暴食の精霊 《グラトニー》   作:赫夜叉

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46話です。今回はグラトニーVS六喰の続きです。


46話

「ハハハハハ!!いいぞいいぞ、最高だなお前!」

 

「小癪なぁ!」

 

グラトニーの短剣と六喰の戟が幾度も交差する。その度に攻撃に込められた互いの霊力がぶつかり合い、周りで小さな爆発が起きる。

 

さらに潜在能力を解放した六喰は戟へと変えた封解主を用いて超小型の『扉』を開き、グラトニーの死角から攻撃を繰り出す。

 

遊び半分とは言え始原の精霊を除けば間違いなく最強と言えるグラトニーにたった一人で戦り合う六喰。一時的に開いた潜在能力と家族の仇であるグラトニーへの怒りが六喰の力を底上げしていた。

 

「そらそら!」

 

だがグラトニーも死角からの攻撃を両肩の砲台や背中の捕食手によって的確に対処する。

 

攻撃の余波で周りの建造物が次々と崩壊していく。それが2人の戦いの激しさを物語っていた。

 

「いいなぁ星宮、さっきとは段違いの強さだ。流石切り札なだけあるな」

 

「気安くむくの名を呼ぶでない!」

 

グラトニーの舐めたような態度が六喰の怒りをさらに加速させる。攻撃がより激しくなるが、それもグラトニーは複数展開した天使で全て捌いていく。

 

「貴様は……何故むくから奪う。むくの家族が一体何をした!?貴様に殺されるようなことをしたというのか!?」

 

「……いんや、何も。ただ腹が減っててその場にいたから殺しただけ。それ以外の理由なんてねぇ」

 

「ッーーーー!!ぬあああああ!!殺す!貴様は塵も残さずこの世から消し去ってくれるわ!!」

 

「やれるもんなら、やってみなぁっ!!」

 

そして再び互いの天使が激突する。空中で繰り広げられる攻防はまだまだ続くと思われたが、ここで六喰が仕掛ける。

 

「喰らうのじゃッ!!」

 

空を蹴るように加速し、グラトニーの背後に回ると封解主を用いた強力な刺突攻撃を放つ。

 

「ッ!ふんっ!」

 

しかしグラトニーも凄まじい反射神経を発揮し背後からの攻撃を短剣で受け止める。

 

「封解主---【開】!」

 

しかし次の瞬間、六喰はグラトニーに受け止められた封解主を捻り、グラトニーの周囲の空間に『扉』を開いた。

 

「ん……?」

 

流石のグラトニーもこれには予想外といった表情を浮かべる。

 

ドドドドド!!

 

そして全ての『扉』から大量の光弾が発射された。これは先程六喰が【閉】で開いた孔に飲み込んだ光弾だ。それをこのタイミングで開きグラトニーへと返したのである。

 

「うおっ……!」

 

グラトニーもこれには対処しきれず光弾の何発かがヒットしダメージを受ける。

 

「【開】!」

 

しかしこれで終わらず、今度はグラトニーの頭上に巨大な『扉』が開き、そこから瓦礫や鉄クズなどを一つにした巨大な塊が落下してきた。恐らく戦いで崩壊した建物などを利用したのだろう。

 

「ッ!ぐおおお……!!」

 

光弾により対応が遅れたグラトニーは受け止めきれず、塊と共に地上に激突した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「痛てて……流石に少し舐めてたなぁ」

 

地面に落下した瓦礫を吹き飛ばし、中からグラトニーが姿を現す。身体に少し傷がついているがまだまだピンピンしている。

 

「【(ヘレス)】!」

 

その直後、背後に『扉』が開きそこから鍵の形をした戟が突き出された。

 

「ぬっ!」

 

グラトニーはそれをかわすが、一瞬対応が遅れ戟の先端が右肩に装着された砲台に突き刺さった。

 

すると封解主の刺さった砲台が一瞬にして消滅してしまったのである。切り刻まれたり『扉』に飲み込まれた訳でもなく、霧散するようにその場から消えてしまったのだ。

 

「【解】!」

 

そして再び『扉』が開き戟がグラトニーに向け突き出される。

 

「………」

 

今度はかわさずに短剣で受け止めてみると、砲台の時と同じように短剣が消えてしまった。

 

「……成る程ぉ。こりゃどえらい技だな」

 

それを見てグラトニーはこの攻撃を食らうのは危険ということを瞬時に理解し、即座にその場から近くの瓦礫の山へと飛び移る。

 

「……しぶといやつじゃ」

 

攻撃を仕掛けた六喰が忌々しげな表情を浮かべ地上に降り立つ。

 

「中々やるじゃねぇか。さっきの技、ただ消滅させたって訳じゃねぇな?お前の天使の性質からして、霊力の結合自体を解除し分解したって所か」

 

「……ふん。察しの良い奴め。じゃがこれで貴様も理解した筈じゃ。コレを食らえば貴様自体を分解し存在を消し去ることができる」

 

不愉快そうに六喰がそう言う。これこそ六喰の真の必殺技であり、封解主で触れたものを分子レベルで分解し霧散させることができるのだ。それこそ無機物だけでなく人ですらも。

 

 

 

 

「………くくく、くはははは……」

 

しかし六喰のそれを聞いてもグラトニーは大して動じず、むしろ顔を両手で覆いくつくつと笑い声を上げる。

 

「……?」

 

その様子に六喰は怪訝に思いながらも、封解主を構えいつでも攻撃ができるようにする。

 

「くはは……確かにそいつを食らえばオレもタダじゃ済まねぇ。流石は奥の手なだけある。………けどよぉ、それでオレを倒せる、殺せると思ってるんだとしたら………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレのこと甘く見てんじゃねぇか?なぁ、おい」

 

トーンの低くなった声と共に手で覆っていた顔が露わになる。その表情からは笑みが消え、冷酷な目を六喰に向けていた。

 

「遊び感覚は終わりだ。オレもいくらかマジでやらせてもらうかねぇ」

 

グラトニーは瓦礫の山から飛び降り六喰と真正面で対峙する。

 

「見せてやるよ、オレの本来の姿(・・・・)をな」

 

そう言いグラトニーは左肩に残った砲台と背中の捕食手を消滅させた。

 

「……【封邪解放(ふうじゃかいほう)】」

 

その瞬間、グラトニーの身体から黒いオーラが噴き出し周囲に広がっていく。

 

「むぅ…!?」

 

六喰は咄嗟に距離を取ったため巻き込まれずに済んだが、噴き出したオーラはグラトニーを完全に覆い隠してしまった。

 

六喰は警戒を崩さず様子を見ていたが………

 

ビュンッ!!ドゴッ!

 

「があっ!?」

 

突如オーラの中から何かが飛び出し、一瞬で六喰と距離を詰めた。六喰は対応することができず、そのまま殴り飛ばされてしまう。

 

「うぐ……なんじゃ、今のは……」

 

地面に転がった六喰は殴られた箇所を押さえながらその方向に目を向ける。

 

「今のはオレが受けた攻撃のお返しだ」

 

そこにはグラトニーが立っていた。しかしその姿は異質なもので、目は眼球そのものが真っ黒に染まり唯一瞳のみが金色に光っている。そして額からは禍々しい2本の角が生えており、両腕に装着されたガントレットには無数の口がつき鋭い歯を露出している。

 

それは精霊というより、精霊の姿をした何かと言った方が良かった。

 

「この姿になるのも久しぶりだ。オレが生まれた時以来か?思えば随分長い間姿を偽り続けてきたんだなぁ……」

 

額に生えた角を触りながらグラトニーが言う。

 

「さて……」

 

と、ここで再び目線を六喰へ向ける。

 

「この姿を見せたのはお前が初めてだ。お前はオレを十分楽しませてくれた。だから教えてやる、そんな能力持っててもどうにもならねぇことがあることをな」

 

「さあ行くぞ。叩き潰してやる」

 

グラトニーは冷酷な目と共にそう言った。




とうとうグラトニーが切り札の一つを見せました。この姿こそがグラトニーの真の姿であり、今までは力を抑え込んでいたから普通の人と同じ姿だったのです。

ちなみにグラトニーの切り札はもう一つありますが、そちらはある理由からグラトニー本人もあまり使いたがりません。


封邪解放

制御していた力を全開にする。力を抑えていた時とは比べものにならない強さになっており、咆哮を上げるだけで周囲の建物を半壊させる程。
腕についた無数の口はそれぞれが物を喰らうことが可能で、彼女の異常なまでの飢餓はこの口全てが食に飢えているからである。



グラトニー・真の姿

総合危険度 SSS
空間震規模 E
   霊装 SSS
   天使 SS

力  error (測定不能)
耐久力 690
霊力  880
敏捷性 750
知力  350

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