暴食の精霊 《グラトニー》   作:赫夜叉

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第20話です。

見切りで書き始めたのにまだ続けられていて自分でも驚いてます。


20話

「……とうとう帰ってきたなぁ」

 

街で士道と出会ってから少しして、二亜はかつて自分が住んでいた高級アパートの部屋の前にいた。

 

「ただいまぁ〜……なんている訳ないんだけど」

 

二亜はDEMに捕まるまでこの部屋で一人暮らしだったため、こう言ったところで返事をしてくれる者などいないのだが………

 

 

 

 

 

 

「おう、帰ったか。邪魔してるぞ」

 

「え!?グラっちなんでいんの!?」

 

扉を開けるやいなや、部屋で食事しながらくつろいでいるグラトニーが目に入り二亜は驚愕する。

 

「なんでってお前、以前オレに自分の住所喋ってたからな。酒を飲んでベロベロに酔っ払ってな」

 

「え……そう、だったっけ?」

 

二亜は引き攣った表情でそう言う。

 

「ああ。まさかお前があんなに酒癖が悪いとはな。オレに執拗に絡んできやがってよぉ」

 

「あ、それは……すいません……」

 

眉を顰めながらそう言ったグラトニーに、二亜は申し訳なさそうに謝った。

 

「……それより、どうだったよ?5年ぶりに故郷に帰ってきた感想は」

 

「以前と変わらなかったし、見知った人も見かけたよ。話すことはしなかったけどね」

 

「そうか」

 

「あっ、それと。グラっちが話してた五河士道って子に会ったよ」

 

「五河にか?」

 

二亜が士道に会ったと聞きグラトニーが反応を示す。

 

「うん。けどなんか聞いてた話とちょっと違ったって言うか……」

 

「何?それはどういうことだ?」

 

「いや、その子目が合うなりあたしにナンパしてきたんだよ。しかも一丁前にキザなセリフ言ってきたし」

 

「ナンパ?あいつはんなことするような奴には見えなかったけどなぁ」

 

自身の知っている士道と異なる人物像にグラトニーは意外そうな表情を浮かべた。

 

「……まあ良い。それより、せっかく天宮市に帰ってきたんだ。お前が出かけてる時に考えたんだが、またこの街を中心に活動しようと思ってんだ」

 

しかしすぐに興味を失ったようで、話を切り上げ別の話題を持ち出した。

 

「この街は頻繁に何かしら起こるから退屈しねぇんだ。何より、ここにはお前の復讐対象の施設があるしな」

 

「……DEM、日本支社」

 

二亜はそれまでの表情が変わり、憎しみの籠った声でそう呟く。

 

「この天宮市には精霊が集中して出現しやすい。実際DEMの奴らもこれまで何度もこの街に現れている」

 

グラトニーの言う通り、天宮市は他と比べ精霊の出現率がかなり高い。加えてラタトスクが精霊を積極的に保護しているため、士道によって霊力を封印された精霊達は皆この天宮市で生活している。

 

「奴らにとってこの街にある日本支社はかなり重要な場所だ。ここを潰されたら流石に本社の奴らも対応しきれねぇだろうな」

 

天宮市にある日本支社はかつて反転した十香によって甚大な被害を受けたが、その後処分されることなく修復され、何事もなく営業をしている。

 

それぐらいにはこの日本支社はDEMにとって天宮市で活動するに当たって重要な施設であり、グラトニーの予測通りここを失うのはDEMにとって大きな痛手であった。

 

「もちろんやるよ。もう覚悟は決めてるから。DEMを潰せるならもうどうなろうが構わない」

 

「ははは!良いぜぇ。さぁて、今回もたっぷり喰わせてもらうとするかな。今度はちったあ満たされるといいんだが」

 

次の標的が決まりグラトニーはニヤリとした笑みを浮かべ舌なめずりした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして同じ頃、街から離れたとある施設では、精霊達による士道の攻略作戦が始まろうとしていた。

 




個人的に天宮市にあるDEMの日本支社は本社の魔術師達が天宮市で活動するのに利用していると思ったのでこの設定にしました。


ちなみにグラトニーは士道を気に入ってはいますが、それはあくまで他の人間とは違うからというもので、好意などは微塵もありません。
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