今週はパソコンがいじれない環境下にあったので。
来週はもう少し頑張ります。
無人機の自爆による強い衝撃で地面に叩きつけられる。
「くっ、くそ……。」
もう俺のシールドエネルギーはほとんど残っていない。
無人機の熱線には耐えられなさそうにない。
俺は悔しかった。
また何もできなかったに等しいからだ。
全身に走る痛みを耐えながら、俺はあふれ出る感情を抑えて冷静になろうとしていた。
『大丈夫か、紅侍』
一夏から通信が入る。
『ケガはないけど、これ以上は戦えそうにない。』
『あんた、自分の身は守れるんじゃなかったの?』
『自爆なんて予想つかなかったんだ。』
走馬灯のことはあまり詳しく言えないから説明するならこんなところだろうか。
なぜ走馬灯が起こらなかったかは後で束さんに聞いておこう……。
『自爆?操縦者は?コアは?』
『……操縦者は骨すら残ってない。
コアは……見つからないな。』
無人機だから操縦者がいないので骨も何もないのだが、
こういう言い方をするしかないだろう。
『操縦者は死んだのか?』
『さぁ。』
無人機と分かっている俺としてはどういえばいいのか。
『さぁってなんだよ。』
一夏が少しいらついた様子で言う。
『……さっきの話だけどさ、
やっぱりこいつは無人機なんじゃないのか?
コアこそ見当たらないが、ISの破片はあるし、
操縦者が居たならば、その痕跡が一切ないということはないんじゃないか。』
これで納得してくれるとありがたいのだが。
『それはあんたがそう考えたいだけじゃないの?』
そういう取り方もあるか。
俺が直接やったことではないとはいえ、二人にとって俺は人殺しなのだろうか?
『俺は紅侍の考えを信じる。
あいつらはきっと無人機だ。』
『あんたら、もしそうじゃなかったらどうすんのよ?』
『私も無人機だと思うよ、鈴。』
『ティナ……』
『だって、たった四機でIS学園に突っ込んで帰れると思う?
それに自爆装置もついてるってことは帰ってくる気はないってことじゃない。』
『……向うのアリーナにも奇襲があったみたいだな……』
本当にたった四機かどうか調べるために
レーダーの範囲を少し広げてみたら分かったことだ。
『あら、そう?でもIS学園を占領するとかなら
アリーナだけ奇襲するなんておかしいわ。』
『……じゃあ目的はなんなのよ。』
『そんなこと関係ないだろ。
今は目の前の敵を打破するだけだ。
紅侍はティナさんと合流してくれ。
後は俺達に任せてくれればいい。』
『ああ……』
なんだか一夏がまとめてしまったが結局無人機ってことで落ち着いたのだろうか?
一夏と鈴は三機の無人機と相対している。
二機が一夏と鈴の前にそれぞれ正面に立ち、
三機目が背後をとろうとしている。
原作とちがってボロボロの状態から戦い始めた訳ではないから、
原作のように一機に苦戦するということはない。
それでも攻めにうつる余裕はなく、
致命打を喰らわないようにすることが限界のようだ。
俺があそこに居れば……
くそっ。
だめだ。冷静にならないと。
やれることはなにかないか。
こういう時他人の危機にも走馬灯が使えれば……。
さっきから見ていると二人ともかなり危なっかしい。
いや……
一夏の方がピンチになっていることが多いか。
別に一夏がそこまで鈴と比べて操縦技術が劣っているようにも思えない。
それに一夏の動きが普段よりもかなり良い。
どうやら無人機は一夏をマークしているらしい。
一夏の方が初心者であること、一撃必殺があること、
この二つを考えれば先に一夏をつぶすのは普通であるが、
無人機が束さんの差し金である以上、鈴に対する攻撃が中心と思っていたのに。
鈴の龍砲でサポートしているからなんとかなっているものの……
いくらなんでも鈴は一夏のサポートに徹しすぎじゃないか?
さっきから直撃はないが、ダメージは鈴の方が蓄積している。
もしかしたらこれが狙いなのか……?
でもこのことが分かったからって俺に何ができるだろうか?
鈴にこのことを伝えてもいいが、
俺が下手に言うことでサポートが上手くいかなくなる可能性があるので
一夏が鈴のサポートなしではやっていけない状態である以上は言いにくい。
現状はゆっくりと不利になってきてはいるが、
教師からの救援を待つという意味でなら悪くない状態でもある……。
ただ束さんが邪魔していることを考えると、救援がくるかというと難しい気もする。
なにか、なんでもいいから状況を変える一手が欲しい。
それを作るのは簡単だ。
俺が命を張ればいい。
もちろん死にたくはないから一瞬気を逸らすとかその程度だ。
死か……。前、櫻に聞かれた質問を思い出す。
今に当てはめるとどうだろうか……?
2か3、つまり危険であるが助けられるというところだろう。
なら……やるしかない。
俺は身を守るため持っていた巨人刀を持ち直す。
この巨人刀も自爆の際ダメージを受けてはいるが、まだ十分に使える。
「何する気?」
俺の後ろに居たティナさんが言った。
「何する気かって、このままじゃあ勝てないから少しでも役に立てればって。」
「あのさぁ……」
ティナさんは呆れたように言う。
「幸逆君は二人を信じてないの?」
「信じてるさ、俺だって無理するつもりはない。
二人を信じているからこそ、ほんの少しのきっかけを与えてあげたいんだ。」
「だからそれが二人を信じてないってことなんだよ。
そんなきっかけなんてなくても二人ならできる。私はそう信じてる。」
俺は空を見上げた。
三機の無人機に囲まれ、その猛攻を避けながらなんとか反撃に出ようとする二人……。
俺は二人を信じていないのか?
俺は余計なことをしたのだろうか。
『紅侍、見てろ。
お前が信じられないっていうなら信じさせてやる。
鈴、サポート頼む。』
『ちょ、ちょっと』
あっ……
だめだ、一夏。
そう無闇に突っ込んだら……
一夏の前に居たやつが後ろに下がったことで、
鈴と相対していた奴が一夏の横に、もう一機が後ろを陣取る。
これじゃあ三対一みたいな状況だ。
『ええい、あたしに無理をおしつけて』
そこに鈴が割って入る。
元々自分と相対していたやつが自らの右に、
背後にとっていたやつが自らの左に来るように鈴は陣取った。
その二機を鈴がおさえると信じていたから一夏はつっこんだのだろう。
しかし瞬時加速をしながら突っ込んでいっているが、
一夏と正面から対している無人機への防護策はどうするのだろうか。
無人機がコマのように回転を始めた所で、一夏は零落白夜を発動させた。
そしてそのエネルギー刃の形状を変え、盾のようにした。
おいおい、あんなことできたのか?
零落白夜の力で無人機の放つビームは無効化される。
一夏は無人機に雪片弐型を突き刺す。
それと同時に完全に無人機が停止した。
コアを刺したのか……。
偶然なのか、狙ってやったのか知らないが末恐ろしいな。
「コアが壊されたISから生体反応がない。
やっぱりあれは無人機ってことでいいんじゃないか。」
とりあえずはっきりさせておく。
「それはいいけど、少しまずいかも。」
後ろにいたティナさんがぼそっと言った。
「どうかした?」
「鈴の龍砲の肩のユニットがやられたわ。
これ以上衝撃砲は撃てない。」
「両方?」
「片方ずつ順番に。一個やられたことで動揺してしまったから。」
二対一では短期間といえどきつかったのだろうか。
とにかくこれで二対二だからといって油断できない状態は続く。
油断できないどころか、戦況は不利になっていく。
衝撃砲を使えないとビームを逸らすことができない。
避けるか、武器を盾にするしかないのだ。
無人機二体になったことで危険はさっきよりも減っている。
やっぱり俺が行動すべきなのだろうか。
……俺は二人を信じていないのだろうか?
そう思っているとアリーナのスピーカーから大声が響いた。
「一夏ぁ!こんな奴ら倒してみせろ!」
箒だった。
そんな大声出さなくてもISには聞こえる……
あまりに大きな声だったせいか無人機も箒に目をつける。
相対していた一夏と鈴に背中をみせると箒に向かってビームを放とうとする。
俺は箒から見て一夏達の後ろに居て、俺の位置からは間に合わない。
一夏は無人機が振り返り始める前から移動を開始していたようだ。
無人機を追い越して無人機に無防備な背中をさらす。
回避できるような状態ではない。
零落白夜の力で無効化しようにも、雪片弐型が背中にないとそれもできない。
振り返る余裕もないだろう。
無人機が箒に向けて放ったビームが一夏に直撃する。
鈴が背中を見せている無人機に切りかかる。
しかし無人機はそれを無視するようにビームを放ち続ける。
「止まれ、やめろぉおおおおお」
鈴の叫びも虚しく、
姿勢は崩れ、破損もかなりひどい無人機だが、それでも放ち続ける。
一夏が位置を逸らすと箒に直撃するので、一夏はその場から動けない。
本当に一夏を殺す気なんだろうか?
先程の直撃でかなりのダメージを喰らっているはずだ。
もう耐えきれない……
一夏が死ぬ?
一夏とは早いもので一ヶ月半のつきあいだ。
前世から遠い存在として知っていたし、転生してからは意識していたので
一ヶ月半よりは長い付き合いに感じないこともない。
一ヶ月半、その間色々なことがあったが、
一番感じたのは一夏が主人公だということだ。
彼にはISの才能があり、
勉強もなんだかんだいってできなくはなく、顔も行動もかっこいい。
俺のようにISの才能はよくて人並み、
勉強は前世のおかげでできる、顔と行動は普通なんてことはない。
俺が纏っている
改めて考えよう、一夏が死ぬということについてだ。
一夏が死んだら、俺は唯一無二の男性操縦者だ。
それでこそ、俺が俺としていられるかもしれない。
それにサポートもしなくていい。
なんだ、一夏が居なくなればいいことづくめじゃないか……
あはははははは……
……そんなわけないよな。
本当にそう思っているなら、
こんなに短期間に
こんなに長く考え事できるわけないよな。
なぁ一夏……。
何故俺が走馬灯モードに入れたのかは分からない。
俺はゆっくりとした世界の中で星の欠片を一夏の前に展開し続ける。
ビームによってすぐ溶けてしまうからだ。
早く、早く壊れてくれ……無人機。
今までで最も長くこの状態になっているかもしれない。
頭が痛くなってきた。
早く、早く壊れてくれ……
「いい加減、壊れろっ!」
鈴の渾身の一撃を受けて、ようやく無人機二体がビーム放出をやめる。
それとほぼ同時に二体は自爆した。
が、その爆発が鈴に被害を及ぼすことはなかった。
「少し遅れたかな?」
チートさんがいつの間にかアリーナのシールドを突き破って来ていた。
地獄の手で無人機を包み込んで爆発の被害を最小限にしたらしい。
チートさんが来ただけで妙な安心感が……
意外なことにあまりないな。
いつもISを纏っている時はもう少し威圧感というか何かあるのだが
今はそれがない。
それどころか表情は普段より緩んでいる気がする。
「一夏、立てる?」
櫻が一夏を抱きかかえる。
「少し……きついかも……」
そう言うと一夏は気を失ったようだった。
一夏の顔は安心しきっていた。
一夏は感情を隠すようなタイプではないが、
あそこまで油断とでもいえばいいのだろうか、
抜けた顔を見せるのは初めてだ。
『ちっ、さっちゃんは相変わらずだなぁ……』
束さんから通信が入った気がしたが、本当に一瞬のことだった。
俺と櫻で一夏を保健室に運んだ後、俺は自室に帰った。
俺もそれなりにはケガをしていたし、
一夏の看病もあるので保健室に残ってもよかったが、
一夏の看病をする女子なんていくらでもいるので、俺は辞退することにした。
無人機に関しては、一夏が復帰してから一緒に話があるそうだ。
『じーくん、すごかったよ。
いっくんのために走馬灯モードに入ったでしょ。』
やや興奮した声で束さんから連絡が来る。
今回の件の元凶だろうその人は話を続ける。
『走馬灯はもう自由自在にできるんじゃないかな?
ねぇ、今度やってみせてよ。』
どうなのだろうか。例えできたとしてもあまり連発したくない。
『束さん、今度の休み、そっちに行きます。』
少し話さなければいけないことがある。
『OK、むしろこっちから頼もうと思ってたぐらいで、
あっ、もしかして束さんとじーくんは既に以心伝心の仲?』
そんなわけないだろ……
俺は心の底からそう思った。
お疲れ様でした。
えーと……
一つ謝罪したいことがあります。
ただでさえ出番少ない気のするセシリアの活躍シーンがなくなりました。
ごめんなさい。いつか……いつの日にか活躍を……