「え……」
グラトニーからの返答に士道は固まった。
「どうした、聞こえなかったか?ならもう一度言ってやる。オレは保護なんざ必要ねぇ」
しかしグラトニーから続けて放たれた言葉にはっと我に帰る。
「ど、どうして…?このままじゃASTやDEMに狙われ続けることに……」
「あんな雑魚共じゃオレには勝てねえ。全て殺して食ってやるだけだ」
「うっ……」
士道はここに来る前にフラクシナスでグラトニーがASTを殺害する所を見ていたため一瞬言葉に詰まる。しかし……
「でも、その度戦闘になって殺すことになるだろ!話し合うことはできないのか!?」
『士道!落ち着きさい!』
「っ……ふぅ」
思わず声を荒げてしまう士道だが、耳につけたインカムからの琴里の声を聞き一呼吸し落ち着きを取り戻す。
「……なあ、グラトニー。お前は抵抗がないのか?ひ、人を殺すことに……」
「ねぇな。オレは殺すだけじゃなく食ってるんだぞ?抵抗があると思ってたのか?」
士道からの問いにグラトニーは手に付いていた血を舌で舐め取りながらそう返す。
「どうして……人を食べるんだ…?殺したならそれ以上する必要ないだろ……」
「ふん、なんで人を食べるのか…か。むしろオレにとってはそっちが目当てなんだよ。殺すのは食う時抵抗されねぇようにするためだ」
「え?」
「オレは腹が減ってるから人間を食ってるんだ。オレが生まれて初めて食ったのも人間だった」
「なっ……!?」
その言葉に士道は衝撃を受ける。インカムの向こう側が騒がしくなっていることから琴里達も今の発言には動揺しているのだろう。
「それにオレの目的を果たすまでは、人間を殺すのも食うのも辞めるつもりはねぇ」
「目的…?よ、よかったら話してくれないか?もしかしたら力になれるかもしれない!」
目的があると聞き咄嗟にそう言った士道。それによっては彼女の気が変わるかもしれないと思ったからだ。
「オレの目的は……満たされる感覚を知ることだ」
「は?満たされる?」
グラトニーの口から出た目的に思わずそう口に出してしまう士道。しかし彼女が次に放った言葉によってその意味を知ることになる。
「オレは生まれてから常に強烈な飢餓を抱えている。
まあそれは別に我慢出来ねぇ訳でもねえし、なんなら当分何も食わなくても平気なくらいだが……オレは生まれてから一度も満腹というもんを感じたことがねぇんだ」
「生きるもの全てが感じるだろう満たされる感覚、オレにはそれが分からねえ。だから一度だけ、一瞬でも構わねぇ。オレは満腹というもんをこの身で味わいたい、感じたいんだよ……!!」
「………」
それは士道を絶句させるには十分過ぎる内容だった。つまりグラトニーは腹を満たすという目的のために人間を襲っていたということになる。何か大きな野望や悲願がある訳でもない。ただ満腹という未知の感覚を知りたい、それだけの理由だったのだ。
「だが……どれだけ食っても餓えは一向に満たされねえ。現に今までけっこうな数の人間を食ったが、オレは満たされてない」
「だからオレはこの餓えが埋まるその時まで喰らい続ける。人間だけじゃねぇ、あらゆるものをな……」
グラトニーの言葉に士道は何か言おうとしても、言葉が出てこない。
「さて、話は終わりだ。本当ならここで殺して食っても良いんだが、オレはお前をそれなりに気に入った。だから見逃してやるよ。けど忘れんなよ?オレはお前らの組織に保護されるつもりはねぇってことを……じゃあな」
そう言ってグラトニーはその場から姿を消した。1人残された士道はグラトニーがいた所を見ながら何も言わずその場に立ち尽くしていた。
グラトニープロフィール
身長 182cm
誕生日 不明(そもそも知らない)
スリーサイズ B91/W60/H82
好きなもの 食べ物全般
嫌いなもの 飢餓(ただし我慢できる)
胸は全精霊中で2番目に大きいです!(1番は美九の94)