皆様の周りは大丈夫ですか?
※時間開けて読み直した結果、
書くべきところを書いてなかったので加筆しました。
基本的な流れは変わりません。
俺は試験以来IS学園に軟禁されていた。
正確には原作の一夏の部屋である1025室にだ。
外側からしか開けられない鍵を部屋には着けられている。
食事の時間は決まっているし、
トイレに行くにも内線の電話で連絡しなければならない。
IS関連の本があるから暇は潰せるけど……。
その本だって母さんが送ってくれたやつ以外となると
図書館に借りに行くことになる訳だが、
監視付で夜中とか他生徒と接触しない時間帯でしか行けない。
当然アリーナなんてなおさらだ。
ここ三日俺はISの訓練をすることができていない。
という訳で今日は3月16日の朝だ。
束さんからは
『脱走できればしちゃってよ。』
とのこと。
でもなぁ、隙がない。
俺としてもISの訓練させてもらえないなら脱走してしまいたい。
はあ……昔だったら本だけでもそれなりに満足できたんだけどなぁ。
無人機との戦闘でIS戦闘に恐怖感が少し生まれたが、それでもまた乗りたいと思う。
こんな本じゃあ満足できねぇよな。
まあ後で千冬さんに威圧される恐怖を考えれば
おとなしく軟禁されてた方がいいのかもしれないけど。
だが、俺は弾けた。
その日の午後、いきなり扉がノックされた。
また日本政府関係の人が来て、
俺を日本国代表候補生に誘いに来たかと思ったら違った。
ちなみに俺は日本国代表候補生になるつもりはない。
第一に束さんから断るように言われている。
第二に、というかこっちがメインの理由なのだが……
「おじゃまします。」
今俺の部屋に入ってきた女性、華蛇櫻という絶対的な代表がいるからだ。
「元気?」
開口一番、それか。
「こんな状況じゃあ、元気もなにもなぁ。
というよりもしかして華蛇櫻さん?」
華蛇さんはにっこり笑ってから、
「そうだよ。」
と短く返事した。
「私の事知っているなんて、さすがISマニア!」
マニアか……。
否定はしないけれど。
「日本人なら誰でも知っている気がするけど。」
「そんなことないよ。
街とかに変装なしでも行けちゃうしね。」
「そうなんだ。」
案外そんなもんだよっと華蛇さんが答える。
その時束さんから通信が来た。
『さっちゃんだ。久しぶりに見たなぁ。』
さっちゃん……か。
専用機を手渡したというのは本当らしい。
「ねぇねぇ、今暇?」
暇か……。皮肉に聞こえてきた。
「忙しそうに見える?」
俺は少し怒ったような語気で言う。
でもそんなことは全く気にしていないように華蛇さんは言う。
「じゃあ、デートしようよ。」
What?
いや落ち着こう。
この際はっきりしておきたいことがある。
正直華蛇さんは俺のタイプだったりする。
だけどなぁ、初対面で……
「嫌?」
嫌ではないけど……
自分でも顔が赤くなっているのが分かった。
「顔赤いけど、大丈夫?」
ずいっと顔を近づけられた。
俺は思わず顔を背けた。
「……冗談だよ。」
「……えっ?」
「ごめんね。さっきの冗談だったんだ。」
そういう華蛇さんはニコニコ笑っていた。
それに嫌な感じはなく、不思議なことに怒る気にはならなかった。
「紅侍君ってISにしか興味ないって訳じゃないんだね。」
「そりゃあ……」
「そうだよね。」
でもっと真剣な顔になって華蛇さんは続ける。
「ハニートラップには気をつけてね。」
「そんなの本当にあるの?」
この時の俺は我ながらマヌケだった。
「日本国政府は紅侍君が日本国専属にならないから焦ってるみたいだし、
他の国にとってはチャンスな訳だから。」
「でも俺なんてなぁ……一夏よりは価値ないだろ?」
「紅侍君は分かってないよ。
二人しかいない男性操縦者で、束さんと知り合いの君はすごく注目されているんだよ。」
「それに師匠のような後ろ盾のない君は一夏より捕まえやすいと思われているみたいだし。」
そうだったのか……。
いやでもそうだよな。気を付けよう。
「ありがとう、気をつけるようにするよ。」
俺がそう返事すると華蛇さんは笑顔で返した。
……笑顔を絶やさない人だな。
「そういえばなんでここに来たの?」
いきなりデートとか会話の流れが変にずれてしまったからな。
「ああ、そうそう。忘れてた。」
彼女は顔を赤くすると恥ずかしそうにしていた。
「ずばり駆け落ちだね!」
ビシッと指を立てて言う。
デートより悪化した!?
きっと、また冗談だ。
もう騙されない……もう……
「さっきより、空気が重くなる前に言うけどこれも半分嘘。」
「半分……?」
「うん、半分ね。」
「実はね、束さんから紅侍君の脱走を手伝うように頼まれててね。
それで脱走の手伝いに来たんだよ。」
ああ……そうだったのか。
というかさっきのデート発言も要するに外に出るっていう意味だったのか。
話の流れを大きく逸らしたのは俺か……。
「でもそんなことできるのか?」
「大丈夫、私に任せて。」
現在俺は荷台の上に乗っけられている。
というのも体を小さいダンボールの積み重ねによって隠しており、
荷物に扮して脱走しようという算段だからだ。
「おはようございます。」
華蛇さんが誰かに挨拶している。
「おはよう、その荷物は?」
中年ぐらいの女性の声がそれに答える。
おそらく警備員なのだろう。
「実は一夏君の警備とIS基礎教育を兼ねて、
一夏君の家に一時的ではありますが、居候することになりまして。」
「にしても随分大きな荷物では?」
「嫌だなぁ。女の子の荷物は多いものじゃないですか。」
「まっ、まあそうよね。
でも一応その大きな箱は中身を確認させてもらっても?」
「どうぞ。」
「うん、問題なさそうね。」
「ではお勤めご苦労様です。」
どうやら上手く行ったようだ……。
しばらくして電車に乗る。
普通の電車なら何か言われるかもしれないが、
IS学園専用の電車なので荷台に文句は言われない。
更に時が経って、電車から降りて歩いてしばらく……
「着いたよ。今家に入れるから待っててね。」
家に通され、ようやく許可が出て、
ダンボール装甲を外すことができた。
「ありがとう。」
俺は素直にお礼を言った。
「もうすぐここに束さんが来ると思うから。それまでゆっくりしてってね。」
また笑顔だった。
「ここ華蛇さんの家なの?」
櫻でいいよ、と答えた後に続けて言う。
「いやさっき警備員さんに話したように一夏の家だよ。」
ここが一夏の家なのか。
華蛇さん、じゃなかった、櫻が来ても無反応ということは今は家にいないのか。
そもそも普通に鍵開けてた気がするが、
それって知り合いとかそんなレベルじゃないよな。
「そういえば織斑君とは仲がいいの?」
聞いてみることにした。
「うん、なんたって幼馴染だからね。」
さすがチートの塊。
最早そのチートレベルには感服せざるをえない。
まさか、まさか住む場所までチートだったとは……。
そんな俺を見て、どうかした?って感じに彼女は首をかしげている。
とにかく俺は言葉を続ける。
「そうだったんだ。」
「あっ、そういえばもう一つ聞いていい?」
「大丈夫だよ。」
またしても笑顔。
もうニコッとか書いてごまかした方が早いんじゃないかな。
「なんでIS学園に私物があったの?
そっちの大きな荷物は本当に私物なんでしょ?」
「あぁそんなことか。
ほら、私国家代表やっているでしょ。
だからIS学園に住み込みで訓練しているんだ。」
こいつはどこまでチートなんだ。
それってつまりIS学園の先輩方や警備員、教師達と入学前に知り合いってことだよな。
「それにね……IS学園なら師匠が居るし。」
「師匠って織斑千冬さんのことだっけ?」
「そうそう。」
「良くあんな怖い人にそんな呼び方できるな……。」
これはチートとか関係なく尊敬できるかも。
「師匠は怖い人じゃないよ。根は優しい人だからね。
代表を辞めた今でも私のことを指導してくれるし。」
根はね……。
俺としてはそこを強調したい。
ピンポーン
読者諸君、だまされてはいけない。
今の音はインターホーンによる機械音ではなく、口で言ったものだ。
「あっ、束さん来たかな。」
そういうと彼女は玄関に向かって行った。
「はろー、さっちゃん、じーくん。」
「ご無沙汰しています、束さん。」
「ご無沙汰しています。」
「うんおひさー。特にさっちゃんは久しぶりだね。」
「そういえば、さっちゃんはこれからいっくんと一緒に住むんだっけ?」
「まあIS学園に入学するまでですけれど。」
「ふーん、まあさっちゃんは大丈夫だよね……?」
「そうなんですか?」
俺は尋ねる。
おそらく大丈夫というのは一夏に手を出さないという意味だろう。
「だって……さっちゃんにはもっと大切なことがあるもんね。」
「……そうですね。」
「私にそんな浮いたことをしている暇はありませんよ。」
この時も笑顔だった。
少しだけ寂しげだった気もするが、気のせいだろう。
「政府が来るとめんどいからとっとと行くよー。」
「はい、お気をつけて。」
ニコッ
彼女は最後まで笑顔だった。
それから俺は入学式前日まで、
クロエさんに指導されながらISの訓練をした。
重点的に鍛えたのは多様な動きをできるようにすること、
ハイパーセンサーからの情報をいち早く捉えることの二点だ。
特に後者はセシリアさんと戦うことになったら、なくてはならないものだろう。
お疲れ様でした。
今回でIS学園入学前の紅侍君のお話は終わりです。
この作品では紅侍君目線で基本書いていきますが、
毎回章の最後に別人物目線を入れていきたいと思います。
という訳で次回は紅侍君目線でない話を入れたいと思ってます。
あっ、ちなみに脱走の手段ですが、
金田○少年の事件簿でやってたやつですね。
大きい箱で気をそらして本当に大事なものは小さい箱に隠すっていうやつです。
まああっちの場合は本当に人間を捜索していたわけですが。
今回のは荷物検査みたいなもんなので細かい荷物見ないのかと言われれば
微妙な所ですが、まあ……荷物検査が丁寧に行われたのを現実世界で見たことないので。
空港とかだとしっかりやるんですかね……?