ありふれない紅き閃光 作:銀翼
あれから数年。零(とクロワール)は高校生になった。
結局あの事があって以降光輝は変わる事は無かった。嫌、変わろうともしなかったと言った方が良いのかも知れない。
あれからも零の行動を悉く批判したり自分が間違っていない、相手が悪い、または間違っているという考えを改めず寧ろどんどん悪化していった。
その光輝の姿に零は元からだが雫に恵理も匙を投げた。もうどうにでもなってしまえ、と。痛い目にあってしまえ、と。龍太郎はそんな光輝を見捨てず、ずっと支え続ける事を決めた。
そんな中、十七歳の零は青いブレザー型の制服を着用して一人住宅街を進んでいた。登校するというのはあるが、もう一つ目的がある。
歩いていく中で零は一軒の家に到着した。表札には「南雲」と書かれている。
その「南雲」の表札の家のインターホンを鳴らす。
『はい、南雲ですが』
「巌人だ。ハジメは?」
『あ、ハジメね。解った。ちょっと待っててね』
インターホンのスピーカーから聞こえて来た母親の声が消えて、代わりにドタドタと走って来る音が聞こえてくる。やがてその音が大きくなり玄関の扉が開くと一人の男子生徒がやって来た。
容姿については心優しそうな顔立ちであるが、寝不足なのか目の下に薄くクマが出来ている。身長は零より低い。
「おはよう。零」
「あぁ。今日の弁当だ」
「ありがとう。いつもごめんね」
「大丈夫だ」
鞄から出したお弁当の包みを受け取ると、申し訳なさそうに言う。このお弁当は零の手作りなのだ。
道場に通って己の戦闘能力を知る事が出来たもののそれを使う時期が無い。という事で試しに料理をしてみた所、それが結構ハマっているのだ。そしてその手作り弁当をハジメにやっているというのは、彼の両親の事情によるものだ。
父がゲーム会社を経営しており、母が少女漫画の作者。そして息子のハジメは両親の手伝いのアルバイトをしている身なので、自ずと料理をする時間が限られているのだ。
いつも食べているのがコンビニ弁当か購買の食材等そういう物だったのでお弁当を作る事を零が提案してきたのだ。最初はハジメは遠慮したが、両親共に今は忙しいので好意に甘える事にしたのだ。
「お前の方はどうだ?」
「まぁ、うん。今も眠いけど何とか起きれてるよ」
「お前の体調もだが心の方はどうだ?」
「あぅ」
全てを見透かしていると言えるような目線を受けて、ハジメは苦笑する。このハジメ、実際にかなりのオタクなのだ。明日が学校の日になっても大好きなゲームに没頭してしまい、このように徹夜してしまう。
そして零もこれを既に知っているが、兎や角言って止める資格がない。
「……止めはせん」
「……ありがと」
「話は変わるが、父親が今度作るゲームというのはどんなものだ?」
ハジメの父親が経営しているゲーム会社は大人気で、零がいる孤児院でも子供たちが
「あぁ、うん。何でも前に出されたゲームの新作版らしいよ。何でも父さんが言うには三枚看板のモン○ン、○イオ○ザード、ス○リー○ファイタ○に投資を集中した事で質の高いゲームが出来るとか」
詳しい事はハジメにも良く解らないが、三つの歴史ある看板タイトルに集中していくという戦略で、リソースを効率的に行い、質の高いゲームを提供していく事で安定した売り上げを出して行ってるらしい。更に新作が良ければ旧作が再評価されていき、旧作の売り上げも伸びる戦略をしているので最近好調を維持出来ているとの事だ。
後は多角的な営業利益率だ。営業しているアミューズメント施設も売り上げが好調を維持している。
「そうか」
――うーん、頭が痛くなりそう……
眼を回しそうなクロワールはさておき、零も詳しい事は良く解らないが、今の会社経営は好調と言うのは解った。
「暫くは父親もお前も忙しい日々が続くという事か。教諭もお前の事情については知っているのも大きい」
「確かにそうだね」
ハジメの家の家庭事情については、既に担任の教師を始め他の教諭は理解を示している。健康面を心配しての注意は受ける事はあるが、ギリギリに登校はするが遅刻はしないし問題を起こさない、ノートもコピーをして勉強している彼の人柄を知っている教諭は多いので本気で怒る事は無い。
ノートも零や他の生徒が取っているノートを見せて貰っているので勉学については問題は無い。
その他も諸々の会話をしていきながら、通っている高校の教室に到着した。
「よっ、キモオ――」
「……」
「ひっ」
ハジメに対してキモオタと言おうとした不良生徒、檜山大輔とその取り巻きが零の刃物を思わせる鋭い視線を真っ向から受けて顔を真っ青にさせる。
以前にハジメを虐めていた時に零が通りかかり、彼等を瞬く間に全滅に追いやったのだ。それ以来零に対し負け犬の様に尻尾を巻いている。しかし零がいない時にはハジメを虐めている。
その負け犬共に一瞥くれた後、何事も無かったようにハジメの隣を歩いて入る。
「おはよっ。南雲君に巌人君っ」
「おはよ、白崎さん」
「あぁ」
眩しい笑顔で挨拶をしてきた一人の美少女。艶やかな黒髪を黒髪を腰まで伸ばし茶色の瞳をした美少女。白崎香織だ。
彼女のすぐ後ろに光輝、雫、龍太郎の三人がいる。光輝は零に対して厳しい目で見てくるが零の方はそれに対して取り合う事はせず柳に風とばかりに無視して自分の席に向かい、隣に座っている生徒に話しかける。
「清水」
「あぁ、巌人。おはよう」
「あぁ」
「遠藤」
「あ、おはよ。巌人」
「あ、遠藤!悪い、今気付いた」
「あぁ、良いよ別に」
全然気にして無さそうに言うがその顔は物凄く気にしているであろう事が良く解るのが零の前の席の遠藤浩介という男子生徒だ。自動扉も三回に一回反応する位に影が薄い上に目立つのが好きでは無い性格であることが拍車を掛けている。クロワール曰く、忍者として生まれていたら物凄く優秀だったのでは?らしい。
「おはよ、零君、清水君、えーっと、あ、遠藤君」
「あぁ」
席に座り授業の準備をしている最中、恵理が挨拶をしてきた。
「いつもそうだけど、もの凄く滑稽だよねあれ」
「……あぁ」
恵理が言うあれ、というのはハジメや香織に対して余りにも突飛な事を言う光輝についてだ。
やれいつも眠そうだしやる気が微塵も感じられない。
やれ香織は優しいからその優しさに付け入る。その他諸々だ。
「学校でのハジメの面だけを見て、全部を知った気でいて本質を見ようともしてないしな」
「岡目八目でも天之河が可笑しいって解るもんな」
幸利と浩介の言葉に零はある時を思い出す。レプリロイド時代に人間達のキャラバンを率いていたネージュと出会った時だ。
自分達レジスタンスに所属しているレプリロイドとネオ・アルカディアに所属しているレプリロイドとの抗争で人間達を傷付けていた。
それを人間達に言われ、沈んでいたシエルだったがバイル軍と戦いラグナロク作戦を阻止すればきっと解って貰える、という一心でラグナロク作戦実行部隊アインヘリアル八闘士と戦っていった。
その最中、とあるミッションでネージュを救出した後に、彼女が言っていた言葉。
「上から与えられる情報だけで全てを知った気でいて、レジスタンスを危険な組織と決めつけていた」
実際に何も見ていない、何も聞いていないにも関わらずシエル達レジスタンスを危険視していた己を恥じてジャーナリストとしての己を見つめ直した言葉だ。
「……」
改めて光輝を見ていたら、あの時のネージュが何も変わらずにいたらこうなっていたのか、と思える。そう考えると背筋に冷たいモノが走ったような気がした。
――キーンコーンカーンコーン
「よーし全員集まってるな。出席取るぞー」
始業のチャイムが鳴り響き、担任の教師が入って来た。今日もまた何気ない日常が始まる――。
――キーンコーンカーンコーン
「はい、授業終わりましたのでお昼休みに入ってください」
「あ、愛ちゃんちょっとごめん。ここだけど」
「あ、はい。そこはですね」
一日の授業の半分が終わり、昼食と昼休みの時間になる。社会科担当の畑中愛子、通称愛ちゃん先生が生徒から質問を受けて授業の質問に答える。
それを尻目に零も自作のお弁当を鞄から取り出し、どこか別の場所でと席から立ち上がると雫がお弁当の包みを持ってやってきた。
「零、恵理。良ければ一緒にお弁当どうかしら?」
「雫ちゃん。うん。私は良いよ」
「大丈……っ!」
恵理に続いて零も快諾しようとした時だった。突如として戦士の勘が何か警報を鳴らした。
何かが起こる――。
そう思い感じた時にはもう既に遅かった。
突如として教室の床に何か光輝く円環模様と幾何学模様の様な物が浮かび上がってきたのだ。俗に言う魔方陣という物だ。最初こそ小さなものだったが、それがすぐに教室を埋め尽くすほどに大きくなっていく。
「!?」
「な、何これ!?」
「い、異世界召喚って奴か!?」
「皆、急いで教室から離れ――」
愛子が懸命に声を張り上げるが、その時にはもう遅かった。光が爆発するように広がり、それが消えたと思えばそこにはもう誰もいなかった。
あるとすれば開かれたお弁当、飲みかけのペットボトル、床に散乱しているお箸……。
翌日には、現代に起こった神隠しと新聞記事の一面を飾る事になった。
トータスにてシエル達レジスタンス、または四天王達と再会させるべきか否か
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レジスタンス(トレーラー組)のみ
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ネオ・アルカディア四天王のみ
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両方再会させる
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どちらも来させない