暴食の精霊 《グラトニー》   作:赫夜叉

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第30話です。見切り発車だったのに未だ書き続けられてるのが自分ながら驚きです。


30話

「言ってみなって言ってるんだよ!!」

 

「……!」

 

怒りに染まった表情で怒号を上げる二亜に士道はおもわず一歩引く。ただ分かったのは、自分は二亜の地雷を踏んでしまったということだ。

 

「あたしが受けた苦しみを知らない癖に、一体どの口がほざいてんの!?復讐なんか?それはキミがそうなるようなことが無かったから言えるだけだよ!!」

 

ブチギレた二亜はもう止まらない。吸っていた煙草を吐き捨てると、座っていたベンチから立ち上がり士道の胸ぐらを掴み上げる。

 

「復讐なんて虚しいとか思ってるのか知らないし知る気もないけど、綺麗事抜かしてんじゃないよ。いい?あたしはDEMの奴らが何千人、何万人喰われて死のうが構わないの」

 

「……心は、痛まないのか…?」

 

二亜の発言を聞き、士道はそう問いかける。かつて同じ精霊である四糸乃は殲滅対象としてASTに攻撃されつつも、ASTのことを気にかけていた。二亜にもそれがあるかもしれない、その望みを賭けて士道はそう問うたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「心が痛む訳ないじゃん。むしろ奴らが断末魔を上げながら惨めに死んでいく姿を見て胸がすく思いだよ」

 

しかし、二亜の答えは非情だった。

 

「っ……」

 

「何?その顔?あたし知ってるんだよ。キミが封印した精霊の中にかつて復讐に燃えていた子がいるってこと。まさかあたしもそれと同じようにいくとでも思ったの?もしそうなら舐められたもんだねぇ」

 

そう言う二亜は嫌悪感剥き出しの表情で容赦なく士道を責め立てる。

 

「あたしの霊力も封印するつもりなんだろうけど、あたしはラタトスクを全く信用してないから。キミやその仲間は違うかもしれないけど、ラタトスクの上層部は一部を除いて考えてることがDEMと大して変わらないからねぇ。そこんとこはどうなの?」

 

「そ、それは……」

 

「そこでハッキリ言えない時点でもう信用できない。少し興味あったから話をしてあげたけど、こんな不愉快極まりない思いするとはね」

 

そう言うと二亜は手を離し士道から距離を取る。

 

「そう言うわけで、あたしはラタトスクの世話にはなんないし、老害共に利用される気もないから」

 

そう吐き捨てると、二亜は荷物を持ちその場合から立ち去ろうとする。

 

「あ、待ってくれ……ぐぅっ!?」

 

思わず引き止めようとした士道だったが、突如背後から何者かに地面に押し倒された。しかも起き上がれないよう頭を押さえ付けられている。

 

「な、何だ…?一体誰が…!?」

 

士道が目線だけ上に向けると………

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

「っ!君は……!」

 

士道を押さえているのは先程二亜と一緒にいたマフラーを巻いた黄髪の少女だった。見た感じ四糸乃や七罪と身長は同じくらいで、無機質な瞳でこちらを見つめている。

 

「いいぞ百、そのまま押さえとけよ」

 

すると今度は二亜のいる方から別の声が聞こえた。しかも士道にはこの声は聞き覚えがあった。目線を百と呼ばれた少女からそちらに向ける。

 

「よう。また会ったな、五河」

 

「っ!グラトニー……!」

 

そこには暴走した自分を止めたという最凶の精霊、グラトニーが士道を見下ろす形で立っていた。




グラトニーは先に帰ってきた百から話を聞き、百を連れて二亜を迎えにやって来ました。
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