ありふれない紅き閃光   作:銀翼

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真実

――ズガァァァ……ン

 

ゼロが持つ最大の破壊力を持つ禁断の大技、幻夢・零がゼットセイバーの刀身から放たれ、至近距離で炸裂した閃光弾(スタングレネード)によって混乱していたヒュドラはその一撃必殺の大技をその身に受けた。

 

放たれた斬撃は、硬い鱗で覆われていたヒュドラの巨体を丸ごと飲み込み、細胞の一欠片すらこの世に残さず消滅させながら奥の壁に激突。二十階層にて天之河光輝の得意技である天翔閃を放って、出来た物より遥かに巨大な裂傷を壁に刻み込んで消えた。

 

「な、何つー威力だよ……」

 

幻夢・零の衝撃が齎す爆風からユエと己を守っていたハジメがドン引きした声を出す。ユエの方もハジメと同じ事を思っていたのか、呆然とした様子で消滅したヒュドラが先程までいた場所を見る。

 

「ぜぇ、はぁ、ぜぇ、はぁ……」

 

だが、放った張本人であるゼロはその禁断の大技を放った際の代償なのか、地面に膝をつき大きく肩で息をしていた。

 

かつて幻夢・零をオリジナルボディ、またはミュトスフォームの状態で放った時は、一切の無駄無くエネルギー循環が出来ていたので何のデメリットも無く無敵状態で連射出来ていたが、今のコピーボディではやはり無理があったらしい。

 

身体の個所から火花(スパーク)が起こっていないのがせめてもの救いだ。

 

「大丈夫か?」

 

「はぁ……あぁ」

 

心配して駆け寄るハジメとユエ、クロワールに対して、ゼロは呼吸を整えながら頷くとゼットセイバーを杖代わりにして身体を起こす。しかし身体はまだ本調子では無いので少しふらついている。

 

「ほら、肩貸してやる」

 

「すまん」

 

ゼットセイバーの刀身をオフにして、大腿部のホルスターに収めるとハジメの肩に腕を回して、奥の扉に向かって歩き出す。

 

(後でサブタンク、だね)

 

(あぁ)

 

サブタンクはこれまでまだ一回も使用していないのでまだ満タンだ。使用してもヘッドチップ、オートリカバリーで休んでいる間に回復していく。

 

そして扉の前まで行くと、扉が独りでに開放されて潜り抜けていく。扉の奥は、これまでの迷宮とは違い自然に満ち溢れていた。

 

地下深くにいた筈なのに青空が広がり、人工物であろう太陽が燦々と大地を照らしている。用水路には清らかな水が通っていて、草や森、畑も広がっている。奥の壁には水が滝となって流れており、刳り貫かれた壁には白亜の壁をした三階建ての屋敷が建てられている。

 

草木などはこの迷宮を踏破している最中、森になっている所があったのでそれと同じなのかもしれない。

 

「成程。確かにこれは隠れ家だ」

 

その光景にハジメは納得した声を出す。こういう所に隠れ家があるなんて普通は思いつかないし、行ってみようとしてもここに至るまでに魔物の腹の中に納まっているのかもしれない。

 

「行くぞ」

 

「あぁ」

 

「んっ」

 

ゼロに肩を貸している状態で、ハジメはその屋敷に向かい、中に入ってみる。

 

かなりの年月が経っていると思われるが、中は片付けられている。床には散らかっているものも無いし、壁は崩落もしていない。家具や雑貨も、全て当時の物らしいがまるでここだけ時が止まっているかのように劣化は起きていない。

 

「隠れ家にしては結構片付いているね。これなんか古いけど今でも問題なく使えるようになってる」

 

「ん」

 

ふよふよと飛行していたクロワールが家具や雑貨を見て感想を漏らすとユエも同じ感想を抱いているのか、テーブルや椅子に近づいて触りながら頷く。

 

「ハジメ、もう大丈夫だ」

 

「そうか?」

 

密かにサブタンクを使用して身体に起きていた不調を回復させたので、ゼロはハジメの肩から離れる。身体から疲労は完全に抜け落ち、脚にはしっかりと力が入るようになったことを確認してしっかりと立つ。

 

「探索してみるか。情報を掴めるかもしれない」

 

「了解だ」

 

「待って。あそこの扉、かなり強固な封印が施されてる」

 

ユエの言葉で二人とクロワールがその扉を見ると、扉には薄っすらと封印の魔法陣が浮かびあがる。触れてみるとただの封印らしく、トラップなどは起きないが、押しても引いてもびくともしない。ハジメの錬成魔法をしても、ゼロのチャージゼットセイバーやリコイルロッドでも傷一つ付かない。

 

周囲を軽く見てみると、その封印が施されている扉は結構存在している。

 

それを見て、ゼロは一つの仮説を立てる。

 

「俺達を、誘ってるのか?」

 

「誘う?」

 

「?」

 

ゼロの仮説にハジメとユエはゼロの方を向く。

 

「過酷な大迷宮を踏破してやってきたが、これほどの封印がされてるなら拍子抜けも良い所だ。何の為にここに到達したのかも怪しい。だが、こう考えれば」

 

「過酷な試練を乗り越えた人間に、最初に見て欲しいものがある。それが封印されてない箇所の扉の部屋にある」

 

そう考えてみれば辻褄が合う。封印されてる個所が多いとなると何をして欲しいのか解らない。だからこそ封印されてない箇所に向かってほしいということだろう。

 

「成程。それじゃ、封印されてない箇所に向かうか」

 

「あぁ」

 

「ん」

 

今いるのは一階。二階に行ってみると二階も一階と同じく封印が施されている部屋が殆どだったが、三階にそれがあった。

 

封印が施されていない部屋。綺麗に片付けられた部屋だが、床に大体7から8メートルはありそうでありながら、精緻に、精密に描かれた魔法陣が刻まれている。奥には黒衣を着用した白骨死体が椅子に座ってる状態のまま放置されている。

 

「ここが……」

 

封印が施されていない部屋の中、その魔法陣の中に入ると一つの映像が映ってきた。嫌、映像は映像でも一人の人物が立体で映っている。白骨化した遺体が着用していた黒衣を身に纏った、眼鏡を掛けた優しそうな容姿をした一人の男性だ。

 

『試練を乗り越えて良く辿り着いた。私の名はオスカー・オルクス。このオルクス大迷宮を造った者だ。反逆者、と言えば解るかな』

 

「反逆者、だと……。クロワール」

 

「大丈夫。録画開始してるよ」

 

オルクスが言った言葉にゼロが反応する。座学で教わった中で簡単に説明すると反逆者というのはその名の通り神―この場合はエヒトに当たる―に反旗を翻した者達の事を指す。しかし、今目の前で映り、言の葉を発しているこの男性はとてもじゃないが反逆者というより学者とかそういう風に近い。クロワールも既に録画と録音を開始して、記録を取っているので誰も口を挟まない。

 

『あぁ。申し訳ないけどこれはただの記録映像のようなもので、質問に答えることが出来ない。でも、数多くの試練を乗り越えてここまで到達した君達に伝えておきたい事があってね。この世界の真実を知る者として、我々が何のために戦ったのか。……どうか、聞いて欲しい。我々は、反逆者であって反逆者では無い事を』

 

オルクスが告げた真実は、文字通り世界を根本から引っ繰り返すモノだった。

 

まず、このトータスでは遥か昔、神代の時代の少し後の時代から人間族、魔人族、亜人族に別れて戦争を行っていた。

 

その理由としては種族的価値観の違い、宗教上の関係、人種的な相違もあるが、最もな理由がそれぞれの種族が崇め奉っている神の敵だから、という理由からだ。

 

その神からの神託を授かり、いつ終結するかも解らぬ泥沼の戦争を続けていた。

 

その中で、この争いに終止符を打たんとする者達が現れた。神代の時代から神々の直系の子孫達が中心となった者達、解放者と呼ばれる者達だ。

 

しかしある時、その解放者のリーダーはこの世界、この戦争の真実を知る事になる。何と、神が皆を唆し、盤上遊戯のつもりで戦争を促していたのだ。

 

当然、解放者のリーダーは神が言葉巧みに人々を操り戦争を続けているという事実に耐えられず、志を同じくする者達と共に神に対して反逆することを決意した。そして神がいるという神域と呼ばれる箇所を見つけ出し、解放者の中でも先祖返りとも呼べるほどの力を秘めた7人で神に戦いを挑んだ。

 

しかし、神は余りにも強大でありながら卑劣、卑怯極まりなかった。

 

解放者達が背中で守っていた無辜の民達にこのような神託を授けたのだ。

 

――この者共は、神に対して弓を引く愚か者共。討たねば世界はこの愚か者共の手に落ち、闇に堕ちて破滅する

 

結局、守るべき者達を討つ事は出来ず、解放者達は次々に討たれ、処刑され、慰み者にされていった。そして最後に残ったのは中心的人物の7人のみ。

 

この状態では神を討つ事が出来ない。そう判断して各々散り散りになり大陸の中に7つの大迷宮を造った。この試練を乗り越えた者に自分たちの力を授ける事を願って。

 

『君が、君達が何者で何の目的があってここに来たのかは知らない。神殺しを強要するつもりは無い。でも、知って欲しかった。我々が何のために立ち上がり戦ったのか。君に私の力を授ける。どのように使うのかは君に任せる。だが、願わくば悪しき心を満たす目的で使わない事を願う。話は以上だ。聞いてくれた君に、そして私達が愛したこの世界に幸福が訪れる事を』

 

最後に柔らかな微笑みを浮かばせて、オスカー・オルクスは消えた。それと同時に魔法陣が光り出し変化が訪れる。

 

「ぐぅっ……うぅ……」

 

「っ、くぅっ……」

 

突如としてハジメとゼロの二人が頭―ゼロの場合はヘルメットだが―を抑えて悶えだした。

 

中からの痛みではなく、何かが外から強制的に入り込もうとしている。オスカー・オルクスのメッセージが消えた後なのだから、おそらく彼が使用した魔法がそのまま入り込もうとしているのだ。

 

しかし、ゼロには魔力そのものが無い。そこで、ゼロはとある事をしてみた。頭から手を離してゼロナックルを起動。ラーニングシステムを利用してオスカー・オルクスの魔法をゼロ専用のEXスキルとして認識、学習する事にしたのだ。

 

結果、魔法陣が消えた後にゼロの脳裏にある文字が再生される。

 

You leaned 生成(クリエイト)

 

ゼロ専用に覚醒した生成魔法。魔力ではなく武器エネルギーを消費して行う。鉱物にエネルギーを付与して特殊な鉱物として生成、アーティファクトを作製する。武器エネルギーは時間が経過すれば回復する。

 

分の悪い博打も良い所のラーニングシステムだったが、その博打に勝ったようだ。そしてこの生成魔法は、錬成師の職業を持つハジメの為にあるような魔法だ。

 

「……どう思う?彼の言った事」

 

録画を止めたクロワールが、二人に問い掛ける。

 

「あぁ。聖教教会の連中を見ても思ったが、エヒトは俺達を帰すつもりは無いだろうな」

 

「確かに、折角得た駒をみすみす帰すとは思えねぇし、何よりよしんば帰れたとしても相手は転移させることが出来るからな。逃げ場なんてねぇだろうな」

 

不快感に満ちた声で言うとゼロとハジメ。

 

元々、反逆者(レジスタンス)の一員として世界(ネオ・アルカディア)に反旗を翻して戦ったゼロは世界を相手に戦う事は迷いも何も無い。いつも通り目の前に現れた(エヒト)を斬るまでだ。

 

生命というのをなんだと思っているのか。嫌、人間ではない者に人の道を言うのも野暮だ。しかし、それを抜きにしてもエヒトの事は許せない。

 

「それと、神代魔法……生成魔法が使えるようになったな」

 

「へぇ、それってどういう魔法?」

 

「あぁ。魔力を鉱物に流し込んで、特殊な鉱物を生成できる魔法だな。零は?」

 

「あぁ。問題ない」

 

魔力が使えないので学習してEXスキルとしての物だが、エネルギーを使用するという点を除くとハジメの言う生成魔法と殆ど大差はない。

 

「良し、なら時間はあるから、ここで暫く準備だね!」

 

「おー」

 

ゼロの言った言葉を察知したクロワールが激を飛ばすと、ユエも右こぶしを上に突き上げる。確かに、時間はまだたっぷりとあるしここなら邪魔される心配も無い。

 

休息を適宜挟みながら準備に入る事にした。




えー、ゼロにもEXスキルとして生成魔法を使えるようにしました。

……これでライドチェイサーを出せるかも知れません(ニチャァ)

ゼロの過去は出すべき?(映像で)

  • 出す必要なし
  • イレギュラーハンター時代から
  • ロックマンゼロ時代から
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