「お~……アレが禁足地か~」
「やっと着いたニャ~」
男と相棒アイルーは飛行船に乗っていた
「ほえ~砂ばっかだなぁ~オディバトラスいそうだなぁ~」
「んだニャ~居たらヤバイけどニャ~」
気怠そうに寝転ぶのは引退した元Fクラスハンターであり元大英雄の一角・裸の英雄とそのオトモアイルー
「暇だったな~」
「んニャ~」
今から未開の地だというのに緊張感の欠片も無い
「そろそろ準備すっか~」
「了解ニャ~」
どうしてこうなったかは数日前に遡る……
-数日前・農場-
「よっしゃイクゾー!」
「オッケーニャ旦那!」
「……グオッ」
掛け声があがり準備万端
「エンヤコラーの……」
男は鍬を振り上げる
「ドッコイショー!」
畑へ力強く振り下ろす
ドッゴーン!
畑の一部が打ち上がり宙に舞う
「ニャニャニャニャー!」
相棒アイルーが肥料を撒く
「……グオッ」
ダルそうに寝そべったクシャルダオラが風を起こし、打ち上がり撒かれた肥料をシェイクして落とす
「はぁ~ドッコイショー!ドッコイショー!」
「ドッコイショー!ドッコイショー!ニャ!」
決めポーズで畑の耕しは終わった
「休憩すっか~」
「そうニャね~」
「グオッ……?」
もう帰っていいか?とクシャルダオラはうんざりしたように言っている
「あ、旦那、誰か来たニャ!ハンターっぽいニャ、また直接買いに来たのかニャ?」
「またかよ」
男は面倒そうに頭を掻く
「結構な量卸してるのにんなすぐ無くなるかぁ?」
「何か最近は薬ガブ飲みゴリ押し戦法が流行ってるみたいニャしいニャ、回復薬系の需要が爆上がりしてるらしいニャ」
農場の収穫物はメゼポルタギルドへ卸している、元ハンター達が作っているので品質は拘られており大変評価が良い、加えて元英雄や有名人が作っているのでブランド力も高く人気があり他地方の行商人が買い付けに来たりもしている
「なぁ?直接買いに来るハンターの地雷率ってやたら高くねぇか?」
「わかるニャ、そんで共通して地雷は大抵フルゴアか穴空きネセトかフルクシャおにぎりニャ」
「……あの買いに来てる二人も黒いな」
「そうだニャ……フルゴアだニャ」
遠い目をしていると買いに来たハンターが手を振り叫ぶ
「はやくきて」
「やくめでしょ」
男へこっちに来いと言うのだ
「う~ん……よしぶっ殺すか」
「落ち着くニャ旦那、気持ちはわかるけど一回は許して落ち着くニャ」
相棒アイルーになだめられながら半ギレの男はハンター達の元へ行く
「「ハチミツちょうだい」」
男が何か言う前に告げられる
「……金はあんのかお前等?」
青筋を浮かべる営業スマイルの男、しかしイラつきが言葉に出ている
「タダでしょ?」
「ふざきんな」
フルゴアハンター達は当然のように言った
バゴォ!!
地雷ハンター達はノヴァ・クリスタル製の鍬で殴り飛ばされた
「死にてぇなら最初からそう言えやコラァ、人生に疲れたんで介錯してくださいってよぉ!」
「旦那!落ち着くニャ!」
相棒アイルーが腕にしがみつくが全く意味は無い、むしろ可愛いアクセサリーみたいになっている
クシャルダオラはかなり後方で知らん顔をして寝て我関せずを決め込んでいた、関したらとばっちりを食らうから
「畑の肥やしにしてやっからよぉ!!」
「旦那ダメニャー!!」
鍬を振り上げる
「何やってんのお父さん!!」
男はラリアットを食らわされ止められた
「買いに来たお客さん討伐しちゃダメでしょ!」
若い女性、年齢は17
男の一人娘だった
「だってよ……」
「だってもヘチマもない!も~まったく……」
呆れながら力尽きたハンター二人をネコタクシーに載せギルドへ送り返す
「お~イテッ、やっぱオレの子だよなお前、やたら強ぇ……ハンターになれよ、いいセンいけんぞ?まっ英雄と呼ばれたオレ程じゃあねぇがよ」
「自慢うっざ!ていうかならないって何回も言ってんじゃん」
娘はこの農場の名物娘、元受付嬢の母と元ハンターの女と一緒に農場を切り盛りする美人どころの一角
「手は足りてんだ、無理に手伝わなくてもいいから好きな事しろよ、応援してやっから」
「いいの!私はこの生活が気に入ってるから!」
経理は元受付嬢と娘とメガネの嫁である女が担当している、小男は持ち前のトーク力を使い営業
肉体労働は男と大男と相棒アイルーと青いアイルーがメインにアルバイトやパートを雇い広い農場を管理している、メガネの息子や各元ハンターの弟子や猟団の者達が手伝いに来たりしている
「ほらお母さんからお茶とお菓子貰って来たから食べよ、番長さんとメガネさんのところには息子君が行ってくれたから」
男の娘は経理と肉体労働の半々、収穫時期には手伝ってくれる
メガネの息子はまだ幼く経理の補助、メガネはドジなので簡単な事を担当している
「はいクシャおじさん!いっぱいあるからね!」
「グオッ」
大きな籠に入ったお菓子を置くとクシャルダオラが娘の顔に頬擦る
2人は仲良し、赤ん坊の頃から看ていたクシャルダオラと赤ん坊の頃から懐いていた娘はモンスターの垣根を超えた超仲良し
ちなみに傀異克服極限獰猛歴戦王個体であるクシャルダオラが人間にはわからないマーキングをしているのでモンスターは超災害級クラスでなければ絶対に近付かない
「あ~丁度よかった休憩中だったね、君にお客さんだよ」
小男が人を連れてやってきた
「久し振りじゃ裸の英雄よ」
「おーお疲れさん、久し振りだジジイ」
一緒に来たのは大長老
「あんたもハチミツねだりに来たのか?あ?歴戦のゆうたさんよぉ?」
「誰が地雷ハンターじゃ!要らぬわ!」
大長老はツッコムと咳払いし場を整える
「人払い出来るかの?」
「あ?こいつか?……おい、ちょっと大事な話があるからアイツと空の散歩でもしてこい」
「え?うん……わかった」
娘をクシャルダオラと共に遠ざける
「ムオッホン……実はオヌシに頼みがあってのぉ」
「だからハチミツだろ?人払いまでしてったくアオアシラがよ……金あんだろうな?」
「違うっつっとんじゃ!いい加減にせい!」
「へへへ……んで?ハンターに復帰しろってんなら断んぞ?」
「ヌゥ……半分合っとるな」
「半分だぁ?どういうこったよ?」
「実はの……」
大長老は事情を説明した
「ギルドが未開の禁足地ってところに送る調査隊の内偵として様子を見てきて欲しいって?」
「左様」
「何の為にだよ?信用して送ってんだろ?殺人鬼でも混じってるってのかよ?」
「そうではない、まぁ内偵という言い方は悪かった……要は調査隊の安全保証さ、現場のハンター達では対処が厳しい時には手助けしてやって欲しいのじゃよ」
「オレの時とは違って過保護だなオイ……つか何で引退したオレなんだよ?他にもハンターはいっぱい居んだろ?Fクラスハンターとか今の時代の英雄とかよ?あ!ソードマスターに頼めよ!まだ現役だろあのじいさん」
「英雄は忙しくての、ソードマスターは腰をやって寝込んでおる……そして知っての通りFクラスはこっちに回すには過剰であり余裕も無い、オヌシや主力メンバーが抜けてからずっとギリギリでのぉ」
「嫌味な言い方しやがる……まぁでもそうだよな、こっち側のモンスターにFクラスは当てらんねぇわな、過剰に無駄が過ぎんなそりゃ……FはF相手にしてこそか」
「そういう事じゃ、英雄は多忙でFクラスは使えぬ、だが調査は成功させたい、だから実力に足る信頼出来る者をと考えたら裸の英雄と呼ばれたオヌシだったのだ」
大長老は真剣に言っているが男は頭を掻く
「だから引退してんだってオレは、今更若い奴等に敵うかよ」
「その若い現役ハンターを何人も鍬でギルド送りにしとる化物が居るから頼んどる」
「気合いと根性が足りねぇんだよ最近の若いのは」
「古いのうオヌシは……最近はタイパじゃコスパじゃが流行りなのに」
「そう育てたのはテメー等ギルドだろうがよ」
「ホッホッホッ!違いない、だが本当に助かったよ」
「そうかよ、よかったなそりゃよ」
大長老は笑い男も苦笑する
「まぁ旅行みたいなものだと思ってくれ、どうだ?やってくれるか?」
「ん~……でも仕事があるしなぁ……」
悩んでいると小男が口を挟む
「農場のみんなには英雄慰労会に誘われたって許可得てるよ、もちろん君の奥さんにもね!ずっと働いてるからたまには羽伸ばして来てってさ!その間は僕がカバーするよ」
「もう根回ししてんのかよクソジジイがよ……なんだ英雄慰労会って、んなもん今まで一回も無かったろうよテキトーこきやがって」
「ホッホッホッまぁワシの立場があれば軽いウソくらいちょちょいのちょいじゃよ」
「バレて半殺しにされてもしらねぇぞ……」
大男と受付嬢にバレたらシメられる案件、大男はそんな面白そうな事にウソついて行った怒り、受付嬢は危険で心配していたハンター業をしていた事に
「バレなければいいんじゃバレなければの」
「はぁ~……わぁーったよ、根負けだぜ……やってやるよ禁足地調査」
「ボクもニャ!ボクも行くニャー!」
「ったりめぇだろ、置いてくかよ相棒!」
こうして裸の英雄の禁足地ツアーと大長老の半殺しが決定したのだった……
「用意つっても被りモンとマント羽織るだけだがよ~、あっとヤベェヤベェ!コレ忘れちゃイカン」
男は荷物から片手剣を取り出した
「ガラティーン……作んの苦労したなぁ」
「旦那は大剣かハンマーか弓だったから苦労の割にほとんど使わなかったけどニャ」
遠い記憶に思い耽る
~極神剣ガラティーン~
万能にして最強、究極にして唯一神な片手剣
これさえあれば他の片手剣は要らないと言って過言ではないかもしれない程強い武器
当然F規格の武器であり本家で使うとG級特殊個体だろうと瞬殺出来る力を秘めている、故に本家で使うのは御法度、あくまでもFモンスター用の武器だからである
「ホントは親方の大剣持って来たかったけどな」
「デカ過ぎて隠せないからしょうがないニャ」
それでも男が持ってきたのはちゃんと理由がある、まず自衛の為
モンスターに襲われる危険があるから当然だが鍬でハンターを討伐出来る男にとってこの理由は大した理由ではない
真の理由は調査隊が壊滅または禁足地の生態や環境が存亡の危機に陥ってしまう場合の最後の砦、緊急の抑止力としての備えが本命
だからこの武器の持ち込みに至っては大長老から直々に許可を得ている
そして片手剣なのはマントの中に隠しやすいから、表向きは調査隊の護衛として来ている男は武器の携帯はおかしくはないがそれがF規格武器なのが問題、だからマントで隠して出来る限り人目に触れないようにする為に小さい片手剣なのだ
ちなみにマントの中は当然、裸である
「んで被りモンだけどよ……なんでコレしかねぇんだよ」
英雄として顔が知られている男の顔を隠す為の被り物は何故かブルファンゴフェイクだった
「マント羽織ったブルファンゴ……まごうことなき変態だニャ、変態ファンゴマスクニャ」
「誰が変態だクラッ!そういうお前もコンガのぬいぐるみじゃねぇか、やーいお前の母ちゃんババコンガ~!」
「言うニャ~!ボクだってイヤなのニャ~!」
のそのそと変態とコンガに支度完了、部屋を出る
「あ……」
「お?」
ドアを開けたらちょうど若い男のハンターがアイルーと通っていたところだった
「……」
「……」
見つめ合う変態と若い男
「……失礼する」
「……ああ」
軽い会釈をして若い男は去って行った
「旦那……今のハンター……」
「ああ……」
遠ざかっていく若い男の背を二人は眺めていた
「良いツラしてやがった、居るもんだな最近のハンターでもあんな気合い入ったのがよ」
「だニャ、昔の旦那にちょっと似てるニャ」
「オレの方がイケメンだったろ?」
「当然ニャ!旦那が一番カッコイイニャ!」
「ありがとよ相棒!オレもお前が一番カッコよくて可愛いと思ってんよ」
「ニャ~♪」
二人は笑い拳を合わせる
「よし、んじゃあ……」
「行くニャ!きゅっ!きゅっ!きゅっ!ニャ~♪」
裸の英雄の未開探検ツアーが始まる
ワイルズ買ったけどアプデまでする事無いなったから書いてみた。
暇潰し程度に読んでくれれば幸いです。