ふふ、無駄に病んでます。
男鹿と校舎内に帰る途中、予想はついているけど男鹿に聞いてみる。
「で、男鹿よ、邦枝さんに魔王をおしつけるって一体どうするつもりだよ?」
「あん?」
「いやだって、確かに邦枝さんは強かったけど全然悪くなかったじゃん。まさか勝手にベル坊がなつくとか思ってんの?」
「………古市。男は、気合いだぜ」
「うるせーよ、よーするにノープランなんだろーが」
ヒルダさんが邦枝さんを探しに行った後、どうやって邦枝さんに押し付ける気なのか聞いてみれば、案の定だった。
「バカ古市、女王だぞ女王!?王!!魔王がなつかねーわけねーって」
「それ単なるアダ名だから」
「男鹿ちゃーん」
歩いてる最中、1階の窓ごしに男鹿を呼び止める声がした。
「邦枝とやり合ったんだって?なんだよ早ーよ見たかったのに」
うわ出た、センター分けのサラサラストレートヘアに胡散臭さが消えない笑顔の男、夏目。
「ま、でも決着つかなかったんだろう?あいつ強ーもんなー」
「…誰だっけ?」
「ほら神崎と一緒にいた」
「あとは東条だよなー楽しみだなー、なんせ石矢魔最強だもんなー」
すっげぇニコニコやんけ。
「石矢魔最強?」
「ああ、知らねーか?連中勢力争いに興味ねーから知らねー奴も多いけど、最強は間違いなく、東条だよ」
ここまでずっとニコニコで話す夏目、どうしてこんなに楽しげなんだ?
「男鹿辰巳…」
風の吹く中、大森さんと谷村さんが話しかけて来た。
「…ちょいと、ツラかしてもらおーか」
「オォ」
はいそこのスマイルマン!ワクワクしない!
石矢魔高校、屋上にて。
「男鹿辰巳、あんたは許さない」
台風の影響か、今にも雨が降りそうな曇天の中、相対するのは男鹿と邦枝さん。
邦枝さんは少しボロボロだけどかつてないほど切れていた、そのせいか幽鬼のような恐ろしさを醸し出していた。
「はっ上等だ。わざわざそっちから来てくれるたぁ、気がきくじゃねーか」
対する男鹿はいつも通り、とても数時間前にベル坊の電撃をくらったようには見えない万全さを見えていた。
もはや男鹿にとって電撃は日常の1つとなったのか…あいつ人間やめてんな。
「で、何を許さねーって…?」
男鹿が言い切る前に邦枝さんが横薙ぎに男鹿の顔近くを攻撃する。
驚きながらも避ける男鹿に殺気さえ放ってると思える眼光で男鹿を見据える邦枝さん。
「あんたの狙いは私でしょ?だったら最初から私の所に来なさいよ」
「狙い?」
おそらくレッドテイルのモブ子さん達から聞いたんだろう、大森さんと谷村さんが男鹿に話をつけに行くと。
そして駆けつけた頃には、ボロボロになって気を失ってる二人を見て。
誰だってこれは勘違いする、男鹿が二人をやったんだって。
でも本当は違うんだ、邦枝さん。
「二人に何をしたの?あんなにボロボロになるまで」
「……ああ!別に弱い奴に用は無ぇからな、サクッとぶっとばしただけだせ」
「外道がっ!!」
そして振り抜かれる木刀、避けない男鹿、それを影から見る疲労困憊な私。
そもそも男鹿は二人をやってない、男鹿が言ってたのは神崎と姫川の事だろう。
避けないのは確か、攻撃を受けきったらベル坊を渡せると男鹿が勝手に勘違いしてるから。
はっきり言って二人の戦いは無駄だ。
この戦いを仕組んだ者、MK5とその上の人物が仕掛けた罠なんだから。
つまり1番悪いのはそいつらで、それを知っていながら止めなかった私は…
まぁ、最低なクズ女にランクダウンって所かな。
─数時間前。
私とついでに夏目が見守る中、睨み合い対する四人…と一匹。
大森さん、谷村さん、男鹿、ベル坊…そして猫。
「ん?」
男鹿の後ろではベル坊とトラ猫が威嚇し合っていた。
「ヴー」
「フー〜〜ッ」
一触即発、先に手を出したのは猫だった。
「シャーッッ!!!!」シュパパパパパ
鋭利な爪でパンチを幾つも繰り出す猫に対しベル坊が取ったのは、応戦。
「アダッ!!ダッ!アーダダダダダダダダ!オァダァッ!!」
北斗の星を背負いし世紀末救世主のような連打を見せベル坊は勝った、拳を猫に噛まれながら。
「……ヴゥ」
もはや泣く一歩手前である。
「ベル坊ーっ!!!!でぇい離れろこの性悪猫ちゃんがっ!!」
「ミ"ャァァ!!」
「いたっちょっいたたたたたっ!」
「「……」」
男鹿は結局自身の頭をかじられながらもベル坊から猫を剥がす事に成功した。
「ちょっと、勝負…」
「今それどころじゃねーよっ!!泣くなベル坊ーっ!!傷はあさいぞおぉっっ!」
「ヴーッ」
「あっこら!!待ちなさい!!」
「……」
置いてかれちゃったぜ。
「何だ、やんねーのか」
「…何なの、あいつ」
「ネコちゃん、かわいい」
ひとまずこの場は解散となった。
そうして男鹿の所に駆けつけた時には半泣きのベル坊と黒焦げの男鹿が居た。
なんか可哀想だったので横にジュースを置いといた。
そんでこの後の事を考える。
確かこの後は男鹿と邦枝さんのバトル、仕組んだ黒幕登場からの男鹿による瞬殺、こんなだったよな。
で、仕込みのために…!
忘れてた、大森さんと谷村さんは男鹿と邦枝さんをぶつけるためのダシにされたんだった。
そのために二人はMK5によって不意打ちされる。
…分かってる、私なんか行ったって何の役にも立たないってのは。
でも、男鹿の友達でいたいならこんな時、何もしないのは絶対違う。
そうして探した先では、既に二人は倒れていた。
そっか…やっぱり私、役たたずじゃん。
脂汗を垂らしながら二人を保健室まで運んだ。
産まれたての子鹿並にガクガク膝を震わせながら二人をなんとか担いで運んでたらレッドテイルの人達に見つけて貰えた。
その人達と協力しながら保健室まで運ぶと私は男鹿の所に向かった。
何故か心配そうに私の事を呼び止める声がしたけど、そんな酷い顔してたんかな…?
そうして男鹿の所に辿り着けた頃には、男鹿は邦枝さんに屋上への呼び出しをくらっていた。
「なぁ男鹿、私…」
「あん?なんだよ」
「…やっぱなんでもないわ、踏ん張れよ、男鹿」
「お?おう」
大丈夫、大丈夫。
時間はあったんだから、いつもの私に戻れてるさ。
だから、大丈夫。
…ちゃうねん。
安直な闇堕ちとか何やりたいのこの偽古市とか…なんか、ちゃうねん。
私め投稿する前に自前のノートにざっと書いてからそれを元に文字を入れてるんですけど…
なんか、いつの間にか暴走するです。
悪癖…