暴食の精霊 《グラトニー》   作:赫夜叉

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22話です。

今回からオリキャラが1人登場しますので、タグにオリキャラを追加しました。


22話

「ふぅ、流石に1企業分の人間を食うと少しは腹にたまるもんだな。まあ満たされるには足りねぇが」

 

最後の人間を食い終えたグラトニーは腹を摩りながらそう呟く。

 

「おい、本条。中にいた奴らは食い尽くした。これから引き上げる。外に出たら回収頼む」

 

グラトニーは耳に付けたヘッドマイクで戦艦に残っている二亜に連絡を取り、社内の人間を全滅させたことを伝える。

 

『了解。じゃあこっちも一度中断するから』

 

「あいよ」

 

すると少しして二亜から返答がきたので一言返事をして通信を切った。

 

「さて、じゃあとっとと引き上げ……ん?」

 

人間共を食い終えたことで引き上げようとするグラトニーだったが、あるものに気づき足を止める。

 

「なんだ、ありゃ?」

 

部屋の隅に一つだけ割れずに機能しているシリンダーがあったのだ。

 

「これは……」

 

気になったグラトニーがそれの前に行くと、シリンダーの中には琴里や四糸乃と同じくらいの容姿をした黄髪の少女が眠っていた。

 

「ん?こいつが資料か」

 

するとシリンダーの側に落ちていた彼女のものと思わしき1枚の資料を見つける。

 

 

 

"実験体No.100 報告書"

 

偶然精霊を目撃したことで口封じも兼ね確保。記憶を全て消去し人体改造を施す。及び彼女の関係者から親戚に至るまで全て根絶やし。

度重なる改造により彼女に雷の力を付けることに成功。近いうちに自我も消去する予定。

今後も研究を続けつつ生物兵器として近づけていくこととする。

 

 

 

「……成る程なぁ」

 

グシャ

 

資料を読み終えたグラトニーは手に持っていた資料を握りつぶす。

 

「他のを見る限り、こいつだけさっきの砲撃の揺れから生き残った感じか」

 

グラトニーは他の割れたシリンダーを見渡すと、再び少女が入ったシリンダーに目を移す。

 

「あのデカい揺れの中で……コイツは持ってるかもな。……よし」

 

ガシャン!

 

グラトニーはシリンダーを破壊すると中にいた少女を抱きかかえる。

 

「さて、行くか」

 

そう言うとグラトニーは以前もやったように壁を破壊していき、やがて外に続く穴を開けるとそこから飛び出す。

 

「本条!今だ!」

 

そう言った瞬間、グラトニーの身体が浮遊感に包まれ、その場から消えた。

 

 

ドドン!ドドン!ドドドドド!!

 

 

その直後、ボロボロになっていた日本支社に今度は無遠慮に砲撃が打ち込まれる。何十発も打ち込まれた支社は徐々に原型がなくなっていき、打たれ続けることおよそ5分、DEM日本支社は瓦礫の山となり跡形も無くなった。

 

そして目的を終えた空中戦艦は、姿を透明化させたままその場から去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んん〜!あースッキリした」

 

戦艦内の普段使っている一室に仕事を終えた二亜が入ってくる。憎き対象に思う存分撃ちまくったからか、いつになく爽やかな表情を浮かべている。

 

「お、回収サンキューな本条」

 

部屋には先程回収したグラトニーがおり、置いてあった酒を瓶から直接飲んでいた。

 

「……あれ?グラっち、その子どうしたの?」

 

すると二亜はグラトニーの側で眠っている少女に気づき声を掛ける。

 

「ああ、あそこから連れてきた。ま、とりあえずこいつ読んでみろ」

 

グラトニーはポケットからグシャグシャになった彼女についての資料を取り出すとそれを二亜に渡す。

 

「………」

 

それを受け取った二亜はしばらく無言でそれを読んでいたが、やがてそれを持つ手が震え始める。

 

「あいつら……!」

 

「他にも実験体はいたっぽいが、今回のオレ達の襲撃で唯一生き残ってたのがコイツだった訳だ。オレはコイツに何かを感じてな、こうして連れて帰ってきたんだ」

 

少女の頭をポンポンとしながらグラトニーはそう言う。ちなみに少女は当初は一糸纏わぬ姿だったのだが、現在はグラトニーによってぶかぶかではあるが服を着ている。

 

「ま、後のことはコイツが目を覚ましたら考えようじゃねぇか」

 

「すぅ…すぅ……」

 

2人が話をする中、話題の少女は静かに寝息を立てていた。

 

 

 

 

 

 

「……ごめんなさい、おにーちゃん…」

 

そして同じ頃、琴里は究極の選択を迫られていた。




グラトニーが連れ出した少女は今後グラトニー陣営として行動します。
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