「ウオラアアアアッ!!」
衝突する男の大剣とラヴィエンテ
「ッッ!!?」
勝つのは当然……ラヴィエンテ
男の一撃を意に介さず前進を続ける
「ッッ~~~~~~クソガァ!!」
大剣が切り入った状態で男は吊られたままラヴィエンテと共に前進している
「このっ……!」
鱗を掴み大剣を引き抜きラヴィエンテを登り
「ドラアアアアッ!!」
頭の頂点で大剣を突き入れる
(切れる!流石親方の造った剣だぜ!)
ラヴィエンテの強靭な鱗を断ちその肉を切れている
「……ッ!?」
しかし効いていない、巨大なラヴィエンテにとって人が扱う大剣など虫が刺した程度でしかない、前進は微かも揺るがない
「俺なんざ眼中にねぇってかぁ……?上等だァ!!」
男を敵として排除しようとしたなら今頃ラヴィエンテの胃の中か肉片だろう
男に目もくれず前進している事が男の命を延ばしている
「効くまで叩きこんでやらァ!!」
大剣を辺り構わず振り回し切り刻む
「ウオラァァァァ!!」
全てが肉を裂いている、効いているのかはわからない
それでもするしかないのだ
「止まれってんだクソヤロー!!」
それが使命、恩あるギルドから頼まれた事だったから
失敗では済まされない
「ヴォオオオオオッ!!」
ラヴィエンテが咆哮、大気を震わす振動が男のバランスを崩し前進運動の振動が転倒させ頭から後方に転げ落ちる
「ふんッ……!くっ……!」
鱗を掴み落下を免れる、落とされればもう上がってこれないかもしれない、牽き殺される可能性も充分有る
「テメェゴラァ!!」
立ち上がった場所でまた大剣を突き入れるもラヴィエンテに変化は無い
「根比べだ!ぜってーブッ殺してやる!!」
男は一心不乱に大剣を振り続ける
「負けねぇぞ俺ァ!今回だけはよぉ!!」
交わした約束を力に男は大巌竜へ挑む
「よし!!」
ある火山の一角、ハンター達がモンスターを討伐する
「ブラキディオス2頭の討伐に成功、次は何処に居る!?」
火山で活性化したモンスターの沈静化に来ている4人のパーティー、普段の沈静化では生態系を崩さないように捕獲麻酔玉や麻酔弾を使って沈静化するが今はそんな余裕が無く容赦無く討伐している
「……?オイ!次は!?」
同行しているギルド職員の返事が無くパーティーは一斉に振り向いた
「!!?」
ギルド職員はモノ言わぬ肉塊となって宙を浮いていた
否、浮いていたのではない、咥えられていた
「ナナ……テスカトリ……!!」
炎妃龍によって……
「テオ・テスカトルも……」
更には炎王龍も姿を現す
「ッ……来るぞッ!!」
古龍との戦いが始まる
「ちぃ……!」
とある樹海ではハンター達がイャンガルルガとクルペッコの2体と戦っていた
「うぐっ!?」
ノーモーションで繰り出されるイャンガルルガの啄み攻撃を受け打ち飛ばされるがまだ戦える
「……ッ!?クソッ!」
起き上がりに重ねるようにクルペッコが飛び込んで来た
「グギャア!!」
クルペッコは尾の一撃を受け打ち飛ばされた
イャンガルルガがやったのだ
「助かっ……あっ!?」
間一髪だったハンターが気付く
「止めろ!演奏してるぞ!!」
起き上がったクルペッコが他のモンスターを呼び寄せる自慢の音色を奏で始めたのだ
「ちっ……間に合わなかったか」
クルペッコの演奏を止めようとしたが気付くのが遅かった事が災いし演奏は完了してしまった
「マズイぞ……これ以上集まられたら対処出来ん」
一旦撤退を考えるハンター達の元へモンスターはすぐに現れた
「な、なんて数だ……!?」
普段は1体なのに活性化が相まったのかその場に5頭を越える大型モンスターが集まったのだ
合計8体のモンスターがハンター達を囲う
「くっ……年貢の納め時か……!?」
絶望に諦めかけた瞬間、イャンガルルガが周囲のモンスターへ攻撃を仕掛けだした
「仲間割れ……だと……?ッ!!?」
唖然とするハンター達は樹海の奥から猛々しい足音を聞き戦慄する
「逃げろッ!!」
イャンガルルガによって混乱した場から離れられた次の瞬間、飛び込んできた巨大な口がクルペッコに食らいつき、命を噛み砕いた
「イビルジョー……!?」
クルペッコに呼ばれたからかその本能からなのかはわからない
その危険度から古龍級生物として怖れられる恐暴竜がその場を食い荒らす
「ギュアアッ!!」
イビルジョーに蹂躙されるモンスターの群れだったがイャンガルルガだけが億さず戦いを挑む
「ボオオオオッ!!」
「ギュアアアッ!!」
唸る一匹狼、隻眼の黒狼鳥
戦いにのみ生きる戦闘鳥竜は相手を選ばない、古龍級だろうが超大型級だろうが挑む超攻撃的生物の祖たる存在なのだから
「ギュアッ!!」
邪魔だと言わんばかりにイャンガルルガが側のモンスターを尾で打ち飛ばす
「ボオオッ!!」
イビルジョーのブレスが2体の周囲を薙ぎ払う
「ギュアアアアアアアアアアッッ!!」
「ボオオオオオオオオオオオッッ!!」
「退避だ!巻き込まれるぞッ!!」
最狂対最恐に観客は要らない
見たいのならば命が代価と知れ……
「なんだ……この有り様は……?」
とある砂漠に派遣されたハンターは広がる光景に戦慄していた
「何があった……」
モンスターの死骸が無数に転がっているのだ
小型、中型、大型モンスター全ての骸が転々と……
「……この先に何か居るのか」
ハンターが死骸の道に気付く、ある方向に向かって死骸が伸びていたのだ
「なっ……これは!?」
死骸の先でハンターは見た
「ヴォアアアアアッ!!」
「ヴォアアアアアッ!!」
死骸の山の天辺で雄叫びをあげる2体の金色の牙獣の姿を
「ラージャン……!!」
金獅子、超攻撃的生物の代表格である古龍級モンスターの一角
この2体のラージャンが砂漠のモンスターを殲滅していたのだ
「!!」 「!!」
「!!?」
ラージャンがハンターに気付く
「ヴォアアッ!!」
「ヴォアアッ!!」
即座に襲いかかって来る2体の激昂せし魔獣、その肩書きに偽り無し
「冗談キツイぞ……でもやるしかねぇ!」
ハンターは迎え撃つ
双獅激天
そこは死の闘技場……
「何!?えっ!?もっと詳しく言ってくださいよ!」
とある大陸では編纂者というハンターの相棒を務める受付嬢が怒鳴っている
「どうしたの!?」
モンスターと戦うハンターが問う
「なんかよくわかんないんですけどマガイマガドとネルギガンテが他大陸から現れて襲ってるって……」
「マガイマガドとネルギガンテが……?」
モンスターの攻撃を華麗に躱し女ハンターは反撃を入れる
「襲ってるって何?襲われたの間違いでしょ!?」
「わかりませんよそんなの!私に聞かないでください!まだ世界中混乱してて情報が正確じゃないんですから!」
「そうよねごめん……このッ!!」
古龍ガイアデルムを切り裂く
(早く他の場所へも救援に行かないといけないのに……!)
どこの大陸でもモンスターは活性化して暴れ回っていた
わかってはいたが特に古龍の進攻は恐ろしく被害は甚大であった
「……ッ!?」
女ハンターは気付く
ガイアデルムと自分の頭上に何かが居た事を
ドンッ!!
何かが落下しガイアデルムを押し潰しその衝撃が女ハンターを後退させる
「ッ……メル・ゼナ……!!」
ガイアデルムを押し潰したのは同じく古龍
爵銀龍メル・ゼナ
「……やるしかないみたいね」
戦闘を覚悟し構えた女ハンターを前にメル・ゼナも臨戦態勢を取る
「……!」
メル・ゼナが何かに気付き顔を彼方に向けると同時に飛び去った
「どういう事……?」
女ハンターが彼方に飛んで行くメル・ゼナを見ながら言うと編纂者が答えた
「確かあの方角にもガイアデルムが出現したと聞いていますが……まさかそれに?」
「わからないわね……でも考えてる暇は無いわ!次に行くわよ!」
「わかりました相棒!」
女ハンター達は行く
原初を刻む龍を背に……
「ハァ……ハァ……」
疲れ果てた男はアイテムポーチから薬を取り出し、飲む
「……ハァ……クソがァ!」
飲んだビンを叩きつけ大剣を構える
「ウオラァ!!」
男が飲んだのはギルドから支給された支援の1つである強走薬グレート、飲めばスタミナ切れを防ぐ高級品
それを通常の強走薬を含め5本最大数を渡されている
「ダラァ!!」
今飲んだので5本目、最後の強走薬グレート
「ッ……ラァァ!!」
既に陽が沈み月が見えている
男はもう12時間を越えて戦っていた
「ッ!!?」
振り上げた大剣が手から抜け男から少し離れたラヴィエンテの鱗に突き刺さる
「チッ……」
血塗れの手を見て舌打ちしポーチを漁る
「鍛え方が足りねぇんだよ雑魚野郎がッ!こんくらいでヘバる暇ねぇんだぞッ!!」
軟弱な自分の弱さにキレながら支給された回復薬を半分両手にかけ半分を飲み干す
(……クソがァ)
大剣の柄を握りながら前進するラヴィエンテを睨む
(速度が上がったまま落ちねぇ……クソッ、クソッ!!)
ラヴィエンテは陸地に上がった後の前進は男やギルドが想定していたより早かった、男の感覚的な話だが接触予想時間が1日は短くなった気がしている
つまり猶予は残り2日と少し
「止まれや……」
ラヴィエンテに変化は無い、効いているのかすらわからない
「クソッ……コノヤロウが……!!」
それどころか効いていないのでは、意味が無いのではとすら思う、思わされる
人が1人でどうにか出来る存在ではないと心を挫きに来る
「ざけんな……ふざけんなァ!!」
男は叫ぶ
「リタイアなんざ絶対しねぇからなこのクソヤロウ!!息の根止まるまでやってやるからな!覚悟しやがれ!!」
ラヴィエンテを死止めるのが先か男の精魂尽き果てるのが先か
これはそういう戦い
そして……
どちらが先かは火を見るより明らかであった……
「グハッ!?」
大男が吹き飛ばされる
「大丈夫!?」
メガネが駆けつけ血まみれの大男を抱き起こす
「ぐぬっ……ッ……油断した……」
隕石の直撃を食らったのだ
ダラ・アマデュラは身に宿す不可思議な力によって凶星を降らせる事が出来る
その凶弾が狙ったのだ、己の体ごと鬱陶しく纏わりつく敵を排除する為に
「待って、今回復薬を飲ませるから」
「ザマァねぇなクソッ……」
大男は油断した訳ではない、普段なら察知し避けられた
疲労が限界に来ていたのだ
もう2日も戦っているのだから
「……!これが最後の回復薬だ……」
見せたのは回復薬グレートではなく普通の回復薬、もう道具も尽きているのだ
「充分だ……よこせ」
回復薬を飲んだ大男は立ち上がる
「……!腕が……!?折れ……」
「気にすんな……まだやれるからよ」
片手でハンマーを持ち上げ大男は血濡れで笑う
「もうひと押しだ……もう少しでこのクソヘビはくたばる筈だ」
脱皮後の安定した原種と戦った事のある大男がハンマーを強く握る
「絶対に勝つ……!気張れよお前等ァ!!」
豪雨のように降り注ぐ凶星が作る地獄の嵐の中で……輝きながら
「ヌゥゥ……オオオオオオオオッ!!」
10mより長く、身の丈よりも長い大太刀が振り下ろされる
ザンッ!!
幾度となく切られていたラオシャンロンの太く長い首は最後の渾身の一撃にて両断され地に落ちた
「……何とか守りきれたか」
勝利した大長老が何度か攻撃を受けた砦を見上げ安堵の息を吐く
「お疲れ様です大長老様」
「うむ……状況はどうなっとる?」
ラオシャンロンと戦っていた間に知り得た情報の報告を受ける
「……そうか、何とかなるやも……と言ったところか」
「はい……依然として楽観は出来ませんがね」
「わかっておる」
大長老は大きく息を吐きラオシャンロンの亡骸よりも更に上にある空、赤みがかった日の出を間近にした空を見上げる
「彼は……無事でしょうか」
「信じるしかあるまい、生きていれば可能性は有る……可能性は……残せた筈だ」
意味深な言葉に職員が大長老を見つめる
「……いったい、何をしたんです大長老様は……?あの手紙は誰に……?」
「ムォッホン!よかろう……いよいよ話す時が来たようだな、ワシが持つ最大最後の……大いなるツテを……」
大長老は静かに語り始めた……
「ハァ……ッハァ……」
息が苦しい
「ッア……ハァ……!?」
もうどれだけ切ったか……
「ゼハッ……ゼェ……ゼェ……」
どれだけの時間を戦ったのか……苦しい
「ウ……ラァ……!」
何もかもを使い切った
残るは意思、それだけ……
「ァ……カハァ……ウゥ……オオッ……!」
苦しい……
目も見えなくなってきた
「……ハァ……ハ……ァ……」
死ぬのか……俺は……
「…………ウ……オォ…………!」
なら最期はせめて……
俺らしく死ぬさ
「………………ォ…………」
ごめんな……
「………………………………」
約束……
守れなくてよ……
チクショウ…………
…………ピキュュン
「……あ?」
男はまだ死んでいない事に気付く
(回復した……?少しだけ……)
意識がハッキリとする程度だが体が楽になったのだ
(もしかしてコイツは……生命の粉塵……ってやつか……?)
使った事も使われた事も無い男だがもしそうならと周囲を見渡す
「よかった、間に合ったようだな」
声がかけられ男が向くとラヴィエンテの頭頂に1人の男が立っていた
「あんたは……」
男の事は見覚えがあった
直接会った事は無いが本で見たのだ
「狩りに生きる」で特集されていたから
「よく今まで耐えたな、大したもんだ」
使い古されたレザー装備を着た男
「待たせたな」
その男は伝説
ハンターの中で知らぬ者は居ないと言える伝説の男
~~二代目ココットの英雄~~
--大英雄の一角--
主人公だけでは勝てない?だったら歴代主人公を呼べばいいだろ!
ようやく出来ましたねこの展開、このシーンを夢見て構想を練ったと言っても過言ではありません。
もう俺達の戦いはこれからだエンドでも良い気がしてきた!……嘘です、最後まで頑張ります。
ちなみに作者はイャンガルルガが結構好きです、あのジョーとの一騎討ちムービーは痺れましたね、流石ガルルガパイセンマジパネェッス!
……なんか主人公はイャンガルルガの生まれ変わりな気がしてきたな