Fへの挑戦   作:黒太陽

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「おう雑魚野郎!今日も立派に雑魚してっか?」

 

大男ハンターが男に話しかけている

 

「ああん雑魚だぁ?へっ!」

 

「なんだなんだ~?えらい強気じゃんか!万年下位のくせに生意気だぞー!」

 

小男が突っかかる

 

「もう俺ぁ雑魚じゃなくなっちまうかもしれねぇぜ?」

 

男の顔は自信に満ちていた

 

「あぁん?もしかして最近達成率上がったくらいでんな強気でいんのかテメー?」

 

「1%?2%だったっけ?それくらいでよく強気になれるよなー!」

 

「んぐっ……」

 

男にとってはとても嬉しい事だが言われてみればその通り、今までの失敗が多過ぎて焼け石に水程度なのだから

 

「んなフルフルベビーみてぇなショボイ実績片腹大激痛だっつーの!ちゃんちゃらおかしーぜ!なぁ!」

 

「そうだそうだー!」

 

「んぐぐ……」

 

言い返せず唸る男に2人は容赦無く罵る、その後ろで相変わらず申し訳なさそうにしている女ハンター

 

「うっせー!うっせー!俺はこっから巻き返すんだよ!」

 

残っていたネコ飯をかっ食らって立ち上がり3人に背を向ける

 

「調子乗ってトチんじゃねぇぞ雑魚野郎~」

 

「そうだそうだ~」

 

「大きな世話だボケェ!」

 

捨て台詞を吐いて受付へ行こうとすると女ハンターが前を塞いだ

 

「あ?何だよ?」

 

普段この女ハンターには何も言われない、話す事すら稀

 

だから別に何とも思ってなかったのに2人の罵りに機嫌が悪くなってたので高圧的に言ってしまった

 

「あの……」

 

女ハンターはもじもじしながら言った

 

「頑張ってくださいね」

 

2人の視線が交差する

 

「……ああ」

 

男は素っ気なく言うと女を避けて受付へ向かう、その背後で女ハンターが頭を下げているのを感じながら

 

 

 

「可愛いですよねあの女ハンターさん」

 

受付カウンターに着いた瞬間、担当受付嬢がいきなり言ってきた

 

「あん?」

 

「ハンターさんの好みってあんなタイプなんですか?」

 

「んだ?いきなりどした?」

 

「ちょっと気になっちゃって、今なんかゴイスーなロマン感じちゃったのですよ……目と目が合う瞬間好きだと気付いたみたいな!もしくは見つめ合うと素直にお喋り出来ないみたいな甘ーいロマンを!」

 

「ああ……」

 

質問の意図が理解できた男は鼻で笑った

 

「はっ……お前の目は節穴だよ、アレは……俺を見てたあいつの目はそんなんじゃねぇよ」

 

男にはあの女ハンターの視線の意味がわかっていた

 

(あの目は上を見る目だった……俺がいつかと空に夢描く時みてぇな、そんな目だった)

 

ニヤリと微笑む

 

「またまたー!そんな事言って満更じゃないんでしょ?期待してるんでしょ?このこのー!」

 

「やめろ叩くな」

 

受付嬢に叩かれながら男は思う

 

(俺はむしろ……)

 

受付嬢を見る

 

「そ、そんなに睨まないでくださいよ~!ハイハイ調子に乗りましたぁ!ごめんなさいぃ!仕事しますぅ!」

 

慌ててクエストを選ぶ受付嬢を眺めながら男は仄かに笑う

 

「おう、頼むわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パァープォー♪(クエスト出発の音)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぐぐぐ……」

 

帰りの猫車で男は唸っていた

 

(やらかしたやらかしたやらかしたァーーー!!?)

 

クエストは失敗していた

 

(何であそこで欲張ったんだ俺ぇ!この、バカヤロー!!)

 

敗因は欲

 

後1回殴れるか?後1回くらいいけるか?

 

そんな欲に負けて返り討ちに合うハンター達が酒の肴に話す類いのハンターあるあるだった

 

(いつもだったらしねぇのにぃ……最近達成率上がったからって調子乗ってたんだクソァー!死ねぇぇぇ!!)

 

絶賛猛省中

 

「ぐぅぅぅぅぅぅ……」

 

普段なら達成出来ていたのに心の緩みが失敗に繋がった事を戒め心に刻んでいる

 

「旦那うるさいニャ」

 

「……すまん」

 

アイルーに耳栓を外され怒られた男は無言でいつもは成功でも失敗でも寝る帰りを最後まで起きて反省していた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……わりぃ……失敗だった」

 

その日の報告はいつもより数段トーンが落ちていた

 

「えぇ!?」

 

受付嬢が驚く、今日は受領出来るクエストの難度が全て低い日で成功率9割になったイャンクックだった、なのでアイルーからの報告を聞くまでもなく達成可能だと思っていたのに失敗だったからだ

 

「もう楽勝になったイャンクックですよ?」

 

「ッ!?」

 

その言葉が男の傷を抉る

 

受付嬢は嫌味で言ったつもりは全く無い、むしろ楽勝になったイャンクックの狩猟に失敗してしまう理由が気になっただけ、責める気は一切無い、体調が悪かったのか?と心配すらしているくらい

 

だが男には驕りの負い目から自らを酷く痛めた

 

 

「……今日は金は要らねぇ、ホントにすまなかった」

 

「えぇ!?」

 

身を翻してふらふら歩きだす男

 

「ちょ!ちょっと待ってくださいよ!ねぇ!」

 

受付嬢が叫ぶも男は止まらずギルドから出ていった

 

(ヤバイ……これマズイかも……!)

 

受付嬢はすぐにギルドの奥に走って行った

 

 

 

 

「…………」

 

そんなやり取りを見ていたのはこの場に居た全員だったのだが特に関心を持って見ていたのが1人

 

「……」

 

「……」

 

否、3人

 

その場でジッと黙っていると突然他の2人のハンターが騒ぎだしたので3人は一様に顔を向けた

 

 

「今の見たか?あの情けねぇツラ!笑えたなぁ!ハハッ!」

 

「ホント!あんな落ちこぼれになりたくないわぁ!」

 

騒いでいるのは若いアベックハンターだった

 

「アイツだろ?なんか関わるなって言われたハンターって!あんまよく聞いてなかったけどあんな落ちこぼれに誰が関わるかっつーんだ!」

 

「ねぇ!バカにして笑いの種にする方が良いってゼッタイ!なんならあたしイジメちゃおうか~?」

 

既に酒がかなり入っていたのか陽気に大声で2人叫んでいる

 

「おう兄ちゃん!見ない顔だな?最近入った新米か?お?」

 

「僕知ってるよ、素行が悪くて有名な奴等だよ」

 

アベックの男の方の両肩に2人分の手が置かれる、それは大男と小男の手だった

 

「え、あ、ああ……あんた達は……」

 

相手を知ったアベックの男は全身から血の気が引いていた

 

「G級の……ト、ト、トップの……」

 

「なな、なん……で……」

 

アベックの女も同様、何せこのギルドのハンターならば誰もが知っているトップクラスハンターに絡まれてしまったのだから

 

「何ィ?そいつはいけねぇなぁ!よぅし!俺様達が特別に教育してやろう!」

 

「良いね!そうしようそうしよう!ありがたく思いなよ君達!」

 

アベックの男を2人で掴み上げると引き摺って行き訓練所の教官と言葉を交わす

 

「先生!いいですね!!」

 

「うむ、しっかり指導してあげなさい……お前等!終わったら廊下に立っとれ!!」

 

教官の許可を得て引き摺られていくアベックの男

 

「あ、あ……」

 

アベックの女が唖然としていると肩を叩かれビクッと跳ねる

 

「貴方は私」

 

女ハンターが微笑むと有無を言わさずアベック女を引き摺って行った

 

 

 

「先に言っといてやる」

 

アベックの教育が始まる瞬間、大男は言った

 

「アイツはなぁ!スゲェ奴なんだよ!」

 

「雑魚なんて言われてもめげずに頑張るモノスゲェ強ぇ奴なんだよ!」

 

「何も知らねぇバカが貶していい奴じゃねぇんだ!」

 

小男も言う

 

「アイツがどんな苦労してるか知らずに好き勝手言われたら僕達も黙ってられないよ、ね?」

 

「ええ」

 

女も頷く

 

 

「アイツを貶していいのは俺様達だけなんだよ!!」

 

 

暴君の怒りが荒れ狂う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うおーてぇへんだてぇへんだてぇへんだー!」

 

受付嬢が大長老の元へ駆け込んだ

 

「手ぇ変だー大長老様ー!」

 

「……」

 

そんな受付嬢に大長老はドン引きしていた

 

「この娘採用したの誰?」

 

「大長老様ですやん、顔で決めた言うてはったやないですか」

 

「もっと内面重視しとくんじゃった……このワシ一生の不覚」

 

「いやいや、言うて他大陸にはもっとエグイのおるみたいでっせ?なんやウケツケジョー言うてウザ過ぎてワールド規模で嫌われとるみたいですわ」

 

「ええ……何その受付嬢こわっ」

 

「それに比べりゃこんくらいの奇行可愛いもんでっせ、笑うて流したるんが長の務めっちゅーもんやとワイは思いまっせ」

 

「そうか……わかったわい、次から気をつけるとしよう」

 

「そうしとき」

 

 

 

「あの~……もういいですか?」

 

大長老と側近のコントの終わりに受付嬢がそっと手を上げる

 

「うん大丈夫だよ、それでどうしたんだい?」

 

「それがあの人がかくかくしかじかでこのままじゃああなってこうなって風がピュー!なんです!どれくらいヤバイかと言うとマジヤバイです!!」

 

受付嬢の全く要領を得ない意味不明な説明が轟く

 

「……ああうん、多分きっと彼の事だね?」

 

「そうです!このままじゃ私のボーナs……今までの苦労が水の泡に!!」

 

「この娘採用したあの日のワシを殴りたいわい……」

 

欲望に素直な受付嬢に頭を抱えながら大長老は一旦大きく咳払いし場を直す

 

「オホン!……彼の事ならアイルーから既に聞いとる、少し待ってみなさい」

 

「待てって……」

 

ヤバイと焦っている受付嬢にはその命令は納得がいかない

 

「聞いた限りでは彼はハンター特有の傷を負ったのだよ、それは受付嬢である君にはわからない心の傷でね……同じハンターにしかわからないものさ」

 

「ですが……だからって……」

 

自分の出る幕ではない、そう言われて受付嬢は尚更納得出来ない、心配だったから

 

「そう心配する事はないさ、彼等が行ってくれるらしいからね」

 

「彼等……?あのG級4人の……あ、今は3人でしたね、彼等ですか?」

 

「うん、少し時間を置いて行くと言ってくれたよ、だから君は業務に戻りなさい」

 

「……ムゥ」

 

受付嬢は口を尖らせて不満の意を露にしている

 

「これ以上ワシから言えるのは明日からも変わらず接してあげなさいと助言するくらいだよ……さぁいつまでもそんな顔をしないでもう行きなさい、可愛い顔が台無しだ」

 

「……わかりましたよ」

 

渋々と受付嬢は戻って行った

 

「ふぅぅむ……」

 

それを見送った大長老が思うのはただ1つ

 

(ワシって威厳ないのぉ……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うがあああああ……」

 

自室のベッドで男は唸っていた、現在も自己嫌悪を足して絶賛猛省中

 

「ウキョロキョキョーン!フギャフギャ!ウプーププ!」

 

精神がイカれだしてはっ葉人間になりかけている

 

「うー……プーギー……プーギー……」

 

近くに居たペットが呼ばれてテコテコやって来る

 

「ぷい?」

 

「俺を踏んでくれプーギーィィィ……!」

 

「ぷいッ!?」

 

「罰を与えてくれぇぇぇバカな俺にぃぃぃ」

 

「ぷいぷい!?」

 

そんなの出来ないと首を振るペットのプーギー、日頃から愛情を与えられているのがよくわかる

 

「だって俺ァギルドのお荷物のくせに驕っちまうようなカス野郎だからよぉぉぉぉ!踏み殺してくれよぁぁぁぁ!?」

 

「ぷいィィ!ぷいィィィィ!!」

 

プーギーが手に負えない誰か助けてと必死な鳴き声をあげる

 

 

 

ドンドンッ

 

 

 

プーギーの祈りが通じたのかドアが叩かれた

 

「……誰だよこんな時によぉ」

 

イライラしながらドアへ向かい叫ぶ

 

「誰だ!」

 

「俺様だ!!」

 

訪問者が大男だとわかると男の怒気が少し鎮まる

 

「テメェか……」

 

「開けやがれ」

 

ドアの鍵を外せと大男は言う

 

「ちっ……今は誰とも会いたくねぇんだ!帰れデブ!!」

 

叫んだ次の瞬間、ドアが粉々に吹き飛んだ

 

「生意気だぞ雑魚野郎のくせによぉ……!」

 

ハンマーでドアをぶち壊した大男がキレ笑っていた

 

「テンメェ……!!」

 

ここまでされては男も黙ってはいられない、殴ろうと拳を振りかぶる

 

「今から飲みに行くぞ!付き合え!!」

 

それより先に大男に肩へ手を回され引き込まれてしまった

 

「あ"あ"!?1人で行けや!放せテメー!!」

 

「いいから来いっつーの!3人で慰めてやっからよー!」

 

「あいつ等も居んのかよ!?放しやがれ!行かねぇつってんだろ!!」

 

「知るか!G級ハンター様は偉いんだ!下位の雑魚野郎に拒否権なんざねぇ!お前の時間は俺様のもんだ!!」

 

「んだその無茶苦茶な理論は……」

 

抵抗していた力が緩む

 

「わーったよ……行くから放せデブ」

 

「最初からそう言やぁ良かったんだ」

 

解放された男は大きな溜め息を吐きながら大男の隣を歩きだす

 

「勿論奢りだろうな?あとドアも直せよコラ」

 

「当たり前だろうが!テメェとは稼ぎが違うんだ!んなもん余裕のよっちゃんだっつーの!」

 

「ちっ……成金デブが」

 

「オイさっさと行くぞ!アイツ等待たせてるからな!」

 

「へいへい」

 

「たらふく飲んでドンドン愚痴れ!俺様達がいくらでも聞いてやる!そしたらもう笑い話だ!そんで満足したら糞して寝ろ!」

 

「わかったわかった……」

 

男は不意に大男の横顔を見て視線を戻す

 

「……ありがとよ」

 

感謝を小さく呟き、夜の町へ消えていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、メンタルが回復した男がギルドに顔を出し受付嬢が平謝りするも一切責める事無く自分が悪かったのだと逆に謝りよくわからない受付嬢を大いに困惑させて「困らせてんじゃねぇ雑魚野郎!」とシバイた大男と言い合ういつもの光景が広がったという

 

 

 

 

 

 

 

 




フロンティアへの挑戦なのにこんな話要る?進まねぇじゃん。そう思った方……すんまへん。



・キャラ紹介

大男ハンター

主人公のギルド(本家)のG級ハンターでありギルドの番長格、ハンマー使い、階級はG3。
主人公は毎日が必死で覚えてないが主人公と同期。
主人公が最初にFクラスに送られた事件の時に慌てるギルド員達の話を偶然聞きFの存在を知る、同期のよしみで助けに行こうと志願するが当時新米ハンターだったので拒否され歯痒い思いをするも生きてしかもクエスト達成して帰ってきた主人公を見て負けたくないと対抗心を燃やす事になり主人公とは別の道でFを目指している。

その経歴とFの存在を知る事からギルドから主人公を同僚の立場からサポートするように頼まれている、口が悪いのは前述の対抗心からだがそれが上手く作用し主人公には飾らない言葉が心地好さを与えている。

妹が居てモンスター図鑑等の絵師をしている。

キャラのモチーフはドラえもんのジャイアン、名前を付けるなら当然「たけし」


小男ハンター

大男の腰巾着ハンター、大男と同じくG級のG3、双剣ハンター(麻痺属性)。
腰巾着は確かだが実力もしっかりG級クラスの言葉責めタイプの嫌味野郎、特徴的な髪型をしておりその髪型故に古龍のアルバトリオンとは生まれた瞬間からの宿命の相手、どちらが真のスネちゃまかいつか決まる筈である。
大男と同じく主人公と密かに同期、主人公に対等な立場から嫌味を言いたいが為に現在も邁進中。

キャラのモチーフは当然スネ夫、名前を付けるなら「ボーンリバー(骨川)・スネオ」


女ハンター

大男と同じく(以下略)、狩猟笛ハンター。
突撃する2人を支えるサポート役、隙を見てスタンも取っちゃうナイススタンガール。
ユクモ村の温泉が好きで移住を考えていたがラッキースケベが多過ぎて身の危険を感じた為断念した過去がある。
2人と同じく主人公の密かな同期、Fクラスに挑んでいる主人公を心の底から尊敬していてそのひたむきな姿勢に憧れている。
彼女から主人公への恋愛感情は一切無い、あの視線は憧憬だからである、彼女が好意を抱いているのはパーティーメンバーの誰か。

モチーフはジャイアン、スネ夫と来たら当然しずかちゃんこと源静香、名前を付けるなら「シズカ・チャン」



基本的に3人でパーティーを組んでいるが実は4人目が居る。
3人と1匹が手伝ってG級に上げた本来は下位クラスの本当の意味で落ちこぼれのライトボウガンハンターが居るのだ。
座学や体術などハンターに必要な知識や体力など殆どが壊滅的に無いがただ1点、射撃の能力だけ秀でておりそれだけならワールドクラスハンターと言われている。
今は未来から来たオトモの青いタヌキ型アイルーと一緒に他大陸に遠征……もとい避難中、理由は主人公のギルドに居ると訓練所の教官(先生)に廊下に立たされるから。
名前が付くならノビタでオトモはタヌキ。

あとたまにスポットでパーティーに入る古龍観測所在籍の研究者兼ハンターをしているデキスギと言う秀才野郎も存在する。



そんな感じで今後は大男達をそんなイメージで見てくれたらと思います。

長くなりましたがひとまず今回はこれで……
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