ずっと書きたかった話だったのでついつい長くなってしまいましたので。
(実は10月頭には話の大まかな内容は決まってました。)
長かったので前半、後半に分けたくらいです。
後半は少ししたらあげます。
あれから一週間。
俺は今第3アリーナのA・ピッドに居る。
ピッドには俺と一夏と千冬さんしかいない。
山田先生はセシリアさんの方に回っている。
「勝って来いよ、紅侍。」
一夏が相変わらずのイケメンで無責任なことを言ってきた。
俺が負ける要素は多すぎて挙げるまでもない。
勝つ要素は……相手は俺の武装を知らないこと。
一方は俺の方ではある程度は予想がつくこと。
「そうは言っても相手は俺達とは訓練期間が違うからな。
100回に1回を引ければ勝てるかもな。」
「なら大丈夫だな。」
「どこが大丈夫なんだよ?」
「だって百回に一回は勝てるんだろ?」
俺はもう何も言うことはできなかった。
『百回に一回ね、束さんなら100%なのに。』
束さんから通信が入る。
『出来が悪くてすみませんね。』
こう悪びれてみたものの、この人には感謝すべきなんだろう。
勝つ要素を一つ忘れていた。
ISのカタログスペックは俺の方が高い。
だからこその100%なのだ。
まああの人ならそんなの関係なく勝てるだろうけど。
『応援してる。』
今度はクロエさんからだ。
『ありがとう。』
俺は根性だけでなんとかなるとかはあまり信じないけど、
一夏やクロエさん、さゆかといった応援してくれる人が
居るのも勝つ要素に入れてもいいかもな。
通信していると傍からはぼうっとしっている様に見えるらしい。
「紅侍、さっさと行け。」
ほら、千冬さんがご立腹だ。
最近思うんだけど、俺もしかして嫌われてる?
まあ一度でも好かれるようなことはしてないけどさ。
シャドウを纏った俺はゲートを飛び出した。
実は俺はこの瞬間が一番好きだったりする。
ISを纏い、憧れを手に入れ、それを行使する。
そんな満足感に浸っていると、
「それが噂のISですの?美しさが微塵もないですわね。」
セシリアさんが例のごとく喧嘩を売ってきた。
「美しさね、そっちのISには荒々しさがないんじゃないか?」
セシリアさんが少し困った顔をした。
「これは戦う競技だ。美しさなんかあってもなくても同じなんだよ。
でもいざって時に荒々しさがないとどうにもならない。」
今度は馬鹿にしたような顔。
「そうですか、いかにも猿らしい考えですこと。」
シャドウから相手のセーフティーロックが外されたことが告げられる。
開戦って訳ですか。
俺は予め武器を4つ展開している。
まずは巨人刀。
いつも通り背中のホルダーに入れておいた。
次に裂空二刀。
休日に外出して、束さんから一刀もらっておいたので二刀なのだ。
片方は左手に、もう片方は強奪者で足に縛り付けているものだ。
という訳で三つ目は強奪者。
といっても今のところ固定のために使っているだけだが。
さて俺が序盤にすべきこと、それは相手の武装を全て壊すこと。
いつもの紫電を使った一撃必殺戦法でもいいが、
やはり安定性に欠けるので、今回は敢えて長期戦に挑むことにした。
シャドウは速い部類のISだ。
だから……
だから避けられる。
俺は体を少し反らす。
俺の横をレーザーが過ぎる。
元々一夏支援前提で作られているシャドウは案外長期戦向きだ。
燃費の悪い白式にはいざという時以外は無理をさせたくないからな。
それまではシャドウに無理をさせることとなる。よって燃費は悪くないのだ。
「あら、思ったよりは操縦できるようですわね。
これならば踊ることぐらいはできるでしょう。」
ああ……あれですか。
「さあ、踊りなさい。私とブルー・ティアーズの奏でる
そう言った直後、セシリアさんは
ふーん、やっぱりサマになるな。
確かに踊りを踊ることになるかもな。
なんだって
さて今回キーになるのは裂空だ。
裂空のエネルギー波に大した威力はないが、BTは壊せるぐらいの威力はある。
まずはBTを破壊する。
いわゆるビットみたいな兵器であるBTの相手はあまり長くしたくない。
集中力が切れればかなり厳しいからな。
また多少近距離である必要はあるが、
持っているだろうガトリングシュトロームやプレサイスを壊すこともできる。
巨人刀を使わないと駄目なのはスターライトmkⅢぐらいだ。
つまり裂空で武器を破壊して安全を確保してから、
紫電で一撃必殺というのが今回の基本方針だ。
まずはセシリアさんを焦らせるために避けることに専念。
「なかなか避けるじゃありませんか。」
焦ったセシリアさんが望むこと。
それはとにかく一撃を当てること。
当たり前だが、セシリアさんの最大威力はスターライトmkⅢ。
だから一番の目的はスターライトmkⅢの一撃。
BTはサポート。
とはいってもBTは背中を狙うことが多く、そこには推進機があることも多い。
ダメージは稼げなくても、推進機を壊せれば儲けものだ。
これと同じ理屈で一撃を当てれば、相手の動きを鈍らせられる確率は上がる。
ほら、武器を変えてきた。
このタイミングを狙って裂空を振るう。
ちっ、射撃武器の展開はやっぱり慣れてるな。
素早く展開するものだから、隙がなく当たりやしない。
まあ想定の範囲内だ。
「そろそろ楽にしてさしあげましょう。」
持っているのはガトリングシュトローム改。
まあ元々イギリスの武器だ。使わない方がおかしい。
さて、行きますか。
俺は一気にセシリアさんに向かって加速する。
「あなた、なにしてますの!?」
驚くのも無理はない。
ガトリングシュトローム改は無数のレーザーを出す武装。
そこに向かって近づくなんて自殺行為だ。
よって当然、
きた……。
世界はスローになる。
死ぬイメージが頭に浮かぶ。
怖くて仕方ない。
でも怖いのはセシリアさんも同じはずだ。
接近戦が苦手なセシリアさんは馬鹿みたいにつっこむやつが苦手に違いない。
原作の一夏に追い詰められたのもそれが原因だろう。
レーザーの攻撃によって動きを鈍らせつつ、逃げればいいと分かっていても、
避けようとしない相手の場合、攻撃を当てるまでは減速させられない。
よって攻撃で失速させるまで接近の恐怖がつきまとう。
そんなセシリアさんの頭からはBTの操作なんてできるはずはない。
俺はギリギリまで近づき、ほとんどレーザーが当たる瞬間に星の欠片を展開。
世界は時間を取り戻す。
俺はその場で宙返りし、足の裂空で背後にあったBTを狙う。
緑のエネルギー刃がBTを真っ二つにした。
一機撃墜。
次いで、宙返りしながら右手に持っていた裂空で俺の右にあった裂空を狙う。
緑のエネルギー刃が当たるか当たらないかの寸前で、BTは回避した。
ちっ、そこまで上手くはいかないか。
俺は目の前に残っていた落ちていく星の欠片を蹴って、後ろに加速。
セシリアさんと距離をとる。
「わ、私のBTが……。」
思ったよりショックを受けてるな。
あのまま突っ込んだ方がよかったか?
とはいえそれだとリスク高いしな。
ガトリングシュトローム改の直撃を受ける可能性は高い。
「あなた如きに……。」
何故俺がBTを破壊できたか?
それはBTの性質とセシリアさんの理詰めの性格のせいだ。
BTは自立機動装置である。
よって基本は自動で動いている。
ではどこで操縦者のイメージが使われるのか?
射撃のタイミングはもちろんのこと、加えて以下の二点が挙げられる。
一つは通常時の自動機動の位置の設定。
今で言えばセシリアさんは4つのBTを俺の真後ろ、左右、真下に設定している。
ここからイメージした距離を保つようにBTは自動機動する。
二つ目はいざという時の緊急退避。
一つ目の性質の弱点は
ISのハイパーセンサーを受けている人間にとっては、BTの位置の予測が簡単なことだ。
特にセシリアさんのような理詰めタイプは理詰め故に分かりやすい。
例えば通常真後ろといっても、どこかはセンサーで調べないと分からない。
だがセシリアさんは最も効率良く攻撃するためにスラスターの位置に設定している。
左右は武器を落とすために手首を狙い、真下もスラスターを狙っている。
そういう訳で二つ目の機能でセシリアさん自身がBTを守ってあげる必要がある。
だが、セシリアさんは意識を余程集中させないと一つ目の指示はできない。
原作で一夏が指摘した点はこれだろう。
また二つ目も意識がぶれればできないだろう。
そこで今回の接近である。急な接近で恐怖を与え、意識をぶれさせる。
加えて星の欠片が一瞬視界を奪う。
俺の姿が見えなくなること、それはそれで怖いだろう。
そこで優先するのは自身の身の安全。
BTのことなんて分かっていても頭から抜ける。
ISからBTの危機を知らせる通知が来たってすぐには動けないだろう。
「本当は二機破壊できると思ってたんだけどな。」
「私を舐めてますの?」
そんなつもりは毛頭ない。
わざわざ足に裂空をつけるなんて変なことをしたのは理由がある。
それは少しでも理詰めを混乱させるためだ。
腕で振るうより、足で動かした方が予想がつきにくいはず。
やる方の俺はISの補助のおかげでそこまでコントロールには苦労しない。
それに二刀流ならともかく、普通に一本でやる場合、
二機破壊しようとすると、二度の方向転換を有するが、
今回の破壊の仕方なら方向転換は一度でいい。
ただ、少し失敗した。
最初に右のやつを破壊するべきだったのだ。
右のBTはセシリアさんの視界に入っていたし、避ける操作もしやすかっただろう。
ただ俺からも当てやすいから、集中するなら後ろの当てにくいBTにしたかった。
だからそっちを先にした。
しかし一機のBTの破壊がセシリアさんを冷静にさせてしまったらしい。
右側の対応はしっかりとしていたからな。
それを考えると右から破壊すべきだった。
とはいえ、これは結果論か。
本当の所を言うと、一機の破壊で混乱することを期待していたぐらいだったのだから。
俺がそんなことを考えていると、セシリアさんがまた話し出した。
「いいえ、どうやらあなたを馬鹿にしていたのは私のようですわね。」
セシリアさんの表情が今までの見下していたものから真剣のものに変わった。
あれ?反省早くない?
俺が勝つ上ではもう少し奢っていてくれた方がありがたかったんだけどな。
「ここからは私の全身全霊をもって臨みましょう。」
まあ仕方ないか。
「ハンデはBT一機か。」
俺は呟く。
「ハンデですか。そういうことにしておきますわ。」
セシリアさんがかすかに笑みを浮かべる。
「ISに詳しいあなたならご存知でしょうし、隠す必要はありませんわね。」
スカート状のアーマーが外れて、もう二つBTが出る。
イグニッションプランに含まれるBTは公表されている部分が実験機のわりには多く、
この二つが弾道型で、俺を追尾してくる型というのは分かっている。
あれは他の三つ程意識を集中させる必要がないらしく、
さすがにBT以外の兵器とは同時に使って来ないが、BT6機の同時射撃はできるそうだ。
きついなぁ……。
お疲れ様でした。
BTの設定はほぼ捏造です。
ところで弾道型レーザーってなんでしょうか?
弾道型ミサイルの場合、放物線軌道を描くものを指すそうです。
レーザーだったら……うーんと思ったので追尾型という設定にしました。
通常のBTは直線しか描けないが、威力は高い。
弾道型は威力こそ低いが、柔軟性があり、追尾できるみたいな感じで。
威力の低い理由はレーザーをレーザーとして
維持しにくいからということでお願いします。