する発言ではないが、グラトニーは七罪に一切興味が無いのだ。

 

「そもそもお前ら、似た面をしてるが双子か?精霊で双子なんて珍しいなぁ」

 

そう言いながらグラトニーは寝転がる姿勢から起き上がると士道達と向き合う。

 

ピキ、パリンッ!

 

すると、元々亀裂の入っていた仮面から音が鳴り、真っ二つに割れた。

 

カランッ

 

そして割れた仮面が床に落ち、今まで謎だったグラトニーの素顔が顕になる。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

『…っ!?///』

 

士道だけでなく精霊達も揃って顔を赤くした。

褐色がかった肌、長いまつ毛、黄金色の瞳、そして男口調とは思えない中性的な容貌。同じ女である精霊達ですら思わず見惚れてしまう程、グラトニーの素顔は美しかったのだ。

 

「ん?お前ら何オレのことガン見してんだ?」

 

自分の方を見たまま固まっている士道達に疑問を持ったグラトニーがそう問いかける。

 

「あ……いや…///」

 

「困惑。その……///」

 

先程口を出してきた八舞姉妹も頬を赤くしており、無意識にグラトニーの顔から目を逸らす。

 

「その…グラトニー。お前ってそんな顔だったんだな……///」

 

「ああ?なんだよいきなり」

 

頬を赤く染めた士道の言葉にグラトニーは怪訝な表情を浮かべる。

 

「つうか、お前ら顔赤くなってるけど、どうした?」

 

「え、いや、まあ……」

 

グラトニーの素顔に見惚れてたとは言えず、士道は曖昧な返事をして誤魔化した。

 

「そ、それより、なんで仮面なんて着けてたんだ?なにか理由でもあったのか?」

 

「理由?特にねぇなぁ。偶然拾ってそれなりに気に入ったから付けてただけだ。別に顔を見られたから何かある訳でもねぇよ」

 

士道からの問いにグラトニーは割れた仮面を拾いながらそう返す。彼女からしたらただの気まぐれで着け続けていただけなのだが、それのおかげで7年間素顔を知られることが無かったのだ。

 

「まっ、割れちまったなら仕方ねぇ。こいつはもう必要ねぇな」

 

そう言うと手に持っていた2つに割れた仮面を投げ捨てた。割れて使い物にならなくなったからか、興味は完全に無くなったようだった。

 

「すまない、失礼するよ」

 

すると部屋の扉が開き、令音が中に入ってくる。

 

「みんな、七罪が目を覚ました」

 

「っ!本当ですか令音さん!?」

 

その報告に士道が即座に反応する。さっきまで七罪の容体を甚く気にしていたため、令音から告げられたそれは吉報だった。

 

「ああ。今琴里が様子を見ているから、行ってあげるといい」

 

「はい、ありがとうございます!」

 

そう言って士道は早足で部屋を出て行った。

 

「……ところで、そこにいるのはもしかして……」

 

士道が出て行ったのを見届けた令音は、顔を晒しているグラトニーに気づく。

 

「………おっふ」

 

そして自然と口から間抜けな声が漏れた。

 

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