暴食の精霊 《グラトニー》   作:赫夜叉

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33話、今回は二亜サイドのお話しです。


33話

「………」

 

士道達が決意を固めている頃、二亜は自室のベッドで横になっていた。士道の対話で自身の復讐を軽く見るような言い方をされ、一瞬で頭に血が上った彼女はグラトニーによって先に帰され頭を冷やしていたのだ。

 

「ハァ……」

 

しばらく1人でいたことで大分頭が冷えた二亜だったが、その気分はやはり不愉快なままだった。

 

「あのガキ……対話なんかするんじゃなかったよ」

 

忌々しげにそう呟くとおもむろにポケットからある物を取り出す。それはビー玉サイズの赤く輝く玉だった。これを二亜が手に入れたのは1週間前……

 

 

 

 

 

 

 

1週間前………

 

「おい本条」

 

「ん〜?何グラっち?」

 

もう一つの拠点である空中戦艦内で、マンションから持ってきた漫画を読んでいた二亜はグラトニーに声を掛けられる。

 

「お前に渡しておくもんがある」

 

「あたしに?何を?」

 

「DEM殲滅も大分進んできた。そろそろお前にも自衛手段が必要だろうと思ってな。とりあえず、こいつを受けとれ」

 

そう言うと、グラトニーは二亜に何かを投げ渡す。二亜がキャッチしそれを見ると、ビー玉程の赤い宝玉だった。

 

「何コレ?」

 

「教えてやる。そいつはーーーーーーーだ」

 

「………え、嘘……」

 

宝玉の正体をグラトニーが明かすと、二亜は衝撃的な表情を浮かべた。

 

「そいつはお前に新たな力を与えてくれる代物だ。もし覚悟が決まったらそれを身体に取り込め」

 

 

 

 

 

 

 

現在……

 

「どうするかなぁ、コレ」

 

受け取ってから1週間、未だ使用することなく持ち続けていたが、グラトニーの言っていたことも分からない訳ではない。

 

これまでは自身が知恵、グラトニーが武力を担う形でDEMへの襲撃を重ねてきた。しかし戦闘力はからっきしな自分に対して、グラトニーは知識の方に関してもかなり優れていた。

 

二亜自身も薄々気づいてはいるのだ。知識のみでは目的を成すのは困難ということに。やはり自分にも必要なのだ、敵と戦える力が。

 

 

 

 

 

 

「お邪魔いたしますわ」

 

「……っ!誰!!」

 

突如部屋に響いた見知らぬ声に、二亜はベットから身体を起こす。警戒に満ちた表情で辺りを見回していると、壁の一部から徐々に黒い影が広がる。

 

そしてそこから声の主である赤黒く彩られたドレスを身に纏った少女、時崎狂三が姿を現した。

 

「お初にお目にかかりますわ。わたくしは時崎狂三と申します」

 

「ッ!……成る程、キミがそうか。確かずっと探し回ってたんだっけ?二番目の精霊であるあたしを」

 

名前を聞いて二亜は一瞬目を見開いたが、すぐに冷静な顔つきになると狂三を知っているかのような言葉を発した。

 

「あら、わたくしを知っていましたの?」

 

「こうして姿を見たのは初めてだよ。けどキミのこと自体はグラっちから聞かされて知ってたんだよね。グラっちが現れるまで最悪の精霊って呼ばれてたんだってね」

 

どうやら二亜はグラトニーから狂三について聞かされていたらしい。こうして狂三が現れてもあまり動揺していないようだった。

 

「それで、わざわざあたしに何の用?ま、大方あたしの天使が目当てでしょ?」

 

「あら、でしたら話しは早いですわ。ええ、わたくしがあなたを探していたのは全知の天使、《囁告篇帙》で調べて欲しいことがあるからですの」

 

「調べて欲しいことねぇ……」

 

狂三の要求に二亜は顎に手を当てながら少し考え込む。

 

「……ちなみに断るって言ったら?」

 

「これはわたくしの目的に必要なことでして、できることなら要求を呑んで頂きたいのですわ」

 

「ふーん……答えを出す前に少し質問するよ。このタイミングであたしの前に現れたのは狙ってた?」

 

鋭い眼つきで狂三を見ながらそう尋ねる二亜に、狂三は少し黙るがやがて口を開いた。

 

「本当は少し前からあなたのことは見つけていました。ですが彼女、グラトニーさんと共にいる以上下手な接触は危険と思ったんですの」

 

「それは以前キミがグラっちと戦って敗れ、霊力を奪われたからでしよ?」

 

「……そこまで知っているんですのね。それもグラトニーさんから聞いたんですの?」

 

「いんや、これは以前あたしが調べて知ったこと。事実キミはそれ以降グラっちとの戦闘は出来る限り避けるようになってる。分身をいくら食べられても言葉に出すだけに留めて交戦はしない所とかね」

 

「痛いところを突きますわね。わたくしけっこう気にしてますのに」

 

狂三は二亜の口から出る自身の苦い過去の話に、苦笑いを浮かべるしかなかった。

 

「……さて、この話はこのくらいにして。さっきの頼みについての答えだけど、いいよ。調べてあげる」

 

「っ!感謝いたしますわ」

 

「ただし、調べてあげるのはこれ一度きり。以降は頼まれても断らせてもらうから」

 

「十分ですわ。……では、教えてくださいまし。今から30年前、この世界に現れたという『始原の精霊』。それが顕現した原因と理由、その出現座標と時間、そしてその能力と……殺し方を」

 

「………へぇ」

 

狂三が発した要求に、二亜はまるでそれを予想していたかのような表情を浮かべた。




ついに二亜と狂三が対面しました。狂三はグラトニーの生まれを知りませんが、他の精霊とは強さ能力共に桁が違うと感じています。


そして二亜が持っていた宝玉の正体は後々……1つ言えるのは、二亜はこのままでは終わりません。
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