それはともかく、11話どうぞ。
「ハッハッハ!人工衛星が落ちてくる?この街に?面白ぇじゃねぇか!おいおい!」
人が避難し無人となった夜の街で、でグラトニーは笑い声を上げていた。
「こんなもん逃げる方がバカだ!五河達はぜってぇそれを阻止しようとする筈、それを見ないなんてありえねぇぜ!」
自身も危ない状況なのにこんなことを言っている。それ程士道達が必ず阻止すると確信しているからなのか。
「ん?おお、あれがそうか…!」
グラトニーは一度笑うのを止め空を見上げる。空から雲を突き破り人工衛星が姿を現したからからだ。それを見て再び笑い声を上げるグラトニー。
「ハハハハハ!……あん?」
すると急に背後から殺気を感じ、グラトニーは咄嗟に回し蹴りを放つ。
「ちっ!」
相手はそれをすんでの所でかわすと距離を取った。
「……ハア〜、またお前か」
「その声、やはりグラトニーですね……!」
不意打ちを仕掛けて来たのはエレンだった。数日前と同じくその目は憎しみに満ちており、レーザーブレードを握る手はプルプル震えていた。
彼女も人工衛星が落ちてくることを知りウェストコットの元に向かっていたのだが、その途中グラトニーを見つけ憎悪に駆られ襲撃してきたのだ。
「なんだ、今はお前の相手する気分じゃねぇんだ」
「っ!!どこまで……どこまで私を侮辱すれば気が済むのですか!!このエレン・M・メイザースを!!」
「知らねぇよ、お前のプライドなんて」
声を荒げているエレンに対してグラトニーの彼女への態度は非常に雑なものだ。
「それよりオレに構ってる暇あんのかぁ?お前も知ってんだろ?もうすぐこの天宮市に人工衛星が落ちてくることを」
「ええ、知っています。ですが!このままでは終われないのですよ!私が同じ相手に2度も土を付けられることなど、あってはならないのです!」
今のエレンの中はグラトニーへの憎しみが支配しており、ウェストコットのことは二の次になっていた。
「お?やっぱり来たな」
そんなエレンをよそに、グラトニーは空を再び見上げる。空ではフラクシナスが落下してくる人工衛星を破壊しようとしていた。
「さーて、大人しく立ち去るならオレは今回何もしないぞ?」
「ふざけるな!あなただけは絶対に許さない!今度はそちらが土の味を味わってもらいます!」
「……どうやら、口で言っても聞かねえみたいだな。いいだろう、そんなにやられてぇなら望み通りにしてやるよ」
そう言ってグラトニーは臨戦体制に入ったかと思ったら、その姿が消えた。
「っ!?ガハァッ!?」
その直後、エレンは背後から蹴りを食らい建物の壁に叩きつけられていた。
「くっ、おのれえっ!!」
エレンはすぐに体制を立て直すと、レーザーブレードでグラトニーにいくつも斬撃を打ち込む。
「ふっ!ふんっ!はあっ!」
しかしグラトニーはどこからか取り出したレーザーブレードでそれを全て受け流す。これは6年前にエレンの右腕を奪った際手に入れたものだが、実はずっと所持していたのである。
「っ!」
自身の放った斬撃を全て流されエレンは一瞬怯むが、再び攻撃を仕掛けようとする。
「ふっ!」ガシッ!
「がっ!?」
しかし一瞬で距離を詰めてきたグラトニーに首を掴まれ、それは不発に終わった。
「ふんっ」
そしてそのまま地面に押し付けられ、首を絞めつけられる。
「う…ぐあ"……」
息のできない苦しさからエレンは武器も投げ捨て首を掴むグラトニーの手を引き離そうとする。
「が…があ"っ"……!」
しかし強い力で首を絞めるグラトニーの手はびくともせず、むしろさらに力を入れられ、呼吸ができないことで目は上を向き、口からは唾液が垂れ始める。
「はっ、ひでぇ面だなおい」
そう嘲笑いながらグラトニーは首を掴んだままエレンを持ち上げ宙に浮かせる。
「さて……これで終わりだ、エレン」
グラトニーはそう言うと、エレンを空高く放り投げた。
「ふっ!」
それと同時にグラトニーも飛び上がり、
「おりゃあっ!!」
エレンに強烈な踵落としを叩き込んだ。
「がばっ!?」
当然それをモロに受けたエレンは凄まじい勢いで地面に叩きつけられ、辺り一面を土埃が覆い隠した。
「よっと」
地面に着地したグラトニーはエレンのいるであろう土埃の中心部へと歩いて行く。
「ぁ……ぐぁ……」
エレンは生きていた。しかし全身ボロボロで、CRユニットも解除され生身の姿に戻ってしまっており、側にはデバイスが破損した状態で転がっていた。
「馬鹿な奴だ。あの時素直に立ち去ってりゃ、こんなことにもならなかったものを」
「ぐぅ…お、おの、れ……!」
もう戦えないにも関わらずグラトニーを睨みつけるエレン。
「ったくよぉ、お前と戦ってるせいで終わっちまったみてぇじゃねぇか」
空を見上げれば、人工衛星はフラクシナスによって破壊されており、その後2機目があったみたいだが、それも落ちる前に破壊されてしまったようだった。
「ちっ……興醒めだ、ふん!」
グラトニーは不機嫌そうに鼻を鳴らすと踵を返した。
「ま、て…!どこへ…行く…!まだ、終わって…いない…!」
「……お前気づいてねぇのかぁ?お前の装備は壊れちまって使い物にならねぇぞ?」
「っ!?あ…ああ…!?」
グラトニーに言われそれに気がついたようで、エレンは破損したデバイスを見て悲痛な表情になる。
「それがなけりゃお前には何の興味もねぇ。そこらの魔術師よりもな」
そう言うとグラトニーは立ち去っていった。
「ぐ……ゔあぁぁぁ……」
残されたエレンは、憎しみや悔しさ、そして2度ならずまたしても負けてしまった絶望で1人涙を流した。
個人的にエレンって原作でもイジられてる方が輝いてると思うんですよね……。