シャドウ   作:ゆばころッケ

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パソコンの液晶が死んだー。

というわけで無理やり携帯から書きました。

なのでわりと文の間隔とか

いつも以上に雑ですが勘弁してください。


第三十七話 セシリア 最凶の力

この世の概念の多くには正反対の概念がある。

 

正義と悪

 

右と左

 

天才と馬鹿

 

しかし時には概念すら越えた

 

レベルの例外が存在する。

 

例えば束さん。

 

彼女は天才だ。

 

しかし彼女は天才ではない。

 

何故ならば天才が天才足りうるには

 

概念を計るための尺度が必要だからだ。

 

正確には概念が概念足りうるにはだ。

 

束さんがテストを受けたとする。

 

彼女は満点をとる。

 

しかし他の天才と呼ばれる人、

 

身近でいえば櫻も満点をとれる。

 

ではどちらが上か。

 

このテストでは計れない。

 

それどころか束さんを

 

計れるようなテストを

 

作れる人はきっと居ない。

 

そうすると比較ができない。

 

正反対の馬鹿すら存在できなくなる。

 

規格外のせいで

 

概念が崩れるのは許されない。

 

だから概念から追い出されて例外となる。

 

ここにもそんな例外がいる。

 

セシリア・オルコット。

 

奴の手にかかれば、

 

料理の概念、上手いか不味いは崩壊。

 

生か死、あるいは天国か地獄に変わるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、見る作品を間違えたと思った方、

 

謝らせてほしい。

 

俺が何故こんな意味不明なことを

 

言い出したかというと

 

目の前に天国と地獄が広がっているからだ。

 

簡単に言えば現実逃避だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

発端は昨日のことだった。

 

「今日も学食混んでたよね。」

 

昼食の後、さゆかが言った。

 

「あれはシャルル目当てだな。」

 

さすがにシャルはもう「なぜか?」

 

とは聞かなかった。

 

もし聞かれたら「男子操縦者だから。」

 

とまた答えなければならなかっただろう。

 

「とはいっても、

他に食べるところないだろ。」

 

「そうなんだ。

だから混むんだね。」

 

シャルが少し困った笑顔で言った。 

 

「じゃあ明日は弁当作って屋上で食べない?」

 

そう言ってきたのは鈴だった。

 

余程自分の腕前に自信があるのだろうか。

 

「じゃあ弁当交換しようよ。

前、紅侍とはそんな感じの約束したし。」

 

さゆかが言ったこのセリフが

 

今の惨状を生み出したのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さあ始めようか……闇のゲームを……。

 

俺達は屋上にある円形テーブルに座った。

 

俺から時計回りに見ると、さゆか、

 

箒、シャル、一夏、鈴、セシリア、櫻の

 

順に座っている。

 

シャル目当てで皆学食に行ったせいだろう、人がいない。

 

 

そのため貸し切り状態だ。

 

一夏がなんか嬉しそうな顔をしている。

 

「おかずを一品ずつ交換してたら、

時間足らなくなると思ったから

くじを用意してきたよ。」

 

そういって櫻は箱を出した。

 

「箱の中のくじに名前が書いてあるから、

書いてある人の弁当を食べるってことで。」

 

「じゃあ、セシリアからどうぞ。」

 

そのまま反時計回りにくじ箱を回し出す。

 

俺は最後から二番目か。

 

まあ残り物には福があると考えよう。

 

理論上いつでも死を引く確率は同じだ。

 

「くじの中身を見るのは

最後の私が引き終わってからにしてね。」

 

櫻は澄ました顔をしている。

 

そんな顔をできるのは他には何も知らないシャルしかいない。

 

箒は覚悟を決めたキリッとした表情をしている。

 

自信家の鈴は勝ち誇ったような顔をしているように見えるがどこか不安を隠せないような印象も受ける。

 

一夏は希望と絶望を行き来している。

 

さっきなんだか嬉しそうに見えたのは彼も現実逃避していたのかもしれない。

 

セシリアさんは一夏の横を確保できて嬉しそうだ。

 

ちくしょう、俺がセシリアさんの弁当だったらはっきり言ってやる。

 

 

 

 

 

「はい、紅侍。」

 

さゆかから箱を受け取った俺は

 

二枚くじがあることを感触で確認する。

 

この二枚にセシリアさんのやつじゃ

 

ありませんように。

 

俺は一枚取り出した。

 

最後の櫻も引き終わった。

 

「じゃあ一斉にオープン。」

 

俺のは……

 

 

 

さゆかのだった。

 

やった、生き残った。

 

死なずに済んだ。

 

「やった。櫻のだ。

期待してるわよ。」

 

鈴は嬉しそうに跳び跳ねている。

 

その横で一夏がほっとした顔をしている。

 

「あんたのは?」

 

「箒の弁当だ。

箒は誰のだったんだ?」

 

「そうか……一夏が私の弁当を……」

 

だめだトリップ状態だ。

 

隣のさゆかが覗いて見る。

 

「シャルルのだって。」

 

「そういうさゆかは?」

 

「私?私は鈴のやつみたい。

紅侍は?」

 

なによー、なんか文句あんの?

 

そんな声が聞こえたがスルーする。

 

「俺はさゆかのだ。」

 

「一生懸命作ったやつだから、

美味しくなくても残さず食べてね。」

 

そんなやり取りをしていると、

 

「シャルルのは?」

 

櫻が聞いた。

 

「僕のは一夏のだね。」

 

……まあ無難なところだ。

 

一夏の弁当争奪戦のオチとしては。

 

待てよ……ということは……

 

「はあ困りましたわ。

私は自分のを引いてしまいました。」

 

一同顔が青くなる。

 

これはつまり延長戦があるのか?

 

さすがに自分の弁当なんて嫌だろうから普通は誰かと交換だ。

 

その時だった、

 

「じゃあ私の紅侍君のと交換しようよ。」

 

櫻がこんなことを言い出した。

 

一夏の弁当とまで贅沢を言わなくても、

 

ライバルの弁当を食べて、

 

その腕前を見たかったのだろうか。

 

一瞬微妙な顔をしたが、快諾した。

 

  

 

 

 

 

 

というか櫻が気を使ったのかもしれないが、

 

俺のが毒物と交換されたと思うと

 

すごくショックだ。

 

とにかくそんな訳で昼食は始まった。

 

 

さゆかの弁当は美味しかった。

 

「味、大丈夫?」

 

さゆかが聞いてくる。

 

正確には美味しすぎた。

 

少し濃いめの味付けだが、

 

俺としてはちょうど好みの味だ。

 

「いや俺の好みに合いすぎて驚いてる……。」

 

「あれ?それ私の好みなんだけどなぁ。なにも考えずに作ったし。」 

 

「やっぱり好み合うよなぁ。」

 

さゆかのおかげで毒物と

 

交換されたショックは和らいだ

 

 

 

 

 

 

 

 

ように思えた。

 

「幸逆さんの腕前はまあまあですわね。」

 

てめぇがいうか、てめぇが。

 

いやこんなことで怒っても損をするのは自分だ。

 

まあ普段は美味しいものばかり

 

食べているのだからまあまあは

 

ましな評価かもしれない。

 

そう思うしかないな。

 

 

 

 

 

これ以上考えても仕方ない。

 

他の話題だ。

 

「さゆかが食べている鈴のやつはどうなんだ?」   

 

俺はポイズンクッキングのことは

 

忘れることにした。

 

「酢豚じゃないやつだったから

不安だったけど、普通に美味しい。」

 

「ちょっと、私が酢豚しか作れないと

あんたは思ってんの?」

 

「いつもそればっか言ってるから。」

 

あはは……とごまかすように笑う。

 

「それはそうと、

櫻のやつは相変わらず

バカうまいわね。」

 

まあ櫻の弁当は見た目すら

 

セシリアのやつを越している。

 

いや奴のことは忘れると決めたはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

「ほ、箒のやつはどう……?」

 

鈴が恐る恐る一夏に聞く。

 

「美味しい。

なあ箒、これどうやって作ったんだ?」

 

いきなり話題をふられて

 

さっきからひたすら黙って

 

シャルの弁当を食べていた箒が

 

びくっとした反応をみせる。

 

まあずっと一夏の様子を伺っていたようだが。

 

「話すと長くなる。」

 

ぶっきらぼうに答えた。

 

「じゃあ今度一緒に作ろうぜ。

千冬姉にもこの味は食べさせてあげたいし。」

 

「ああ……。」

 

あれは嬉しそうな顔をするのを堪えてるな。

 

素直に言えばいいのに。

 

『箒ちゃんの今の表情いい、

最高だよ、じーくんにも分かるよね?

束さんの全身を駆け巡るこの胸のときめきが。雷に撃たれたようだよ。まあ撃たれたことないから分からないけど。』

 

相変わらずうるさい……。

 

「味見とかしたのか?」

 

「……失敗作なら食べた。」

 

箒がぼそぼそと言う。

 

「えっ?」

 

ハーレム系の主人公の難聴は伊達じゃない。  

 

「ああ……えっと……あまりしてない。」

 

成功作は食べる分残ってなかったか。

 

「じゃあ食べてみろよ。

これ本当に美味しいぞ。」

 

一夏はいわゆる「あーん」をする。

 

さすがにイケメンはやることが違う。

 

鈴とセシリアさんがその瞬間

 

ものすごい顔をした。

 

好きな男子がいきなりこんなこと

 

やったらそうなるのも無理ないか。

 

 

 

 

 

 

一夏を好きと言えば、俺は櫻の方を見る。

 

昔好きだったという話だが、

 

本当に今は何も思ってないのだろうか。

 

 

 

 

 

しかし櫻は今はそれどころではないようだった。

 

額から汗をかき、いつもの笑顔は崩れている。

 

しかし明らかに作り笑いと分かるそれでも、

 

笑っていられるその精神は見習わなければならない。

 

 

「ねえ、セシリア……

どうしてサンドイッチに醤油なんて使ったの?」

 

「今取り込んでますの。」

 

一夏に自分もあーんしてもらおうと必死らしい。

 

「答えてよ。」

 

一瞬場の雰囲気が凍りつく程怖かった。

 

セシリアさんはおどおどしながら答え始める。

 

「和洋折衷ですわ。

一夏さ……いえ日本の方にも、

気に入ってもらえるようにしようと思いまして。」

 

もしかして櫻の汗、

 

醤油の塩分のせいなんじゃないだろうか。

 

だったら異常な量の醤油が使われているに違いない。

 

「ああ、良い考えだね。

ところで味見はした?」

 

「いえ、してませんわ。」

 

櫻が不気味な笑みを浮かべる。

 

もしかして怒ってるのか?あれ。

 

「あーん。」

 

櫻がセシリアさんにサンドイッチをおしつける。

 

「えっと……?」

 

「はい、あーん。」

 

セシリアさんはしぶしぶ食べる。

 

その途端、綺麗な顔はまた崩れた。

 

一夏が箒にあーんした時よりもひどい。

 

「これが……私のサンドイッチ……?」

 

ショックを隠しきれないようだ。

 

「セシリア、料理教えようか?」

 

「……お願いしますわ。」

 

プライドの高いセシリアさんが

 

頭を下げた。

 

そうまでさせる程の料理なのだ。

 

 

 

 

 

「そういえば、シャルルは俺の料理はどうだ?」

 

あーん騒動は櫻のセシリアさんに対する一言で消火され、

 

フリーになった一夏がたずねる。

 

「すごく美味しいよ。

日本食だからお箸使わなきゃいけないのかなって心配だったけど、フォークを用意してくれてたから問題なかったし。」

 

「やっぱり箸つかえなかったんだな。

今まで避けてるように見えたから

そうじゃないかって思ってたんだよ。」

 

良好な対人関係を築く上で、

 

相手のことを気遣うのはとても大切だ。

 

さすがイケメンだぜ。 

 

「でも、このお米はどう食べるの?

なんだかラップで包んであるけど。」

 

「ああ、それはおにぎりだ。

こうやって食べるんだよ。」

 

一夏は弁当からひょいと

 

おにぎりを取り出すと実演してみせた。

 

そして食べかけのおにぎりをシャルに返す。

 

あーんよりある意味ひどい。

 

いや男同士だと思っているからなんだろうけど。

 

「織斑君って……なんだかなぁ。」

 

「やっぱりさゆかもそう思う?」

 

シャルの顔は赤くなった。

 

「うん……分かった。」

 

妙にしおらしい。

 

いやこれで男性って無理だろ。

 

 

 

   

 

 

 

 

そんな訳で楽しい?食事は終わった。

 

命懸けの死闘となったが、

 

改めて分かったことがある。

 

やっぱり一夏って女たらしだな。

 

 

 

 




お疲れ様でした。

今週は一話だけになりますが、

パソコンが直ればもう少し頑張ります。
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