暴食の精霊 《グラトニー》   作:赫夜叉

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47話。グラトニーの反撃が始まります……


47話

「さあ行くぞ。叩き潰してやる」

 

「ッ……!?」ゾクッ

 

六喰は一瞬背筋が凍った。なんだアレは、さっきまでとは雰囲気が全然違う。おふざけのようなものがまるで感じられず、こちらを見る目は獲物を狩る時の獣のようだ。

 

「……ッ、ラーダ「遅い」ぐふっ!?」

 

一瞬抱いた恐怖を振り切り六喰は攻撃を仕掛けようとしたが、その直後には腹部にグラトニーの拳がめり込んでいた。

 

「うぷっ……う、ううぅ……」

 

思わず攻撃を止め腹部を押さえながら後ずさり、胃から込み上げてくるものを必死になって堪える。

 

「ハハ……」

 

しかしグラトニーはそんな六喰に歩み寄ると、乱暴に蹴り飛ばす。

 

「あがっ!?」

 

頬を蹴られた六喰は地面を転がり顔に土が付く。口の中で血の味もするので、蹴られた時に口の中が切れたのだろう。

 

「そういや勘違いしてるから教えてやる。オレの目的は五河達じゃねぇ、お前だ」

 

「何、じゃと……!」

 

「オレの目的はお前のその天使を手に入れることだ。そのためにもお前の中にある霊結晶、そいつを貰う」

 

「最初は軽く倒していただくつもりだったが、気が変わった。死なない程度まで叩き潰した後に霊結晶を奪うことにした。まあ全部貰う訳じゃねぇ。せいぜい半分貰う程度だ」

 

「ふざけるな……!主様のことを抜きにしても貴様は姉さま達を殺した仇じゃ!それを聞いてむくが動じるとでも思ったか!」

 

口に付いた血を拭いながら六喰が吠える。

 

「……まあ良い。どの道抵抗しようがしまいがぶっ倒すつもりなんだ。抵抗するならしてみろ。無駄だろうがな」

 

「ッ!【閉】!」

 

その言葉に頭が沸騰した六喰は封解主で『扉』を開くとそこへ飛び込んだ。

 

グラトニーがどこからくるのか辺りを見回す中、彼女の後頭部に『扉』が開いた。

 

「【解】!」

 

「ふんっ」

 

そしてそこから六喰が戟を突き出したが、グラトニーをそれをかわすと身を翻し『扉』の中へと手を突っ込む。するとすぐさま何かを掴んだ感覚がきた。

 

『なぁ!?』

 

『扉』の向こう側から六喰の驚きの声が聞こえる。そのまま突っ込んだ手を引っ張ると、『扉』から腕を掴まれた六喰がグラトニーの前へ引きずり出された。

 

「ば、馬鹿な……こんなうぐっ……!」

 

予想外なやり方に動揺する六喰だったが、そのせいでグラトニーに首を掴まれ持ち上げられてしまう。その際手に持っていた封解主も地面に落としてしまった。

 

「お前のその技は確かに強力だが、逆に言えば戟が対象に触れなきゃ発動しねぇ」

 

首を絞められ苦しむ六喰にグラトニーはそう言う。

 

「そして技を使うのに必要な封解主も今手放しちまった。まあオレに首絞められてそれどころじゃねぇだろうが」

 

グラトニーの言う様に、六喰は技を使うために封解主は必須となる。なのでそれが手から離れてしまうと技が出せなくなってしまう欠点があったのだ。

 

「理解できるか?オレとお前じゃ強さの次元が違う。さっきまではまぁよくやりあえてたが、オレがいくらか本気になったらコレだ。お前が奥の手を切ったところで、オレを殺すなんざ無理なんだよ」

 

「うぐ……ぐぁ…!」

 

六喰はなんとか振り解こうとするが、グラトニーの掴む手はびくともせず、逆にグラトニーの腕に付いた口に手の肉を食いちぎられ苦悶の声を漏らす。

 

「ふっ……そらぁっ!!」

 

「ぬああっ!」

 

苦しむ六喰を見て小さく笑みを浮かべたグラトニーは、思いっきり六喰を投げ飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二亜VS士道と精霊達の戦いはまだ続いていた。士道達は一刻も早く六喰の所へ行きたいが、二亜は誰1人行かせぬよう徹底的に妨害していた。

 

「ハア…ハア…粘るねぇ。やっは弱体化してても精霊だね」

 

息を上げながら二亜は霊力を封印された状態で自分に食い下がる十香達に感心した表情を浮かべる。

 

「けど、そろそろキツいんじゃない?あたしと違ってキミ達にはこの炎の熱に対する耐性がない。事実ウサギの子は相当辛そうだよ?」

 

そう、二亜は炎の影響を受けないのであるのは交戦した疲労のみだが、十香達はそれに加え周囲で燃え盛る蒼炎による高温で二亜よりも体力の消耗が早いのだ。

 

特に氷の精霊である四糸乃は相性の悪さもあって他の精霊達より消耗が激しく、天使を顕現しているのが精一杯な様子だ。

 

「ぬぬぬ……まさか我ら8人がかりでも押し切れぬとは……」

 

「うぅ〜ん……二亜さん強すぎますよぉ」

 

「あたしは仮にも27、8年を精霊として生きてきたんだよ。最近精霊になったりそもそも人間の頃の記憶のないキミらと比べて天使の特徴や扱い方も(囁告篇帙で調べて)よく知ってんの」

 

さっき手に入れたばかりとは思えない程に灼爛殲鬼の力を使いこなしているように、世界で二番目の精霊の名は伊達ではないようだ。

 

 

ドゴオォォォォン!!

 

 

と、突如建物の壁がぶち抜かれ何かが飛ばされてきた。その何かは地面に衝突し大きな土埃を上げる。

 

「ッ!?な、何だ……!?」

 

突然のことに士道達は驚き、飛ばされてきたものを確認するため視線をそちらへ向ける。

 

「………」

 

二亜も無言でそちらを見つめる。そして次第に土埃が晴れその正体が露わになっていく。

 

「う……ぐぁ……」

 

「ッ!!六喰ぉ!!」

 

土埃が晴れた中にいたのは、ボロボロになり倒れ伏す六喰の姿だった。




グラトニーを造った組織は精霊に対抗できるよう、グラトニーに様々な力を注ぎ込みました。
しかしそれが仇となり制御ができず全滅し、結果グラトニーが野放しになり何万人もの犠牲者が出ることとなりました。

人を喰らっていることから分かるように、グラトニーは倫理観がかなり欠如しています。そのため仮に士道に霊力を封印されたとしても殺しや人喰いを辞めることは基本ありません。
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