長さとしては短めです。
そういえばこれ、予約投稿なのですが、
しっかりできているんでしょうか?
やや心配です。
俺は今部屋の前で紅侍の背中を見送っていた。
「さっきの紅侍の様子変だったよな。心配だ。」
「なんか後ろめたいことでもある感じだったわね。」
「でもまあ紅侍が本当に困ってたら、紅侍の方から言ってくれるか。」
「それもそうね。」
こんなあっさりとした会話を済ませると俺達は部屋へ入った。
鈴は部屋をキョロキョロと見渡すと俺のベッドにダイビングした。
「やっぱりIS学園のベッドってふかふかよねぇ。」
鈴のはしゃぐ様子は俺を安心させてくれた。
「本当に久しぶりだな、鈴。」
俺は空いている紅侍のベッドに座る。
「あんたさ、久しぶりだからって抱きつく奴がいる?」
鈴はこちらを軽くにらみながら言う。
「悪かったって。でも本当に嬉しかったから。」
「そう。」
小さな声で返事をすると、鈴は枕に顔をのめり込ませた。
「そういえばこれ一夏のベッドで合ってるわよね?」
「ああ、そっちが俺のベッドだ。」
「そっちのベッドは布団が乱れてるし、
IS雑誌が乗ってるしで一夏のベッドだとは思えなかったけど。」
「心配ならダイビングなんてしなきゃいいだろ。」
「だってしたくなるじゃない。」
そこで鈴はがばっと顔を上げた。
「そういえばティナったらひどいのよ。
私が間違ってティナのベッドにダイビングしたら怒るんだもの。」
俺はその話を聞いて笑ってしまった。
「な、なんで笑うのよ、馬鹿。」
「いや、鈴らしいなって。」
「らしいってなによ、らしいって。」
「俺、鈴のそういうところ好きだな。」
鈴の顔はみるみる内に赤くなり、しまいには枕を投げつけてきた。
「簡単にそういうこと言うんじゃないわよ。馬鹿」
今日三回目の馬鹿呼ばわりである。
「いてて、そういえば夕飯どうする?
あんまりのんびりしてると食堂閉まるけど……?」
俺の言葉を聞いたら、鈴は得意げな顔になった。
「ふふん、私がしっかり用意してあるわ。」
そういうと鞄からなにかごそごそと取り出した。
「おお、酢豚だ。」
なかなか美味しそうである。
「ご飯も持ってきたから今日はここで食べましょ。」
「ああ。にしても腕あがったなぁ。」
俺が酢豚をじろじろ見ていると鈴が小さな声で言った。
「約束覚えてる?」
忘れるはずがなかった。
「毎日酢豚をおごってくれるってやつだろ。」
「……はい?」
俺がその言葉を言った瞬間、鈴はわなわなと震えだした。
俺は続ける。
「それでずっと一緒にいてくれるんだろ?」
鈴の動きがピタッと止まった。
顔を下に向けてなにかもごもご言い始めた。
「あんた……意味分かってるの?」
「正直、言われた当時はそんなに深く考えてなかった。
でも何回も思い出す内にな……。」
俺の顔も赤くなってきた。
「じゃ、じゃあ。」
鈴は顔を上げた。
その時の鈴の顔は本当に可愛かった。
なんというか輝いて見えて、眩しかった。
俺はそんな鈴を傷つけたくなかった。
でも、それでも言わなければならなかった。
「正直迷っているんだ。俺は鈴のことが好きだ。
でもそれが恋とかそういうものかというと自信がない。」
鈴の表情が少し曇った。
「でも、鈴とそういう仲になることは嫌じゃないのは間違いないんだ。
きっと上手くやっていけると思う。
でもそういうことじゃないだろ。なんていうか……」
「上手くやっていけるなんて言い方はしないわよね。」
「そう、そ……」
俺は途中で話せなくなった。
鈴が泣いていたからだ。
こうなると分かっていたから……
言いたくなかった。
「やっぱりあんたは櫻が好きなの?」
その声は上ずっていた。
櫻のことが好き?
「小学生の時も言ったけど、俺が大切に思っていても……」
鈴はいきなり俺の胸倉をつかんだ。
「櫻の気持ちはあたしにはどうでもいいの。
一夏はどう思っているのかを今は聞いてんのよ。」
「きっと好きだった……。」
「だったぁ?」
鈴は怒っていた。さっきの弱弱しく泣いていた鈴はどこにいったのやら。
でもこういうところも好きだ。
「櫻はさ、変わちゃったんだよ。」
「どういう風に?」
「鈴は、櫻に表裏があるって言ったけど、俺は違うと思うんだ。」
「なにが違うのよ。」
「それをこれから言うんだよ。
鈴が言う裏っていうのがおそらく変わってしまった櫻の中心なんだ。
表っていうのはいきなり変わったら変だから、櫻が用意した仮面だと思うんだよ。」
「じゃあ、あんたの言う変わる前の櫻はいないの?」
「そういう訳じゃない。時々昔の姿を見せてくれる時がある。」
「ちょっと未練がましいんじゃない。」
鈴ははっきりと言った。
うっ、否定はできない。
「確かにそうかもしれない。
でも櫻も昔の姿を望んでいる気がするんだ。」
「ふーん、じゃああんたはどうしたいワケ?」
「元に戻って欲しいけど……昔、俺は止められなかった。」
「何?一夏が変わった原因なの?」
「そうではないと思うんだけど、
櫻が助けを求めた手を俺は掴んであげられなかった……。」
鈴は少し顔を下に向けてから大きな声を出して言った。
「くよくよしてんじゃないわよ。一夏は昔と同じなの?
違うでしょ。昔できなかったことも今ならできるかもしれないじゃない。」
昔と違う……?
あっ……
「鈴、ありがとう。」
俺は鈴の手を掴んだ。
鈴の顔は真っ赤になる。
「それだよ、櫻は変わった直後からISに乗り始めたし、
IS関連で鈴の言う裏の顔が出てしまうことが多いんだ。」
「ISを通してなら助けられるかもしれないってこと?」
さっきの大声はどこに行ったのか、弱弱しい声で言った。
「ああ、だから鈴も協力してくれ。」
「協力?」
「俺の腕を上げないと櫻の心には届かないからな。」
「よし、そうと決まったら、飯食おうぜ。鈴の酢豚が食べたくなってきた。」
俺は笑顔で言った。
その時俺は本当に嬉しかった。
俺は今まで考えたこともなかったのだ。
一度失敗したらだめだと考えていたのだった。
今更何ができるのかと思っていた。
でも違った。
今の俺なら救えるかもしれない。
そう思えただけで世界が変わって見えた。
……はぁ。
あたしは一夏の部屋から出て自分の部屋に戻るところだ。
一夏は結局あたしのことをどうするつもりなんだろう。
酢豚の味は大丈夫みたいだったけど。
美味しいって言ってくれたな……。
それにしても櫻を除けば、あたしのことが一番なのは間違いないはず。
一番……
顔が赤くなる。
でも櫻がいる……。
櫻が元に戻ったらあたしから離れてしまうんじゃ……。
あたしはそんな未来を想像して怖くなった。
でも櫻のことを引きずったままつきあうことになったら、
一夏が言ったように上手くやっていく感じになってしまう。
そうしたらあたしの両親のようにいつか崩壊が来ちゃうんじゃ……。
そっちの方がよっぽど怖かった。
にしても恋敵のためになにかすることになるなんて……
「あぁ、あたしってなんて献身的な女なんだろう。」
そう言って、あたしは自室のベッドにダイビングした。
「ねぇ、鈴。」
同室のティナがポテトチップスを食べるのを一旦やめてあたしに話しかける。
「なによ、ティナ。」
「それって自分で言ったら意味ないんじゃない?」
「じゃあティナが言ってよ。」
「ああ、鈴。あなたはなんて献身的なのでしょう。」
「なんか大袈裟ね。」
「せっかくつきあってあげたのに、それはないんじゃない。」
「まぁ、べつにいいじゃん。」
ティナ・ハミルトンか……。
仲良くなれそうだな……。
「ところでティナ……」
「なに?」
「この時間に夜食なんて大丈夫?」
「一日なら平気よ……。」
「昨日も食べてなかった?」
お疲れ様でした。
ぶっちゃけると一夏と櫻は両想いですね。
リア充ばくは……
でもそういう仲に簡単になれるということはないと思います。
両想いだからといって必ず付き合えるという訳でもないでしょうしね。
……この会話、束さん聞いてたんだよなぁ……。
次回からはクラス対抗戦やります。
果たして紅侍と一夏の運命やいかに……。