銀の雪は溶け残り   作:Tkmraeua2341

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そういやもう単行本で4巻目ですよ。
久しぶりに読んだら…やっぱ男鹿かっけぇってなる…うん。

だがここで悲しいお知らせ。
…私、戦闘描写とかした事ねぇんだ。



第14話

 

「ケンカ、しようぜ」

「……」

 

男鹿…むかついてるのか…?

目元の凄みが増してるし、拳に力が入ってるような気がする。

大丈夫かな…。

 

「……ら…ラッキー」

 

大丈夫じゃなかったわ。

いや、これかなり混乱してないか?

今までの、ベル坊を人に押し付けようとしてきた時のクズさ全開の笑顔を浮かべてない。

頬は引き攣り、冷や汗を流しまくり、何処か瞳が揺れているようだった。

結構付き合い長いが、ここまで慌てた所見るの初めてじゃないか?

 

「うへへへ見たまえ古市君、なんか知らんがあのクソガキ東条にひっついているのですぞ、バカだバカ」

 

ですぞってお前…。

 

「押しつける手間が省けたってもんだ、帰るぞっ!!」

「お、おいっどこ帰んだよ!」

 

男鹿のやつ、川の方に入って行きやがった!

 

「あ?バカ帰るっつったら家に決まってんだろ」

「そっちは川だ!」

「ばかやろうっ!川だって家だ!!!」

「なわけあるか!!」

 

 

 

「ハハッおもしれー野郎だな、なあ庄次、ありゃあ大物だぜ」

「……どーすかね、別に止めやしませんがね。オレには…東条さんが相手する程の奴には見えませんでしたがね」

「…フッ、そいつはやってみてのお楽しみだ」

 

 

 

「落ち着けって男鹿」

「オレは落ち着いてるよ!!」

「いいから、まずは確認が先だ。ベル坊は本当に東条さんの下に行ったのか…いや、そもそもあれは本当にベル坊なのか。あせるのはそれを確かめてからでも遅くないだろ」

「…だから、別にあせってなんか…」

 

ええいまどろっこしい!

 

「東条さん!!一つ聞いていいっすか!?背中の子って東条さんの子っすか!?」

「あん?」

「最近拾ったとかくっついて離れないとか!そーいうわけじゃないですか!?」

「あぁ…こいつか?……そうだな、オレに勝ったら教えてやるよ」

 

あーもう、このバトルジャンキー!

 

「だからほら、さっさとやろーぜ」

 

 

 

「…ふざけんなよてめー、赤ん坊背負ったままケンカする気か!?」

 

 

 

 

「ん?あぁ…」

「……」

 

お前…いつもしてんじゃん。

 

「庄次ちょっと頼むわ」

「うす」

 

あ、あの丸サングラスさんは庄次って言うのか…やっべ名前全然覚えてなかった。

 

 

 

 

 

 

東条さんと男鹿が向かい合う。

東条さんがかなりバトルジャンキーな事を言ってるけど、最後の「…いくぜ」で両者は動く。

多分、二人とも右ストレート。

ガキンッ!という音と共に吹き飛んだのは、男鹿。

川まで飛ばされたが、男鹿は終わらない、終わってない。

すぐに起き上がりスタスタと歩いていく男鹿、立ち止まったのはさっきと同じ場所。

まったく、負けず嫌いだなぁ、お前。

 

「…らぁっっ!!」

 

二回目の衝突、吹き飛ばされたのは、東条さん。

こちらもすぐに起き上がったが、かなり笑顔で見てるこっちが怖くなる。

また先程のように向き合う両者、始まったのは、ケンカというより力比べ。

お互いまた右で殴り合い、飛ばされぬように踏ん張り合い、次の拳を抑え合い、同じタイミングで頭突きし合う。

まるで鏡合わせのように動く二人、お互いに頭から血を流しながら、威嚇する男鹿と、心底楽しそうに獰猛に笑う東条さん。

ここまで来て一旦離れた両者、一息つくように話される東条さんとベル坊の関係。

原作通り、ただ拾っただけのようだ。

だが男鹿はそんなこと聞いてねぇと叫び東条さんへ仕掛ける。

何発も殴り込み偶然か必然か、東条さんの裾を破りとる。

男鹿は動きを止めてしまった、東条さんの右肩に、ぜブルスペルがあったから。

だからだろうか、次に放った東条さんの拳を、男鹿はまともに受けてしまった。

男鹿は、天高く打ち上げられ、対岸側の川に落ちていった。

 

「…ふむ、こんなもんか」

「男鹿!!」

 

走る、走って、走って、飛び込む。

水しぶきのあった場所まで、泳ぎ続ける。

覚えてる、このあとも男鹿は生きてるし、東条さんに勝って、ベル坊と一緒に、おもしろおかしく生きていくと。

 

でも、初めて見たから。

 

男鹿が吹っ飛ぶところ、前世でも見た事がない、人が何百メートルも吹っ飛ばされる所。

だから、冷静になれなかった。

必死に、全身を濡らし、泳いで行って、

 

「……くそっ!!」

 

悪態ついて、座ってる男鹿を見て、止まれた。

 

…はぁー、心配させやがって。

 

「男鹿、ひとまずうち来い、シャワー浴びよう」

「……おう」

「男鹿…」

「……なんだよ」

「男鹿はまだ、負けてねぇから」

「……」

 

 

 

 

 

 

あの後、男鹿を連れて家に帰った。

男鹿のシャワーの間に男鹿と私の分の着替えを用意して、お昼の残りの味噌汁を温めておく。

男鹿が上がると今度は私が入り、手早く済ませる。

ソファでくつろいでる男鹿の前に味噌汁と白米、ついでにすぐ作れるツナマヨを出した。

無言で食べる男鹿。

向いに座って私も食べる。

大丈夫、大丈夫。

 

男鹿が飯を食い終わり、男鹿の家に帰るのを見送る。

これから男鹿は、なんやかんやあって東条さんと一騎打ちをする。

じゃあ、私に出来ることって、何だ。

……はぁ、ほんと、私って金魚のフンだなクソが。

 

 

 

 

 

 

ドーモ、ミナサン、古市、デス。

私は今、石矢魔高校の校庭でスタンバってます。

何してるかって?

 

セッティングとアフターケアの準備。

 

男鹿を見送った後、私は部屋からでっかめのクーラーボックスに二種類の折りたたみ椅子、後愛用の救急箱を取り出した。

それらを持って、コンビニへ直行。

氷やアイス、ジュースを買えるだけ勝ってクーラーボックスにぶち込む。

それをコロコロ引っ張りながら来たのは、石矢魔高校。

 

できるだけ人のいないルートを通り、校庭まで歩く。

着いたら木のそばでセッティング。

クーラーボックスを足元に、キャンパーが使うような上等な折りたたみ椅子を右手側に設置。

そして私はもう一つのちゃっちい方に座る。

あとは、待つ。

 

今夜、ここで石矢魔最強が決まる。

今夜、男鹿はベル坊と親子に戻る。

なんにも力がない私が出来るのは、これくらい。

それでも、やれることはやらなきゃ。

 

そうだ、男鹿にメール送っとこう。

……よし、これでいい。

大丈夫、大丈夫。

だって男鹿は、私にとって1番の、

 

主人公なんだから。

 





From:古市ユキ

『今夜、東条さんが石矢魔高校で花火をするらしい。後、ベル坊多分丸一日何も食べてないと思うからミルク一式持って来て』
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