「いぎゃああああ!!!」
「いやああああ!食べないでぇぇ!!」
二亜の指示の元、森の中に隠されていたラボに着いたグラトニーは早速襲撃を仕掛けた。背中から捕食手を伸ばし中にいた者達を生きたまま食い殺していく。
「お、おのれぶばっ!?」
戦闘員と思われる魔術師達も一瞬で顔を砕かれ絶命し、そのまま手についた口に喰われた。
「ふふ……」
その光景に二亜は恐怖するどころか、グラトニーに生きたまま食われていく研究員達を見て薄ら笑いを浮かべている。
ゴロッ……
すると、二亜の足元にグラトニーが取りこぼした研究員の男の首が転がってきた。首だけになった男の顔は死ぬ直前に浮かべた恐怖に染まった表情のままになっている。
「………」
それを見た二亜の顔から表情が消え……
グシャッ!!
その生首を勢いよく踏み潰した。それによって噴き出した血が二亜の顔や霊装に飛び散る。
「………ふふ、あははは!」
そして首を踏みつけたまま高笑いを上げる二亜。霊装が修道服の様に見えるだけに、返り血がつき笑い声を上げる姿は非常に恐ろしかった。
「さてと、これで全部だな。ん?本条そいつは……」
そこに全てを終えたグラトニーがやってくる。すると彼女は二亜が踏んでいる男の首に気付く。
「あ、これ?さっき転がって来たんだよ。……不思議だよね。相手が復讐対象だとこんなに躊躇いが無くなるんだ」
「そうか。それより、まだ奥に部屋がある。行くぞ」
グラトニーはそう言うと、血が飛び散った部屋の奥にあった扉を開く。
「ほぉ……こいつは……」
「うわっ……」
そこには悍ましい光景が広がっていた。
「アア……アア……」
「う……あ……」
「………」ピクピク
部屋には何百もの台座があり、その一つ一つに人が寝かされていた。否、正確には手足には枷が付けられ、首にも台と密着させる形で枷が嵌められていた。
しかもどの者達もまともな状態ではなく、焦点の合わない目で苦しそうに呻く者、廃人となりかすれた声を出し続ける者、中には薬を打たれたのか肌が変色し痙攣している者もいた。
「……調べて知ってはいたけど、実際目にするのとじゃ全然違うね」
囁告篇帙で調べ全貌を知っていた二亜も、目の前に広がるDEMの闇に思わず顔を歪ませる。
「ほーん……」
一方のグラトニーは特に表情を変えることもなくその光景を見ている。
「……で、お前はどうしたいんだ?見りゃあ分かるが、もう手遅れだぞコイツら」
「……グラっちが好きにしていいよ。このまま生かし続けても生き地獄にしかならないから……」
「そうか、じゃあ遠慮なく」
二亜の言葉を聞いたグラトニーは捕食手を伸ばし、寝かされている人達を喰らい始める。
バリグチャガリゴリ!
捕食手の掌についた口が台座ごと人間を捕食していく。肉体精神共に崩壊している彼らは、自身が喰われていく時すら何も反応しなかった。
「………」
その様を二亜は目を離すことなく見届けた。
「ふぅ……これで本当に全部か」
やがて彼らを食べ終えたグラトニーは捕食手を消滅させると、元の黒いコート姿へと戻った。
「さて、後はこのラボを潰すだけだが、どうやら手間が省けそうだ」
「ん?それってどういう……」
グラトニーの呟きに二亜が理由を聞こうとしたその時……
ビー!ビー!ビー!
突如としてラボ全体に警報が響き渡った。
"ラボ内部が激しく損傷。これより自爆システムを起動いたします。繰り返します。ラボ内部がetc………"
「これって!?」
「どうやら何かあったら爆発するようになってるらしいな。おい、すぐに脱出するぞ!」
ドゴオッ!
グラトニーは壁を殴りつけ大きな穴を開けると、二亜を抱きかかえラボを飛び出す。
どがあああああん!!
その数十秒後、ラボは大爆発を起こし、周りの木も巻き込み大きな炎が舞い上がる。
「これで、お前は復讐の一歩を踏み出した。もう後戻りはできねぇ」
森の中を駆け抜けながら、グラトニーは抱えている二亜に向けてそう言う。
「後が怖くちゃ復讐なんか考えてないよ。それに今回やったことはあたし後悔なんてしてないから」
「はっはっは、それでこそオレが手を組んだ甲斐があるってもんだ」
二亜の返答と覚悟にグラトニーは笑みを浮かべると、走るスピードを上げ一気に燃え盛るラボから遠ざかっていった。
原作でもDEMは真那に人体改造を施し、魔術師になった代わりに寿命が10年程になってしまっていたので、恐らく裏では多くの犠牲が出ていると個人的に解釈しました。