Fへの挑戦   作:黒太陽

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一部わかりやすい表現に変えてます。
主人公達の感じは4のハンターをイメージしてください。
作者は4Gが最後でワールド以降は未プレイです。

名前が誰も無いのは短編だからで納得してください。


1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……」

 

ネコ飯を食いながら溜め息を吐くハンターが居る

 

(今日も下位クエストか……)

 

もそもそと気怠げに飯を口に運ぶ若い男ハンター

 

(あーくっそ……いつになったら上位に行けんだよ俺は……)

 

男はここ数年ずっと下位クエストで停滞していた

 

(……でもしょうがねぇよなぁ、ようやくイャンクック安定して狩れるようになった程度だもんなぁ、その上の奴等にゃ勝てねぇ……勝てねぇつーか時間足んねぇ)

 

また深い溜め息を吐く

 

そんな男に3人のハンターが話しかけた

 

「おーう、万年下位クエストの雑魚が居やがるぜ~」

 

「もう炭坑夫にでもなったらどうだよ~?」

 

ガキ大将がそのまま大きくなった様な恰幅のある大男とその腰巾着でありどこかの古龍の様な髪型をした小男

 

その後ろに申し訳なさそうにしている後ろ髪を両サイドで縛っている女ハンターだった

 

「うるせぇな……そんなに言うんだったらパーティーに入れてくれよ、G級ハンターさんよ?」

 

彼等は上位より上のG級ハンター、特別な功績を上げ認められた者しか在籍出来ない選ばれし者達

 

「ゲハハハハ!G級ハンターになってから言いやがれ万年下位がよ~!」

 

「なっても無理だけどな!僕達のパーティーは3人用だからさ!」

 

「そうだったな!ガハハハハハ!」

 

そう言って笑いながらG級クエストの受付へ向かう2人と最後まで申し訳なさそうに頭を下げて追って行く女を見送る

 

「けっ……何が3人用だよ、バーカ」

 

パーティーは特殊なクエストを除いて4人で組む事が出来る、つまり入れる気が無いのだ

 

(まぁあんなでも話するだけマシってのが世知辛い)

 

万年下位と言われた通り男はギルドでバカにされていた、男と話すのは今の3人くらいで他は無視されている

 

(でも不思議なんだよな、達成率の悪いこんなお荷物ハンターの俺はクビにされねぇし生活は普通に出来てんだよな)

 

残りの飯を食べ終わると男は立ち上がり下位クエストの受付へ向かう

 

「今日はどんなのがある?」

 

問うと受付嬢はまるで予定通りかのように立ち上がりお辞儀をした

 

「担当を呼んで参ります」

 

そう言って返事も聞かずにすぐ奥に消えていった

 

(ちっ、相変わらず嫌われてんなぁクソが……俺が行くといつもこうだクソッタレ)

 

男は受付嬢からも避けられていた、担当と言う1人を除いてまともに話したのはこのギルドに来た当初だけ

 

(担当って言やぁ聞こえは良いが要は厄介者の押し付けだろうよ……まっ、俺もアイツのが気楽で良いけどよ)

 

苦い顔をしていると担当の受付嬢はすぐにやって来た

 

「も~!何度も言ってるじゃないですか!他の受付に話しかけるなって!守ってくださいよ!」

 

元気で可愛らしい受付嬢が怒りながら来た

 

男の担当受付嬢であり男は彼女としか話をしない、というか出来ない

 

「うるせーうるせー、たまにはお前以外の奴にクエスト斡旋して貰いてぇんだよ」

 

「ダメです!」

 

「何でだよ……」

 

「ダメったらダメです!何せ大長老様からの指z……あ、何でもないです」

 

「あ?大長老が何だって?」

 

「何でもないですってば!もうっ!怒りますよ!!」

 

「既に怒ってんじゃねぇかよ……」

 

誤魔化された気がするが男は深く追求しなかった

 

「お前の勧めるクエストいつもドエグイのばっかだから嫌なんだよな……」

 

「そんな事ないですよ~ほら!今日はこれなんてどうです?」

 

提案してきたのはイャンガルルガの狩猟

 

「お前これ……死ねってか?」

 

「そろそろ勝てそうな気がするんですよね~」

 

「前に食い殺されかけたのもう忘れたのかよ?」

 

「いやいや!だからもうそろそろ勝てるんじゃないかなぁって!リベンジ戦ですねハイ!」

 

良い笑顔で言う受付嬢に男は頭を掻く

 

「わーったよ……失敗しても文句言うんじゃねぇぞ?」

 

「ええ勿論!失敗補償もありますので気にせず狩って来てくださ~い!」

 

ニコニコと受領の手続きをする受付嬢を男はカウンターに頬杖をつきながら見ている

 

「なぁ?失敗補償って何なんだ?」

 

「はい?失敗補償は失敗補償ですが?」

 

「いや……クエスト失敗してもある程度金くれるのはありがてぇしそれが無きゃ俺はとっくに野垂れ死んでんのは理解してんだが……」

 

「なら良いじゃないですか、何が疑問なんです?」

 

「前に他所のギルドから来たハンターと話す機会があってよ、そん時にんな制度聞いた事ねぇって言ってたんだわ」

 

「……」

 

受付嬢の顔が男に見えないように真顔になっている

 

「まっ次の日からそいつにゃ無視されてんだけどよ、聞きてーのはんな制度があんのはこのギルドだけなのか?って事」

 

「……ハイ!そうです!このギルドだけの制度になります!」

 

受付嬢は笑顔に戻っていた

 

(貴方だけの特別処置……ですけどね)

 

悟られぬように手続きを進める

 

「やっぱそうかー、ますます他のギルドに行けなくなっちまったな俺ァ、ハハハ……」

 

「フフフッ!私はずっと居て欲しいですよ!ハイッ!手続き完了です!いつものネコタクシーでお願いします!では行ってらっしゃいませ!」

 

「おうサンキュー、じゃ行ってくらぁ」

 

ヒラヒラ手を振り男は専用と決められた移動猫車へ向かう

 

 

 

 

 

「旦那!待ってたニャ!」

 

「おう、今日も頼むな」

 

馴染みの、というより専属のアイルーが男を出迎る

 

「じゃ旦那、いつもの目隠しと耳栓してくれニャ!」

 

「あいよ」

 

言われるがまま男は目隠しをして猫車に乗り込む

 

「出発ニャ~!」

 

男は目的地を運んで行く

 

(ん~……もう慣れちまったけどやっぱ変だよなぁ、目隠し(コレ))

 

道中、男は物思いに耽る

 

(意味あんのか?見せたくねぇモンがあんのか?……前に振動で目隠し外れた時はえらい怒られたもんなぁ)

 

思い出すあの時

 

(あん時に見えた他のハンター達……ヤバかったな)

 

目隠しが外れた時に見たのは凄まじい戦いであった

 

(ライトボウガン有り得んくらい連射してたもんな、グラビモスの熱線みたいなの撃つ奴もいたし、それとアレなんだ?トンファー?みたいな武器持った奴が空飛びまくってたな)

 

強く残る記憶

 

(気付いたアイルーに物凄い勢いで目隠しされてちっとしか見れなかったけど……アレがトップクラスのハンターなんだろうなぁ)

 

抱くのは憧れ

 

(いつか成りてぇなぁ……あんな風に格好良くよ)

 

大きい溜め息が出た

 

(まぁ無理さ、ちっとは強くなってはいるが万年下位の俺じゃあよ)

 

自虐気味に笑い、暫くすると猫車は止まった

 

「着いたニャ旦那!」

 

目隠しと耳栓を外されアイルーが言う

 

「おう、いつもありがとさん」

 

「これも仕事ニャ!気にするニャって!」

 

「そんでもさ……よっし、じゃ行ってくる」

 

「何かあればすぐ駆けつけるニャー!行ってらっしゃいニャ!」

 

アイルーに微笑み気合いを入れて樹海の奥へ向かって行った

 

 

 

 

 

-45分後-

 

 

 

 

 

「あ"ー……チクショウ……」

 

男は猫車の上で介抱されていた

 

(何なんだよあのクソモンス!強過ぎんだよ!何回弓撃っても死なねぇ攻撃1発当たりゃキャンプ送り!カスっても瀕死!勝てるわきゃねぇだろボケがァァァァ!!)

 

失敗したのだ

 

「俺ってホントダメだな……」

 

「気を落とすニャ旦那、前より戦えてたニャ、もう少しだったニャ」

 

「時間切れまでのか?倒せなきゃ意味ねぇんだよ……」

 

「倒せてたニャきっと!」

 

アイルーに励まされても男の気分は変わらない

 

「帰るニャー」

 

また目隠しと耳栓をして帰路につく、疲れたのもあり男はすぐに不貞寝をしてギルドへと帰った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪い……失敗だった」

 

担当の受付嬢へ報告する気まずい男

 

「聞きましたよ!もう少しだったって!前とは比べ物にならない躍進じゃないですか!」

 

「……そんでも失敗は失敗だ」

 

「次勝てば良いんです!ほら補償金あげますからこれで美味しいもの食べて英気を養ってください!」

 

カウンターに置かれる結構な金額のお金、ハンターが3日は食っていける金額、失敗した者に払われる金額にしては高過ぎる

 

「……すまねぇな」

 

申し訳なさそうにそれを受け取り男はギルドを出て行った

 

 

「……ふぅ」

 

出て行ったのを確認した受付嬢は報告書を見る

 

(ちょっとヤバクない?あのイャンガルルガを時間ギリギリまで戦えて討伐寸前って……!)

 

何故か失敗の報告書に興奮していた

 

(これこのまま行ったら物凄い事に……そうなったら私が未来の大英雄を見つけたって事になるんじゃ……ボーナス増える……!?)

 

ニヤニヤしていると他の受付嬢が声をかけてきた

 

「大長老様が呼んでます」

 

「ああはい、わかりましたすぐに行きます」

 

業務用に顔を戻して彼女は報告書を持ってギルドの奥へ消えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……」

 

ギルドとは違う酒場で男は大きな溜め息を吐く

 

(向いてねぇのかもな……ハンター)

 

酒をちびりと飲む

 

(何年もやっていまだに下位……才能がねぇんだろうなぁ、ギルドに迷惑かけっぱなしだしよ……)

 

男のクエスト達成率は2割以下、ダントツの最下位

 

失敗補償金という制度で生きているギルドのヒモ状態な現状が憂鬱だった

 

だがヤル気はあれど成果が出ない

 

(いっそ引退して農場でもやるかぁ?ハチミツならゆうたってハンター集団が万年不足してるから買ってくれるって風の噂で聞いたし)

 

進退を考えていると突然肩を叩かれた

 

「まーた失敗したんだってなお前!この雑魚野郎!」

 

振り向くと今日のクエストに行く前に話した3人組のハンターだった

 

「弱っちぃのにクエスト選ばないからそうなるんだよ」

 

大男と小男はいつものように罵り、女は相変わらず申し訳なさそうにしている

 

「るっせーよ、今落ち込んでんだ、話しかけんな」

 

「ああん?雑魚のくせに一丁前に落ち込んでんのかよ?」

 

「10年早いぜそういうのはよ!」

 

罵りながらも何故か一緒の席に座る3人

 

「座んな、どっか行け」

 

「そう言うな!心優しい俺様が慰めてやる!」

 

「感謝しろよな~!」

 

そう言って無理矢理相席になり酒をたらふく飲ませてくる

 

「ちっ……」

 

舌打ちしながらも満更ではない笑みを浮かべる男

 

嬉しいと思ってしまうのだ、こんな雑な思いやりでも……

 

(明日からも頑張るか)

 

そうして男の1日は終わる……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すみません!遅くなりました!」

 

受付嬢が部屋に入り席に座る

 

「うん、じゃあ定期報告を始めようか」

 

集まっている数人の中で一際目立つ巨人、大長老が声を出した

 

「では「彼」の近況から聞こうかの」

 

問われて受付嬢が席を立つ

 

「はい、イャンクックは成功率9割と安定して狩猟出来るようになりました、次の段階ですがやはりイャンクックとはレベルが違うため苦戦している状況です」

 

「簡単に言うけどイャンクックを狩る自体が異常なんだがね……場所が場所だけに」

 

呆れるような一同の声

 

「そして今日はイャンガルルガを討伐目前まで追い詰めたとの事です」

 

「「「!!?」」」

 

その場がざわめいた

 

「本当か!?イャンクックとは格が違うぞ!?」

 

「本当に見たのか!?」

 

一同の目が一匹のアイルーに注がれる

 

「確かですニャ!」

 

そのアイルーは男を運ぶ専用猫車の運転手、クエスト中の監視も担っていたのだ

 

「その他、バサルモス、ダイミョウとショウグンギザミ等にも討伐は叶わずとも善戦、乱入したリオレウスにも深傷を負わせたとの事です」

 

「「「……!!」」」

 

一同は衝撃を受けて押し黙る

 

「いやはや……何という成長速度だ」

 

「恐ろしくもありますよ私は……武器防具は変わらずF規格じゃなくてこっちのままなんだろう?」

 

それはふざける程に異常な事だった

 

「ふむふむ、彼の成長についてはわかった、では彼について何か特筆事項はあるかな?」

 

大長老の問いに受付嬢は頷く

 

「精神面での磨耗が不安視されます、クエストを達成出来ない申し訳なさが負担になっているようです、それが数年続いているのでかなり精神的に弱っていると感じます、彼にだけの失敗補償金も負担になっているようです」

 

「うむ……さすがに誤魔化すのも限界が来ている感じですね」

 

「あの3人が上手く負担を軽減してくれてますが危ういかと……」

 

「辞められては困りますからね……何か手を考えなければなりませんね」

 

一同が解決案を考えていると大長老が手を叩いた

 

「よし、今日はこれで終わろう、次の定期報告会を早めてその時に考えた案を話し合う事にしよう」

 

鶴の一声でその場はお開きになった

 

「あ、君……」

 

出ていこうとする受付嬢を大長老が呼び止める

 

「間違えないでね、彼もそうだけど他のハンターの時もね」

 

「わ、わかってます!失礼します!」

 

顔を真っ赤にして受付嬢は出て行った

 

 

 

 

「……ふぅぅむ」

 

1人残った大長老は報告書を見ながら長い髭を擦る

 

(まさかここまでの逸材とは……)

 

この怪しい報告会はギルドが密かに期待する男の為の極秘計画だった

 

(聞いた時は耳を疑ったわい)

 

事の始まりは男が数年前にギルドに登録して少し経った時だった

 

当時、新米として配属されたばかりの受付嬢が間違って新米下位ハンターにFクラスのクエストを受領させてしまったのだ

 

(Fクラスとは特別隔離管理された魔境、一般G級ハンターの集団を虫の如く蹴散らす異常生態領域)

 

Fクラス

 

フロンティアと呼ばれる隔離地域、その地域では既存のモンスターが異常進化したり先祖返りをしたり何か改造されてたりする極めてイカれた魔境

 

活動するハンターも尋常ではない人外の狩人の集まり

 

(そこへFクラスでもない新米ハンターが送られたのだからすぐに救助へ向かった)

 

隔離地域とあるようにFと本家と分けられている、男が居るのは本家でありそのレベルはFと比べると雲泥、月と鼈の差程にある

 

そんな一般ハンターが地獄に送られたとなったのが始まり

 

(殺されていると思い諦めていたが、なんと……生きておった、しかもクエストを達成しておったのだ、死にかけながらも)

 

男が送られたのはFの下位、同じ下位だが本家より当然凶悪、生きてられる筈がなく達成など誰も考える事もしない不可能だった

 

それを男は成したのだ

 

(その時ワシは思ったのだ、この男は必ず大英雄になる!と)

 

それから大長老は男を内密に鍛える事にした、男が受けるクエストをFにすり替え自覚無く成長させる事にしたのだ

 

失敗補償金もその1つでありギルドで彼だけの特別措置、ギルド全体に箝口令を敷き男が情報を受け取らないようにし受付嬢も最初にミスした彼女を担当にし選んだ3人のハンターに男のメンタルケアを任せている

 

移動に関してもかつて手練れのオトモアイルーだったアイルーを移動運搬兼クエスト中の男の安全確認と成長監視をさせている

 

全ては男をギルドの象徴となる大英雄へと育てる為

 

(やり方間違ったかもしれんが……まぁええじゃろ)

 

思い通りに進んでいる事に嬉し気に微笑んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは……

 

いつか大英雄と呼ばれる男が歩んだ

 

フロンティア(F)への挑戦の記録である

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




昔に考えたモンハンのネタです。
東方大魔王伝書き終わったら書こうかなぁって思ってたらワールドやらアイスボーンやら出て旬が過ぎた感がしたので御蔵入り……と思ってたら急に書きたくなったんで短編で自己満足です。
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