グラトニーが精霊達の霊力を手にしてから1日が経ち、現在彼女は空中戦艦内でくつろいでいた。
「はは、やっぱこの街は退屈しねぇなぁ。次から次へと騒動が転がり込んで来やがるぜ」
ソファに寝転がりながらそう呟くグラトニー。傍には大量の食べ物が置かれており、ご機嫌な様子でそれらを食らっている。
「それにあっちも……」
グラトニーは視線をある方向へ向ける。
「あたしは二亜、本条二亜って言うんだよ」
「二亜……本条、二亜……」
そこでは目を覚ました少女に自身の名前を教えている二亜の姿があった。
「キミの名前は?何か覚えてることある?」
「名前……ボクに名前はありません。覚えてるのは……長い間眠っていたということだけです」
「……そう。ちょっと一緒に来て」
そう言うと二亜は少女を連れてグラトニーの元にやって来る。そしてグラトニーに顔を近づけると小声で話し始める。
「やっぱりダメだね。自我は残ってるけど、記憶の方は完全に消えちゃってるみたい。もう誰かと同じ容姿した他人と変わらないよ」
「そうか」
二亜からそう伝えられて、グラトニーは再び少女に目を向ける。
「………」
少女は何も言葉を発さず、ただ黙って2人を見ている。見た目はただの女の子にも見えるが、あの資料を見て2人は知っている。この少女が精霊に匹敵する力を持った改造人間ということを。
「……ま、名前がねぇのは不便だなぁ。とりあえず呼び名決めるか」
「確かに、このままじゃ流石にねぇ」
話し合った末、まずは名前が無くなった少女の新しい名を決めることに。
「うーん、どうしようか?」
「………」
二亜が考え込む中、グラトニーは何かあるようで、少女の方をジッと見つめている。
「……?」
少女もそれに気づいたようで、無言でグラトニーを見つめ返す。
「……
「え?グラっち何て?」
「百なんかどうだ、こいつの名前」
グラトニーは少女の名前に百と挙げる。
「なんで百なの?しかも割とすぐ出したし、もしかしてもう考えてた感じ?」
「こいつについて書かれた資料にNo.100ってあったろ?その100からとって百だ。女につけるにゃ悪くねぇ名前だろ」
「いや、まあそうだけど……そんなんでいいの?」
グラトニーの説明に二亜は微妙な表情を浮かべ、それを聞いていたであろう少女の方に目を見やると……
「百…‥百…!」
少女は無表情だが目を輝かせ、グラトニーの言ったその名前を呟いていた。
「あ〜……なんか気にいっちゃってる感じだね」
「よし、決まりだな。お前の名前は
「うんうん…………は?」
少女の名前が決まり安心したように頷く二亜だったが、あることに気づき首をぐいっとグラトニーの方は向ける。
「ちょ、ちょっと待ってグラっち。本条?え、なんであたしと同じ苗字なの?」
「いや、名前はすぐ思いついたんだが苗字は思いつかなくてなぁ。そんでめんどくせぇからお前と同じでいいと思ったんだ」
「いや、いやいやいや!そこはちゃんと決めなきゃダメっしょ!?」
「あー?別に良いじゃねぇか。お前も義理とはいえ妹ができんだから悪くねぇだろ?」
「そ、そういうことじゃなくて「姉様…?」……え」
グラトニーに抗議する二亜だったが、ふいに聞こえていた声に動きを止めそれがした方に目を向ける。
「二亜姉様……ボクと姉妹?」
そこでは百が首を傾げながら二亜のことを姉と呼ぶ姿があった。
「か、か、可愛い……!」
その姿と姉呼びの響きに二亜はハートを撃ち抜かれてしまった様で、二亜はさっきまでとは一変し、百を抱きしめる。
「そうだよー、あたしが二亜姉さんだよぉ。これからあたし達は姉妹だからねぇ、百ちゃん!」
「………!」
二亜は百を抱きしめながらそう言い、百も無言ながらその表情は嬉しげだった。
こうして実験体だった少女は百という名を貰い、本条百として二亜の妹になったのだった。
というわけで少女の名前は百になりました。
なお百の容姿イメージはシャルロット・デュノアを少し幼くしたものと思ってください。