シャドウ   作:ゆばころッケ

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遅れてすみません。
いや週一としては問題ないんですが、
いざ書いてみると毎回3000字程度でまとまるので
この少ない文量ならもう少し早くても良いかなと思っています。

後8巻読みました。クロエさん案外出番有りませんでしたね。
それはそうとモンド・グロッソの設定が……。
「第一回では決勝前にテンペスタと戦った。
けど相手の操縦能力がまだ低かった。」って感じにしといてください。
実際一年目だと千冬さんの方が操縦時間も長いし、
運動能力はチート並だしということで……。
第二回は苦戦してたしまあいいですよね。
とりあえずライバルっぽい雰囲気さえ醸し出せれば。
にしても操縦者の名前まで出たらどうしましょうか…。


第七話 クロエ、料理教室

「とりあえず始めようか。台所はどこ?」

 

俺はぎこちなく言った。

 

その言葉を聞くと、クロエさんは歩き始めた。

 

背中で長い銀色の三つ編みが揺れている。

 

たぶんついて来い的な感じなんだろう。

 

しばらく歩いていくと……

 

「どうぞ。」

 

どうやらついたらしい。

 

俺の居るこの場所はそれなりに広いようだ。

 

そこそこ歩いた。

 

「……冷蔵庫には何があるかな?」

 

どうにも話しかけにくい雰囲気なので独り言でごまかす。

 

意外にも冷蔵庫の中身には色々な素材があった。

 

俺は一応最低限の料理はできるつもりだ。

 

前世では小さい頃に親にかまって欲しくてよく料理したからな。

 

それが無駄な努力だと知って途中でやめたけど。

 

ちっ、思い出さなくていいこと思いだしたな。

 

「どうかしましたか?」

 

ずいぶんと考え込んでいたらしい。

 

「なんでもない。何作る?」

 

「あなたが作ればいいと思います。私の料理はあなたも食べたでしょう?」

 

まあ確かにそれが無難ではある。

 

だけどこれからお世話になるだろう束さんに

 

あんな料理を食べさせ続けるのは若干気が引ける。

 

それに作る本人だってつらいだろう。

 

彼女は料理に関しては自信がないみたいだし。

 

「食事を作るのが君の役目なら、俺は補佐にまわるよ。」

 

彼女の顔が少しこわばった。

 

「あなたが作ってください。」

 

少し声にドスがきいていた。

 

どうやら俺に押し付ける気らしい。

 

「分かった。じゃあ俺がメインでやるから補佐よろしく。」

 

とにかくやらせなければならない。

 

何事もやってみないことにはどうにもならないというのは俺の持論の一つだ。

 

……一歩踏み出すのが一番難しかったりするのだけれど。

 

「分かりました。」

 

やや不服そうにしながらも彼女は頷いた。

 

とりあえずメニューは豚肉の生姜焼きとポテトサラダとコンソメスープでいいか。

 

うん、さっきまで偉そうに言っていたけれど、

 

俺にあるのは最低限の料理スキルだからね。仕方ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 とりあえず彼女の料理を見て分かったことがある。

 

明らかに色々とおかしい……。

 

まず料理で一番大事だと思っているのが、効率だということ。

 

別に完全に間違っているかというとそうでもないが……、

 

「だからって、最大火力で放置、他の作業に没頭はないだろっ。」

 

俺は思わず叫んだ。

 

少したじろいだようだが、反論してきた。

 

「束様に早く届けなければなりませんから……」

 

「それなら早く料理し始めればいいだろう。

料理は時間をかけるものだから時間かけないとおいしくならないよ。」

 

「ですが、指示がないと作り始められませんし、

時間をかけすぎると束様が飽きてしまう恐れが……。」

 

束さんならありうる。

 

束さんと少し話す必要がありそうだ。

 

次におかしいのは分量である。

 

例えばコンソメの素を10個入れようとしていた。

 

三人前に10個!?袋の表記には300mlにつき一個が目安と書いてあるにも関わらずだ。

 

「なんでそんなに大量に入れるの……?」

 

「束様に少しでも栄養を取ってもらいたいですから……三食とらないこともほとんどですし。」

 

あれ?これ束さんが原因なんじゃね……

 

「いや調味料で栄養とるという発想はやめようよ……。」

 

最後にレシピを知らないくせにレシピを見ようとしない。

 

「あれ?作り方言ったっけ?」

 

「いえ、たぶんこんなものかと」

 

大体、料理というものはレシピ通りにおとなしく作っていればできる。

 

勿論すごく美味しいとかそういうレベルを目指すなら工夫は必要なのだろうけど。

 

「今日から料理を作るときはレシピを見て必ずやること。」

 

自分で言うのもなんだが、最早完全に命令だ……。

 

「しかし束様がレシピなんて凡人が見るものだから、必要ないと……。」

 

もう確定的だ。彼女が料理下手なのは束さんのせいだ。

 

「天才なんてそうはいないんだから……凡人でいいんだよ……。」

 

「……分かりました。」

 

なんか知らないけど色々言いすぎたかもしれない。

 

少ししおらしくなってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんだかんだで、あと少しで完成だ。

 

味見でもばっちりだったし……というか彼女は味見してないよな?

 

味見もさせておく必要があるな。そうすれば大事故は大抵未然に防げる。

 

「うん、ばっちりだな。」

 

わざとらしくそう言うと俺はおたまを彼女に渡した。

 

「ほら、味見してみろよ。」

 

彼女は少し戸惑ってから味見をした。

 

その顔が若干赤かった気がした。

 

「……美味しい。」

 

「だろ?」

 

「ありがとう。」

 

「えっ?」

 

「料理を教えてくれてありがとう。」

 

そう彼女は言うと、料理を皿に盛りつけ始めた。

 

盛りつけは案外上手だった。

 

それにしてもお礼を言われるとは思わなかったな。

 

「束様が待っているから早く……。」

 

「分かった。」

 

俺はトレーに皿を乗せて彼女の案内の下、リビングらしき場所にむかった。

 

というかさっきから敬語じゃなくなっているような気が……。

 

まあこれから仲良くやっていかなきゃいけないだろうし、

 

むこうの方が年上だろうしなぁ。

 

幼い見た目だからタメ口だったけど失礼だったかな……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 「今日は遅かったね。」

 

束さんはニコニコしながら座っていた。

 

この人はクロエさんが作るものならたぶん何でもいいのだろう。

 

「料理は時間のかかるものですよ。」

 

だがそれは許さない。

 

良く分からないが俺の無駄なこだわりにスイッチが入った。

 

「うん、今日もいい匂いだね。」

 

今日も?というか俺のセリフはスルーか。

 

「束さん、少し話があります。」

 

「じーくん、どうしたの?」

 

「これから食事は決まった時間に必ず三食とりましょう。」

 

ピクっと束さんの笑顔が止まった。

 

「じーくんに指図される言われはないかな。」

 

少し御怒りらしい。しかしここで留まるわけにはいかない。

 

「クロエさんの料理スキルを上げるためです。」

 

「くーちゃんの?」

 

束さんが戸惑った。

 

クロエさん関連になるとこの人弱いな。

 

「あの……私からもお願いします。」

 

そう言ったのはクロエさんだった。

 

クロエさんの場合は束さんの体調が心配なのだろう。

 

「分かったよ……。」

 

束さんはおとなしく従った。

 

よし、これでクロエさんの料理下手な理由の大元は排除された。

 

後は俺が最低限教えればクロエさんはきっと上手くなるだろう。

 

だってクロエさんにはクロエさんの料理を待ち望んでいる人がいるのだから。

 

誰のためにもならなかった前世の俺の料理とは違って……。

 

 

 

 

 

 

 

 この日はデータ取りと夕飯づくりで終わった。

 

明日からは量産機を使ってIS操縦の訓練をするらしい。

 

その間に束さんが専用機を作ってくれるそうだ。

 

専用機か……。

 

俺にだけ与えられた何か。

 

俺が俺として存在できる理由。

 

考えないようにしていた前世の両親を思い出す。

 

父は俺に全く興味がなかった。

 

母は俺を俺としてみなかった。

 

半ば俺にかまうだけ俺にとって母は辛い存在だった。

 

好かれようと親孝行しようとしたもんだ。

 

死んだときだって……。

 

今の両親は俺を俺として見てくれる。

 

そのことに幸せを感じるときもある。

 

でも……俺は俺の全てを両親に打ち明けることはない。

 

転生者とか言ったら頭おかしいと思われるだけだ。

 

両親が俺を見てくれているのに、隠し事があるというのは辛い。

 

上手くいかないもんだな。世の中って……。

 

深く考えないようにしていたことだったので、

 

俺はその感情をまた心の奥にしまいこんだ。

 

 

 

 

 やっぱり両親は心配しているだろうな。

 

明日連絡とれるかもう一度束さんに頼んでみよう。

 




お疲れ様でした。
紅侍君の前世設定を無駄に入れました。
転生者特有の悩みとか書けたらいいなぁって思ってます。
せっかく転生者なのでそこをあまり活かさないのも勿体ないので。
……自分の文章能力じゃあ限界ありそうですが。
ちなみに紅侍君は前世の両親に虐待を受けていたとか
そういう訳ではありません。

次は土曜日にあげようと思います。
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