「グルル……」
本家のとある場所
隔離されているF領域との境界で1頭の古龍が唸りをあげている
「グルォ……!」
本家のモンスターはF領域には入って来ない
それは昔にF領域へ侵入した多くの本家モンスターがレベルの違いに悉く駆逐された事が原因であり、トラウマが本家のモンスターに本能レベルで刻み込まれ共通の絶対認識になっていたからである
ギルドも目印程度の軽い囲いしかしていないが問題は無い、F領域に本家が入れば死でありF領域モンスターは領域からは出ないからだ、唯一の例外は大活性時のラヴィエンテだけ
「グルル……!」
そんな魔境へ本家のモンスターが1頭行こうとしていた、死の警鐘を全力で鳴らす本能を振り切って
「……グオオオオオッ!!」
顔にナイフが刺さったままの古龍は境界を飛び越えた、本能を越える意思を持って飛んだ
「グオオオオオッーーー!!」
復讐を遂げる為に……
「みんな聞いてる?最近
小男が問う
遷悠種とはF領域で今まで確認されなかった本家にだけ居たモンスターの種の事
ただ本家とは見た目は同じなのに中身はF領域相当になっていて強さは全く違う、本当に同じモンスターかと思う程強いのだ
「あ~みたいだな」
男はあまり関心が無い、大男も同様
「オレ等は依頼なきゃ勝手に狩れねぇしなぁ」
ハンターは特別な理由が無い限りギルドを通して狩りを行わなければならない、勝手に狩れば違法、ギルドナイトに処されるのだ
だから日常会話程度の軽さしかない
「んで今日はどうする?」
「特に欲しい素材もねぇし俺様は何でもいいぞ」
男はギルドで大男達と予定を話し合っていた
「じゃあ僕の新武器の試し切りに付き合ってよ、ようやく穿龍棍が良い感じに強化出来たんだよね」
「あ、私もマグネットスパイクが造れたから使ってみたいかも」
小男と女の提案
「いいぜ」
「んじゃ何行く?」
賛成し次の問題は何のモンスターで試すか
「クック先生にすっか?物足りないならガルルガ教官はどうだ?」
「ん~もう少し手応えが欲しいかな」
「何が手応えだよ、サンドバックの耐久性の話だろうが」
「へへっ……まぁね」
中々酷い会話であるが熟達してきたハンターの会話とはこんな感じになりやすい
「私、オディバトラスに行きたい」
「アイツか、いいんじゃねぇか?」
「よし決定だ!」
女の案が採用され4人はアカムトルムやウカムルバスに近い外見を持つ弩岩竜・オディバトラスへ向かった
パァープォー♪
「よし!討伐完了!」
オディバトラスを倒した小男と女が武器を掲げる
「な~にがよし!だ、一乙してたくせによ~」
「情けねぇ」
男と大男は本腰を入れず傍観を多くしメインである2人を邪魔しない立ち回りをしていた
「まだ完全に慣れてないんだよ~でも中々良かったんじゃない?」
「だな、楽しそうだったから俺も造ろっかな」
「私はどうだった?」
「良い感じだったぞマグスパ、一気に近付けんのが良いな!見てて面白かったぞ!」
剥ぎ取りをしながらわいわい雑談
WARNING!
剥ぎ取りが終わった4人に突然何かが飛来した
「あ?クシャルダオラだと?」
現れたのは風翔龍クシャルダオラ
「グルルルル……!!」
怒りの形相で威嚇している
「何だぁ?乱入か?」
「F領域でも起こるんだね……あれ?この個体まさか……」
「どうする?」
大男等3人は珍しそうな顔でクシャルダオラを見ている、焦りは無い
「ん~?何か見覚えあんなお前?」
男がクシャルダオラを凝視し顔に刺さっているナイフを見つけた
「あ、お前!前に撃退したクシャルダオラか!!」
まだギルドに騙されていた頃にギルドへ襲来し撃退したクシャルダオラだったのだ、顔に刺さっているナイフは刺した毒投げナイフを大剣で打ち込んだ時の物
「グオオッ!!」
そうだ!と言うようにクシャルダオラが吼えた
「……まさかお前、俺にリベンジしに来たのか?」
「グオオオッ!」
そうだ!殺す!と言うようにクシャルダオラは吼える
「うーんそうか……うーん……」
男は仲間の3人を見渡した後に困って唸る
「なぁどうする?」
「見た感じ特異個体っぽいけどアイツ上位個体だよ、
「可哀想じゃない?」
「俺様もそう思う、クエストはクリアしてるし放置でいいんじゃねぇか?」
「だよなぁ……でも見ろよアイツ」
男がクシャルダオラを指差す
「グオオオオオッ!!」
ごちゃごちゃ言ってないでかかってこい!と言うような咆哮をクシャルダオラはあげていた
「ヤル気らしいぜ奴さん」
男は苦笑した
「はぁ……気は進まねぇがやるか、やるぞお前等」
「「「お~」」」
何とも気の抜けた掛け声で4人は武器を構えた
「グオオオオオオオオオッ!!」
クシャルダオラは攻撃を開始し
激闘の幕が上がった
「「「オラオラオラー!」」」
「キャインッ!?」
クシャルダオラはボコられていた
「「「オラオラオラー!」」」
「グオオオオッ!!?」
成す術無くボコられていた
「グオッ!?グオッ!?グオッ!?」
それもその筈
相手はFクラスハンター4人なのだから
本家のモンスターより遥かに強いF領域のモンスターを日常的に相手にしている4人がF規格の装備を着けて戦っているのだ
特異個体と言えど本家の上位モンスターごときが相手になる筈がないのだ
「オラオラオラー!」
それは男1人だけだったとしても同様
既にこのクシャルダオラは男にとって何の脅威にも成り得ない存在になっていた
「グッ……オオオオオオオオオオオオッ!!」
怯まされ続けていたクシャルダオラだが袋叩きの一瞬の途切れの間隙に飛び上がり飛翔した
「あ……アイツまた逃げやがった」
そのまま彼方へ消えていくクシャルダオラを4人は見送る
「これに懲りてもう来ねぇだろ、帰って打ち上げしようぜ」
「だな、よっしゃ帰ろうぜ」
討ち取れなかった事など何も気にせず4人は笑いながら帰って行った……
「グオオ……」
クシャルダオラは泣いていた
「グオオ……」
涙は出ないが悔しくて泣いていた
「グオオオオオッ!!」
風は……まだ止んでいない
「よーし行くよ!睡眠弾速射ッ!」
しばらく経ったある日、今日はメガネを入れて4人でクエスト、女は温泉に行っている
「寝たよ!」
「ナイスゥ~!」
眠らされたディアブロスの近縁種であるFモンスター・ヴァルサブロスへ男は近付き大剣を構える
「ンヌゥゥゥ……ウオラアアアアッ!!」
渾身の溜め3抜刀切りがヴァルサブロスの息の根を止めた
「「「ウェ~イ!」」」
4人でハイタッチ
「帰って打ち上げDA!」
「「「ウェ~~~イ!!」」」
意気揚々と帰路に入ろうとする4人
WARNING!
また招かれざる客が乱入した
「またお前か……しつけぇ野郎だぜ」
来たのはやはりクシャルダオラ
「またボコボコに……」
「ん?ちょっと待って……」
小男が気付いてクシャルダオラを指差す
「アイツ……歴戦王になってない?」
歴戦王とは長い時を生き力を蓄えた古龍が更に地脈の力をも得て更なる力を持つに至った姿
「アイツんな長生きしてんのか?老害じゃねぇか」
「若そうな個体に見えるけどね……地脈のエネルギーを吸いまくったんじゃないかな?」
「ドーピングじゃんそれ」
元は本家ハンターだった3人は事情に詳しい、男は本家ハンターではあったが本家のクエストはほぼしてないので知らないから会話についていけてない
「よくわかんねぇけど前より強くなったって事なんだろ?面倒くせぇしメガネも居るから閃光ハメしようぜ」
「閃光は耐性があって何回かしたら効かなくなるよ?」
「そうなのか?でもまぁ大丈夫だろ」
男は自信有り気に笑った
「やってみようぜ」
「グオオオオオッ!!」
クシャルダオラが襲いかかって来た
「「「オラオラオラー!」」」
「キャイン!?」
クシャルダオラは泣かされていた
「「「オラオラオラー!」」」
「グオオオオッ!?」
閃光で墜落させられてから怯みと転倒で何もさせてもらえないのだ
「「「オラオラオラー!」」」
「グオッ!?グオッ!?グオッ!?」
確かに大幅にパワーアップした、本家ならばかなりの脅威と言えるレベルになっている
ただその程度ではFでは通用しないのだ
強さで言えばFのG級より弱い、そんな程度の強さでは最前線のFクラスハンターは遊びながら勝てるのだ
「グッ……オオオオオオオオオッ!!」
また一瞬の隙を突いてクシャルダオラがハメから脱出、逃走した
「またか……」
眺める男はふと思い付く
「おいメガネ、撃て」
既に結構離れたクシャルダオラを狙い撃てと言った
「いいけど……当たるかな……」
メガネは照準を合わせ、撃った
「お、当たったな……あ」
「墜ちた……ね」
メガネの弾にビックリしたクシャルダオラは混乱して墜落していた
「ハハハ!よし帰ろうぜ!ハハッ!」
面白いモノが見れて満足に4人は帰路についた
「グオオオッ!?」
クシャルダオラは泣いていた
「グオオオッ!?」
ただただ悔しくて泣いていた
「グオオオオオオオオオッ!!」
風は……まだ止んでいない
「また即死来るぞ!気をつけろ!」
またしばらく経ったある日
「うおっ!?あっぶねぇ……」
この日の相手は辿異種ルコディオラ、異常発達した磁力を操る古龍でありF領域最強クラスの1体が相手だった
即死とは防御力など意味成さない1発一乙キャンプ送り攻撃の俗称
「ウオオッ!ドラアアッ!!」
このレベルの相手は気を抜けない、熟練Fクラスハンターでさえ一瞬の気の緩みで簡単に倒されてしまうから4人は真剣に戦っている
「翼壊れた!畳みかけろ!」
磁力を操る部位である翼を破壊されたルコディオラは大きく戦闘力を落とし4人の猛攻を受け地に倒れた
「ふぅ、何とかなったな」
「ヤバイ時が結構あったな……帰って反省会するか」
4人は上を目指している
常に気を張っては疲れるから気晴らしと素材集めにランクを落としたクエストに行ったりもするが基本的には上に挑み続けている
WARNING!
「来やがった……」
「またそのうち来るとは思ってたがよ」
招かれざる客、三度
「グオオオオオッ!!」
クシャルダオラ乱入
「なんだアレ……とんでもない事になってるよアイツ」
小男が気付いて指を折って数える
「えーとキュリア付いてるから傀異化……克服してるなあれ、それに何故か古龍の癖に狂竜ウイルス感染して超越した極限化、獰猛化の特徴もあるな……それで歴戦王、と」
「なんだそりゃ……傀異克服極限獰猛歴戦王個体、って事か?ハンタープレミアムコースじゃねぇんだぞ、バカか?」
「何で生きてんだろうね、寿命残ってんのかな?」
異常な状態であるのは明白だった
小男の言う通り何故生きてるか不思議な状態であるのは間違いなかった
「グオオオオオッ!!」
これも全ては男に勝つ為
このクシャルダオラはそれだけに生きているのだ、その果てが死だとわかっていても止まるつもりは無い、だからこうなる事に迷いは無かった
「……」
睨み合う男とクシャルダオラ、今日は男の顔は真剣
「ガッツあんなお前」
男はクシャルダオラへそう言った
何度ボコられても諦めず挑んでくる姿に好感を持ったのだ
「今日は俺が相手してやる、お前等手ぇ出すなよ」
そう言って男は防具を外した
「来いよ!風鎧なんて捨ててかかってこい!」
あの日と同じく大剣を構えて告げた
「グオオオッ!!」
上等だ!とクシャルダオラは風鎧を解き、周囲を嵐に変えて本気で男へ駆けた
「ウオラアアアアッ!!」
「グオオオオオオッ!!」
ぶつかり合う両者、あの日、あの時の再現
「うおおっ!?速ぇじゃねぇかよ!」
前より格段に速い攻撃を紙一重で避け大剣を食らわせる
「グッ!?オオッ!!」
負けじとクシャルダオラも今まで培った力、新たに得た力を使い男へ挑む
「めちゃくちゃ強くなってるね、ビックリだよ」
「ああ、たぶんこっちのG級より強ぇ……いや間違いなく強いぞあのクシャルダオラ……あっちじゃ最強のモンスターだろ、勝てるハンターも居ねぇだろうな」
見ている大男達もクシャルダオラの実力に感心している
「……モンスターの心はわからないけど、人間だったらどれくらいの覚悟が要るのかしら」
女が呟いた
「さぁな……生半可な覚悟じゃああは成れねぇ、それだけは言える」
男よりむしろクシャルダオラを見ていた
「グオオッ!!」
クシャルダオラがブレスを放ち巨大な竜巻を幾つも発生させる
「ドォラァ!」
その僅かな隙間を縫って男が一撃を食らわせる
「グオッ!?……オオオオッ!!」
吼える
クシャルダオラはこの時の為に大きなモノを捨てていた
「グオッ!?」
それは寿命
長き時を生きる古龍としての寿命、それを捧げていた
「グオオオッ!?」
地脈のエネルギーを多分に得た古龍は歴戦王となり寿命をも超越すると言われている
それすらも捧げ今の状態へと至ったのだ
「グオッ!?オオオオッ!?」
そうしなければ間に合わないとわかっていたから
人間の短い寿命の内に、しかも寿命の内で最盛期という更に短い時間しかない内に復讐をするにはこの方法しかなかったのだ
「グオオオオオオオオオッ!!?」
今のクシャルダオラの寿命は人間と同じ、つまり男と同程度しか残っていなかった
「ウラァ!!」
男は攻撃を加え続ける
「グオオッ!!」
クシャルダオラの攻撃は全て避けられ手痛い反撃を貰う
「グオオオオオッ!!」
当たらない
1発でも当たれば、掠りさえすれば勝てるのに
「ダラァ!!」
「グオオッ!!?」
その1発が遠い……
「ハァ……フゥゥ……」
長い戦いの末に決着はついた
「グ……オオッ……」
クシャルダオラの敗北という終わりで
「オ……グッ…………」
「…………」
瀕死
動く事すら出来ない、あと一撃入れればクシャルダオラは確実に死ぬ
そう誰もが、クシャルダオラ自身でさえわかっている状況になっていた
「グオ……オッ……」
「…………」
命乞いなどするつもりは無い、やれ
そう目で言っているクシャルダオラを男は見つめている
「……気に入ったぜお前」
男は大剣を納刀し、クシャルダオラへしゃがみ込んだ
「言葉わかるか?見逃してやる、また強くなったら挑みに来い……相手してやるよ」
「……ッ!!?」
侮辱的な言葉にクシャルダオラは殺意を込めて睨みつけると男は言葉がわかる事を知り微笑む
「言っとくがタダで見逃すわけじゃねぇ、テメーには約束してもらう……「俺以外の奴を襲うなと俺以外に迷惑かけるな」だ、どうだ?出来るか?」
「……」
「出来ねぇなら今すぐ楽にしてやる……どうする?」
「…………」
2人は暫し睨み合った
「へっ……」
笑った男はポーチから回復薬を取り出しクシャルダオラの口に中身を入れた
「お前に効くかはわかんねぇが……まぁ飲んどけ」
「…………」
クシャルダオラは何も言わず目を閉じた
「またな」
男は大男達の元へ戻る
「なんで殺らねぇ?」
「クエストのターゲットはアイツじゃねぇんだ、殺らなくたって問題はねぇだろ?」
「理屈じゃな、だがあのクシャルダオラが誰かを襲ったらお前の責任になんぞ?約束なんざ古龍が守るとは思えねぇ」
「そん時は俺が責任取ってトドメ刺してやる、だからわりぃが今回だけ見逃してやってくれよ」
「……お前がそこまで言うなら否やもねぇが」
少し不安気に3人はクシャルダオラを見るが男を信じ帰路についた
「……グオオッ」
クシャルダオラは泣いていなかった
「……」
殺意はもう無かった
自身の中で何かが変わった気がした
「…………」
回復薬の効果なのか立ち上がれるようになったクシャルダオラは男が去った方向を見つめる
「グオオオオオオッ!!」
咆哮と同時に飛翔しF領域から去って行った
風は……まだ止まず、翔け巡る
「クソッ……!強ぇなコイツ……!」
更にしばらく経った頃
男は強敵と戦っていた
「古龍の王だニャんて言われるだけあるニャ」
相手はムフェト・ジーヴァ
F領域で一気に増えた遷悠種の中でも最大クラスに危険な相手
「アイツ等は大丈夫かな……」
「旦那!今はこっちに集中するニャ!」
男は1人、増え過ぎた遷悠種の対応に追われ大男達とは別行動を取り男は腕を見込まれ1人で古龍の王の討伐を任されていた
「ッ!?またアレか!」
ムフェト・ジーヴァが王の雫と呼ばれる必殺技を放つ体勢に入る
「ヤベェヤベェ!隠れるとこ無いぞ!?」
「どど、どうするニャ旦那!?」
慌てる2人に突然、声が届く
《クシャルダオラが現れました》
響く声、それは男はよく知る声だった
「今の旦那の嫁の声ニャ!」
「ああ……何だ今の?つーかクシャルダオラって……」
男が周囲を見回すとムフェト・ジーヴァより高い崖上にクシャルダオラは居た
「お前……」
それはあの見逃した以来に会うクシャルダオラだった
「……グオオオオオオオオオオッ!!」
咆哮をあげたクシャルダオラは崖上から飛び降りムフェト・ジーヴァへ強襲、地面に叩きつけ必殺技を止めた
「……助けてくれたのかよ?」
男が問うとムフェト・ジーヴァを押さえつけた状態のクシャルダオラは鼻を鳴らし男を睨む
『お前を助けに来たわけじゃない、お前を殺すのはこのオレだからだ』
そう言っている目をしていた
「ヴォアアアアアッ!!」
押さえつけられていたムフェト・ジーヴァが激昂しクシャルダオラを押し退け立ち上がる
「へっ……足引っ張んなよツンデレ野郎コラ!」
「グオオッ!」
アイツを殺ったら次はお前だ!……そう言うようにクシャルダオラはムフェト・ジーヴァへ吼える
「行くぞォォォ!!」
「グオオオオッ!!」
奇妙な何かがそこには有った
人と龍の奇妙な
男とだけにしか結ばれなかった奇跡のような妙な縁
「やったなオイ!勝ったな!ハハハ!」
「……グオッ」
当然だと言うようにクシャルダオラは鼻を鳴らす
「お互い疲れたし喧嘩はまた今度にしねぇか?」
「……」
クシャルダオラは無言で頷く
「また今度手伝ってくれよ!なんてな!ハハハ!」
「……」
クシャルダオラは何故か嫌な気はしなかった
「ニャー!旦那の隣はボクニャー!!」
相棒アイルーが席を取られまいとベシッとクシャルダオラをしばいた
「グオオッ……!」
クシャルダオラはブレスを撃とうと構えた
「撃ったら殺すぞ?」
男が大剣を首に当てていた、目は全く笑っていない
「…………グオッ」
冗談だ……と言うようにクシャルダオラは構えを解いた、内心は冷や汗ダラダラ
「迷惑かけてねぇか?」
「グオッ」
クシャルダオラは頷く
「よし、じゃまたな!助かったぜありがとよ!」
男が前足をコツンと叩いて帰っていく
「…………」
それを見送った後
「グオオッ」
またな、とクシャルダオラも言った気がした
そんな事を何度も繰り返しながら
長い時は流れて行く
クシャルダオラは寝ているモンスターにサッとブレスを撃とうと構えた
「ダメだダメだ!いいか?寝てる相手にゃ大剣か爆弾って相場は決まってんだ、理屈は知らんがダメージが3倍になるからな、だから俺が先に抜刀溜め3食らわせるからお前は後だ、いいな?」
「グオッ」
クシャルダオラはウンウン頷きサッとブレスに構えた
「お前クラァ!!」
「キャイン!?」
クシャルダオラはぶん殴られた
「おう居たな、よう!」
男は赤ん坊を抱え会いに来た
「どうだ?可愛いだろ?」
「……」
クシャルダオラは食べようと口をあける
「お前クラァ!!」
「キャイン!?」
クシャルダオラはぶん殴られた
「テメェの餌じゃねぇぞボケ!殺されてぇのか!?」
「グオオ……ッ!?」
クシャルダオラは悶絶している
「俺の娘だ、お前にゃ見せとこうと思ってよ」
「……」
クシャルダオラは娘を見つめまるで仔龍に接するように怖がらせないように慎重に娘へ顔を近付け
頬へ触れた
「キャッキャッ!」
娘が楽しそうに笑う
「気に入ってくれたみてぇだな、ったく俺に似て怖いもの知らずな娘だぜ」
男も笑ってクシャルダオラを見る
「ああそうだ、聞いとく事あんだ……お前はどうか知んねぇけど俺はもう少しで全盛期ってのが終わる」
「……」
「決着、つけとくか?」
「……」
クシャルダオラは男を見つめた後、そっぽを向いた
もう興味が無いと言うように……
「そうかよ……俺もやりたくねぇよお前とは」
男も笑う
「良くしてやってくれよ俺の娘によ、それと……これから生まれてくる孫なんかにもよ……お前が生きてる限りでいいからよ」
「……」
クシャルダオラは男を見つめ
「グオッ」
わかったと言った
時は風と共に流れていく……
 ̄_ ̄_ ̄_
 ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_
 ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_
「……」
若い古龍が居た
「…………」
若いのに今は力無くゆっくりと歩いている
「…………」
その若い古龍は年老いていた、人間で言えば100歳程
古龍で言えばまだまだ若い、なのに年老いてもう飛べもしない、歩くのがやっと
「……」
古龍はある場所を目指していた
「…………」
場所なんて知らないのに自然と足は迷い無くその場所を目指していた
「……」
古龍は遂に辿り着く
大きな石を綺麗に加工し建てられた場所へ
「…………」
そこは人間で言うところの墓
死んだ者が眠る場所
「……」
その一際大きい墓の前で古龍は横になった
その墓は昔に活躍し歴史に名を残したある大英雄が眠る墓だった
「…………」
若い古龍は目を閉じた
昔に無茶をし過ぎてその寿命は尽きていたのだ
「…………」
古龍渡りと言う言葉がある
寿命を悟った老齢の古龍が死地を目指して移動する現象の事
「…………」
多くの古龍は新大陸を目指すがこの若い古龍は新大陸へは行かなかった
「……」
死地は決めていたから
結局、あれから一度も雌雄を決する事無く奇妙な縁だけが続いたあの男の隣が自らの死地だと決めていたのだ
「……」
裸の英雄と呼ばれた男の隣だと……
「……グオッ」
最期に一言だけ若い古龍は呟いた
それは男への感謝の言葉だったのか恨み言だったのかは誰にもわからない
「…………」
風は……ようやく止んだ
満足な風翔龍の笑みだけを遺して……
風は……天へと昇ったのだ
あれ……やっばいな、ギャグ書いてるつもりだったのに何故か最後が……今までで一番長くなったし……
書き始めた時はクシャルダオラが復讐に頑張るけどボコられる話で書いてたのに……いいかなこれで?いいか
正直ネタ切れでありまして書けそうなネタとか探したけれどコレだっ!ってのが無いです、微妙なネタだとつまらん話になりかねないから書きたくない……なので良いネタが無かったら次はエピローグになります。
さぁどうしようかな……