「おはようプーギー!」
男のテンションが高い
「俺クビじゃないってよ~!うりうり~!」
「ぷい~♪ぷい~♪」
ペットのプーギーは撫でられて喜んでいる
「クビだったらお前を養豚場に売らなきゃならなかったなぁ~うりうり~!」
「ぷいっ!?」
プーギーはガタガタ震えている
「ウソだよ!そん時ゃ非常食だったよ!」
「ぷいいっ!!?」
プーギーは絶望に震えている
「ウソウソ!全部ウソだ!お前はずっと一緒だぞ~」
「ぷいぃ~」
プーギーは安堵した
「行ってくるぜ~」
「ぷい~!」
プーギーに見送られ男はギルドへ向かう
「お?よう!」
ギルドで大男達を見つけ話しかける
「……おう」
大男は男を見ずに挨拶を返す
「どした?」
テンションの低い大男に首を傾げる男
「……何でもねぇ、さっさと行きやがれ雑魚野郎」
「……体調悪いなら休んでろよ?」
妙な様子に心配しながら受付へ向かう
「普通にしなよ」
小男が言う
「うるせぇぞ」
バツが悪そうに大男は言う
「でもしょうがないよね、ギルドのお偉いさん達に直談判に行ったら無意味だったんだから」
「うるせぇ黙れ」
大男達は男がギルドナイトとG級の2人をブチのめしたあの後にクビを覚悟していた男を慰め、その後すぐにギルドへ辞めさせないように直談判に行っていた
「あの時は格好良かったなぁ「アイツをクビにすんなら俺様も辞める!!」って……流石!!」
「……うるせぇ」
男の進退が功績と相殺になっていた事を知らなかった大男は大いに荒ぶった、説明しようとするギルド幹部達を押し退け大長老に詰め寄ったのだ
そしてようやく男の処罰無しを知り安堵と共に恥ずかしくなり男の為に無意味な漢を見せた恥が不機嫌の理由であり男に素っ気なくしてしまった理由
「アイツと一緒に辞めてたらどうするつもりだったの?2人で農場でもやる気だった?」
「……いい加減にしやがれ!」
大男が小男を締め上げる
「痛い痛い!?も~そんなに怒んないでよ」
「テメェ生意気だぞ!」
「わかったってもう言わないよ!あーもう……髪がぐちゃぐちゃだよ」
「お前がバカにすっからだ」
「はいはい僕が悪かったよ……ホント昔と変わらないんだから、ねぇ?」
苦笑しながら小男は女を見る
「ふふっ、そうね……友達が危ない時はいつも格好良かったよね」
女もクスリと微笑む
「ちっ……うるせぇぞ」
大男は気恥ずかしそうに頭を掻いた
「今日は蛮竜グレンゼブルです」
受付嬢は笑いを堪えながら言った
「アイツか……前に負けたしリベンジだな」
「そうですね……ぷぷっ、頑張ってくださいね……ぷぷぷっ」
我慢出来なくて笑いが漏れていた
「……何で笑ってんだよ?」
「だって……グレンゼブルって見た目がヤンキーじゃないですか」
「わかる」
「それで貴方はチンピラじゃないですか」
「……あぁん?」
「ヤンキー対チンピラ、仁義無き戦い……そう思ったら面白過ぎて……ぷぷぷっ」
「……」
男はゆっくりと指を引き絞り、受付嬢にデコピンを繰り出した
「アイターッ!?」
「誰がチンピラだ誰が……ったく」
クエストを受注し男は出発した
パァープォー♪
「あ……?」
「ギ……?」
フィールドの河原っぽい場所で1人と1体は睨み合っていた
「何ガンつけてんだコラ?」
「ギギャ!」
テメーがガンつけてんだろコラ!とグレンゼブルが言っている気がする
「やんのかコラァ!」
「ギギャー!」
上等だコラァ!とグレンゼブルが言っている……気がする
「死んだぞテメー!」
「ギギャギャー!」
明日の朝刊載ったぞテメー!とグレンゼブルが言っている……気がする
「ブッ殺す!!」
「ギャー!!」
ヤンキー対チンピラ、仁義無き戦いが始まった
「はぁ……はぁ……」
「ギィ……ギィ……」
存分にドツキ合った……否、男が一方的に殴り続けた結果、互いに疲れて河原に倒れていた
「やるじゃねぇか……俺のハンマーを何百と受けて死なねぇたぁよ」
「ギギ……」
テメーもな……とグレンゼブルが言っている、気がする
「へっ……」
笑顔で男が立ち上がりグレンゼブルの傍に立つ
「大した奴だぜお前」
「ギギ……」
テメーも大した人間だよ……とグレンゼブルが言っている、気がする
ヤンキーとチンピラに友情が芽生えた、河原で決闘したらそれはもうマブダチなのだ
「トドメだオラァ!!」
男はハンマーを振り下ろした
メインターゲットを達成しました!
「ふぃ~……リベンジ成功~!」
男は安堵の笑顔を見せた
ハンターとモンスターの間に友情など無い、もし有ったとしても男の優先はギルドへの貢献だから見逃す選択肢は無い、引き分けは無いのだ、勝つか負けるかだけ
「って訳だ、わりぃけどそこんとこ夜露死苦!!」
「勝ったぜ」
「おお~!おめでとうございます!ヤンキー対チンピラはチンピラの勝利っと……はいどうぞ報償金です!」
「……」
男はデコピンを繰り出した
「アイタッー!?」
「ったく……」
男はギルドを出ていく
「キズになったら責任取ってくださいよね~!」
「あーへいへいわかったわかった……」
微笑みながら……
(あーそうだ大剣……親方のとこ行くか)
クシャルダオラ戦の時に酷使した大剣が心配になった男は鍛冶屋へ向かう
「親方ぁ~」
「あ?何だお前か……今日はどうした?」
男は親方に素材を渡す
「今日狩ったグレンゼブルってのの素材だ、それと少ないけど上位素材」
「ふん……マジで少ねぇな」
「うっせぇほっとけ」
男は素材を鍛冶屋に全部預けるようにしていた、親方の提案でそうなった
裏では親方がギルドと繋がっていて男が今まで狩ったがすり替えられていたFクラス素材を元にF規格武器を作っている、当然男には内緒で
「そんで親方……大剣見てくんねぇか?」
「あ?どうした?」
出された大剣を見て親方の表情は職人の顔になった
「刃がガタガタでノコギリみてぇになってやがる、それに歪みもあんな……お前何切った?相当硬いモン切らなきゃこうはならねぇ」
「クシャルダオラだよ」
「……何ぃ?」
親方は大剣から顔を上げ男を見る
(あのクシャルダオラを撃退したのはお前だったのか……)
町民には結果だけ伝えられていて詳細は伝わっていない、誰がクシャルダオラと戦ったかなどは知らないのだ
(お前のお陰でオレの工房は無事だったって訳か)
感謝を思うが口には出さない、親方は不器用だから
「そりゃこうなんのも当然だろうよ、あの龍は鋼龍なんて言われるくれぇ硬ぇからな」
「直りそうか?」
「あぁ……見た感じまぁいけんだろ、オレなら問題無く直してやれる」
「さっすが親方!頼りになんぜ!んで幾らだ?報償金あるから多少高くても大丈夫だぜ!」
男は笑顔で報償金が入った袋を差し出す
「要らん、タダでやってやるよ」
親方は言った
「タダ?いやいやそういう訳にゃいかねぇよ、親方の技術料にタダなんてないだろ」
「こんなもんサービスの範囲内だ、こんくれぇで金なんか取れるか」
「いやでもよ……」
お金を払いたい男と拒否する親方
「要らねぇつってんだろ!仕舞っとけアホンダラ!」
怒鳴る親方
「……わかったよ、けど悪いからこんだけ……これで良い酒でも飲んでくれよ、じゃ頼むな」
袋から金を台に置いて男は鍛冶屋を出て行く
「……わりぃな、あんな言い方しか出来ねぇんだ」
親方は自分の不器用さに呆れながら男が置いていった金を見る
(ったく……オレよりテメェの事心配しろってんだ)
悪態つくも嬉しいのは間違いなく、男の武器を丁寧にしっかりと直し始めるのだった
日常回になります。
もうちょっと書いたら終盤ですかね、たぶん……