書いている途中には
毎回前書きとか後書きに書こうと思う内容が思いつくのですが、
このサイトに投稿する頃には忘れている不思議……。
「ラウラと戦う上で厄介なのは
あのワイヤーブレードだ。」
「AICじゃなくて?」
「AICは2対1に持ち込めば、恐ろしくない。
ワイヤーブレードのように手数が増えるのがな。」
「この間乱入した時、
ワイヤーブレードを止めたって聞いたけど?」
「あれはラウラにとっては奇襲だから……」
そこで俺は思いつく。
束さんが俺はもういつでも走馬灯に入れると言ったことを。
「……ワイヤーブレードなら封じ手あるかもしれない。」
「本当?」
「ただできる自信はない。」
「私は紅侍を信じるよ。」
「……ありがとう。」
「じゃあワイヤーブレードはいいとして、箒はどうしようか?」
「正直向うがチーム戦でこないとこっちもチーム戦はやりにくい。
だから俺がラウラを抑えている間にさゆかが箒を倒してくれるか?」
「できるかな?」
「できるよ。
さゆかが俺を信じてくれるなら、
俺はさゆかを信じる。」
「紅侍……。」
「それにさゆかは射撃得意なんだから
箒を寄せ付けなければ勝てるよ。」
「ちょっと今のは言わなくても良かったかも。」
さゆかが少しがっかりした顔をする。
「えっ、なんで?」
「なんか理屈述べられるとなぁ……
そういうのじゃなくて。」
女の子の扱いって難しい。
「あっ、AICはどうしようか?」
「露骨に話題逸らした。
それに2対1なら問題ないって言ってなかった?」
少し怒ってる?
「まあ考えとくに越したことはないだろ。」
「そうだけど……
空間圧を利用するんだよね。」
「空間圧か……。いや……」
AICによって追い込められた後、
走馬灯で展開できればいくらでもやりようはあるか。
「それも俺に任せてくれ。」
さゆかは少し不満そうな顔をした。
「何か?」
「いやなんでも。」
……?
試合開始のブザーがもうすぐ鳴る。
俺は心構えをする。
確か走馬灯はシャドウが制御しているんだったな。
ならば、
頼む、シャドウ……俺に力を貸してくれ。
ブザーが鳴る。
途端に世界がゆっくりになる。
できた、できた!
ありがとう。シャドウ。
やっぱり話しかけるように接すると上手くいく気がする。
俺はワイヤーブレードが出る穴の位置を特定する。
そしてその穴に密度が高く、硬度のある星の欠片を展開する。
つまり穴を詰まらせる。
六箇所全てを封じると、世界は時を取り戻した。
「お前、やってくれたな。」
ラウラがこちらを睨んでくる。
どうやらワイヤーブレードを壊したのに気づいたようだ。
使おうとでもしないと気づかないだろうに。
何故最初からワイヤーブレードを使おうとしたかは知らないがまあいいか。
使えないことに気付かないまま試合をしてくれれば
一度相手に大きな隙が生まれただろうことを考えると少し惜しいが。
『ワイヤーブレードを封じるのは成功した。
さゆか、箒は任せた。』
『了解。』
俺は予定通り、ラウラと一騎打ちするためにラウラに接近する。
一方ラウラ組は箒が前に出て、
ラウラはカノンを撃ってくるだけで移動しなかった。
箒は俺を迂回するように移動したので、俺も無視した。
箒と戦い始めて、ラウラを疎かにする方が怖かったからだ。
それに箒とさゆかが一対一になるなら好都合だ。
「お前らもチームプレイも何もないな。」
「そんなことない。
俺とさゆかは信頼し合っている。」
「どうかな。まあいい。
私達に信頼関係がないのは事実だ。
使えなければ捨てる。」
その時ラウラがカノンを放つ。
俺は避ける。
近距離とはいえ、タイムラグが少しあるカノンが当たるはずはない。
「だが、使えるものは使う。」
ラウラの口角が上がった。
俺にはその意味が分からなかった。
俺は両腕に籠手にした龍の尾、
左手に小雨、右手に裂空を持ってラウラに挑む。
ラウラはプラズマ手刀を出し、時折カノンを放ちながら俺と対峙する。
ラウラの方が基本戦闘技術は上であり、俺は押しきれないでいた。
とはいえラウラもワイヤーブレードがなく、
いつもの戦いができないらしく攻めあぐねていた。
「お前の言う信頼というのは実にくだらないものだな。」
「なんだと?」
「お前は信頼するから、お前のパートナーを放っておくのか?」
「何をさっきから言って」
その時アナウンスが告げた。
『夜竹さゆか シールドエネルギー0』
『ごめんなさい』
さゆかから通信が来る。
その声はどこか悲しげだし悔しそうだった。
俺はその通信に返事をしようとは思わなかった。
頭が混乱していてそれどころではなかったのだ。
なぜ?
なぜなんだ?
「分からないという顔だな。
教えてやろうか。」
「……」
「私が最初にお前に近距離で放ったカノン。
あれはお前に当てるためのものじゃない。」
まさか……
「想像がついてきたか。
そうだ、私があの女の瞬時加速を助けたのだ。」
瞬時加速は外部エネルギーを取り込んで加速させるものである。
通常は自分のエネルギ―を使うのだが……他人のエネルギーでも構わないのだ。
「なぜ、お前らが協力なんて。」
「そんなものじゃない。
使えるものを使っただけだ。
あの女の剣術は捨てたものじゃない。
接近さえできれば勝てる、そう踏んだだけだ。」
「お前はどう考えていたんだ?」
「……お前とある意味逆だ。
箒を寄せ付けなければ勝てると踏んでいた……。」
そして箒は近づけないと思っていた。
「だろうな。
さて2対1だ。
まあこれ以上は奴にはあまり期待していないがな。」
俺は再び考える。
なぜこいつらが協力を……。
俺は今防戦一方だ。
盾にしている龍の尾はいつかは壊れてしまうだろう。
その上裂空も剣同士でやりあうためのものでないから、そうはもたない。
この次はどうする?
考えようにも頭は回らない。
なぜこいつらが協力したのか?
どうしてこんな事態に陥っているのか?
そんなことばかりが脳裏をよぎる。
そういえばどうしてさゆかは
自分がピンチであることを言ってくれなかったのだろうか。
目の前の戦況に集中できない。
瞬間、世界がスローになる。
危機になっているか?
いやなっていない。
俺は気づく。
シャドウが気をつかって走馬灯にしてくれたことを。
そうだ、冷静になれ。
ゆっくりと考えろ。
ここならいくらでも考えられる。
現状は極めて厳しい。
ラウラも箒もシールドエネルギーはほとんど減っていない。
ただISの耐性から考えて先に潰すなら箒だ。
巨人刀で二発、いや小雨の一本化したレーザー数本と巨人刀一発だろう。
それとも小雨のレーザーを5、6本当てた方が早いだろうか。
距離さえ詰められていない状況なら後者だ。
しかし今は距離を詰められていてラウラとはさまれている以上
距離をもう一度開くというのも無理だ……。
手っ取り早いのは前者であり、接近している今なら前者だろう。
さて巨人刀を当てるとなると、紫電を使う必要がある。
接近しているので紫電+星の欠片を使うまでもなく、
走馬灯内で紫電さえ展開すればどうとでもなるだろう。
だが紫電を当てた後ラウラが俺を放っておくか?
しかし紫電を使うしかもう手はない。
俺は裂空を収納し、紫電を展開した。
世界が時間を取り戻す。
目の前の紫電を右手で掴みとる。
その瞬間、俺の眼前にはフレイルの鉄球が迫ってきた。
またコンディションッドリフレックか。
俺の紫電が展開されたに対し条件反射的にフレイルを展開、
紫電を狙うように設定してあったのだろう。
このフレイルはただのフレイルではなく、
スラスターをつけて加速させてるみたいだ。
重い鉄球のくせに速い。
俺は体を無理矢理回転させて、
背中のホルダーにあった巨人刀を盾にする。
無理矢理な回転と背中に来た衝撃で体のあっちこっちが痛くなる。
箒がここぞとばかりに攻めてきたが、
ホルダーが破けて、巨人刀が落ちたことで身軽になったので、
なんとか避けられた。
そして空振った箒に紫電を当てる。
で、これと同時に巨人刀に弾かれて一度は
ラウラの手元に戻ったフレイルが襲ってくる。
俺はまた体を無理矢理捻り、ラウラの方を向く。
フレイルを左腕の龍の尾で受け流す。
龍の尾は粉々になり、腕に多少のダメージが来る。
しかし予定通り、逸らすことはできた。
逸れたフレイルは紫電を喰らった箒に正面から直撃する。
しかしフレイルの鉄球についてたトゲのようなものが
ワイヤーブレードのように伸び、俺の紫電を貫いた。
ちっ、俺は三度無理矢理回転し、無防備な箒の方を向く。
この時にはラウラはフレイルのコントロールを取り戻しており、
フレイルを俺の方に向ける。
俺は右腕を前に出し、龍の尾を盾にしながら、
左手で小雨のトリガーを弾きまくる。
『篠ノ之箒、シールドエネルギー0』
よし、これで一対一だ。
お疲れ様でした。
ちなみに最初ラウラがワイヤーブレードを使おうとしたのは、
箒をぶんなげてさゆかの元により速く到着させるためです。
後ラウラは闇と光の仮面と対決している時の海馬君の
テンションで箒を利用したと思ってくれれば。
まあラウラは隊長な訳ですし、多少は人を使えるはずです。
たぶん。