氏名 岸原理子
問い一 ISはそれぞれの世代によって
何を目標として作られたか答えよ。
第一世代 対宇宙人用の人類最終兵器
IS(インペリアル・スカイアーマー)の完成
第二世代 宇宙人の多様な攻撃に対抗すること
(後付武装でこちらも攻撃の多様化)
第三世代 操縦者の妄想力を生かした武装の装着
(宇宙人には地球人の考えを理解できないために
この攻撃は非常に有効だった。)
「助けてくれ、紅侍。」
一夏が俺にすがるように頼む。
まあ用件は聞かずとも分かる。
「テストか?」
「そう、それなんだ。
紅侍と同室の時は紅侍が見ていてくれたから
よかったけど……」
もしかして勉強していなかったんだろうか。
「シャルロットだって教えられるだろ。」
「いやそうなんだけど、
二人でラウラをどう倒すばっかり考えていたり、
その前は箸の持ち方等々日本の作法を教えていたりしててだな……」
「はぁ……教えるのは構わないけど俺のやり方は非効率だぞ。
とにかく演習してみなければできないって主義だし。」
「そこをなんとか。
テストに間に合うようにお願いします。」
期末テストで扱うのは五科目。
数学、物理、化学、IS学、英語(外国語)だ。
他の教科は授業内での小テストで処理されている。
この五科目の内、
理数系の三つは公式覚えて、後は使っていくしかないと俺は考えている。
公式は覚えるだけでは使えない。
それは自転車の乗り方を聞いたって、乗れないのと同じだ。
実際に乗って転びながら、体(頭)に染み込ませるしかないのだ。
英語だってそうだ。
言語である以上、単語を覚えて、長文を読み込んで
言葉を理解していくしかない。
まあ期末テストに出るのは授業でやった文章だから少し楽か。
ISに関する文章だからポジティブに考えればIS学の勉強にもなる。
マイナスに考えれば一夏が好きでない文章ということになる。
最後IS学。
こいつが最終的には一番厄介だ。
物理やら化学で学んだことを使う計算問題がいつかは出る。
ただ今回の範囲はIS基礎だから暗記だけだ。
手堅く点を稼ぐべきだろう。
以上の考察を踏まえて……
「よし、一夏、目標は60点だ。
基礎だけ取る。応用は捨てよう。
暗記で押しやすい英語とIS学だけは70点以上を目指そう。」
口ではこんなことを言っているが、
現実はここからマイナス15点~20点を想定している。
赤点は30点以下というのが決まりらしい。
勉強をさぼった一夏が好成績を取れる程現実は甘くないのだ。
赤点さえ避けられればそれでいいだろう。
ただ最初から目標40にすると、40は絶対に取れない。
目標は高めがいいのだ。
「分かった。
まず何をすればいい?」
「IS学は俺と同室の間に
実は雑談に紛れこませて仕込んだつもりだ。」
「ああ、確かに。
授業で紅侍が話してたなぁって思ったこと多かったな。」
一夏が感心したようにうなずく。
「だろ。
だから最悪直前に教科書三周ぐらいすればなんとかなる。
英語はノートしっかり取ってるか?」
「ああ、それなんだけど、
教師が英語で話すからさ……」
外国語だけは山田先生や千冬さんではなく、
イギリス出身の先生が教えてくれている。
「俺と同室の時は俺がノート添削してたな。」
といっても俺も読むのはともかく、聞くのはいまいちだ。
だが内容がISに関することなので理解できているという面が大きい。
「でもシャルロットは日本語だろ。
だからそういう訳にもいかなくてさ。」
日本人が英語、外国人が日本語を学ぶというパターンがほとんどである。
ちなみに外国語は一二組合同であり、
鈴は一夏目当てに英語を選択している。
まあ鈴も英語は日本語と比べれば
できていないから正しい選択なのだが。
「OK、まずは今までのノート添削からしよう。
理系三科目は?
宿題ぐらいはやってきたんだろうな?」
宿題といってもチェックが入る訳ではない。
明日の授業までにやってきてね、
明日解説するからっていうのがお決まりの流れなのだ。
だからさぼろうと思えばいくらでもさぼれる。
「ああ、宿題はシャルロットに教わった。」
「なら覚えているかはともかく一度はやっている訳だ。
下地があるならそこまで悲観しなくても大丈夫だ。
よし、まずはどのくらい覚えているか試すか。
後で問題集から簡単な問題だけ抜き出すからそれを解いてみてくれ。」
うん?
ここにきて今までうんうん頷いていた一夏が急に黙ってしまった。
「どうかしたか?」
「いや……なんか悪いな。
紅侍は自分の勉強大丈夫か?」
「馬鹿。
人の心配できる身分かっての。
まあ少しでもそう思うなら
俺が自分の勉強時間確保できるように頑張ってくれ。」
この言葉は結構きくだろう。
自分のためより人のための方が一夏はできるタイプだしな。
まあ教えるっていうのは自分の勉強にもなる。
……それにもう勉強ぐらいしかまともにサポートできることないよな。
以前にも増してそう思うのだ。
IS学園は全生徒の成績が順位と合計点数つきで掲示に張り出される。
一夏には総合順位まで聞かないでくれと言われたので
一夏の詳しいことは分かっていない。
また俺自身も個々の点数は知っているが、
順位が分かるのはこの掲示だけなのでちょっと楽しみだったりする。
ざわざわした女子の群れの中に突っ込む気にはなれず
遠目から背伸びしてみる。
1位 華蛇櫻 500点
2位 セシリア・オルコット 489点
3位 幸逆紅侍 482点
4位 リリー・シリア 480点
5位 シャルロット・デュノア 477点
6位 更識簪 476点
7位 凰鈴音 473点
8位 鷹月静寐 468点
:
14位 ラウラ・ボーデヴィッヒ 458点
:
:
21位 篠ノ之箒 442点
:
:
:
88位 織斑一夏 297点
:
91位 夜竹さゆか 288点
:
:
125位 岸原理子 0点
まあ興味があるのはこんなところか。
最後に見た天才か馬鹿にしか取れないと噂の点数は無視することにしよう。
さてチートはシカトするとしてセシリアさんに負けたのは悔しい。
「幸逆さん。」
噂しなくても考えていると影はさすものである。
いつの間にかセシリアさんが隣に居た。
「オルコットさんには勝ってなかったよ。」
「ですが正直驚きましたわ。
普段の授業の様子から頭が良いとは思っていましたが
まさかこれほどとは……。
これは私の中で幸逆さんの評価を改めなければなりませんね。」
なんか俺、いつもこいつに評価されてる気がする。
「ホント、あんた、なんでそんなにできんのよ。
あたし5位以内は確実だと思ってたのに。」
鈴がそう言って絡んできた。
「本当に紅侍すごいねぇ……
なんとなくすごそうだと思ってたけど……
うーん……喜ぶべきか悲しむべきか。」
さゆかは複雑そうな表情だ。
「まあ基本的に頭脳派なので。」
俺は眼鏡をクイっとしてみた。
頭脳派もくそもなく転生のおかげなのは当然黙っとく。
「あんた、その動作むかつくからやめなさい。」
鈴に腹を殴られる。
……すぐ手を出すのはよくないよ。
「おーい、一夏。」
掲示が張られてからしばらく、
ようやく人が少なくなってきたところで
最前線で掲示を見ていた一夏を発見した。
「紅侍。俺やったよ。
半分には届かなかったけど我ながらよくやったよ。
紅侍のおかげだ。
ありがとう、ありがとう。」
よくわからんが目から涙を流している。
「で、結局各教科どんな感じだった?」
俺としても及第点を与えてあげたいところだ。
これだけできれば十分である。
「ああ、
数学43 物理49 化学52 英語72 IS学81 だ。」
うーん、やっぱり理数系は直前だけじゃどうにもならんか。
IS学がやけに高いのは平均が高いというのもあるが、
さすが俺の弟子といったところか。
「理数系は夏みっちりやろうな。」
とはいえここは甘やかさない。
「……だな。
また教えてくれよ。」
この約束は結局守れなかったのだが……。
ちなみに皆のりこりん(自称)のテストの回答はひどいものだった。
数学は数字全てアラビア文字で書かれていた。
なおまともな数字で書かれていた場合は80点ぐらいだったらしい。
化学は私の考えた
物理には将来なりたいものが書き連ねられていた。
英語はカタカナで書かれていた。
IS学は地球を侵略しに来た宇宙人に対抗するために
ISが作られているという設定で書かれていた。
その後岸原は3日かけてグラウンドを20周させられていた。
「なぁ、紅侍。
今度の日曜日、付き合ってくれないか?」
さすがに男同士であって、
一夏が使っている意味にしか聞こえない。
「ああ、構わないけど、
お前、他にも誘っていたりしてないか?」
他に女子がいて睨まれたら嫌だ。
「うん?
シャルも誘ってる。
今まであんまり外出してなかったみたいだし、
今回お世話になったからそのお礼もかねてな。」
はい、アウト――。
危ない、シャルに殺されるとこだった。
手が出ないタイプだけに精神的なダメージが結構きつそうだ。
というか呼び方シャルに変わったのな。
「あー、ごめん。
俺、確かさゆかに誘われてた。」
一夏だからそれでも一緒に行こうぜというと思っていた。
「ああ、ならしょうがないな。」
なんかニヤニヤした顔で言ってきた。
少しイラッときた。
「そうそう、誘うならさ、箒さんと櫻にしたらどうだ。
箒さんも櫻も出かけるらしいぞ。」
このまま二人きりにすると束さんに怒られそうなので一応言っておく。
「おっ、そうなのか。じゃあ誘ってみるよ。」
そう言うと一夏は隣の部屋に出かけて行った。
まあ二人とも出かけるなんて特に言ってなかったけど、
櫻がいればなんとか対応するだろうし、
箒も箒で誘われたなら断ることはないはずだ。
さて俺も一夏とは反対の隣の部屋に行くか。
俺もさゆかと出かける約束なんてしてないからな。
「えっ、日曜日?」
さゆかは俺と同室に居た時よりラフな格好をしていた。
なんかさっきは深く考えていなかったが、
これっていわゆるデートに誘っている訳で
そういう時であるから普段よりドキドキしてしまうのは仕方ないことだ。
うん、たぶんそう。
目線が見えている鎖骨に行ってしまうのも仕方ない……
いや、だめだろ。
「うん、いいよ。
そういえば紅侍と出かけたことなかったもんね。」
あっ、やばい。
こういう時に笑顔を向けられると余計にこうくるものがある。
「じゃあ、日曜午前9時に校門で。」
俺はそれだけ言うととっとと逃げ出した。
お疲れ様でした。
今回ちょっと短いです。
まあそんなに考えて書く話でもなかったので
早くあげられました。
テストの点数はわりと適当です。
これぐらいだと統計を考えるとどんな感じになるんですかね?
まあ面倒なので考えないことにします。