「はあ……やっぱり足りねえなぁ」
今回も殺した人間共を食ったが、やはりいつものごとく腹は満たされない。
7年もこの飢餓と付き合ってるからもう今更空腹なんて苦でもないが、やはり満たされる感覚が分からないのは苛立つものがある。
「………おい、さっきからそこに隠れてる奴。いるのは分かってんぞ。今すぐ出てこねぇとコイツらと同じようにするぞ」
オレが人間共を食い終わる少し前から感じてた気配。そして明らかににオレに向けられた視線。他に誰もいない中で気づかれないと思っていたのか?
「っ……」
オレの言葉を聞いたのか、建物の陰から紺色の髪をした男が1人出てきた。見た感じ身長はオレより小せえな。後ろにいたのに気づかれたからか、明らかな冷や汗をかいてやがる。
「お前は一体何だ?オレに対して敵意がある感じじゃねぇな」
「あ、ああ。俺は五河士道だ。君は……」
「オレはグラトニーだ」
目の前の五河士道と名乗った男はオレの名前を聞いてきたからそのまま名乗ったが、五河は何か思うところがあるような顔になった。
「それは君が呼ばれてる名前じゃ……?」
んん?なんだそんなことか。
「オレには生まれてから名前なんかねぇ。だから奴らが呼んでいたグラトニーを自分の名前にしてんだ。別に自分の名前がどんなだろうが興味もねぇからな」
「そ、そうなのか……」
……なぁんか納得いってねぇって面だな。まあ、そんなことはどうでもいい。
「そんで、オレに何の用だ?」
「それは……精霊である君と、話がしたくて」
「話ぃ?オレとか?」
奴が言ってきたことに思わずそう返してしまう。確かに敵意は感じなかったが、こんなことを言ってくるとは思わなかった。しかもなんで精霊のことを知ってんだこいつ……。
「……いいだろう。その話に付き合ってやるよ」
「ほ、本当「ただし!こっちからもいくつか質問させてもらうぞ」…わ、分かった」
「よし、じゃあ一つ目。お前はなんで精霊のことを知っている。ただの人間は精霊の存在すら知らねえのに、お前は知っている。それはなんでだ?」
オレがそう尋ねると、五河は少し耳元を気にするかと思ったら、口を開き話し始めた。
「実は……俺はラタトスクっていう組織に所属してる。そこでは精霊の保護を目的に活動してるんだ」
「オレが殺した奴らとは違うってことか?」
「ああ、そう思ってくれて良い」
「ほーん……」
保護……ねぇ。
「……じゃあ二つ目だ。お前はさっき精霊を保護するっつったが、どうやるんだ?組織まであるくらいだ、なんかアテがあるんだろ?」
そう聞けば五河はまた耳元を気にし、少ししてまた口を開く。
「……俺には精霊の霊力を封印できる力があるんだ。封印すれば霊力は観測されないし、普通の人間として生活ができる」
「………」
「ど、どうかな……?」
オレが黙ってるのを見て五河は緊張した様子で聞いてくる。答えは既に出ていた。
「お前の話は分かった……」
「っ!じゃあ……!」
「断る、オレにはそんなもん必要ねぇ」
ちなみにグラトニーのイメージCVは緒方恵美さんです。