幼馴染の関係がいつまでも進展しない件について   作:吐露蔵

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ダブルデートって正直気まずくない?

亜美を迎えに行くと、珍しくおめかしをしていた。

ダブルデートって事もしかして知ってたのか?

いや、もしかしたら前みたいに俺が離脱することを考えて、貴司と二人きりの時間を想像してのことに違いない。

そんな亜美に今日のダブルデートの話をする。

 

「そういうわけで、今から俺のお相手を迎えに駅前に行きます」

 

「……学くんの、お相手?」

 

亜美の表情が険しくなる。

 

「そんな深刻な顔しなくても大丈夫だって、二人とも良く知ってる人だから」

 

「……そ、そっか」

 

まあ、三人で遊ぶとしか伝えてなかったもんな。

それにしても、そんなにもう一人加わるのが嫌だったのか?

今度からは予めちゃんと伝えておいた方がいいな。

 

 

 

「おお~」

 

「何そのリアクション」

 

「いや、学生服の伊藤さんしか見たことなかったから、私服姿が新鮮だなって思って」

 

数分後。

俺たちは駅前に着き、伊藤さんと合流する。

のだが。

 

「……ねぇ、後ろの二人、何か微妙な表情(かお)してない?」

 

「……そうなんだよ、ダブルデートするって言ってからずっとあんな感じでさ」

 

貴司と亜美の様子がどうもおかしい。

亜美はずっとうつむいてるし、貴司はどこか気まずそうにしている。

 

「というわけで、俺のパートナーの伊藤さんです」

 

「い、伊藤でーす」

 

とりあえず紹介は済ませておく。

 

「……ああ、うん。伊藤さんだったんだ」

 

「伊藤さん……。伊藤さん、か……そっか……」

 

とっても微妙な反応である。

どうしよう。

これじゃカフェに行って『お茶でもしながらお話して親睦を深めよう』なんて言ってもお通夜ムードだぞ。

かと言ってこのまま帰るのもな。

 

「そ、そうだ! カラオケでも行こうか!」

 

「い、良いね! カラオケ!」

 

というわけで、急遽予定を変更してカラオケへ行くことになった。

 

 

 

もっと地獄だった。

何かをぶつけるように大声でシャウトする貴司。

何故か失恋ソングっぽいのばかり歌う亜美。

それに圧されて小さくなっていく俺たち二人という図が出来上がった。

二人がどんどん曲を入れていくので、俺たちは盛り上がるような歌も全く歌えないという状況。

カフェでお通夜モードでもお喋りしてた方がまだ良かったかもしれない。

 

「ちょっとトイレ行ってくる……」

 

尿意と雰囲気に耐えられなくなった俺は、ひとまずトイレに逃げ出した。

 

 

 

トイレの個室で思考を巡らせる。

作戦を練りなおそう。

どうしてこうなった?

俺の手筈では、今頃伊藤さんと声を合わせて『もう二人とも付き合っちゃえよ~』なんつって冗談めかして言っていてもおかしくなかったのに。

もしかして、伊藤さんとあまり親しくなかったからか?

そうかもしれない。俺が仲良いってだけで、二人とも実は伊藤さんの事をそんなに快く思っていなかったのかもしれない。

ひとまずこの後のデートプランだ。

もしも伊藤さんが原因なら、二人きりになれるようにすればいい。

と、すると……別行動?

ここから別行動でお昼でも何でもお好きに~っていうのも……まぁ、無しではないが……。

どうするのが最適解なんだろうか……。

 

 

 

あまり篭っていても残してきた伊藤さんや二人に悪いので、そこそこにしてトイレを出る。

と、亜美と鉢合わせた。

 

「あ、亜美。楽しんでる?」

 

「あっ……うん」

 

どう聞いても楽しんでいる雰囲気ではなかった。

 

「……あのね、学くん。聞きたいことがあるの」

 

「え? ど、どうした?」

 

「いつから付き合ってたの?」

 

「へ?」

 

素っ頓狂な声が出てしまった。

付き合ってる? 誰と誰が?

あ、俺と伊藤さんか。

どう答えたもんか。伊藤さんに断りも入れずに設定を作るのもアレだしな。

とは言え、『ダブルデート』と言ってしまっている以上付き合ってる設定の方が良いのかもしれない。

 

「いやー、ついこの間? 話が滅茶苦茶合ってさ。意気投合? みたいな?」

 

「……そう、なんだ」

 

ますます表情が暗くなる亜美。

何がまずかったんだ!?

 

「ごめん、私、お手洗い行くから」

 

原因を聞く間もなく、亜美はトイレに駆けて行ってしまった。

どうしようかな、これ……。

 

 

 

「というわけで、今日の反省会です」

 

「反省会って言ってもね……」

 

結局カラオケの後。

別行動という体を取ることとなり、ファストフード店で伊藤さんとの反省会が始まった。

 

「やっぱり急にけしかけるのはまずかったかなぁ……」

 

「あたしはそれ以前の問題だと思ったけど」

 

「それ以前というと?」

 

「もしかしてだけど、小西さんって別に小林くんのこと好きじゃないんじゃないかなって」

 

ちなみに小西というのは亜美の苗字。小林が貴司の苗字である。

 

「いやいや、まさかそんな」

 

「あたしはそう思ったけどね~」

 

「だって、いっつも二人でいるような仲だぞ?」

 

「それが恋愛の好きとは限らないじゃん? って話」

 

「言われてみれば、たしかにだけど……」

 

「これはあくまであたしの勘だから、あんまり当てにはしないでね」

 

ということは、そもそもまだ友達の好きのラインであって、恋愛感情ではないということか。

俺としたことが、そんなことも分からなかったなんて。

なら、今度は友達から恋愛感情に至るまでラインを上げるしかない。

次はもっと上手くやろう……。

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