というわけで31話です。
「数週間ぶりだなぁ、五河。……いや、あの時のお前は暴走してたから、まともに会うのは久しぶりか?」
「ぐ、グラトニー……ぐっ」
「動かないで……」
見下ろしながらそう言ってくるグラトニーに顔を上げようとする士道だったが、さらに力を込めた百により再び地面に押し付けられる。
「本条、先に帰ってな。ここはオレと百が引き継ぐ、お前は少し頭冷やしとけ」
「……分かった、じゃあ任せるよグラっち、百ちゃん。これ以上そのガキ見てたら、あたし本気で爆発しちゃいそうだから……!」
士道を一瞥して二亜は青筋を浮かべながらそう言うと、今度こそこの場から立ち去った。
「さてと……百から話を聞いて来てみれば、本条をキレさせたみてぇだな。あそこまでキレてる姿はオレも初めて見たぜ」
「グラトニー……お前が、二亜を復讐に走らせたのか……?」
「オレが?違うな、オレはただアイツに協力を持ちかけたに過ぎない。DEMへの復讐は本条自身が先に決めたことだ」
士道の問いにグラトニーは嘲笑の笑みを浮かべながらそう返す。
「本条はDEMを潰す、オレは奴らを食い尽くす。だがこれはお前らラタトスクにとっても悪いことじゃないんじゃねぇか?」
「何だと……?」
「だってそうだろ?DEMがあるから精霊は狙われ常に危険に晒される。奴らが消えれば命を狙われる可能性はグンと低くなる。お前もそう思ったことあるんじゃねぇか?」
「それ……は……」
「その様子じゃあるみてぇだな。やっぱりお前も偽善だな。精霊を救うと言ってるが、敵対するDEMには消えちまってもそこまで気には留めない。違うか?」
「………」
グラトニーの言葉に士道は何も言えない。実際これまで何度も精霊を救う障害となってきたDEM。琴里が最近DEMからの介入が無いと言っていたが、多分グラトニー達によるものが原因だろう。
「これはオレからの警告だ。本条の復讐に踏み込むな、口も出すな。アイツがDEMにやってることは正当な復讐だ。本条が悪いんじゃねぇ。アイツを復讐心を植え付けたDEMが悪いんだ」
「少し教えてやるが、本条の天使は全てを知ることができるものだ。アイツがその気になればお前らにも牙を向けるだろうな」
「っ!?どう言うことだ……?」
「例えば………
精霊の存在及びその正体を全世界に発信するとかな」
『っ!?』
その発言に士道だけでなくフラクシナスで聞いていた琴里達も顔を真っ青にした。そんなことをされてしまえば全て終わりだ。
これまで起こっていた空間震を引き起こしていたのが十香達だと世界に知られてしまえば、彼女達の居場所は本当に無くなってしまうからだ。
「やめろ……やめてくれ……」
「そうなりたくなきゃ、本条を刺激しねぇことだな。まあアイツにとっても不利益になるから余程のことがなきゃやらねぇだろうが、軽々しく首を突っ込まないことだ」
グラトニーは真っ青になっている士道に顔を近づけそう忠告する。
「もう良いぞ、百。オレらも引き上げるぞ」
「分かった……」
百はグラトニーの言葉を聞き士道を押さえていた手を放した。
「そういう訳だ、本条の攻略は諦めろ。じゃあな」
ビュンッ!
グラトニーは百を抱えると大きくジャンプしその場から一瞬で消えた。
「…………」
士道は判明した様々なことに頭がいっぱいになり、しばらくその場から動かなかった。
グラトニーの言う通り二亜の天使の前では全ての情報が筒抜けになるので、二亜がその気になればラタトスクや精霊達も全て破滅に追い込むことが可能なのです。