そういえば来週、再来週のどちらかは投稿休むかもしれません。
生徒玄関廊下前に張り出された掲示を俺はもう一度見直す。
『5月15日 午前 第一アリーナ 2組対4組
第二アリーナ 1組対3組
午後 第一アリーナ 2組対3組
第二アリーナ 1組対4組
5月16日 午前 第一アリーナ 1組対2組
第二アリーナ 3組対4組』
「見られないんだよなぁ……。」
「他クラスの試合か?」
「ああ」
見学って言葉をIS学園は知らないのか。
とはいえどうにもならないことなので我慢する。
「にしても早いもんでいよいよ明日だな。」
「全力をつくそうぜ。」
なんてイケメン主人公が言いそうなセリフ……。
いや一夏はイケメンだけどさ。
にしても全力ねぇ……
「なあ、一夏。本当に4組にも勝ちたいのか?」
「いつまでも櫻の背中を追ってたらだめだろ?」
「それはそうかもしれないけどさ……。」
いくら一夏とはいえ勝てないって分かりそうなものだけどな。
「明日は勝てないかもしれない。
でも今の俺でできるところまでやってみたいんだ。」
「一夏がそう言うなら、俺は手伝うけどさ……。」
俺はあくまでサポートだしな……。
今は対3組戦直前。
「じゃあ、一夏、作戦を確認するぞ。」
「ああ。」
一夏は真剣な目で頷く。
櫻との勝負にこの二、三週間こだわっていたから、
この試合へのやる気が心配だったが杞憂だったみたいだ。
「三組クラス代表リリー・シリアさんはおそらく国有訓練機のテンペスタを使ってくる。
テンペスタの特徴は?」
「えっと、すごい速いISで、レーザーを三連続に放つトリピストラって武装を使うんだよな。」
「そう。だから射撃が中心になる。
後テンペスタのスピードは俺じゃあ追いつくのは難しい。
そこでイグニッションブーストを使えるようになった一夏の出番だ。」
「ああ、俺がシリアさんを倒してから二人でセシリアを倒すんだよな。」
「俺は一夏がシリアさんを倒すまではサポートに回るから。
基本的に俺も速いISだから動き回って相手を攪乱するのと、
できたら星の欠片で一夏の防御もやる。
でもこれにはあまり期待しないでくれ。」
「そういえば、今日巨人刀は持ってないんだっけ?」
「あれのための拡張領域を星の欠片にまわした方が良いからな。
決定的な攻撃力は一夏に任せる。期待してるぜ、零落白夜には……。」
「……そうだよな……。」
「何か問題でもあるのか?」
「いや、何か嫌な予感がするというか……。
やっぱり巨人刀持っていた方がいいんじゃないか?」
「俺一人じゃあ変えられないんだ。
それに後一時間だしな。今更変えられない。」
「そうか。
……いや俺が頑張ればいい話だよな。」
「おう、頼む。」
おそらくこういう形態が束さんが想像したサポートの仕方なんだから間違いないはず。
巨人刀はさすがに一人で戦う時に火力不足だからつけたにすぎない武装のはずだしな。
開始50分前、トイレに行きたくなった俺はトイレに一人で向かっていた。
見ると珍しく男子トイレの前に人が居た。
元々職員用の男子トイレであり、
女子トイレと離れた場所にあるこのトイレの前にはあまり人は居ない。
ってあれは……
「あれ、幸逆君だけか。でも来てくれてよかった。
来なかったら私馬鹿みたいじゃない。」
栗毛色のショートヘアー、緑の目。一年の青いリボン……。
「初めまして、幸逆紅侍君。
私はリリー・シリア。三組のクラス代表だよ。」
「知ってる。学園新聞で顔見たし。」
「ああ、あの新聞ね。一組は大きく特集されてたね。
そうそう思い出した。あのこけてた子名前なんていうの?」
こけたって……ああ……
「岸原さんのこと?」
「あの子のことどう思う?」
「どうってふざけてる人だなって。」
俺がそう言うとシリアさんは大きな声で笑い出した。
「アハハハ。確かにね。道化を演じてるよね。
でもさぁ、私には必死に見えるんだよね。」
「必死?」
「そう、恵まれていない自分の状況に抗うためにね。」
「考えすぎじゃないかな。」
シリアさんの顔は少し厳しくなった。
「恵まれている側の君には分からないか。」
お互い睨み合う。
ずっと睨み合っていても馬鹿らしいので俺は話を切り出した。
「そういえば俺と一夏のこと待っていたみたいだけどさ、
何の用?」
「そうだ、大事なこと忘れてた。
ふふふ、試合が始まる前に謝っておこうと思って。」
「謝る?」
「私はあなた達に八つ当たりをするから。」
「八つ当たり?」
「そう、八つ当たり。
楽しみにしてて。あなた達に本当の戦いを見せてあげる。」
「……」
「また、アリーナで。トイレ、ごゆっくりどうぞ。」
そういうと彼女は去って行った。
男子嫌いって理由で彼女は俺や一夏と一回も訓練しなかった。
それどころかペアになったセシリアさんにもそれを強要、
セシリアさんともこの数週間練訓練していない。
「なんかセシリアのIS姿見るの久しぶりだな。」
一夏が今から戦う敵を前に無駄話している。
「私も一夏さんのIS姿は久しぶりですわね。」
そういうセシリアさんの顔は赤い。
おいおいお前らな。
「織斑君、幸逆君。今日はよろしく。」
一方シリアさんは何か楽しそうな様子だ。
「よろしく、一つ聞いていい?」
「なに?」
「なんでそんなに楽しそうなの?」
「気のせいじゃない?」
オープンチャンネルではこんなこと言っているが、
プライベートチャンネルでは……
『幸逆君には言ったでしょ。八つ当たりするって。
私はここに憂さ晴らしに来た。楽しまなくちゃ損ってものじゃない?』
「八つ当たり?」
一夏が少し驚いた顔を見せる。
「そろそろ始まる。
じゃあ始めようか。」
シリアさんは無駄に良い笑顔でそう言った。
……八つ当たりを……
試合開始のブザーがなる。
俺は左に、一夏は右に向かう。
セシリアさんはBTを展開する。
シリアさんは……
突っ込んできた。
しかも俺の方に。
何考えてんだ!?
トリピストラを展開すらしていない。
まあいい、俺に近接戦を仕掛けるつもりなら一夏がシリアさんに奇襲しやすくなる。
悪くない展開だ。
俺は予め展開しておいた新武装
龍の尾は刃のついた燃え盛るように赤い盾だ。
その刃が鱗のように見えることから龍の尾という名前にしたらしい。
龍の尾の持ち手は円柱状であり、トンファーのように扱うことができる。
俺はそれを一つずつ両手に持っている。
「そう、それだ。まさに予想通り。
あなたは予想通りだった?」
シリアさんはそう言うと腰に差していた刀を右手に持ち、左を宙に掲げる。
「バードケージ!」
空中に直方体の檻が現れる。
ズドンッ
地面に着いた衝撃とともに辺りに大きな音が響く。
気づいたときには俺はその中に囚われていた。
シリアさんの真上に檻は出たので当然、シリアさんも中に入っている。
「なんで、こんな武装を……拡張領域喰うなんてもんじゃないし。
近接戦なんてテンペスタには向かないんじゃ……。」
テンペスタの初期武装はトリピストラ、銃だ。
またイタリア代表が射撃が得意なこともあり、テンペスタは射撃のイメージがある。
ただ今出てきたバードゲージという武装は全く射撃向きでない。
相手と自分を檻の中に閉じ込め、無理矢理近接戦闘に巻き込むことを目的とする。
「普通そう思うのは分かる。
でもここまであなたの予想通りになっていることがある?」
『また少し話につきあってもらおうかな。ほら、女子って話好きでしょ。』
その通信の後、彼女は左手にも刀を持ち、切り込んできた。
「フレキシブルか……。」
フレキシブルは刃の部分がビームでできている刀だ。
見た目はガンダムのビームサーベルみたいなものだが、
刃の形は自在に変形でき、刃の一部のみの出力を上げることもできる。
『そう、フレキシブル。格闘マニアが使う武器。
私は近接戦が好きなんだ。でもイタリアでは射撃が得意な代表候補の方が優遇されててね。』
俺は彼女の斬撃を龍の尾で防ぐ。
動きが速い。
端に追い込まれないようにしなくては。
『私はいつも他の代表候補の練習台だった。』
でもこの状態は悪くない。
ピンチになったら時間がスローになって紫電を展開できる。
そうしたら紫電を当てて、彼女のフレキシブルを奪い壊すだけだ。
なるべく速くシリアさんを倒して一夏の元に向かわなければ。
セシリアさんと一対一じゃあ分が悪すぎる。
それを見越してのバードゲージなんだろうし。
『悔しかったから私は射撃も訓練した。』
待てよ。
シリアさんが紫電のことが分からないなんてことありうるか?
龍の尾を構える俺を見て予想通りと言った彼女だぞ。
『私は射撃でもかなり上位の腕前になった。
私は候補生の中では一番強くなった。』
何を企んでいる?
まさか紫電を防御する術があるのか?
いやその可能性は低い。
どうやって相手の機能を止めているか、
それが分かれば対策の仕様があるが、分かっていないはずなのだ。
『でも私ではない候補生に専用機が与えられた。
私が射撃を一番に重んじていないという理由のためだけに。』
彼女の斬撃がいきなり重くなる。
俺は体勢を大きく崩す。
『お前ら男子は男という理由だけで専用機を貰っているというのに。』
世界がスローになる。
俺は迷ったが紫電を展開することにした。
現状それしか状況の打開策がないからだ。
俺を囲っている檻を破壊すれば、強制近接戦闘からは免れられるが、
そのためにはかなりの時間を要する。
巨人刀があれば少し楽にできたかもしれないが、今ある武装の攻撃力じゃやや厳しい。
それに檻を壊している途中に相手がなにもしてこない訳ないのだから。
やはり紫電しかない。
紫電を展開した直後にその引き金付近に星の欠片を展開し、引き金を押し出す。
こうすることで紫電を撃つところまで瞬間的に行うことができる。
おそらく引き金を普通に押す余裕を与えてくれる相手ではないだろう。
俺は紫電を宙に展開した。
その瞬間世界は時間を取り戻した。
まだ危機的状態を脱していないはずなのに……。
シャドウはそう判断していなかったようだ。
見るとフレキシブルが俺の前で止まっている。
一体どうやって展開した瞬間に止めたというのか。
「これも予想通り。本当にいつ展開したか分からないんだ。」
シリアさんはそう言うと宙に浮いていた紫電を切り裂いた。
「切り札なくなったけど。」
その顔はまたしても無駄に良い笑顔だった。
成程、八つ当たり、憂さ晴らしか……。
お疲れ様でした。
オリキャラについて詳しく書かないとかいいつつ結構書きましたね。
でも今後出番はあまりないと思うのでご容赦を。
以下今回の内容に関した長々とした言い訳ですので、
スルーしてもらってもかまいません。
今回出たフレキシブルですが、全くその機能を生かしてないですね。
とはいえ戦闘中に描写しなかっただけで、
細かい小細工はいくらでもできる武装ですので
そういう点で役に立っているということにしといてください。
で、何故こんな武装を出しておきながら大した活躍がないかというとですね、
ちょっと考えている内に話の内容を変えたからですね。
この話を書こうと思った時に、
どう走馬灯と紫電のコンビを対処するかというのがテーマでした。
以下対処法でボツになった作戦の説明に入ります。
まずフレキシブルでかする程度のダメージを
与えると見せかけて、斬撃を当てる直前に致命打に変える作戦。
フレキシブルが形や大きさを変えられることを利用した戦法です。
ただ危機状態かどうかを判断しているのが紅侍ならこの作戦でよかったのですが、
シャドウが判断を行っているのでそれだとどんなに直前にしたつもりでも
走馬灯で対処できそうだなと思いボツになりました。
次に致命傷を与えずじわじわなぶり殺しにする作戦。
八つ当たりというのにも合っているしこれでいいかと思ったのですが、
自ら紅侍が突っ込んだ場合、致命傷を生じ得ることになって
結局走馬灯に入れるんですよね……。
一応次回の話は既に書き終えているので対応策は既に考えてあります。
オリジナル設定追加での対策なのでやや反則ですが……。
ちなみにフレキシブルじゃなくてただの近接ブレード
にしなかった理由はせっかく考えたのにもったいないと思っただけです。