早いなぁ……。
最近投稿がスローですが、
これから益々忙しくなりそうなので更にスローになりそうです。
それでも週一投稿だけは死守します。
たぶん……。
俺は観戦席から一夏とセシリアさんの試合を見ている。
「すごいな……。」
俺の戦いが霞むようだ。
その動きは本当に異常だった。
まるで白式を自分の体のように動かしている。
BTは一機ずつ確実に破壊されていく。
少しレーザーを喰らってはいるが、あれなら勝てるだろう。
「君はあれをどう思う?」
いつの間にかシンさんが隣に来ていた。
俺の左隣りはさゆか、右隣りは通路だったのだが、そこに立っていたのだ。
「どうって異常ってレベルじゃないですか?」
俺は素直に思っていたことを答えた。
「ふむ、お嬢ちゃんは?」
「えっと、私?」
さゆかが少し驚いた様子で答える。
「そう、君だ。」
「……自信がなくなります。」
なんともさゆからしい感想だ。
「そんなところか。」
シンさんは何か満足そうに頷く。
「ところでシンさんはどう思いますか?」
俺は何気なく聞いてみた。
「そうだね、実に愉快な気分だ。」
「愉快……?」
「そんなにおかしな感想だったかな。
彼は全世界の男の代表とも言われているんだ。
その彼がISを自由自在に動かすことを愉快に感じる……」
「おかしなことかな?」
俺は黙った。
確かにおかしくない。
だが、何か……
ボカン
ワァー、ワァー
爆発音、歓声……
「また破壊して見せたか。」
シンさんの口元は笑っている気がする。
「ああ……そうだ、紅侍君。
君が頼んでおいたようにシャドウをしておいたよ。」
突然シンさんは思い出したように言う。
「ありがとうございます。」
明日一夏との試合があるからな……。
しばらくするとシンさんは帰って行った。
「紅侍、あの人は誰なの?」
さゆかはずっと聞きたかったという感じで俺に聞いてきた。
「ああ、シャドウの整備をしてくれる人だよ。」
「そうなんだ、名前はなんていうの?」
「シンって名乗ってたけど、そういえば詳しくは知らないな。」
「ふーん。」
そんな話をしているといよいよ一夏がトドメをさすという展開になった。
「零落白夜ぁぁぁぁああああああああ!」
シールドエネルギーの残りは十分、
加えておそらく零落白夜の使い方もしっかり櫻に教わっているだろうしな。
ブザーが鳴り響く。
『試合終了、勝者、織斑一夏!』
『これで俺が負ければ、一夏がクラス代表確定ですか。』
自分の部屋で一夏がシャワーに行っている間に束さんと通信する。
『別にわざと負けなくていいよ。
束さんの予想通りなら勝敗は五分五分だし。
じーくんには悪いけど、クラスの評判はいっくんよりみたいだしね。
じーくんが勝っても、辞退でもすればいっくんがクラス代表になるんじゃないかな。』
『そうですか……なら全力でやります。』
『まっ、頑張って。』
束さんは適当に言った。
そして俺と一夏は今対峙している。
「約束守ってくれてありがとな。」
セシリアさんが惚れた時点で一夏がクラス代表確定とはいえ、
勝ってくれたおかげで表向きにも十分にクラス代表と言えるだろう。
「約束は守るのが当たり前だろ。それにお礼を言う必要はねぇよ。」
「……ただ俺が言いたかったから言っただけだよ。」
試合開始のブザーが鳴る。
まともな剣のやり取りでは勝てない。
俺はシンさんに頼んで壊れた武装の代わりに星の欠片の量をかなり増やした。
その目的は防御ではない。
石つぶてだ。
俺は目の前に星の欠片を展開。
殴りつけてつぶてを大量に生じさせた。
こういう時、適切な星の欠片の量や殴る力をシャドウは教えてくれる。
そのおかげでかなり効率良く動ける。
ほら、自在にISを扱う一夏もその対応に困っている。
一夏は確かに白式を上手に動かせる。
だが、知識が少なすぎる。
だから動かせてもどう対応していいか分かっていない。
一夏がつぶてに慣れる前に、なんとかスキをみつけて
俺は巨人刀で一夏にダメージを与えなければならない。
だが、隙がない。
となると燃費切れを狙うか。
俺の方が燃費は良い。
ただ一夏はつぶての対処に集中してあまり動かない。
これじゃあエネルギーは使わない。
一夏の動きが良すぎるな。
ちっ、作戦変更か。
一夏がつぶてに対応できているのは俺が一夏の正面からつぶてを撃つからだ。
俺が正面からつぶてを撃つのは一夏の背後がとれないからだ。
なら一夏の意表を突いて反応を遅らせるしかない……。
一瞬でいい。
俺は大きな星の欠片を出し、大量のつぶてを生じさせた。
「今度は量が多いな。」
そう言いながら、涼しい顔でつぶてを処理する一夏。
俺が量を多くしたのは時間を稼ぐためだ。
星の欠片を展開する時間を。
今だ、俺は一夏の腕をセンサーで認識。
星の欠片をまるで手錠のような形でイメージする。
遠い所に巧妙な形に展開するのは全く手間がかかる。
「なんだ、これは!?」
一夏の動きが一瞬止まる。
俺は急接近する。
背中のホルダーから巨人刀を取り出し、一気に切りつける。
だが、一夏の足が巨人刀の腹を蹴る。
腕がまだ解放されていないなら……。
俺は一夏の蹴りの勢いに合わせて巨人刀を捨てる。
そして空回りした一夏の脚をつかんでそのまま下に急加速。
地面に叩きつける。
もちろん、地面といってもただの地面じゃない。
星の欠片を尖らせたものを展開しておいた。
それなりにシールドエネルギーは削れたようだ。
一夏を蹴りつけ再上昇。
そしてまずは危ない雪片弐型を取り除くためその腹を蹴りとばそうとした
が、
一夏は垂直に立てていた雪片弐型を、刃を地面に水平にする形に持ち替える。
俺は勢い余ってこけたような形で、地面と水平に宙に浮いた状態になってしまった。
……時間がスローになる。
腕の方をセンサーで確認すると手錠が切られていた。
少しずつ雪片弐型が光を帯びていくのが確認できる。
だがそれは悪手だ。
こういう所が一夏の知識不足の点だ。
俺がこの姿勢からなら対応できないと考えているんだろうが、
それは人間の話だ。
俺は思いっきりそのまま垂直に上昇、
そのまま体勢をスムーズに一夏と向かい合う形に戻す。
時間がスローなおかげで各スラスターからの出力調整をゆっくりできるため
動きの無駄はかなりないはずだ。
……一夏はこれを常時できている訳だけど。
どうにも時間がスローなままだと思ったら
一夏が零落白夜を発動したまま突っ込んできていた。
スローで何か叫んでいるのが分かる。
俺は一夏の前に棘のついた壁を星の欠片で作る。
「ぐわっ。」
一夏は勢いのまま衝突。
俺は時間が戻ったのを感じながら、槍のような星の欠片を展開し、投げつける。
一夏が動けない間に、次々と投擲する。
ブザーが鳴る。
『試合終了、勝者 幸逆紅侍』
「前から思っていたのですが」
俺と山田先生しかいないピットで山田先生がなんとなくおどおどしながら言う。
「幸逆君は展開が異常に速い時がありますよね。」
『走馬灯のことは黙っておいた方がいいかもね。
脳をいじられたくないならね……。』
束さんから何か恐ろしいことを言われる。
「そうですか?星の欠片はシャドウが随分好きなようですし。」
実際簡単な形なら走馬灯中でなくともかなりの速さで展開できるのは
そのおかげと言っていいだろう。
「……言いにくいこともありますよね。今日はお疲れ様でした。」
山田先生はそういうとピットを出ていった。
あっ、山田先生に言っときたいことがあったんだけどな。
本来は一組の担任である千冬さんに言うべきことだし、直接千冬さんに言うしかないか。
とりあえず束さんに報告。
『いっくんが星の欠片に突っ込んだ時の表情最高だったね!』
この人は一体何を言っているんだろう。
『試合に夢中で見ていませんよ。』
『それはそうと、今回は星の欠片の新しい使い方だったね。』
『武装がそれしかありませんでしたし、
一夏は元からエネルギーを喰う方ですから、星の欠片で削りきれただけですけどね。』
『ふーん、じゃあ今回みたいにはもうしないの?』
『選択肢の一つとしては留めておきます。』
『ところで束さん。そろそろ新しい武装を追加しませんか?』
『なにか思いついたの?』
『はい、少し。』
『OK、じゃあ日曜に帰って来て。そこで決めよう。』
『分かりました。』
現在シャドウの拡張領域には余裕を持たせてあるので、
何か自分に合った武装を後々追加しようという話は前々からあったのだ。
訓練ではなかなか思いつかなくても二回実戦をしたことでアイデアが思いついたという訳だ。
そんな感じで俺がいつまでもピットにこもっていると、
「紅侍、ちょっといいか。」
一夏がやってきた。
「お疲れ様。」
「お疲れ。」
一夏はそう言いながら俺の隣に座る。
「今日の試合完敗だったよ。」
「いや、そんなことないだろ。」
「でも、俺紅侍のISのエネルギー1も削ってないぜ。」
「あのなぁ、一夏の白式は零落白夜二発当てれば勝てるんだ。
だからそれを当てるかどうかなんだよ。」
「でも地面に叩きつけられた後、当てられると思ってたよ。」
「一夏はまだISならどう動けるかというイメージができてないんだよ。
それができれば当たってたと思うよ。」
「そっか。」
「まあ、俺らはまだ乗り始めたばっかなんだし、
時間かけてゆっくりいこうぜ。」
「それもそうだな。これからも一緒に頑張っていこう。」
「ところで一夏はどうやってあの手錠を破壊したんだ?」
「ああ、あれか……。
地面に叩きつけられたときにシールドエネルギーが俺を守っただろ。その時に分かったんだ。」
「何が?」
「シールドエネルギーを出す感覚が。
っでそれを使って、手錠を破壊したんだよ。」
……通常シールドエネルギーを出すのはISだ。
一夏がやったこと、それは理論上可能なのだろうが聞いたことがない。
エネルギーを破壊に使えるなら武器など要らないという理屈すら成り立つ。
一夏ってよく分からないやつだな……。
翌日、朝のHRにて、山田先生は言った。
「一年一組のクラス代表は織斑一夏君に決まりました。」
クラス中の拍手喝采。
おそらく渋い顔をしているのは一夏だけだろう。
「ちょっと待ってください。
俺は紅侍に負けたじゃないですか。」
「でもその幸逆君に勝ったオルコットさんに勝ちましたし。」
「でも……そのセシリアに勝った俺に紅侍は勝ちましたよ。」
はいはい、じゃんけん状態。
「馬鹿者」
千冬さんが一夏を叩く。
「なにするんですか、ち……」
「織斑先生……。」
一夏も大変だなぁ。
「いいか、勝ち負けで判断できないなら候補者の意志に私は任せることにした。」
「なら、俺は……」
と一夏が言いかけたところで、俺はすぐ手を挙げてから言う。
「先日、俺は辞退しています。」
それにセシリアさんも続く。
「私もですわ。」
「そういう訳だ。残ったのは織斑、お前しかいない。」
「ちょっと、待ってくれよ。
俺や紅侍のように他薦されたのはともかく、
セシリアは自分でやりたがってたんだから……」
一夏が必死に抵抗する。
「ええ、ですが元々クラス代表というのは各クラスの力を計るものとお聞きしました。
ならば私のように以前から訓練をうけている者より
一夏さんの方が適しているかと思いまして。」
……
「それに安心してください。
私はあなたに任せっぱなしにするつもりはありませんわ。」
「あなたもスジは良いようですから、
このセシリア・オルコットが指導すればそれはもうすぐに……」
そうセシリアさんが言いかけたところで
バンッ
「一夏の指導者はもう足りている。
剣術の指導は私が、IS全般は櫻がやることになっているからな。
それに一夏に負けたお前が何を言う!」
おぉ、頑張ってくれ箒。エンジェル的にはそっちの方が都合良いし。
「負けたのは武装がなかったからですわ。
それに華蛇さんはともかく、ISランクCのあなたに教えられることがあるのかしら。」
「私が教えるのは剣術だ。ISは関係ない。」
バシーン、バシーン。
「お前ら、静かにしろ。HRを中断させるな。」
ふと前を見る。
山田先生が泣きそうになっていた。
「それにオルコット、お前は今日華蛇との試合だからな。」
……ああ、そんな話あったな。
お疲れ様でした。
オリジナル設定のせいで、一夏が超強化されています。
まあ原作主人公ですし、多少はねチートですよね。