暴食の精霊 《グラトニー》   作:赫夜叉

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少し遅くなりましたがまだ書けますよ!

ではどうぞ!


8話

「ああ、そういやそうだったな。お前とは前にも一度だけ会ったことあったよなぁ。確かその時にオレがお前の右腕を食ったんだった」

 

「ええ!この鉄の右腕を見るたびに、何度はらわたが煮えくり返ったか!あれは私が魔術師になって最大の屈辱です!!」

 

エレンを激情のままに叫ぶ。思い出すだけでも憎しみや怒りが込み上げてくるのに、その張本人が目の前に再び現れたことで、エレンは一瞬で怒髪天を衝いた。

 

「お前の屈辱なんざどうでも良いが、こいよ。元々暇つぶしになると思ってここまで来たんだ。少しは楽しませてくれよ」

 

グラトニーは手を自分の方にたぐり寄せ挑発の言葉を投げかける。

 

「っ!!どこまでも……貴女達はウィッチを捕獲しなさい!他の者は標的をグラトニーに変更です!」

 

どこまでも自分に対し舐めきった態度のグラトニーに青筋がいくつも浮かぶエレンは一部の部下に負傷させた七罪の捕獲を任せ、残りの者達にグラトニーとの交戦を命じた。

 

七罪の捕獲を指示している辺り、まだ冷静さは残っているようだが、それでも今の彼女の中で最優先になっているのはグラトニーへの雪辱を果たすことだった。

 

「総員、かかれ!!」

 

エレンの号令を合図に、エレン達対グラトニーの戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

「ゔ……ゔう……」

 

「逃さないわよ、ウィッチ」

 

「っ!あ、あ"あ……」

 

エレン達がグラトニーと交戦している隙に逃げようとしていた七罪だったが、エレンの指示で捕獲に来た魔術師達に行く手を阻まれてしまう。

 

「逃げられないよう、もうちょっと痛めつけておこうかしらねぇ」

 

魔術師の1人はそう言うと手に持っていた剣を七罪に向けて振り下ろした。

 

「ッ!!」

 

思わずギュッと目を閉じ、襲ってくるであろう痛みに耐えるように歯を噛み締めた。

 

「………?」

 

しかしいつまで経っても痛みはやってこなかった。

 

「何……!?」

 

代わりに魔術師の女の驚愕の声が聞こえてきて、七罪は恐る恐る目を開けてみる。

 

「え……?」

 

そして予想していなかった光景に、呆然とした。

 

「う、ぬぬ……」

 

目の前にあったのは小学低学年ぐらいの女の子の背中だった。霊装を身に纏い自身の身長よりもあるだろう巨大な剣で魔術師の剣を受け止めていたのである。

 

七罪はその少女に見覚えがあった。夜刀神十香。

あの五河士道と一緒にいる精霊の1人で七罪が先日子供に変身させた少女であった。

 

「はあっ!」

 

十香はそのまま魔術師を押し返し、七罪を守るように剣を構える。

 

「プリンセス…!邪魔をっ…!?」

 

「かかかっ!われらもおるぞ!」

 

「ちょうしょう。ゆづるたちあいてにそのていどのにんずうとは」

 

十香に邪魔をされた魔術師達は反撃しようとするが、同じくやってきた子供姿の八舞姉妹に阻まれる。

 

「七罪!大丈夫か!?」

 

精霊達が魔術師達を食い止めている間に士道は負傷している七罪に駆け寄る。

 

「血が…!七罪、しっかりしろ!」

 

「……士、道……くん…?」

 

「酷い出血だ……すぐに治療してや「おっ、五河じゃねぇか」っ!?いつの間に後ろに…!」

 

七罪の怪我を見てすぐに危険な状態なことを理解する士道だったが、離れた所でエレン達と交戦していた筈のグラトニーが後ろに立っていることに驚きを隠せない。

 

「あいつらがお前の言ってた保護した精霊か?随分慕われてるようじゃねぇか」

 

「私を無視するな!グラトニー!」

 

「おっと!」

 

交戦中にも関わらず己を無視し士道に話し掛けに行っていることが侮辱と感じたエレンは更に苛立ち、レーザーブレードを構えグラトニーに斬りかかった。

 

グラトニーはそれをかわすが、剣が彼女の付けている仮面にあたり大きな亀裂が入る。

 

「ったくよぉ、今オレは五河と話してんだ。お前は引っ込んでろっ!」

 

かわしたと同時にエレンの脚を掴んだグラトニーはそう言いながら森の方へエレンを投げ飛ばした。

 

「がああああ!!?」

 

投げ飛ばされたエレンは木をいくつもへし折りながら森の奥へ消えていった。

 

「し、執行部長!」

 

「エレン様!」

 

エレンが森の中へ消えていったのを見て、生き残っていた魔術師達も彼女を追って森の中へ消えた。

敵が近くにいなくなり、それを見逃さない士道ではなかった。

 

「っ!今だ琴里!回収頼む!」

 

士道がそう言った瞬間、その場にいた全員が引っ張り上げられるような浮遊感に包まれる。

 

「ん?オレもか?」

 

その中にはグラトニーも含まれており、自分も回収されようとしていることに少し意外そうな顔をする。

 

そして七罪が元の姿に戻ったのと同時に、その場にいた士道と精霊達はフラクシナスへと回収されたのであった。

 




今回のエレンの隊は全滅はしませんでしたが、全体の5割がグラトニーによって犠牲になりました。
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