シャドウ   作:ゆばころッケ

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紅侍「苦渋の選択だ、一夏」

一夏「は?」

紅侍「箒、櫻、鈴、シャルロット、ラウラから一人選ぶんだ。」

一夏「……質問の意味が分からないが、二つ異議がある。」

紅侍「これだからハーレム主人公は……。
   まあいいや、とりあえず異議を言ってみてくれ。」

一夏「まずどうしてセシリアが入っていないんだ?」

紅侍「五人じゃなくなってしまうからだ。」

一夏「……なら仕方ない」

紅侍「仕方ないだろ。」

一夏「……後でセシリアに殺されないといいな」

紅侍「たぶんその凶刃の標的は一夏だから大丈夫。
   でもう一つの異議は?」

一夏「どうして千冬姉が入っていないんだ?」

紅侍「……あっ。」

一夏「……?」




千冬「ば、馬鹿者。
   廊下でそんなことを話すものじゃないぞ、一夏。」

千冬さんはそれだけ言って去って行った。





紅侍「殴られなかったな。」

一夏「そうだな。」

紅侍「一夏って呼んでたな。」

一夏「千冬姉は動揺するとそうなるな。」

紅侍・一夏「……」








※書きたかったことを書いていなかったので修正しました。



第四十六話 学年別トーナメント 後日談

「今日は皆さんに新しい友達を紹介したいと思います。

いや新しくはないですが……」

 

妙に歯切れの悪いことを言う山田先生。

 

ああそうだったなぁ。

 

このタイミングだった。

 

「じゃあ入ってください。」

 

山田先生の発言を受けて入ってきたのは

 

金色の髪、エメラルドの瞳、貴公子のような振る舞いの……

 

「シャルロット・デュノアです。」

 

女の子でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教室が騒然となる。

 

「デュノア君って女の子だったの!?」

 

「そ、そんな。私の初恋を返せ!」

 

「あれー。昨日おりむー達が大浴場使ってなかったっけ?」

 

ちなみに俺は使ってない。

 

皆の視線が一夏に集中する。

 

ここでシャルには非難の目が向けられないのは

 

シャルと一夏の両方に原因があるんだろうな。

 

「一夏……?」

 

教室のドアが静かに開けられ、

 

既に甲龍を纏っている鈴が現れた。

 

「待て、鈴。

話せば分かる……」

 

「バイバイ。」

 

鈴は衝撃砲を放つ。

 

グッパイ、一夏。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まあハーレムが原因で一夏が死ぬ訳がないのである。

 

一夏と鈴の間に立ったラウラはAICで衝撃砲を止める。

 

「……ラウラ。

サンキュ、でもどうして」

 

「私は決めたのだ。

私は教官が好きだ。

そしてお前のことも気に入った。

二人と一緒に居たい。」

 

朝から凄い事言うなぁ。

 

まあ深夜に告白された俺も健全とは言えない気がするが。

 

「だから私はお前を嫁にする。」

 

そしてラウラが一夏にキスをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間時が止まった。

 

別にシャドウがどうとかじゃなくて、

 

比喩的な方の意味である。

 

こういう状況の度に思うことだが、一夏ってモテるよな。

 

教室中が驚きのために何も言えていない。

 

だが、箒、シャル、セシリアさんはISを展開していた。

 

……一夏、今度こそさようなら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝の一限目が自習となり、

 

俺と櫻、後簪さんを除く専用機持ちが織斑先生に連行されていった。

 

教室はさっきのラウラのキスで何だか浮ついていて、自習という雰囲気じゃなかった。

 

そんな雰囲気のせいだろうか、

 

俺も自習なんてする気にならず、昨日の事を考えていた。

 

……正確には今日か

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私と付き合ってくれないかな……」

 

俺は前世も含めて今の今まで告白なんてされたことはなかった。

 

本来なら嬉しいことのはずだが、手放しで喜ぶ気にはなぜかなれなかった。

 

 

 

 

 

でも……断ったら認めているような気もした。

 

さゆかのことは友人としては好きだが、

 

女性としてはどうなのか……以前も考えたことだ。

 

俺はそれを考えるべきだったが……

 

 

 

 

 

 

俺の中の疑念を認めたくない。

 

その理由だけで俺は彼女の告白を受け入れることにした。

 

「やっぱりだめ……かな?」

 

少し待たせすぎたかもしれない。

 

さゆかじゃなくても不安になるだろう。

 

さゆかは俺に顔をうづめていてまだ表情は分からなかった。

 

「俺にできることならなんでもするって言ったろ?」

 

「じゃ、じゃあ……」

 

「俺で良ければ付き合おう。」

 

この時もさゆかの表情は見えない。

 

ただ俺の服を掴む力が強くなった。

 

 

 

 

 

 

 

その後は泣いているさゆかが寝てしまうまで添い寝をした。

 

もちろん年齢制限をかけなくちゃいけないようなことはやっていない。

 

念のためそれだけは言っておこう。

 

って俺は誰に言い訳してるんだ……。

 

俺はちらっと横を盗み見る。

 

するとさゆかは俺を見ていたようで目が合う。

 

見つめ合うこと数秒、お互いに顔が赤くなって目を逸らす。

 

……なんか我ながら初々しいな。

 

さゆかは綺麗だから他の人と付き合ったこともあるかもしれないが、

 

俺は初めてだしな。

 

でも男の方が恥ずかしがっているってのもなんか格好悪いな。

 

 

 

……こういうことで悩める時間は本当に幸せだと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、少しツラを貸せ。」

 

昼休みにラウラに呼び出された。

 

間違いなくデミスⅢに関することだろう。

 

「お前の嫁はいいのか?」

 

俺は用件を分かっていながらラウラを茶化す。

 

あまりデミスⅢに関して話したくないから話題を逸らせればと思う。

 

「一夏なら問題ない。

日本では手をつないだら嫁になるというではないか。

く、口づけまでしたのだから一夏はもう私の嫁だ!」

 

何時の時代の話ですか……それ。

 

あとなんで口づけって言うのを恥ずかしがっているの?

 

さっきクラス全員の前でキスをしておきながらなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここら辺でいいか。」

 

いつぞやと違い、校舎裏まで連れていかれた。

 

もしかして告白?くらいの軽口をたたいてみたくなったがやめた。

 

「さて、お前と私の試合の最後、お前がしたことについて教えてもらおうか?」

 

やっぱり言っておいた方が良かったか?

 

束さんからは通信が来なかった。

 

「あの後、俺気絶しただろ?

だから良く覚えていないんだよ。」

 

「ほう、なら思い出してもらおうか?」

 

そう言ったラウラは怖い顔をしていると思う。

 

そういえば軍人なんだよな。

 

何されるか分かったものじゃない。

 

いや……もし俺の方に力があるならば、何かをするのは俺なのか。

 

「少し考えさせてくれないか。」

 

「……いいだろう。」

 

そう言うとラウラは目の前でナイフをいじり始めた。

 

脅しのつもりなのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『束さん、どうしますか?』

 

『うーん、普通ならいっくんのファーストキスを奪った罪とかもろもろ

含めれば判決は死刑、じーくんの裏の初仕事ってところなんだけど……』

 

『……そんなことしたら隠せないですよ。』

 

『いやそういう問題じゃなくてさ、ちーちゃんが

そいつのことを気に入ってるんだよねぇー、面白くないことに。

だからさ、そいつの対応はじーくんに任せたよ!』

 

丸投げですか……

 

まあ丸投げしないならこっちから連絡するまでもなく、通信が来ていただろう。

 

『じゃあデミスⅢのこと、素直に話していいですか?

その上で束さんの名前を出して脅してみます。』

 

『仮にも軍人なんでしょ、そいつ。

そんな脅しにのるかなぁ。』

 

『一夏と出会って彼女の価値観は変わったみたいですし、

やってみる価値はあると思いますよ?

それと……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後少し話したところでしびれを切らしたラウラが話しかけてきた。

 

「おい、そろそろ答えをきかせてもらおうか?」

 

そう言ってラウラは俺に当たるか当たらないかすれすれにナイフを投げた。

 

ナイフが校舎に刺さる。

 

「分かった、分かった。

正直に話すよ。見られた以上いつまでも逃られるとは思えないしね。」

 

俺は両手を上げて降参しましたというアピールをする。

 

「じゃあ私の質問に答えてもらおうか?」

 

「なんでもどうぞ。」

 

「まずお前はISを二つ持っているのか?」

 

「随分と核心からきくなぁ。

まあそうなるね。」

 

俺がどこか余裕を持った態度でいるのが気に入らないのだろう。

 

ラウラの苛つきが伝わってくる。

 

「シャドウでない方のISのスペックについて述べろ。」

 

「俺が知る限りじゃあ最強?」

 

最も赤椿には劣ると思う。

 

まあそれでも箒+赤椿よりは強い自信はある。

 

ちなみにブラッディッドリッチには勝っている。

 

かといって櫻+ブラッディッドリッチには勝てないだろう。

 

「それが本当かどうかはともかく、

操縦者はそうではないみたいだがな。

さてと……スペック以外の力も確認しておこうか。

お前はシャドウにヘビー・スモーカーを装備させてたのか?」

 

「ああ、あれはもう一つのISの方に装備してたんだよ。」

 

「あの大量のキャプチャーチェーンやプレサイスもか?」

 

「ああ。」

 

「……今までの質問は前座だ。

では私のカノンをどうやって奪った?」

 

これは誤魔化した方がいいな。

 

ワンオフ・アビリティーは通常第二形態以降でしか使えない上に、

 

IS暦が半年もない俺じゃあありえないことだ。

 

ワンオフ・アビリティーが発現しているなんて知られたら面倒だ。

 

「篠ノ之博士が作った新武装だ。

相手の武装を消せるものなら今までいくらでもあったんだ。

別に篠ノ之博士がやったっていうなら不思議でもないだろ。」

 

「……そうか。

まあお前の言葉なんて信用していない。

お前のISのデータを渡してもらおうか。」

 

俺が何故こんな余裕の態度をとっているのか考えはしないのだろうか。

 

「ところでここって人が居ないよな。」

 

安心と信頼の校舎裏だ。

 

「だからどうした?」

 

「お前に俺のもう一つのISのことを公にされるのは困るんだよ。

だからさ……場合によってはやらなくちゃいけない。」

 

ラウラの顔は険しくなった。

 

「私に勝てるとでも?」

 

「どうだろう?

一対一なら勝てる自信はある。

ただここは学園だ、騒ぎを起こせば俺が不利だろうな。」

 

一対一なら勝てると言われたことに不快感を覚えたようだが、

 

それでもそんな安い挑発には乗ってこなかった。

 

「そうだ、状況は私が有利だ。

お前の弱みを握っているし、強硬手段にも私に分がある。」

 

「……その先に篠ノ之博士が敵に待っているとしても?

ここは一つ、お互いに損のないようにしないか?」

 

……ラウラの顔には一瞬迷いが見受けられた。

 

束さんのことを皆恐れているのだ。

 

そのチャンスを逃さないために、俺は畳みかける。

 

「お前には俺のISの事は言わないでもらいたい。

その代わりに……。」

 

俺はシャドウを部分展開する。

 

ラウラは一瞬反応が遅れ、

 

その間に俺は紫電をラウラの胸元に突き付ける。

 

……首には突き付けられなかった。

 

あの試合の最後プレサイスによって、

 

傷つけようとした事を後悔し、

 

すぐに傷つけられなかった事を後悔したはずだった。

 

だが今は首に突き付けられなかった。

 

別に撃つという訳ではないのに。

 

俺は首に巻かれた包帯に左手で触りながら言った。

 

「紫電は相手のISの動きを完全に止められる

世界でも類のない武装だ。こいつをお前に与える。」

 

ラウラは俺に遅れをとったことに動揺を隠せないでいた。

 

とはいえそれは無理もないことだ。

 

自分でも驚く程速く展開できた。

 

「……私のメリットはそれだけなのか?」

 

「それだけ……?

紫電の構造さえ分かればドイツがISを止める技術を独占できる。

それに俺がもう一つのISを使ったとしても、

お前は紫電で俺を止められる。」

 

俺は溜息をついてから言う。

 

「悪い取引ではないと思うが。」

 

最も紫電はシャドウの初期武装なので、

 

他のISにも装備できるようにするには

 

束さんにもう一手間かけてもらうことになるが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『じーくん、近くにちーちゃんが居るよ。

じーくんがさっきシャドウを展開したら一瞬殺気があった。』

 

殺気ねぇ。俺にはいまいち分からない。

 

というか通信越しでも分かるのか……

 

まあ束さんの超人性は置いておくとして、確かに一人で来る訳はないな。

 

「私は……」

 

ラウラが戸惑っているとわざとらしく、カツカツと歩く音がした。

 

「ラウラ、もういい。」

 

現れたのは千冬さんである。

 

まあそれ以外だったら困る。

 

「千冬さん、でも……」

 

ラウラが救世主を見つけたとばかりに明るい顔を一瞬見せる。

 

呼び方……

 

いや今はシリアスムードだ。黙っておこう。

 

「幸逆、その条件を呑むと束に伝えておけ。」

 

千冬さんは心なしか苦しそうな顔つきである。

 

苦渋の選択ってやつなんだろうか。

 

『さっすが、ちーちゃん。話分かるぅうううう!』

 

「織斑先生ならそう言ってくれると思いましたよ。

ただ紫電はまだ他のISには装備できないのでまた後日お渡ししますね。」

 

俺は頭を下げてその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紅侍、ご飯一緒に食べようよ。」

 

教室に帰るとさゆかが待っていた。

 

「まだ食べてなかったんだ。

……行こうか。」

 

少し意外なことにラウラと何を話していたかは聞かれなかった。

 




お疲れ様でした。

これで原作的には2巻終了。

この作品的には2章終了です。

次回から千冬さんの番外編の予定でしたが、

先にさゆかの番外編を入れようと思います。

千冬さんの番外編は三章の最後にやります。たぶん……





最近投稿がスローですみません。

このペースだといつ終わるのかという気もしますが、

まあのんびりゆっくりやっていきたいです。
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