シャドウ   作:ゆばころッケ

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短めです。

ちょっと書いてみたら3000字になったし区切りが良かったので。

そういえばずっと言い忘れていたのですが、

束さん(クロエ)との眼鏡による通信は『』で表してます。

勿論今回の話には出てこないのですが。


序章 一夏視点 距離
一 一夏、出会い


 俺の名前は織斑一夏。

 

俺は今自宅に軟禁されている。

 

というのも俺が女性しか動かせないはずのISを動かしてしまったからだ。

 

このISが実に厄介なものなのだ。

 

ISの登場によってそれまでの兵器の価値はなくなり、ISは軍事の頂点に立った。

 

そのくせ女性にしか使えないのだ。

 

男性操縦者が出たら、保護しなきゃいけないわけで。

 

あっ、そういえば核兵器使えばさすがにISに勝てるんじゃないか。

 

知らんけど。

 

そうそう俺はISを動かせたが、知識は全くない。

 

俺の唯一の肉親千冬姉が俺にISを見せようとしなかったしな。

 

でも操縦できるなら話は別。

 

保護している間に少しでも教育しなくてはということで政府は俺を軟禁した。

 

まあその教える人が知っている人で助かったかな。

 

「一夏、手が止まってるよ。」

 

「悪い、悪い。ちょっと考え事してた。」

 

「しっかり頑張らないとIS学園に入ってからおいてかれちゃうよ。」

 

今俺を教えてくれているこの子は俺の幼馴染の華蛇櫻。

 

昔はよく二人で遊んだものだ。

 

最近はISの日本国代表になった櫻が忙しいから会う機会なかったけど。

 

最近でもないか……。

 

こうして俺の思考はまた逸れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺には小学校に入る前の記憶はない。

 

何故って言われても知らないからな。

 

千冬姉に聞いたら、俺は幼稚園に通ってなかったから

 

あまり記憶がないんじゃないかとのこと。

 

ほら、休日なにもしないで過ごすと今日一日何してたっけ?ってなるだろ。

 

あんな感じだってさ。

 

 

 

 

 

 

ともかく小学一年の俺は初めての集団生活に慣れずにいた。

 

それに始めたばっかの剣道もどうにも上手くいかなくて少しトゲトゲしてたみたいだ。

 

気づけば俺の周りには誰もいなかった。

 

そんな時だった。櫻が俺に話しかけてきたのは。

 

その日、俺は同級生との諍いがあって、先生に怒られて帰りが少し遅くなっていた。

 

いつもなら帰りの会が終われば、掃除のない時はすぐ帰る俺には珍しいことだった。

 

早く剣道したかったしな。

 

少しでも練習して上手くなって色んなやつを見返してやりたかった。

 

という訳で廊下を爆走し、校門までダッシュした俺だったが……

 

「織斑君だ、おーい。」

 

突然話しかけられた。

 

無視しようかとも考えたが、さすがに失礼なのでやめた。

 

声の主は櫻だった。

 

「なんだよ。」

 

「いつも織斑君と帰り同じにならないから珍しいなって。」

 

それは簡単なことだ。

 

友達の多い櫻は友達と少し話してから帰っているからだ。

 

かといって掃除が終わる時間まで残っている訳でもないしな。

 

「家、こっちなの?」

 

「そうだ。」

 

「じゃあ、一緒に帰ろうよ。」

 

「俺急いでるから。」

 

櫻は困ったような顔してから、笑った。

 

その顔をかわいいと思ってしまった。

 

当時の俺としては不覚だったに違いない。

 

「じゃあ私も急ぐよ。」

 

「は?」

 

「私も急げば問題ないでしょ?」

 

「……勝手にしろ。」

 

櫻はまた笑った。

 

へん、今に見ていろっと当時の俺は思っていた気がする。

 

箒の道場まで俺は全速力で走った。

 

そうすることでふりきってやろうと思った。

 

だが、櫻はついてきた。

 

しかも俺よりも疲れていない様子だった。

 

「私、運動得意なんだよ。」

 

えへへと笑う。

 

「……俺の目的地、ここだから。」

 

俺にはそう言うことしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その一件以来、櫻はたまに俺と帰るようになった。

 

俺は始めの内はいつか櫻を振り切ってやるぞと意気込んでいたが、

 

次第に櫻と仲良くなり、そんなことはどうでもよくなっていた。

 

その内毎日一緒に帰るようになった。

 

それはちょうど6月半ばくらいで、櫻の助けもあって俺もクラスに馴染み始めていた。

 

ある日俺は箒のことを櫻に相談した。

 

「剣道でさ、勝ちたい相手がいるんだ。」

 

箒とは朝稽古から学校に向かう際は一緒にいたが、あまり仲良くなかった。

 

その原因は色々あったと思うけど当時の俺は俺が弱いからだと考えていた。

 

その冷たい態度には見下しのようなものもあった気がしたからだ。

 

「それって箒ちゃん?」

 

櫻は箒にも話しかけていて、箒は憮然とした態度ではあったが、

 

嫌がっているという訳ではなかった。

 

クラスで親しみを込めて箒ちゃんなんて言えるのは櫻だけだった。

 

「櫻はなんでも分かるのな。」

 

このころになると櫻が運動だけでなく、なんでもできるというのを俺も知っていた。

 

「そんなことないよ。でもどうして勝ちたいの?」

 

「なんか見下されている気がしてさ、勝って一発見返してやりたいんだ。」

 

俺は意気揚々と語る。

 

そんな俺を見て櫻は笑う。

 

「あぁ、笑ったな!」

 

別に怒ってはいない。

 

馬鹿にして笑ったわけじゃないことは分かっていたし。

 

「一夏らしいなって思ってさ。」

 

「……俺らしい?」

 

「いつも壁を見つけてそれを越えようと努力してるでしょ。」

 

「そうかなぁ。」

 

自分のことなんて案外分からないものだ。

 

「そうだよ。この間だって逆上がりしている子を見て、

一生懸命練習して自分もできるようにしてたじゃん。」

 

「あれはなんか悔しかったから。」

 

「理由なんてなんでもいいんだよ。

私はがむしゃらに頑張っている一夏、好きだな。」

 

櫻が笑う。

 

俺は赤くなった顔を背けた。

 

「今は俺の話じゃなくて、箒に勝つ方法だろ?」

 

そうだったねっと頷いてから櫻は続ける。

 

「私に一つアイデアがあるよ。」

 

「本当か!?さすが櫻!」

 

「剣道の動きに合気道の動きを取り入れてみようよ。」

 

「あいきどー?」

 

「私が母から教わっている格闘技だよ。」

 

櫻は親のことをママとかパパとか呼ばなかった。

 

父、母で呼んでどこか距離感のある言い方だった。

 

「そうすれば勝てるのか?」

 

「箒ちゃんに純粋な剣道じゃあ一夏は勝てないでしょ。

だからそれ以外を取り入れて箒ちゃんのウラをかこうってこと。」

 

おぉなんかいけそう。

 

「じゃあさ、合気道教えてくれよ。」

 

「いいけど……」

 

少し戸惑ってから

 

「河原でやろうか。」

 

その返答はちょっと意外だった。

 

てっきり剣道みたいにするべき場所にいってやるものだと思っていたからだ。

 

「河原だと危ないか試合とかはせずに最低限の動きだけね。」

 

櫻はそういって俺に丁寧に教えてくれた。

 

一週間ぐらいやってようやく俺流剣道が出来始めていた。

 

そんな時、櫻はこう言った。

 

「でもこの方法は一回だけね。」

 

「どうして?」

 

勝てるならなんだっていいじゃんと俺は思っていた。

 

「一夏が学んでいるのは篠ノ之流でしょ。

一夏が篠ノ之流をマスターしたなら自分なりの型に変えてもいいけど、

本来ならマスターするまではいじっちゃだめだよ。」

 

武道ってそういうものだからっと櫻は言った。

 

「分かった。」

 

「だから一回箒ちゃんに勝ったらさっぱり忘れてね。」

 

俺は頷いた。

 

その後俺と櫻は指切りして約束した。

 

 

 

 

 

 

 

 

結果から言うと俺は箒に勝てた。

 

箒は驚いていた。

 

そりゃ櫻との秘密の特訓であまり道場に来なくなった俺に負けたのだから驚くだろう。

 

「お前、その動きはどこで習った?」

 

「そんなの聞いても意味ないよ。」

 

「私ではできないと言いたいのか!?」

 

「そうじゃなくて、俺、この動き方もうしないから。」

 

「なんだと。」

 

箒はどんどん怒っていった。

 

「俺の師匠との約束だし。

それに俺一回でもいいから箒に勝ちたかっただけだから。」

 

「何故だ?」

 

何故って聞かれてもな……。

 

箒に勝って見返してやりたかった。

 

まあそれも理由の一つだな。

 

でも本当は……

 

「箒と仲良くなりたかったんだよ。」

 

「なっ、なに!?」

 

箒は少し動揺しているようだった。

 

「だってお前、せっかくいつも一緒に登校しているのにさ、

お互いだんまりでつまんないだろ?

だからさ、仲良くなれたらいいなって思ったんだ。」

 

誰かと話しながら帰るのは楽しいとその時の俺はもう知っていたからな。

 

箒は黙っていた。

 

それから

 

「お前は変わったやつだな」

 

って小さな声で言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それ以来箒との仲が少しずつよくなった。

 

いつしか帰りは箒と櫻と俺の三人で帰るようになった。

 




お疲れ様でした。

なんというか合気道も剣道も知らないので

やったことのある方で不快に思う方がいらっしゃったらすみません。




最近お気に入りが20件を超えたので嬉しかったです。

この調子で少しずつでもいいから

見てくれる人が増えていってくれればなぁと考えてます。
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