そんな訳で、どうぞ。
場所を変えることにした二亜と士道は、人のいない公園にやってきていた。
「さ、ここなら思うように話せるよ。ま、何が言いたいか何となく分かるけどね」
「あ、ああ……なあ二亜」
「いきなり呼び捨てですかい。まあ良いけどさぁ」
「う……に、二亜は精霊なんだよな?どうしてグラトニーと一緒に行動してるんだ?」
二亜からの嫌味に一瞬怯む士道だが、琴里から聞かされ気になっていたことを問いかける。
「……あたしはグラっちに救われたんだよ。グラっちはあたしにとって大恩人だよ」
「救われた?それってどういう……」
「あたしは5年間DEMにずっと囚われてた」
「え……」
二亜の口から出た衝撃のカミングアウトに士道だけでなく、小型カメラ越しに見ていた琴里達も固まった。
「5年前、この街でDEMに捕まったあたしは毎日拷問や実験を受けた。自由なんてなくて、痛く苦しいのに死ぬことも許されない、この世の地獄を味わった」
そう話す二亜は忌々しい記憶を思い出したかのように眉を顰め、それを紛らわすように煙草を取り出し火を付けた。
「そんな時に助けてくれたのがグラっちだったんだ。誰にも声が届かないあの地獄に来てそこにいる奴らをぶち殺してくれた」
「それからはグラっちと一緒にいたんだけど、助けられてからもあの地獄のような記憶は頭に染み付いて消えなかった。そしたらあたしに何が芽生えたと思う?」
「それは……」
「怒りに憎悪、なんなら殺意も抱いた。だから決めたんだよ、DEMに復讐するって」
「ふ、復讐……!?」
「もうあんなクソ会社あること自体あたしは許せない、だから全部ぶち壊しちゃうことにしたんだよ。会社だけでなくそこにいる奴らもね」
そう語る二亜は目を細め、不敵な笑みを浮かべていた。
「グラっちとはそれ関連で手を組んでるんだよ。あたしが情報を調べ集めて、グラっちが乗り込んで殺して喰らう。その後は施設ごと破壊する。今ニュースでやってるDEM日本支部壊滅、アレをやったのもあたしとグラっちだよ」
「なっ!?」
その事実に士道は衝撃を受ける。ここ最近どのニュースでも同じ内容が流れていたのだ。それが、DEM日本支社壊滅。一夜にして瓦礫の山と化し、生存者どころか死体すら見つからなかったというものだ。
「グラっちは自身の飢えを満たす、あたしはDEMをぶっ潰せる。お互いWin-Winの関係で一緒に行動してる訳なのよ」
「なんだよ……それ……」
それを聞いていた士道は言葉が見つからない。二亜の言動からしてこの復讐は何度も行われているのが見てとれた。
「だとしても……復讐なんて……」
かつての折紙のこともあって、復讐すること自体に納得がいかず、思わずそう漏らす士道だったが……
「……今、なんつった?」
突如二亜の声が低くなった。それと同時に場の空気が明らかに変わるのを感じた。
「復讐……なんてだって?それ、もう一回言ってみなよ」
二亜は眼鏡越しに鋭い眼光を士道に向けながらそう言う。
「え…あ……」
「言ってみなって言ってるんだよ!!」
言葉に詰まる士道に、二亜は目をカッと見開き怒鳴り声を上げた。