ありふれない紅き閃光   作:銀翼

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何だか急に思い浮かんできたので止めずに書きました。

結構駆け足な所ですが、よろしくお願いいたします。


七年後

ゼロ(とクロワール)が巌人零としての人生を歩み始めて七年。

 

自身の封印を施す前も戦闘型レプリロイドとして生きてきたゼロだったが、二人の元気な科学者の老人達が営む孤児院ですくすくと成長。躾や道徳、常識や教育を厳しく教えられていったので人間としての生活にはすぐに慣れた。

 

既に今の肉体の親については、忘却の彼方に追いやった。

 

元気な科学者はロボットを開発しているが、研究の成果を競い合ってる。何でもお互いの研究はお互いにしか理解が出来ないらしく、こうして二人で過ごしながら研究に勤しんでいる。

 

しかも時々近所に小規模ながら自分達の発明展を展示したりと、地域交流も行っている。

 

そして今日、ゼロこと零は今日はお使いに出ていた。

 

七歳で少し長めの金髪を紐を用いて項で結んでいて、赤を基調とした衣服を着用している。目つきはかつてのレプリロイド時代を彷彿とさせるように鋭い目つきで、瞳の色は漆黒と、ゼロを人間にして幼くするとこういう感じになるであろうというような容姿だ。

 

「……」

 

零はお得意様になってるスーパーの前で頼まれていた買い物のメモを確認する。

 

今日の夕飯の材料は全員がテーブルを囲んで食べられる鍋料理をするらしく、その材料が書かれてある。

 

零はポケットにメモを収めると入れ替わりで一つのスマホを取り出す。メールやLI○E、電話の機能しか持ち合わせていないが、ネットとかそういう物はパソコンで見るタイプの零にはこれで充分な代物だ。

 

『金が余ったら帰りに何か甘い物でも買おうと思う』

 

『おぉ。解った。好きな物で良いぞ』

 

『ワシも賛成じゃ!どんな物かは任せるぞ!』

 

――わーい!楽しみ!

 

二人と一体から了承を得ると、零はスーパーの中に入っていった。

 

クロワールと一緒にメモを確認して、手にした籠に新鮮な食材を一つずつ、時には何個か入れていく。周囲のお客さんはまだ幼い子供が一つずつ確認しながら買い物をしている様子に微笑ましいモノを見る目線だ。

 

そして籠に入れ終わり、会計の為にレジに向かうとそこにはいつもお世話になってるパートのおばちゃんがいた。言葉遣いには最初はムッとしていたが、言葉遣いとは違い、悪い行動は絶対に取らないという事で今は笑顔だ。

 

「あら!光さんとワイリーさん所の坊ちゃん!今日はお使い?」

 

「あぁ。それと二人や皆に甘い物が欲しい。サービスは大丈夫だ」

 

「そう?それじゃこのお団子がおばちゃんのおすすめよ?今はタイムセールだから、これくらいで済むわ」

 

「解った。これに入れて欲しい」

 

「えぇ」

 

レジに表示された金額を見て、それに合った紙幣と小銭を提示。ちゃんとお釣りももらった上に用意していたエコバッグに食材に人数分のお団子を入れてもらった。

 

「それじゃ、今の時間は車の通りが多いから、気を付けて帰ってね」

 

「解った」

 

壁に掛けられた時計を見てみるともう仕事場から帰宅していても可笑しくない時間帯だ。おばちゃんに軽く頭を下げて入れてもらったエコバッグを手にして零はスーパーの外に出た。

 

――あのお団子、とっても美味しいよね!楽しみだなァ!

 

(あぁ。そうだな)

 

この世界に転移してから、クロワールは甘い物が大好きになった。かつてはエネルゲン水晶を摂取していったが、クロワール曰くこの甘味を知ったらもうエネルゲン水晶を摂ろうとは思えないとの事だ。

 

最初はどういう事かと思っていたが、マザーエルフによってこの世界に飛ばされた時の影響かもと無理矢理結論を出したし、ゼロの方も甘味はクロワールに及ばないが好んでいる。というか好き嫌いというのがどういう物なのか理解していないという方が正しいのかも知れない。

 

横断歩道に行き着いた零は、そこである物を見た。歩行者の信号は青信号になっているのでそれは普通に渡る。車道の信号は当然ながら赤信号になってる。のだが一台の乗用車がスピードを緩める事無く走っているのだ。

 

しかもその車の先には手にボールを持った一人の女の子がいるのだ。

 

――ぜ、ゼロ!運転手スマホで話しててこっちに気付いてないよ!

 

運転中に電話をすると、会話に意識が向いてしまい判断力や視界が悪くなる。

 

このままでは車に女の子が轢かれてしまう!

 

ゼロは判断するや否や手にしていたエコバッグを投げ捨て、女の子に向かって疾駆。レプリロイド時代にしていたダッシュやフットパーツ「クイック」「シャドウダッシュ」、サイバーエルフ「ジェッタ」族の様に速くは無いが、人間の同世代の子と比べて脚が速い。

 

女の子は直前で車に気付いて驚くも、轢かれそうになった時に零が抱きかかえ、疾駆した運動をそのまま利用し「アクティブフォーム」やボディチップ「ローリング」、サイバーエルフ「マルタス」の能力の一つであるダッシュ回転斬りの要領で歩道の中に戻った。

 

車の方は直前で何とか気付いたらしく、横断歩道から少し離れた場所に留まったが、丁度巡回パトロール中の警察官に捕まり事情聴取を受けた。

 

「大丈夫か?」

 

「う、うん。少し擦り剥いただけ……」

 

「そうか」

 

「恵理ーーッ!」

 

「あ、お父さん!お母さん!」

 

女の子に気付いた両親が公園の入口から駆けてくる。それを見て、零は抱きかかえていた手を離して恵理と呼ばれた女の子を立たせる。

 

ギューッと父親が女の子を強く抱きしめて号泣する。

 

「余所見しててすまない恵理……!」

 

「お、お父さん苦しいよ……」

 

「お父さん、恵理が怪我してるから病院に行くわよ。貴方も一緒にどうかしら」

 

――怪我してないかもだけど、一応病院に行った方が良いんじゃない?

 

「……その前に家に電話をしてもらう」

 

「えぇ」

 

零はスマホの電話機能を起動して、それを一人の警察官に差し出す。

 

『はい、こちら光ですが』

 

「あ、光というとあの科学者の……。こちら○○警察署の者ですが、そちらのお子さんが事故に逢いそうになった女の子を助けました」

 

『零が?そのお子さんと零に怪我はありませんか?』

 

「女の子が少し擦り剥いただけですが、これから二人共病院に行こうという事になってます」

 

『分かりました』

 

病院に行く事については了承がもらえたので、警察官は電話を切るとスマホを零に返却した。

 

「では、行きましょう」

 

幸い、病院はそこまで大きくは無いが近くにある。家族は先ず女の子の傷を洗う為に水道で軽く洗ってから病院に向かっていった。

 

その中で女の子、中村恵理は零に色々と話しかけて来た。

 

二人は同じ小学校に通っているし、学年は同じだが組が違うので会う事が無かった。

 

零が二人の老科学者達が営んでいる孤児院に住んでいるというのを聞いた所、家族は皆大変興味を示した。

 

その他諸々の話をしていき、皆病院に到着。検査を受ける事になった。

 

恵理は外傷は膝を少し擦り剥いただけで済み、零に至っては上手く受け身を取っていたのか外傷は無かった。

 

検査と診察、治療を終えて後は帰るだけになった時に、零のスマホが着信音を鳴らした。画面にはワイリー博士と出ている。

 

「零だ」

 

『ワイリーじゃ!女の子を助けたと正から聞いたぞ』

 

正というのは光博士の名前だ。ワイリー博士の方がアルバート・ワイリーという。

 

「博士」

 

『お前が買ってきた材料はパックから出てなかったから、このまま廃棄せずに持ち帰ったぞ。だからスーパーには寄らずに帰って来ても良いぞ』

 

「了解した」

 

『うむ。女の子の家族によろしくな!』

 

言いたい事を言って、ワイリー博士は電話を切った。零もそれ以上話す事は無かったのでそのままスマホをポケットに仕舞う。

 

「孤児院まで送っていこうか?」

 

「嫌、大丈夫だ。近くだし歩いて帰れる」

 

父親からの誘いを断ると、零は家族に背中を向けて歩みを進めていく。

 

「あっ」

 

恵理が零の背中に手を伸ばしかけたが、ある物を見た所為でそれが出来なかった。

 

零の背中に浮き出て来た影。零の身長よりも高く、頭部を覆い守るヘルメットと後頭部から腰まで伸ばした鮮やかな金髪、右手に翡翠色のビーム状の刀身の剣を握った、紅い戦士の影。

 

「それじゃ、私達も帰りましょうか」

 

「そうだな。今日は色々あったし」

 

「うん」

 

中村家も、零に背中を向けて帰宅していった。

 

 

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