シャドウ   作:ゆばころッケ

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今回も携帯からです。

後今回少し短いです。


第三十八話 実践訓練 開始

「本日から格闘及び射撃を含む

実践訓練を取り入れる。」

 

二人が転入してきて一週間経った。

 

今日から実践訓練だ。

 

「始めの授業だから、

まずは手本を見せてもらうか。」

 

「凰、オルコット。実演しろ。」

 

「私は皆の手本ですから、

やらせていただきましょう。」

 

「クラス代表戦の借り、

 

返す時が来たようね。」

 

二人とも乗り気である。

 

「凰、何か勘違いしているようだが、

相手はオルコットじゃない。

対戦相手は……」

 

「私です!」

 

こっちもノリノリのようだ。

 

元気の良い声と

 

聞きなれたIS の音とともに、

 

山田先生がやってきた。

 

「では、私からやらせて

いただきますわ。」

 

「何を言っている。

お前ら二人がかりでやれ。」

 

「それはさすがに……。」

 

「私達は専用機ですしね……。」

 

二人は顔を見合わせる。

 

「お前ら、山田先生の心配をする

なんて偉くなったものだな。

心配なら自分達のことを

心配するんだな。

お前らはすぐ負けるぞ。」

 

今の発言を受けて空気が少し変わった。

 

どうやら二人のプライドが

 

随分と傷ついたらしい。

 

二人とも目には闘志が宿っている。

 

悔しさと見返してやるという

 

思いが伝わってくる。

 

「では、開始。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、デュノア、

山田先生が使っているISについて

説明しろ。」

 

「はい。」

 

シャルが山田先生の乗っているIS 、

 

ラファール・リヴァイブ

 

について説明し始める。

 

要約すると、

 

第二世代最後期の量産型のIS で、

 

汎用性の高い機体である。

 

そう、汎用性が高いのだ。

 

後付け装備がたくさんある。

 

例えば山田先生が今使っている

 

ヘビー・スモーカーもその一つだ。

 

煙を撒き散らす武装で、

 

相手のIS のレーダーを邪魔する機能がある。

 

というのも煙によって、大気の成分を

 

大幅に変えてレーダーの電波による

 

測定を狂わせるからだ。

 

レーダーは電波を飛ばして、

 

使い手のISには大気の成分が

 

変わることが分かっているので、

 

測定の狂いを調整できる。

 

 

さて山田先生がこれを使う利点は、

 

鈴の使う衝撃砲が分かりやすくなること、

 

セシリアさんのBT の狙いが

 

定まりづらくなることだろう。

 

ただヘビー・スモーカーによる

 

レーダーの狂いなんて、

 

ISの適応力をもってすれば

 

そうそう長く持つものではない。

 

しかも今回は見せる試合だから

 

見やすいように煙の濃度は低めだ。 

 

すぐ適応されてしまう。

 

ちなみにこの見えなくなるというのが、

 

この武装の欠点でもあり、美点でもある。

 

欠点というのは観客に見えなくなる点、

 

美点というのは操縦初心者に

 

目に頼らない操縦をさせる訓練武装

 

として需要があるという点だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、話を戻そう。

 

今回は見えるように濃度が薄く、

 

適応されやすい訳だが、

 

適応しきる前に勝負を大方決める自信が

 

山田先生にはあるのだと思う。

 

二人に言ったら怒られそうだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……あっ、決着ついた。

 

レーダーが上手く

 

使えなかったこともあったのか

 

二人のプレイは全く噛み合ってなかった。

 

それを利用されたのが大きな敗因だ。

 

あっ、レーダーのせいじゃないかも。

 

なんか喧嘩し始めた。

 

お互いにお互いの欠点を罵っている。

 

あぁ……一夏を含めて皆の顔が、

 

少しずつ失望の色に変わっている。

 

国は代表候補生のイメージアップに

 

結構気を使っているものなのに。 

 

こんなところで代表候補生の

 

イメージを下げるなよ……。

 

 

「諸君にも、学園の教員の実力が

分かったと思う。

これからは敬意を払うように。」 

 

千冬さん……教員の実力が

 

どうこうというより、

 

代表候補生が低く見られたようです。

 

「専用機持ちは織斑、オルコット、

幸逆、デュノア、

ボーデヴィッヒ、凰だな。

今から班を組んで実習してもらう。

専用機持ちをリーダーとして、

出席番号順に一人ずつ各班に入れ。

なお華蛇には私達教員と同じく、

全体的に指導してもらう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やった、織斑君の班だ。

やっぱり相川って名字は最高ね。」

 

「セシリア、さっきはドンマイ。」

 

「幸逆君、今日はよろしく。」

 

「デュノア君、今日は色々と教えてね。

……色々とね……。」

 

「ラウラ、どうすれば織斑先生を

マスターと呼べるかについて

共に考えようではないか。」

 

「凰さん、私は一組の……」

 

 

 

 

 

 

 

 

……ちなみにラウラの班で

 

話しているのは岸原だけだ。

 

ラウラは無視、

 

他の人はただおろおろしている。

 

「ラウラ、

あまり皆を困らせちゃだめだよ。」

 

そこに櫻が割り込む。

 

「しかし兄弟子……。」

 

兄弟子!?

 

いや確かに櫻の方が先に 

 

千冬さんに教わってはいたけど。

 

チートはラウラをも懐柔したか。

 

櫻がラウラに耳元で何かを囁く。

 

何故かは分からないけど、

 

その場面を見てドキっと

 

してしまったのは秘密の話だ。

 

 

 

 

 

 

 

打鉄かリヴァイブを訓練で使うのだが、

 

俺達の班はリヴァイブになった。

 

皆、起動や基本的動作はできていたので

 

今日は実際に

 

色々な武装を使ってもらった。

 

「その銃はさっきのと違って、

片手でも使えるけどどう?」

 

「うーん、片手で撃つと

反動が大きいのかな?

なんか当てにくい……。」

 

「確かにさっきのは

両手持ちの中では軽かったからなぁ。」

 

「えっ?私は今あんたが

使ってるやつの方が

使いやすかったと思うけど。」

 

「リヴァイブだと、

たくさん後付け武装あるから

今月末の個人トーナメントまでに

自分で使いやすいやつ

決めればいいんじゃないかな。」

 

正直様子を見ていると、

 

複数の武装を使いこなせそうにはない。

 

 

 

 

「そういえば幸逆君って、

全部、専用の武装だよね。」

 

「あー、うん。そうだね。」

 

「篠ノ之博士に作ってもらったの?」

 

俺にふられる話題の半分以上が

 

何らかの形で

 

束さんに関係したことである。

 

正直下手なことを

 

言えない話題なので苦手だ。

 

それに話している俺ではなく、

 

束さんにしか興味がないというのが

 

伝わってくるのも嫌だ。

 

仕方のないことではあるのだが……

 

いっそのこと、箒みたいに

 

きっぱりいってしまえば楽なのだろうが,

 

それができたら苦労はしない。

 

「そうなるね。

シャドウもらった時に付いてたから……」

 

「専用機もらった時

どんな感じだったの?」

 

「私も気になる!」

 

ちなみにこの手の質問は何回も受けた。

 

そしてそのたびにごまかしてきた。

 

俺が答えに戸惑っていると、

 

 

 

 

 

「馬鹿者、何をぐずぐずしてる。

一番お前の班が遅れてるぞ。」

 

一夏の班がお叱りをくらっていた。

 

「うわっと、

俺達の班も関係ないこと話してないで

テキパキやってこう。」

 

「はーい。」

 

よし、なんとか話題を逸らせた。

 

 

 

 

 

ちなみにラウラの班は

 

一応まともにやっていた。

 

櫻は何をふきこんだのだろうか?

 

唯一まともじゃなかったのは

 

一夏班だ。

 

とはいえ、どの班も

 

今日の上達具合は微妙だったようだ。

 

やっぱり専用機持ちと違って、 

 

練習時間が少ないからだろうか。

 

思ったより操縦できておらず、

 

俺達専用機持ちとの感覚と

 

大きく違っていて指導しにくかった。

 

勿論千冬さんや山田先生の助力が

 

あったから最低限はやったつもりだが。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午前の授業終了後、

 

昼休みを使って俺と一夏は

 

IS専用のカートで

 

一夏の班の訓練機を運んでいた。

 

午後に格納庫で整備の授業をするためだ。

 

なお俺の班のは授業中に俺が運び終えた。

 

遅れていた班というか、

 

一夏の班だけが授業中に運べなかった。 

 

「女性に好かれすぎるのも

考えもんだな。

授業が滞るんじゃなぁ。」

 

「あれって好かれてるのか?

シャルルなんて運んでもらってたし。

俺は好かれてるとは思えないけど。」

 

相変わらずの一夏である。

 

俺の班の女子との態度の違い

 

見れば分かるだろうに。

 

「シャルルは要領いいよな。」

 

「じゃあ今度から女子に囲まれたら

シャルルに対応任せよう!」

 

一夏と一緒に居る時を除くと、

 

女子に囲まれたことなんて俺にはない。

 

「まあ二人は大変そうだよな。」

 

「なんだよ。二人はって。

紅侍だって、さゆかがいるじゃないか。」

 

一夏がからかうように言う。

 

こいつなぁ。

 

「そういうのではないんだって。

というか一夏までからかうなよ。

最近その件で

気が滅入っているんだから。」

 

「悪かったよ。」

 

「そういえば一夏って

どんな女子が好きなの?」  

 

これは以前から聞こうと思ってたことだ。

 

ただあんまり一夏と

 

恋愛関係の話をする機会がなかった。

 

「どんなって……」

 

一夏はうーんと唸り出す。

 

「変わらず、一緒に居てくれる人?」

 

なんか重い回答だな。

 

「性格とかは?」

 

またしばらく唸った後、

 

「……自然体で居る人……?」

 

小さな声で言い、それから

 

「やっぱり分からない。」  

 

少し悲しげに答えた。

 

「織斑先生みたいな人って

答えると思ってたよ。」

 

俺は冗談まじりに言った。

 

鈴とか櫻って言われたら、

 

どうしようかと

 

思ったというのが本音だ。

 

「いやそれどういう意味だよ……

そういう紅侍は?」

 

「俺か?」

 

改めて言われると難しいな。

 

俺を見てくれる人……

 

いや、

 

「……あー、じゃあ

織斑先生みたいな人とか。」

 

全くの嘘である。

 

「千冬姉は紅侍にはやらないからな。」

 

なんか目が真剣だ……

 

シスコン怖い……

 

「冗談だって…… 

どちらかというと、苦手な方だよ。」

 

「千冬姉は家事はできないけど、

綺麗だし、失礼だろ。」

 

いや性格の話してるんだけど……

 

やっぱりシスコン怖い。

 

 

 

 

 

一夏と別れた後、

 

『じーくんの好みって結局なんなの?』

 

束さんから通信が入った。

 

『束さんにそんなこと

聞かれるとは思いませんでした。』

 

『うーん?ちょっとねぇ。』

 

『じゃあ束さんみたいな人で。』

 

『あははは。

それ、あの同室の女に言ってやれば?』

 

『嫌ですよ、

今微妙なバランスで

成り立っているんですから。』

 

『ふーん……まあどーでもいいけどねー』

 

一体なんなんだ?

 

でもさゆかかぁ。

 

気兼ねなく話せるタイプは好きだ。

 

でも前世も今世も色恋沙汰から

 

程遠い位置にいたので

 

やっぱり分からない。  

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。

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