暴食の精霊 《グラトニー》   作:赫夜叉

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第2話です。今の所続いております。


2話

普通の高校生だった五河士道の日常は精霊に出会ったことにより大きく変わった。

 

始まりは高校2年になった四月十日。最初に出会った精霊の少女、十香を救ったことで、彼の新たな日常が幕を開けた。

 

精霊は世界を殺す厄災と言われる存在だ。

 

対処法は2つ、一つは武力による殲滅、しかしこれは未だ成し遂げられてはいない。

 

そしてもう一つは精霊とデートをしてデレさせる、すなわち『恋』をさせるというものだ。そして士道が精霊とキスをすることで、その精霊の力を封印することができる。

 

士道は精霊達を救うため、ラタストクのサポートを受けながら何人も精霊達とデートをしてきた。

 

十香から始まり四糸乃、狂三、妹の琴里、耶倶矢に夕弦、美九。狂三だけは未だ霊力を封印できていないが、多くの精霊と出会い救ってきた。

 

しかし、士道は思い知ることとなる。狂三以上の理不尽を

 

 

 

 

美九の霊力を封印してから1週間後、士道はフラクシナスに呼び出されていた。

 

「来たわね士道。分かってるとは思うけど、精霊よ」

 

「ああ」

 

「まだ空間震は起きてないから、これから精霊が現れるわ」

 

琴里がそう言った直後だった。モニターに映し出されていた画面の上空が歪み、大きな光を放った。一瞬だけモニターの画面が真っ白になり、光が収まると、街はほとんど荒れておらず、小さなクレーターができている程度だ。

 

そのクレーターの中心に、黒いズボンに黒いコートを身に纏い、顔の上半分を黒い仮面で隠した全身黒ずくめの女が立っていた。

 

「これは……司令……!」

 

「ええ、ついに来たわね……!」

 

その姿を確認するや、琴里やクルー達の表情が明らかに変わった。

 

「なあ琴里、あの精霊知ってるのか?」

 

その様子を見て士道は琴里にそう問いかける。

 

「……士道、今回の精霊はこれまでの子達とは別物と思った方が良いわ。現れたのは《グラトニー》よ」

 

「グラトニー……?それが識別名なのか?」

 

「その通りだシン。そして彼女こそ、現在確認されている精霊の中で、最も危険度が高く認識されている」

 

「えっ!?最もって……狂三じゃないんですか!?」

 

令音から告げられた情報に士道は衝撃を受ける。

 

「グラトニーに比べたら狂三なんてまだマシなくらいよ。なにせ彼女は……」

 

「AST来ます!」

 

苦々しい表情で琴里が説明しようとした時、グラトニーの元にASTが到着した様子。そして彼女に向けてミサイルを放とうとしたその時だった。

 

グラトニーは一瞬でその場から消えると、ASTの目の前に現れる。そして近くにいた1人に右手を振り上げ、その隊員に向けて振り下ろした。

 

グシャ!!

 

その手はテリトリーを貫通し、AST隊員の頭は嫌な音を立てながら潰れた。頭部を失い絶命した隊員は地面に向けて落ちていった。

 

「え……」

 

その光景をモニターで見て士道は思わずそんな声を漏らした。そしてその間にもグラトニーの猛攻は止まらず、ASTの隊員達は次々と殺されていく。身体を真っ二つに引き裂かれる者、顔面を殴られトマトのように破裂する者、心臓を一突きされ絶命する者など、いずれも無惨な死に様であった。

 

「な、なんだよ……これ……」

 

そして僅か数分で50人以上はいたAST隊員は数人を残すのみとなってしまい、残った数人が逃げていったことで場は終結した。グラトニーの周りには彼女が殺したASTの死体が転がっている。

 

「なんだよ……何なんだよこれ……」

 

「動揺してる所悪いけど、これから起きることを見れば、もっと気分が悪くなるわよ」

 

「え……?」

 

そう言われ士道はモニターの方に視線を戻す。グラトニーは周りに転がる死体を見渡すと、それを一ヶ所に集め始めた。

 

そして適当に死体の一つを手に取ると、その腕にかぶりついた。

 

「……は?」

 

その行動を士道は最初理解できなかった。しかし死体の肉や骨を喰らうグラトニーを見て次第に頭が追いついてきたのか、徐々に顔が青ざめていく。

 

「こ、琴、里……あれって……」

 

士道が震える声で琴里に聞く。

 

「見た通りよ、グラトニーが最も危険と言われる最大の理由……それは人間を食べるからよ」

 

「た、食べるって……じゃあこんなことが何度もあったってことか……!?」

 

「そうよ。これまで何千人もの人間が彼女に食い殺されてるわ。それこそ骨すら残さずにね」

 

「そんな……」

 

琴里から聞かされたのはあまりにも重すぎる真実だった。確かにモニターの映像を見ても彼女がこれまでの精霊とは一線を画すのは明らかだ。だが………

 

「でも……あいつも精霊なら、やらなきゃいけないんだよな」

 

「ええ、そうよ。改めて言っておくけど、グラトニーはこれまでの子達とは別格の難易度よ。士道、あなたにできる?」

 

琴里は挑発めいた発言を入り混ぜ士道に問いかける。

 

「ああ、俺がやるしかないんだ。やってやるさ!」

 

「ふっ、それでこそ士道よ。さあ、私達の戦争(デート)を始めましょう」

 

かくして、士道達によるグラトニー攻略が始まった。

 




ラタトスクのデータではグラトニーはそのスタイルなどから女だと分かっていますが、顔半分を隠しているので素顔は不明となっています。
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