ありふれない紅き閃光 作:銀翼
相変わらずの駆け足ですがよろしくお願いします
翌日 ハイリヒ王国王城 訓練場
「昨晩自己紹介したが今回改めて言わせて貰う!これからお前達に戦う術を教える騎士団長のメルド・ロギンスだ!」
天空と大地を遍く照らす太陽の元、甲冑を着用し鞘に納めた長剣を立てて一人の偉丈夫が挨拶をする。彼の言った様に昨晩に自己紹介をしたメルドだ。
昨晩の宴で、意訳すると「これから命預けて戦う間柄になるのに他人行儀なんぞ出来るか!」とはっきり言ったし彼自身の性格もあってかこういった言葉遣いの方が良く似合う。
「訓練を始める前に、これから全員に配る物がある!一人一つだからちゃんと受け取れよ!」
メルドの号令によって彼の補佐としてやってきた数人の騎士が、クラスメイト達にある物を配布していく。
零も受け取ってみると横十二センチ程、縦七センチ程の銀色のプレートと一本の細い針だ。
「良し、全員に行き渡ったな。これはステータスプレートっていうアーティファクトの一つだ!」
「アーティファクトって何ですか?」
「来ると思ってた質問だ。まずはこのステータスプレートについての説明だ!文字通りの意味で自分のステータスを数値化して見れる物だ。次にアーティファクトっていうのは現代では再現する事が出来ない魔法の道具で、強力な力を秘めている代物だ。神がこの世を創造した時代からあるっていう噂がある。唯一聖教教会が作成出来る物だな。因みにこれは身分証明にもなるから無くしたら承知しないぞ!」
クラスメイトの一人の問いかけにメルドは丁寧に答える。
「更にプレートには数値化されたステータス以外にも天職、技能も表示される。この二つを簡単に説明すると、天職は謂わば才能の事で、技能は現在習得している能力の事を指す。因みに、お前達と俺達がお互いの言葉や文字を理解出来ているのは、言語理解の技能のお陰だな。更に言うと天職は戦闘職と非戦闘職の違いがある。戦闘職は千人に一人、またはそれ以上に万人に一人の割合だ。反対に非戦闘職は十人に一人という珍しく無い物もある。だが生産職もありふれてはいるが重要だから馬鹿にしたり卑下にしたりすんなよ!」
(クロワール。アクセス出来るか?)
――軽く見てみたけど、大丈夫!こんなのお茶の子さいさいだよ!
精神の中でクロワールがやる気に満ちた声を出す。
「さて、これのやり方についてだが、このプレートに浮かび上がっている魔法陣見えるだろ。一緒に配布した針を指先に刺して、魔法陣に血を一滴垂らすんだ。あ、原理については聞くなよ?俺達も解らない事だからな?」
はっはっは!と豪快に笑うメルドにクラスメイトも笑って答える。
ちく、と渡された針を指先の腹に軽く突き刺して、滲み出て来た血をステータスプレートに捧げてみると文字が浮かんできた。
「っ」
天職:戦士
筋力:15
体力:16
耐性:10
敏捷:15
魔力:0
魔耐:10
技能:言語理解、気配探知、物体探知、暗視、弱点探知
この世界の基準は余り解らないが、当たり障りのないようなステータスだ。
(クロワール)
――もうこのステータスプレートの閲覧と干渉権限はエヒトから私に移行出来てるから問題無いよ
クロワールが言うには、こんなんで良く神になった物だ、との事らしい。
(任せた)
――了解!
クロワールがアクセスをした瞬間、ポゥ、と零のステータスプレートが微かな光を放ったがすぐに元に戻った。ステータスプレートの表は特に変わりは無いが、これで問題は無い。
その後、針はやって来た騎士団員に手渡したと同時にメルドが説明を再開させた。
「良し、全員ステータスは見れたようだな。名前の横にレベルってのがあるだろ。それはステータスの上昇と一緒に上がるもので、上限は100だ。つまりは簡単に説明をすると、現時点でその人物がどの領域にいるのか、というのを示している。ステータスは魔物を倒すだけで増えはしない。日々の地道な行動如何で解るから真面目な奴とそうじゃない奴と言うのが一目瞭然だ。また、ステータスは魔法や魔法具によっても上昇するし、魔力の高い者は他のステータスも高くなる。これについてはアーティファクトと同じで明らかにされてないが、体内の魔力が他のステータス上昇を補佐しているのでは無かろうかというのが結論らしい。それに、この後はお前達用に装備を選んでもらう事になる。救国の勇者様御一行だから国の宝物庫開けっ放しとの事だ!」
最後はそれで良いのかとも思ったが、魔力の無い零にとっては魔力によるブーストその物が無い。しかし魔法は特段必要無いので気にしない事にした。
それはさておき、ステータス上昇についてはポ○モ○の様に単純なものでは無いし、サボったりすればどうなるかはもう良く解る。
サボるというと、で目を行かせたのは檜山大介を筆頭とした近藤礼一、中野信治、斎藤良樹の計四人の
四人は零の視線にも気づいておらず、四人固まって喋っている。
「世の中に不平不満ばかりで自分では何も背負おうともせずに、何もやろうともせず強者に媚びて弱者を虐げる生粋の負け犬だな」
零は自分が特に鬱陶しいと思った相手や気に入らない相手に関して辛辣な台詞を言う事を辞さない。
その筆頭格が天之河光輝と檜山大介だが、零のそれを聞いた者がいた。
「確かに、檜山達が自分で自分を変えようと努力したの見た事無いよね」
零のすぐ横にいた恵理だった。声が聞こえていたので自ずと聞き耳を立てて、視線を辿ってみると、という事らしい。
彼女もハジメが奴等に虐められていたのを見ていたし聞いていたのだが、要らぬ波風は立たせたくないというハジメの要望で何もしなかった。
それに同様に近くで話を聞いてた幸利も入って来た。
「確かに、立場の弱い奴に対して強気で虐めてたのに強い先輩には反対に頭ペコペコしてるの腐る程見て来たな。こういう奴ほんとにいるんだなって逆に感動した」
だからこそ良識の有る生徒は誰も檜山達に絡もうともしない。
「と、まだ話がありそうだ。聞かないと不味いぞ」
幸利の言葉で気を取り直して、メルドを見る。
「ステータスについては、後は見た通りだな。因みにこの世界の人間の初期平均は大体十位だが上位世界からやってきたお前達は既に数倍から数十倍位だな。全く羨ましい限りだ!あ、後で訓練の判断をしたいから、報告してくれ」
メルドのその言葉に、零は何か様子が違う生徒を見つけた。南雲ハジメだ。さっきまで何だか明るい様子だったが、今では青白い顔に嫌な脂汗が滲み出てきている。
しかし、そんな事をしていても時は待ってはくれない。
先ずは天之河光輝が先頭を切って報告にやってきた。
光輝のステータスについては以下だ。
天職:勇者
筋力:100
体力:100
耐性:100
敏捷:100
魔力:100
魔耐:100
技能:全属性適性、全属性耐性、物理耐性、複合魔法、剣術、剛力、縮地、先読み、高速魔力回復、気配探知、魔力感知、言語理解
チートてんこ盛りだが、何だかゲームで
「ほぉ~。初期レベルで既にレベル三ケタか。しかも技能が普通は三つか四つほどなのにこれ程とは。流石は勇者だな!頼もしい奴め!」
「いやぁ。ははは」
メルドからの言葉に光輝は照れ笑いを出す。その後も自由に報告に向かっていくとついにハジメの出番になった。ハジメのステータスプレートを受け取ったメルドだったが、これまでにも充分な程にチートだったことを期待していたのか、少し硬くなった。
「ハジメは、まぁそうだな。錬成師というのは言ってみれば鍛冶職人の事だ。鍛冶をする時に便利な能力だし、国お抱えの職人は全員持ってるぞ」
――という事は錬成師って職業はセルヴォの様な職業なのかな
セルヴォというのはレジスタンスのレプリロイド全員、ゼロの武器の新規開発や修理やメンテナンス、収集したシークレットディスクの解析、チップやパーツの制作を行っていたレプリロイドで、ゼロと共にシエルを支えていた。
器も広く、かつてハルピュイアに辛辣な言葉を言われた時も目くじらを立てず優しく諭すような言葉を出した。
しかしメルドの言った言葉に、ハジメに対して敵対心を抱いていた生徒が黙っているはずが無い。
檜山を筆頭に、次々にハジメに対して罵詈雑言を吹っ掛ける。メルドが先程に注意したように言うが、それでも収まらない。その中で次は零がやってきた。
「零は、そうだな。平均よりも少し上の戦士だな。これからの成長に期待しているぞ」
「……メルド、少し良いか?」
「何だ?」
呼び捨てに加えてため口で、こっそり耳打ちしてきた零にもメルドは目くじらを立てずに対応する。
「この城に錬成師の局はあるか?」
「そりゃ勿論あるが……成る程。そういう事か」
伝えたい事が何なのか、というのをメルドが直ぐに察知したので、零は軽く頷く。
「あぁ。それと人目に付かない所だ」
了解の意味で首肯するメルドに、零は軽く頷いてから離れる。その後は無事に全員報告が終わったり打ちのめされたハジメは励ましに来たはずの愛子によってトドメを刺されたりしたが、何とか終わった。
「良し、俺はこれから少し所要で離れるから、皆は各々訓練を始めろ!ハジメ、いつまで死んだ魚の眼をしてる。少し供をしろ!」
「え、あ、はい」
愛子によって散々に打ちのめされていたハジメだったが、メルドの声で何とか気を取り直してメルドの後についていった。
メルドの後のついていき、ハジメは訓練場から離れていく。その中でメルドが口を開けた。
「ハジメ。今誰も聞いていないからこそ言うが、錬成師という職業は生産職でありふれてはいるが前線で戦う人間にとっては非常に有り難い職業だ。前線でロクに修繕が出来ない状況や環境で武器や装備を新品同様のピッカピカにしてくれるしな」
「そ、そうなんですか?」
「あぁ。俺の今の鎧と剣は錬成師の方々が作ってくれた傑作でな。これが無ければ死んでたかも知れん場面とか山程ある。だが檜山という不良を筆頭にそれに気づかない奴が多い。これまで死んでいった奴等は全員共通していたのが生産職を否定していた点だな」
メルドのこれまでの経験で励まされて、ハジメの瞳に生気が蘇ってくる。
「それと反対に、零の方は何故かは知らんが錬成師の重要性を良く理解している。と、ここだな」
「ここは……」
着いたのは城の敷地内にある一つの施設。嫌、施設というよりかは
「国家錬成師局……」
「入るぞ」
ハジメをほっぽって先に中に入るメルドと、それに気付いてハジメも中に入ると中にあった受付らしい場所にいた人物が気付いた。
「おや。メルド団長。その少年は?」
「あぁ。救国の勇者様の一人で錬成師の天職でな。局長は今は在局か?」
「成る程。局長は今日は外出の予定は無いですし、大きな修繕の案件も入っておりませんので局長室にいらっしゃると思います」
「良し。それじゃ後は頼んで――」
「おぉ、メルドでは無いか」
聞こえて来たのはイシュタルとはまた違った物腰柔らかそうな老翁の声。その方向に視線をやると、そこにいたのは、如何にも錬金術師であると言ったような服装を身に纏った、背中まで伸ばした銀髪を紐で総髪にした老翁。顔には数多の皺が刻まれており、優しそうな顔をしているがまだまだ老いてなお盛んというように姿勢はピンと伸ばしている。
(あ、この人昨日の挨拶で)
「ラングル局長。丁度良い所に」
局長と呼ばれた老翁はすぐに二人に歩み寄る。昨晩の挨拶の場にいた国家錬成師局局長のラングル・マイスターだ。
「そこの坊主は、救国の勇者様の一行におった坊主じゃの。それがここにおるというのは察しがつく」
「はい。せめてコイツに錬成の教授をお願いしたいのです」
話は速いと言いたげに言うメルド。
「うむ。最近大きな案件も無いし暇じゃから別に教えるのは構いはせんよ。じゃが教えるのはあくまで基礎基本のみでそこからどのように応用させるかはその坊主次第じゃな」
「あ、ありがとうございます!」
教授を快諾してくれたラングルにハジメは勢いよく頭を下げる。
「じゃあ、後は失礼します。ハジメ、ラングル局長はあぁ見えて期待してる奴には厳しいからな」
「よ、よろしくお願いいたします」
「うむ。それじゃ先ずは自己紹介から始めようかの」
その後、自己紹介を始めた後に錬成師の教授が始まった。
アンケートですがまだ大丈夫です。
けど次の話位で締め切ります。
トータスにてシエル達レジスタンス、または四天王達と再会させるべきか否か
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レジスタンス(トレーラー組)のみ
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ネオ・アルカディア四天王のみ
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両方再会させる
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どちらも来させない