という訳で17話、どうぞ!
「手を組む?あたしとグラっちが?」
「ああ、お前はDEMをぶっ潰したい。オレはこの飢餓を満たしたい。それぞれ目的があるだろう?」
「まあね。それが?」
「お前の天使で奴らの居場所を洗い出し、そこをオレが襲撃して1人残らず食いつくす。オレは人間を食えてお前は復讐を一歩果たす。どうだ、悪くねぇ話じゃねぇか?」
「………」
グラトニーからの案に二亜は暫し無言で考え込む。
「それに、お前は知識でなら精霊の中で最も優れてるが、戦闘力に関しちゃ最弱と言っても良い」
「……っ」
自身でも分かっていたことを突かれ、苦い表情を浮かべる二亜。
復讐するとは言ったが自身には他の精霊のような戦闘能力は無いに等しい。流石にただの人間にはやられないだろうが、それが魔術師相手となると厳しいのが現実だ。
「それに対してオレは戦闘に特化した精霊だ。なにせそういう目的で造られたんだからな。知識に長けたお前に力を持ったオレが用心棒として加われば、目的も達成しやすくなる」
そんな中でこのグラトニーの協力は願ってもないことだった。そして考えた末に、二亜は答えを出した。
「……分かった、その提案乗るよ」
「よし、決まりだな。これでオレとお前は協力関係になった。ま、仲良くやろうじゃねぇか」
二亜の返答を聞いたグラトニーは笑みを浮かべながら、彼女の肩に手を置いた。
「ま、グラっちはあたしの恩人だからね。それにグラっちからは下心とかそういうのがないし」
二亜が手を組むことを決めたのはそこにもあった。二亜はその天使の特性上、その気になればなんでも調べられてしまう。かつて二亜はそれで親しかった人達のことを調べてしまい、その人達の汚い部分を知ってしまった。
それ以降彼女は人間不審となって二次元に逃げるようになり、以前より漫画を描くことに没頭した。しかしその後DEMに囚われ人間のドス黒い悪意を嫌というほど味わった。
そんな中自分を助けてくれたグラトニー。どうしても気になってしまい罪悪感に居た堪れつつも調べてしまった。グラトニーの正体が人造精霊だったという事実にも驚いたが、彼女からは下心などといったものがなかったのである。
「(それは隠す必要がないからなんだろうけど、あたしにはそっちの方がありがたかったんだよ)」
隠されるよりも隠そうとしない方が二亜にとっては気が楽であったし、何より二亜自身が無意識にグラトニーに縋り付いていた。
たった数日だが、自分に正直で裏表のないグラトニーに、二亜は心を開いていたのである。
「じゃあ早速景気付けに一発やろうじゃねぇか。どこを襲う?」
「まずはここかな。DEMの所有してるラボの一つで、優秀な魔術師を生み出すための非人道な人体改造が行われてる」
二亜は囁告篇帙で調べて知ったDEM所有の施設の一つに狙いを定める。
「そんじゃ行くとするか、お前はどうする?」
「あたしも行くよ。そいつらの死に様をこの目で見たいからね」
グラトニーの問いに二亜は同行の意を示す。
「よし、じゃあ道案内頼むぞ」
そう言うとグラトニーは二亜を片手で抱き寄せる。
「ちょ、グラっち!?///」
グラトニーの顔が近くなり思わず顔を赤くする二亜。しかしグラトニーはそんなことも気にせず、二亜を抱えたまま窓から飛び出した。
「ほら、どっちの方向だ」
「え、あ、こっち!」
グラトニーから方向を聞かれ二亜は戸惑いつつも道を指し示す。それを聞き建物を飛び移りながらグラトニーはラボのある場所へ向かった。
かくして、知識の精霊と暴食の精霊。それぞれの目的を持った2人のDEMへの攻撃が幕を開けた。
二亜は本格的にグラトニーと手を組みました。グラトニーは飢餓を満たすため、二亜は復讐のために。
ちなみにグラトニーは自身が美人という自覚はなく、そもそも興味もありません。